アメリカン・フィクション
侮辱的な表現に頼る“黒人のエンタメ”から利益を得ている世間の風潮にうんざりし、不満を覚えていた小説家が、自分で奇抜な“黒人の本”を書いたことで、自身が軽蔑している偽善の核心に迫ることになる。
アカデミー賞ノミネート作品がアマプラで配信されているということで軽い気持ちで視聴したが、皮肉が効いた良質なブラック・コメディ映画で十分楽しめた。 差別、貧困、ドラッグ、ギャング…という黒人に対するステレオタイプなイメージ、そして無意識にエンタメとして黒人に求めているもの。 そんなものだけが勝手に黒人のリアルだと人々は勘違いしてしまっている。 実は主人公の家族のようにインテリで富裕層の黒人も多くいるし、割合で言えば中流家庭の黒人がほとんどで、そこは日本とあまり変わりないのかもしれない。 映画、本、音楽などのエンタメの影響もあり、自分も「黒人」で連想するイメージは先に述べたような「差別」「ギャング」といったステレオタイプなものだった。 この映画で言う、「読者は馬鹿だから」に完全に当てはまる人間だった…。 そんな勝手なイメージや勝手なリアルを思いっきり皮肉った身につまされるコメディで、派手さはないけどジワジワと沁みてくるような笑いで、大人の雰囲気の作品に感じた。
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