コマンドーVSプレデター
2021年1月22日 22時07分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
南米のジャングルで宇宙人に襲われる特殊部隊を描いた映画だが、
この宇宙人が何だかよく分からない。何だかよく分からないが、
とにかく面白いのだ。
こういうところがアメリカ映画のすごいところで、例えば「ブロブ」とか
「ザ・グリード」とか「トレマーズ」とか、設定に何の論理もリアリティもない
怪物がでてくるのだが、それ以外の物語が非常にしっかりしているので、
全体が面白く観れてしまう。この映画も、ただ怪物宇宙人に襲われる、
というだけではなく、シュワちゃんが騙されて救出作戦に駆り出されてしまう、
という風に設定がしっかりしており、対ゲリラとの戦闘シーンもよくできている。
チームのメンバーを率いる姿なんかなかなか板についており、
リズミカルにその行動をとらえるマクティアナンの演出が非常に素晴らしい。
画面も、見せるところはフィックスでしっかりと見せ、動きが必要なところは動く。
ただしハンディで撮るようなブレブレの画面は多用しないので、とても観やすい。
最近はカメラも小型化され、臨場感を出しやすいという理由でだか何だか知らないが、わざとブレ画面を多用する監督が多いが、見づらいだけだ。
全編を通すと論理的に破綻している映画なのに、何故か面白く観れてしまうのは
やはり監督であるマクティアナンの手腕によるところが大きいだろう。
もう一つ、何だか分からないがこの映画が面白い理由の一つに、
やはり主演のシュワちゃんの存在感があげられるだろう。
もしこれをスタローンが演ったらどうだったか、ブルース・ウィリスだったら
どうだったか、と考えてみると、どうもしっくりこない。
何がしっくりこないかというと、他の俳優では人間くさいからだ。
宇宙人に襲われて逃げ惑う「パニック」映画ならいいが、宇宙人との「対決もの」
となった場合、同じ土俵に上がれる俳優と言えば、シュワちゃん以外に
いないだろう。「デモリション・マン」「ジャッジ・ドレッド」でスタローンは
惨敗したが、シュワちゃんはこの映画の他「トータル・リコール」やもちろん
「ターミネーター」シリーズなどで好成績を上げている。
この人間離れした風貌は、とてもSFと相性が良いのだ。
ただし、どうも「コマンドー」に見えて仕方がない。
最初、予備知識なしでTVで観た時、「コマンドー」の続編かと思った。
今度の相手は宇宙人なのか、と。
公開当時、評価は低かったが人気があったため、続編が作られ、
更にエイリアンと物語をシンクロさせた「エイリアンVSプレデター」まで
製作された。しかしどれも面白くない。
それは前述した要素が全て抜けているからだ。これらがないと、成立しえない映画なのだ。
別にエイリアンとプレデターが戦ってもらわなくてもいい。
コマンドーと戦うプレデター、これが一番面白いのだ。