刑事ジョン・ブック/目撃者
文明社会から離れ、厳格な規律に従って生活する“アーミッシュ”の少年が殺人事件を目撃。刑事ジョンは少年とその母親の護衛につくが……。ピーター・ウィアー監督らしい“異文化交流”をテーマにした傑作。
このレビューにはネタバレが含まれています
殺人現場を目撃した少年とその母親。その事件を扱う刑事が二人を守るが、 実はその事件には署内の別の刑事が絡んでいたため、逆に襲撃を受けてしまう~ 普通だったら、孤立無援の状態から如何にして逆転していくか、 を描くのだろうがこの映画はちょっと違う。 突如として恋愛映画へと様変わりしてしまうのだ。 襲撃により傷ついた刑事は、少年たちが住む村で匿われるように看病され、 次第にその母親と心の距離を近づけて行く。 この構成では物語的にはサスペンスが寸断されるので、 それを良しとしない向きも多いのは事実だ。 しかし、これはこれで実に素晴らしい恋愛模様が描かれており、 この変な物語構成が一つの個性として意義のあるものとなっている。 そしてもう一つ、この映画を唯一無二の存在に押し上げている要素がある。 それはアーミッシュを初めて取り上げた、という事だ。 この映画によりアーミッシュという前近代的な生活をしている宗教集団の存在を 知った日本人は少なくないだろう。電気を使わず、自給自足の生活を送る、 戒律の厳しいアーミッシュの女性と都会の刑事との恋物語は、 差し詰めロミオとジュリエットのようなものだ。 先ほどサスペンスの寸断と言ったが、それはタイトル通り、 殺人の「目撃者」である少年を中心として捉えた物語の場合の考え方だ。 一般的にはそう思われているのだが、逆に、もともと恋愛を 話のメインとして捉えた場合はどうだろうか。 冒頭にその位の設定を盛り込まなければ、外部の人間がアーミッシュの村で しばらく生活を営むような展開にもって行く事ができず、 物語が成立しないのではないだろうか。 つまりこの映画は「アーミッシュの女性と都会の刑事の恋愛模様を描いた、 現代版ロミオとジュリエット」という図式をやりたいがために、 冒頭にわざと大きな事件を持って来たのではないか。そう考えた方が しっくりとくる。 アーミッシュの女性を演じたのはケリー・マクギリス。 この後「トップ・ガン」の教官役で一躍有名となるのだが、 この映画ではもう少しふくよかで柔らかい印象の彼女が観られる。 それがとても自然な美しさを感じさせるのだ。 特に夜、体を洗う彼女を刑事役のハリソン・フォードが見てしまうシーン。 上半身裸の彼女は神々しささえ感じさせるのだが……ここである事に気付く。 そうか、これがまさにタイトルの「目撃者」の意味か、 「目撃者」は少年の事ではなくハリソン・フォードの事を言っていたのか! と思ってしまうのだが、どうだろうか。 しかし、二人がダンスを踊る場面は本当に名シーンだ!
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