対照的な要素で見事に構成された物語
2021年2月20日 08時19分
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総合評価:
5.0
スティーブン・スピルバーグが絶賛しなかったら
文字通りお蔵入りとなっていたらしいこの映画は、
監督のジョン・カサヴェテスの中では一番エンタメ寄りの映画だが、
文句なく面白い。
マフィアのボスの元情婦であったグロリアが自分の意図とは反することに
巻き込まれていく話であり、その時点で面白いのだが、
マフィアという男社会に対して女のグロリア、組織対個人、大人のグロリアと子供、
女のグロリアと男の子供、白人のグロリアとマノリティの子供等、
この映画の構成要素は全て対照的なもので描かれており、
それが物語の面白みを深める事に大きく貢献している。
この論法はリュック・ベッソンが「レオン」でも使っているが、個人的には
やはりこの「グロリア」の方が数段うまくいっているように思える。
この映画といえばやはりグロリアが銃を構える画が有名だが、
子供をかばうようにして自分を盾にしている構図がグッとくる。
オバサンなのにカッコイイ。カッコイイといえば、グロリアの登場シーンもそうだ。
ドアを開けた時に立っているバスト・ショット。それだけなのに、カッコイイ。
もちろん、ラストでタクシーから降り、少年を抱き上げるところもカッコイイ。
日本でこれだけカッコイイ中年女優、もしくは中年女優をカッコよく撮れる監督は
いるのだろうか。