「母の歪んだ愛が産む悲劇」キャリーぱぴこさんの映画レビュー

キャリー Carrie

母の歪んだ愛が産む悲劇

このレビューにはネタバレが含まれています

ぱぴこ

2021年5月25日 11時59分役立ち度：0人

総合評価： 3.0

本作前半で何度も出てくる「プロム」。
日本では聞き慣れない単語ですが、これを知っておかないとストーリーが理解し難いかと思います。
プロムとは高校生卒業間近に行われるフォーマルなパーティ。
男女のカップルで、ドレスアップして参加します。
言わば「ちょっと大人気分」を味わえるイベントなので、当然女の子としては参加したい大イベント。
そんなプロムで起きた悲劇です。
主人公・キャリーは信心深く、束縛の強い母の元で育ちました。
彼女は非常に二次性徴が遅かったようで、かつ月経について知らないまま高校生になったようです。
突然の出血に驚くキャリー。
それは学校のシャワールームでの出来事で、月経を知らないキャリーをクラスメイトがからかうシーンはとても胸が痛かったです。
母親は彼女なりにキャリーを愛してはいたのでしょうが、それは歪んだものでした。
「傷つかないように守ってあげる」というような台詞があるのですが、まずそこが間違っているんですよね。
ある程度の年齢になると、多少は離してあげるのが本来の愛。
包み込んで、性的なことも教えないまま育てた結果、キャリーは内向的になってしまったわけなのです。
物語中、ずっと十字架のペンダントを付けているキャリーが、常に母と繋がっているようで恐ろしいものがあります。
キャリーは超能力に目覚め、少しずつ力を増していきます。
そして誘われるプロム。そこには悪意が秘められるとも知らずに。
豚の血を浴びせられてからのキャリーの怒りの爆発の表現がいい感じです。
全体的にストーリーはいいのですが、プロムに至るまでが若干冗長気味でダラダラとした感じなのが残念。
やや短めの作品なので、前提部分に尺をとったのかと思います。
しかし、物語のメリハリをもう少し前半部分にも置いたほうがより良かったのではないかと感じました。