作品賞は取らないほうが…
このレビューにはネタバレが含まれています
2025年3月19日 03時27分
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総合評価:
4.0
アカデミー作品賞取ったから変に期待値上がってしまった。
いや、面白かったけど…作品賞なんか取らなかったほうが普通にもっと楽しめた気がする。
というか、格差社会を描いてるとはいえ、基本コメディ映画だし、そんな類(作品賞)の映画じゃないと思うんだけど…。
ショーン・ベイカー作品としては、個人的に前作「レッド・ロケット」のほうが主人公のバカっぷりが最高で好きだった。
ただ、今回も相変わらずクズの描き方はうまい。
前半は金持ちバカ息子のパーティーシーンが延々と続き、話に乗れねぇ…とイライラ気味だったが、後半話が一変してからは一気に面白くなった。
大富豪(圧倒的権力者)対娼婦(社会的弱者)の構図のドタバタコメディで、アノーラの奮闘ぶりがおかしくもあり、悲しくもある。
ラストシーンは意味深で、その解釈は観客に委ねられる。
他の方のレビューを参考に、自分の中で1番しっくりきた解釈は、愛を求めたイゴールと、お礼としての性サービスだったアノーラ、イゴールの求める愛を拒むアノーラだが、その構図が純粋に愛を求めていた自分自身と重なり、自分のする性サービスは「お金」で解決させるロシアの大富豪と変わらないことに気づき、そんな自分が嫌になり打ちひしがれるという解釈。
最後はほろ苦い、良質なブラックコメディ作品だった。
主演女優賞を受賞したアノーラ役のマイキー・マディソンの演技は素晴らしかったし、バカ息子のイヴァンもどこかに現実にいそうで良かった。
そして、イゴールはひたすらカワイイ。