「家族」ってなんだろう
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年10月7日 18時40分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
園子温監督作品です。同監督の「自殺サークル」の続編という位置づけですが、そちらを観ていなくても大丈夫です。
「自殺サークル」は後半から少し難解な展開をみせており、そちらが理解しづらかった方はこの作品で少し腑に落ちるとこがあるかもしれません。
ごく普通の高校生だった紀子。
しかし、自分の将来について父親から反対され、不満を抱いていました。
「廃墟ドットコム」というサイトからの繋がりで出会った少女を頼りに家出し、レンタル家族の仕事をすることになります。
この「レンタル家族」はいかにも家族らしく振舞っていて、家庭に不満を抱いていた紀子がそれを演じるのも皮肉というか、逆にうってつけのような、そんな気持ちになりました。
妹もやがて紀子と合流し、紀子の家族はバラバラになってしまいます。
懸命に元に戻そうとする父親の姿も少し切ないです。
家庭というものは、血のつながった個人が集まって構成されている集団。
父、母、子。お互いがお互いのことを尊重する、そして自分の役割もしっかり担う。
それがないと家族は成立しません。
しかしそれは意外と難しいことなんですよね。
「レンタル家族」でだからこそ成立していた紀子たちが訪ねる「家庭」。
それと紀子の実の「家庭」との乖離が切ない映画でした。
物語に出てくる」さまざまな「食卓」の風景が印象的です。