ヒトラーの忘れもの
ナチスドイツが降伏した後の1945年5月、デンマークの海岸にドイツ軍が埋めた地雷を撤去するため、ドイツ兵の捕虜が投入される。まだ幼さの残る10代の少年兵たちを監督するデンマーク軍軍曹ラスムスン(ローランド・ムーラー)は、徹底して彼らをこき使おうとする。だが、少年兵たちは誤爆や撤去作業の失敗で次々と命を落とし……。
見ていて、目を背けたくなる映画であった。次々と命を落としていく少年兵たち。ドイツは第二次世界大戦で敗戦した。第二次世界大戦に対するドイツの責任は大きいのは確かだ。ヒトラー、そしてナチスだけでなく、それを支持してしまった一般大衆にも責任はあるのかもしれない。しかし、捕虜とされたドイツ少年兵は、果たして「悪者」なのだろうか、彼らに責任を問えるのか。残酷な仕打ちを受ける彼らを私は責めることはできなかった。一方、戦争捕虜に地雷撤去などの過酷な労働を強いるデンマークの軍人たちは正しいのだろうか。戦争は、敗者が悪で、勝者が正義なのか。そうとも思えないのでる。映画を見ていた私は、デンマークの軍人たちが「悪者」にも見えた。果たして、誰が悪いのだろうか…。結局、戦争には、「虚しさ」しか残らないのである。 この映画は戦争の悲惨さを啓蒙する、「戦争映画」であるといえるが、「戦後」に焦点を当てている点に大きな特徴がある。戦争の悲惨さを空爆や、原子爆弾など戦争中の被害に注目して伝えることはできる。しかし、本作は戦後処理が話題となっているのだ。単なる戦争被害ではなく、戦争の虚しさを教えてくれる。同時に、人間はなぜ戦争をしてしまうのか、人間の善悪の2面性についても考えさせられる。決して明るい作品ではないが、「戦争映画」として、ぜひ多くの人に見てもらいたい作品である。
このレビューにはネタバレが含まれています
まず最初に言わせてください。 この映画の原題は『Under sandet』です。それがどうして『ヒトラーの忘れもの』になるのか。 「忘れもの」なんて言い方には重みが感じられません。この映画はそんな軽い話じゃない。 ヒトラーの名前を出して注目させる意図があったのかもしれませんが、これほど映画に相応しくない邦題は久しぶりです。 さて、邦題に文句をつけましたが、内容は傑作です。 地雷を素手で除去していく少年たち。ひとつ間違えば死が待っている状況。 これらの場面では無駄のない演出とカメラワークにより、観客に極度の緊張感を強いるのですが、それがこの映画に重みを持たせているのです。 私はこの緊張感を『ディア・ハンター』のロシアンルーレットに見て、大変な衝撃を受けた覚えがあります。 アクション映画では決して感じることのできない、人の死の重さ。それが伝わってくる、観る者に忘れがたい感情を残せるというのは、傑作だと言えるのではないでしょうか。 ちなみにこの映画は、ナチス・ドイツがデンマークに埋めた地雷を、捕虜の少年ドイツ兵たちに処理させた史実がベースとなっています。 史実ではこの作業に従事した2000名以上のうち、約半数が地雷により死亡、または四肢欠損などの重傷を負ったとされています。 最後に。私が観たのはちょうど8月15日終戦記念日でした。ここ数年はこの時期に戦争映画を観ているのですが、強い衝動で始めたわけではありません。ただ戦争を知らない世代として、その悲惨さを認識し、繰り返してはならないと心に刻むための手段として、意味のあることかもしれないと思っています。 ぜひ一度観ることをおすすめします。
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