正直他のジブリ作品と比べると、物語が単調な気がした。
ハラハラドキドキするような展開は少なかったように感じる。
また、時代背景を読み取る必要があることから、小さい子供には難しいかもしれない。
大人になってから観ると味わえる作品である。
だが、描写、特に食べ物に関するものが素敵だった。
ハムエッグにアジフライ、コロッケにお弁当...
油の跳ねる音やご飯が炊ける湯気、そして食べ歩きしながら帰る姿に、素朴で家庭的な料理がどこか懐かしく感じた。
そして注目すべきは音楽である。「朝ごはんの歌」も登場し、食事のシーンを印象的なものにしている。
また、坂本九の「上を向いて歩こう」も何度か登場する。この時代にも、主人公の感情にもぴったりあった楽曲である。
何より手嶌葵の優しい歌声には何度もうっとりさせられた。
戦後の高校生の恋愛の葛藤や学生運動についても触れ、その時代の良い部分を切り取ったような映画だった。
観終わったあと、なんだかほっこりする作品である。