戦争の悲劇をありありと描いた映画
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月23日 20時02分
役立ち度:0人
総合評価:
3.0
4歳と14歳で生きようと思った。
これは戦時中を生きた節子と清太の物語。
父は戦争へ、母は空襲によって亡くなってしまった。
胸が締め付けられるシーンが何度もあった。特に母を失い、悲しみにくれているはずなのに、兄の前では泣かなかった節子に心を打たれた。彼女はどんな気持ちだったのだろう・・・本当は辛いはずなのに。
しかし2人の生活には束の間の幸せも感じ取れた。お腹いっぱいご飯を食べたり、蛍を集めて暗闇を照らしたり、と彼らの笑顔が垣間見えた。だがその幸せは長くは続かず、まるで寿命の短い蛍が彼らの幸せを象徴しているようだった。
そして病気になり、どんどん痩せ細っていく節子。そんな妹を守るため、とうとう盗みも犯し始める清太。嫌味を言い続ける叔母の元に帰ればよかったのに。清太が町へ出て、働けばよかったのに。こういった声も出るかもしれない。だが14歳の彼は彼の中で精一杯の考え、短絡的であっても節子の笑顔のために戦っていたように思える。
正直、面白いとは言い難い映画かもしれない。目を背けたくなるシーンも多々あった。
だがこの作品を観ることで得られる何かがあるはずだ。
戦争の悲劇を、2人のような少年少女がいたことを、忘れてはならない。