期待値が高かったというか、感動する気マンマンだったせいか、劇場公開当時はそんなに感動もなくふ〜ん・・・といった印象。
しかし今改めて観てみると、この作品はもの凄く意義のある作品だと想った。
当時は病気になれば当然のように手術したり投薬治療するのはもので、それ以外のことは考える余地もなかった。
つまり、娘に異常に執着している主人公の母親と同じ状態だ。
しかし今では、治療というのはあくまで医者や回りの人間の都合であって、必ずしも患者本人のためだとは言い切れない。
そういうことが分かってきてから、はじめてこの作品で提示される「選択肢はひとつじゃない」ということが腑に落ちてくる。
「生きる」ということに執着してしまうが故に苦しみ続けてしまう。「人は誰でも死ぬ」だからこそ「命を生ききる」ということに気づき、最期を幸せに締めくくる為の選択肢はひとつじゃないんだということに気付く。
生死に向き合わざるしかない状況の方が末期の方がこの作品を観ることでナニカに気付けたとしたら、ひとつの映画作品としてこれ以上素晴らしいことはないんじゃないだろうか。