愚行録
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月1日 17時37分
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総合評価:
4.0
原作者貫井徳郎さんの本領発揮とも言うべき本作品。露骨なグロさや残酷さは無いものの、なんとも言えない嫌~な気分にさせられる、まさにイヤミスの名に相応しい映画です。
まず、冒頭のバスのシーンからしてイヤな感じ。
主演の妻夫木さんの表情はどこまでも暗く陰鬱で、他の乗客からお年寄りに席を譲れと注意された時の行動自体も、そのねじ曲がった性格を上手く表しています。
特筆すべきは何と言っても役者たちの演技力。演技力の高さNo.1の呼び声も高い満島ひかりさんは言うまでも無いですが、脇役の小出恵介さん、眞島秀和さんに至るまでとにかく全員が上手過ぎる!
中でも、とりわけ演技が光っていたのは殺された主婦役の松本若菜さん。一見、美人でとても感じの良い人に見えますが、裏側に見え隠れするイヤな女っぷりが本当に絶妙に演じられていて、良い感じに胸糞が悪くなりました、笑。
とにかく出てくる登場人物全員が全員一癖ありの嫌なヤツ。内部生外部生の話も某有名大学を彷彿させ、イヤな気分に。一家が惨殺された原因は、燃え上がるほどの激しい怒りというよりもむしろ淡々としたクレージーさが見え隠れしていて怖かったです。