アメリカ人も知らないアメリカ
2021年1月25日 23時44分
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総合評価:
5.0
重い暗い、銃撃戦が最高な脚本家そして俳優テイラー・シェリダンの初監督作品。
ボーダーライン、ボーダーライン;ソルジャーディ、最後の追跡の脚本家と聞けば、納得。
ウインド・リバーは、先住民保留地。
そこに住むネイティブアメリカンの18歳の女性の遺体が見つかる。極寒の地、いつ吹雪が来て埋もれてしまうかわからないような土地で、彼女の遺体は裸足。
もうこれだけでも重いし、暗い。雪は白く眩しいくらいだからこそ、余計に暗さが際立ってくる。
主人公コリーは、ネイティブアメリカンの女性と結婚したことがあり、息子が居る。3年前は娘も居た。
そんな彼とバディを組むのが、新人のFBI捜査官ジェーン。極寒の地にやってくる服装ではないし、持って来てもいない。FBIが、18歳の少女の遺体を軽々しく思っている証拠。彼らも呼びたくはなかったが、土地勘のある子が裸足で亡くなり、その上履いていたスウェットパンツが血塗られていたから。
キツい内容だけど、目を背けたらいけないアメリカの大問題。それが、あるシーンで分かる時、重さがドンっと増してくる。
こちらも、物凄い銃撃戦。
ボーダーラインの国境の高速でのピリッピリした緊張感が蘇ってきた。
目を背けているアメリカに住んでいる人たち、知らない私達に、
「目を覚ませ!現実を見ろ!」
と言われているかのよう。
自動販売機が乱立する日本に住んでいて、何か申し訳なくなってくる。
日本のどこかでも、たくさんの悲鳴を上げても誰の耳にも届かない声が、あるはず、だと感じた。