深く心に刺さる映画
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月18日 15時47分
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総合評価:
4.0
現代のアメリカが抱える問題をクローズアップした意欲作です。
住み慣れた街を離れて、車中生活を始めるファーン(フランシス・マクドーマンド)は場所を転々としつつ季節労働をして暮らします。
男性に言い寄られても決してなびかず、淡々とひとりで日々を送り、行く先々でいろんな人と交流をしても決して深くかかわらないのです。
それは深くかかわった分、永遠の別れも辛くなるとわかっているから、もう両親や夫の死で味わった悲しさを経験したくないからなのかと私は感じました。
時に海辺で時に川で浮遊して。美しい大自然の中でリラックスしながらファーンの旅は続きます。
このノマド(現代の流浪の民)というのはアメリカでは深刻な問題らしく、そういったことも初めて知ったので、大変興味深かったです。
実際のノマドの人たちも多数出演しており、映画にリアリティを与えてくれます。
今年のアカデミーは確かに地味だったかもしれませんが、骨太の作品が受賞したのだと思います。
内容はシリアスでありながら、時に笑えるシーンもあるので、決して堅苦しくはないです。