聞えないという事/聞えるという事
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月19日 14時43分
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総合評価:
5.0
『サウンド・オブ・メタル』と題名がつけられていますが、演奏されてる音楽はハードコア/オルタナですね。
そこはストーリーに絡んでいないので置いておくとして、主人公のルーベンは病により聴力を失います。
聴力を失ったことでバンドマンという生活を続けていたら「気づけなかった」ことに気づいていく物語だと思いました。
聴覚障害者の自助グループでの生活、自分から離れていった自傷癖のある恋人が取り戻した日常、そしてラストシーンの手術までして手に入れた聴覚補助装置を取り外すシーン。
特に最期のシーンは聴力を失った事でルーベンが気づいたことを象徴しています。
副題に「聞えるという事」と付いていますが、「聞えないという事」でルーベンが自身を再発見していく物語としてみることも出来ます。
長距離移動するわけでも旅をする訳でもありませんが、ジャンル的にはロードムービーに相当するんじゃないかと思いました。
何かに依存してしまっていたり、日常に退屈を感じている人に見て貰いたい一本です。