集団心理
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月7日 20時05分
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総合評価:
4.0
集団心理における、野性の勘というのは外さないわけで、誰が敵で誰が味方だということは簡単にわかるのである。人はいつからかこうした勘を手に入れ、いつからその勘を使わなくなったのだろうか。わからないことだらけ、まさに生命の神秘なのだが、雪山に篭ることで、その勘というものがより鋭敏に働くのだろう。もし、これがただの荒野だったのなら、そうはいかなかったはず。ただ広いからピストルの弾が避けやすい。これくらいだっただろう。
ここに、この西部劇が、荒野でなく雪の中である理由がある。西部劇のセオリーに従うと、荒野に、赤のレンガや緑を配置して、見映えをよくするのだけれど、雪は白、もうこれだけで画面はいくら暗くても映えるのだ。色使いを気にすることなく、観る者も意識することなく、物語に入り込めるのである。これも実は集団心理だったりする。演者が監督も気にしていないから自分も気にならないのだ。
そうして物語は進んでいく。8人の演者に囲まれながら。観る者は、ただ進めばいいのだ。そうだ、8人プラスワンの監督の罠にハマりながら。