ボーダーライン
優秀なFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、メキシコ麻薬カルテルの全滅を目的とした部隊に入り、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)のもとで極秘任務に就く。ケイトは早速、謎めいたコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近の捜査を開始。人が次々と亡くなる現実を突きつけられたケイトは……。
このレビューにはネタバレが含まれています
この作品の最初の7分。たったの7分で、圧倒される。 そんじょそこらの圧倒感と較べないでほしい。驚きの連続、リアリティをもって迫って来る。たったの7分間で。 既に、7分の中に目をそむけたくなるシーンも出てくる。それが、この映画「ボーダーライン」覚悟して観るか、停止を押して引き返すかのどちらかを、監督に突きつけられているような気さえする。それは、7分過ぎても、容赦なく続く。 FBI捜査官のメイサーとレジーは、その冒頭でどえらい目に遭う。 「どこのおっさん?偉い人なの?」という風貌のジョッシュ・ブローリン演じるマットが、メイサーを簡単な質問だけでスカウトする。 マットが追っているのは、誘拐事件を手下に指示している麻薬王だった。その捜査に参加させられたメイサー。付いてくるレジー。 そして、マットが「アレハンドロ」と、名前だけ紹介した謎の人物が加わる。ベネチオ・デル・トロが演じる、アレハンドロ。とにかくオーラから行動から、何から何まで凄い。個人的に、メイサーの知らぬところで行われる、未開封のウォーターサーバーを、担いでいく後ろ姿、後半にメイサーにあるものを強要するシーンは、恐怖でゾクゾクする。 そんなものは序の口で、警察をも信じられないメキシコ、ファレスでの、緊張感バリバリの高速渋滞シーン。真面目ゆえにマットのチーム行動をかき乱してしまうメイサー。「花火が見えるよ」とメイサーを誘ったチームの一員が屋上で見せたファレスの銃撃戦。アレハンドロが加わった本当の目的。 重いテーマ、ストーリーを緻密に脚本にした、俳優、監督でもあるテイラー・シェリダン、ブルっと身を震わせるTHE BEASTという名曲を作った音楽担当の故ヨハン・ヨハンソン、(「ジョーカー」の音楽担当をしたヒドゥル・グドナドッティルは、彼の弟子)、撮影監督には、俳優のファンも多い、ロジャー・ディーキンス。そして、監督は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。 キャスト、スタッフ、誰か一人掛けたら、この映画は出来なかったと思う。 文句のつけようがない。
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