大ファン、とまではいかないが、大きなハズレはあまり無く、とりあえず読んでおこうと思わせる東野圭吾作品。
映像化されることの多い東野作品の中で、テレビドラマ化もされたガリレオシリーズは、福山雅治演じる湯川のイメージがあまりにも定着し過ぎて、映画化されるとついつい観ずにはいられないシリーズのひとつでした。
そんなガリレオシリーズの、というより東野作品の最高傑作と言えるのがこの『容疑者Xの献身』。
まず、ストーリー展開が素晴らしい。
よくよく考えてみると、それほど奇想天外なわけでも、凡人じゃ絶対に考えつかないウルトラC並みのトリックが使われているわけでもないのに、何だこの激しい揺さぶられ方は。最後に号泣せずにはいられないではないか。
でもそれ以上に凄まじいのは、既に皆が賞賛の拍手を惜しみなく送っている堤真一の名演。あれはもう、主演の福山を食い過ぎて、『容疑者Xの献身』が、福山主演のガリレオシリーズだったということを全く思い出せないレベル。
そして地味に大活躍しているのが、儚げな美人を演じさせたら右に出る者のいない松雪泰子。この二人の組み合わせはもう反則です。
というわけで、天才的な素晴らしいストーリー展開さえも食ってしまう、超実力派俳優二人の演技がいちばんの見所、号泣所のこの映画。限りなく星4.5に近い傑作です。