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引用:IMDb.com

ターミネーター:新起動/ジェニシスのライムスター宇多丸さんの解説レビュー

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2020年05月28日更新
基本はやっぱり1作目の完成度の高さとか諸々含めて、実はシリーズ化が向かない話なんじゃないかというのを再確認できる新作ではございました。ただまあ次回作あるなら、そこで真価が問われると思います。次のその続きを観て、1作目のそういうのも、そういう作りなのも納得、ってことなのかもしんないんで、上方修正する可能性はありますが、現状はこんな感じでございました。(TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」より)

RHYMESTER宇多丸さんがTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(https://www.tbsradio.jp/utamaru/)
で、アラン・テイラー監督作「ターミネーター:新起動/ジェニシス」のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

宇多丸さん「ターミネーター:新起動/ジェニシス」解説レビューの概要

①宇多丸さんは「3」「4」否定派に物申したいことがある!
②何が「ターミネーター」らしさなのか、それはこれに尽きる!
③前半は「○○」だった・・・
④宇多丸さんご不満の後半の展開とは・・・?
⑤「ターミネーター」は、実はシリーズ化が向かない話なのか

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」でラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

映画「ターミネーター:新起動/ジェニシス」宇多丸さんの評価とは

(宇多丸)
さあ、じゃあいってみましょうか。ふさわしいメジャー作品でございます。
今夜扱う映画は先週「ムービーガチャマシン」を回して決まったこの映画「ターミネーター:新起動/ジェニシス」!

やっぱさあ、アイコン化したシリーズの定めとして、「ダダンダンダダン!」でもう笑っちゃうっていう問題はやっぱあるんだよね。大ヒットSFアクションシリーズ「ターミネーター」の最新作。「ターミネーター3」以来、アーノルド・シュワルツェネッガーが12年ぶりに復帰。本人がってことね。将来人工知能に反乱する軍隊を率いる男の母親を抹殺するため未来から送り込まれたターミネーターと古いターミネーターの対決を描くという。前もういう話なかったっけって。監督は「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」などのアラン・テイラーさんということでございます。

さあ、ということで、この映画観たよというリスナーの皆さんからのメール頂いております。監視報告。メールの量は多い!やっぱ「ターミネーター」、世代超えて広く観られてますし。入り口が多い作品でしょう。ただし感想は賛否両論、ほぼ半々に分かれていた。ただし褒めてる人で全面的に賞賛している人は少なかった。

・ハードルを下げて行ったら、意外と楽しめた。
・すごく面白いというわけではなかったが、まあまあ面白い。
・1作目と2作目のオマージュに興奮した。

などの条件付き、もしくは全体でなく部分部分を褒める声が多かった。あと、なぜか初メールという方が多く、世代的に「ターミネーター2」で映画の面白さに目覚めたって方が結構目立ちました、実際。だとしたらやっぱいいですね。僕は2には結構言いたいことありますけど。でもじゃあよかったよかったというあたりで。代表的なとこご紹介していきましょう。

引用:IMDb.com

映画「ターミネーター:新起動/ジェニシス」を鑑賞した一般の方の感想

*ロシナンテさん
宇多丸さんこんばんは。「ターミネーター:新起動/ジェニシス」ウォッチしてきました。長年、「ターミネーター3?馬鹿野郎!2の続編はUSJのアトラクションだ!」と息巻いていた自分ですが、・・・

(宇多丸)
もうこういうのにも私はちょっと一言言いたい。

*ロシナンテさん 続き
結論から言うとハードルが下がりまくっていたせいもあるかもしれませんが、めちゃくちゃ楽しむことができました。ぱっと見「3」や「4」や「サラ・コナー クロニクルズ」・・・

(宇多丸)
これ、テレビシリーズね。

*ロシナンテさん 続き
さらに言うなら「1」や「2」で起こったことまで否定しているような内容に見えるかもしれませんが、僕には監督のシリーズに対する愛情が感じられました。「3」や「4」を単なる黒歴史として仕切り直すリブートとは違い、もしかしたらあり得たかもしれない時間軸での物語としてきちんと弔ってあげたように思います。というより、「3」や「4」が好きな人は、「ジェニシス」ことIFのストーリーとして楽しめばいいのです。僕自身は「1」と「2」のキャメロン二部作・・・

(宇多丸)
ジェームズ・キャメロンが直接監督した二部作。

*ロシナンテさん 続き
二部作信者であり、一番好きなのは「2」ですが、そもそも「ターミネーター」という物語は、「1」で綺麗にまとまっています。

(宇多丸)
そうなんですよ、そこが問題。

*ロシナンテさん 続き
タイムスリープものとしてスマートに円環を成しており、本来続編が必要な物語じゃない。ただ僕のように、でもどうせなら審判の日、ジャッジメント・デイ・・・

(宇多丸)
要するに、コンピュータが反乱を起こして、核戦争起こっちゃうし。

*ロシナンテさん 続き
ジャッジメント・デイで止めたくね、と思う人は「2」までを正しい歴史として楽しめばいいのです。つまり「ターミネーター」とは、もはや既存のシリーズものの枠に当てはまらないまったく新しいジャンル映画となったんだ。各々が各々の正しい歴史を選択し、それ以外は二次創作のIFストーリーのような気持ちで観賞すればよいのです。距離感を持って。いやなんなら自分の頭の中で新しい歴史を創造してしまったっていい。僕の中の「ターミネーター」は「T-800」が溶鉱炉で溶けて終わってますが、「2」で終わってますが、一人のファンとして、ここから始まるであろうIFストーリー三部作をめいっぱい楽しみたいと思っています。

(宇多丸)
だから、そうですよね、世界観が広がって楽しみ方広がって良いじゃないか、こういう見方もある。ダメだったという方、ご紹介しましょう。

映画「ターミネーター:新起動/ジェニシス」批判的な意見

*ニートたけしさん
正直がっかりです。「ターミネーター1・2」をテレビで見て育った世代、あと「酔拳2」・・・

(宇多丸)
なんだこれ。

*ニートたけしさん 続き
のため、このシリーズには強い思い入れがあります。「3」「4」とがっかりさせられ、・・・

(宇多丸)
もう!みんなそういうことばっかり言う!

*ニートたけしさん 続き
今度こそはと思っていましたが、結果はほぼ同じでした。何がダメかはたくさんありすぎてもう良く分からないんですが、色々考えた末に結論が出ました。「ターミネーター1・2」がなぜあんなに面白いのか。訳の分からないロボットが執拗に追っかけてきてドキドキするから。この「執拗に」はポイントです。この部分が足りていないために「3」「4」は面白くない。設定の矛盾やら脚本の良し悪しは実はあまり重要ではない。寒いギャグシーンとか寒い泣かせゼリフとかも確かに悪い部分ですが、そこは重要ではない。ロボがしつこく追っかけてきてくれない、そこが問題。今回も同じです。ターミネーターってなんだ?しつこく、しつこく、しつこく、しつこく、しつこく、執拗に、執拗に、執拗に、執拗に追いかけてくるからこそターミネーターなのだ。

(宇多丸)
確かにそうかもね。

*ニートたけしさん 続き
ジェームズ・キャメロンの絶賛コメント?あれアメリカンジョークだよ!真に受けてんじゃねーよ!バカ!ただ、劇中出てくる「お前の服をよこせ」・・・

(宇多丸)
これ1作目でターミネーターが言う。

*ニートたけしさん 続き
「お前の服をよこせ」からの、後ろから「お前に服は必要ない」・・・

(宇多丸)
また別のターミネーターが出てくる。

*ニートたけしさん 続き
このシーンには泣きそうになりました。あそこだけで5億点。あのシーンを見るための映画だった気がします。

引用:IMDb.com

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」鑑賞した宇多丸さんの解説

(宇多丸)
ということでございます。ありがとうございます皆さん。あと先週、「ウルトロン」の、「アベンジャーズ」送ってくれた「ハートブレイカー」さんかな?「ウルトロン」が楽しみすぎて今年映画を全く観なかったっていう変態。この方も熱いターミネーターメールを送っていただいてます。皆さん本当ありがとうございます。

さあ、いってみましょう!「ターミネーター:新起動/ジェニシス」私も字幕3D・字幕2Dで観てまいりました。ターミネーターについての説明はいいね?とりあえず最低でも、「1」「2」は観て、少なくとも「1」観てないとなかなかちょっと。前提で行かせていただきたいと思います。

歴史的に非常に影響を残した名作

ジェームズ・キャメロン、シュワルツェネッガーのキャリアだけではなく、歴史的に非常に影響を残した名作でございますので、「ターミネーター」1作目くらい観といていただけるといいんじゃないでしょうか。今回の5作目、というよりリブート。本編の話に行く前にちょっと一言言っておきたい!先ほどからメール読んでても、みんなその前提で話を進めてるのが私は悲しい!今回、ジェームズ・キャメロンが先ほど絶賛コメントって言ってました。なんか、「今回のが私にとっては正当な3作目だ」かなんか言ってるわけですよ。ジェームズ・キャメロンはこういうこと言うんだけどさ。なんだけど、「2003年の『3』と2009年の『4』は失敗作でした」前提みたいな。で、今回が真打で、今回の宣伝用に使ってるからそういうこと言うのは分かるけど。世間的にもそういう失敗作呼ばわり、扱いになってんのは分かりますけど。僕は割と「3」も「4」も擁護派なんです。全然悪くなかった派なんですよ。

引用:IMDb.com

ターミネーター3

例えば「3」。「3」は特に分が悪そうだからちょっと言っとくけど、「3」でキャメロン降りて、ジョナサン・モストウになりましたけど。前に確かこの番組でも、高橋ヨシキさんとかな、「やっぱり『2』が好き、それでも『3』が好き特集」っていうのやりましたね。その時に言ったと思うんだけど、僕「2」の、皆さん大好きかもしんないすけど、「2」の終わり方、「2」でハッピーエンドって終わってるけど、や待てよと。スカイネットっていうコンピュータというかロボット軍団が、コンピューターが核戦争を起こすって、ジャッジメント・デイって人類に戦争を仕掛ける。でそれをとりあえず「2」では一応回避しましたよっていうエンディングなわけですけど。それ観てて、いろんなもろもろの疑問も湧いてくるわけじゃないですか。例えば、タイムパラドックスのことでもいいですよ。これで「あ、戦争起こんなかった。あれ、ってことは、起こんないと・・・」みたいな。「カイル・リースは過去に送る必要なくて、え?あれ?あれ?」みたいになるのもあるし。でも俺それ以上に気になったのは、戦争回避したら、サラ・コナーとジョン・コナーの親子は、残された戦争が起きないこの世界では、単に陰謀論に取り憑かれたテロリスト親子だよねっていう。だから、こいつらこれ回避しちゃって、この人達個人にとってはハッピーエンドなんだろうかと思っちゃって。

2のコナー親子に対するアンサー

「3」は、それに対するある意味ちゃんとアンサーになってるとこが良かったです。タイムパラドックスにもアンサーになってるし。「3」実際、ジョン・コナー大人になったらただのダメ人間になっていたっていう。これ最高でした。あれを演じてる、とにかく半端じゃない、圧倒的な華の無い俳優による華の無い映画なんですけど。とにかくジョン・コナー個人にとっては、むしろスカイネットによるジャッジメント・デイが起こってしまうことの方が、彼個人の人生にとってはひょっとしたらハッピーエンドなのかも。っていうことも含めた、ラストがすごくひねりが効いてて、そのひねりの効いたラストも含めて、確かに「1」「2」から比べればちょっとなんかこうB級感になってる。そのB級感が、むしろ1作目の元ネタと言われてるテレビドラマシリーズの「アウターリミッツ」みたいなああいう60年代B級SF的なこじんまりした味わい。で、すごくひねりの効いた皮肉なエンディングっていうので、僕は「3」は絶対嫌いになれないし。あとスカイネットという敵っていうのの解釈。今回の5作目含めて、「3」の解釈が一番進んでますよね。どっかをドカーンってやれば済む話なの?って。そういうこと?っていう。今時のスカイネットだよっていう。あれよかったです。未だにあれが一番進んでると思いますけど。

引用:IMDb.com

ターミネーター4について

あと「4」。実世界が完全にジャッジメント・デイ後になって、ジャッジメント・デイを阻止する・しないが「ターミネーター」の話って思ってたら、もうそれが過ぎちゃったら、えっじゃあなんだっけ、「ターミネーター」って何?って。しかもシュワルツェネッガーも出てないってことで、「ターミネーター」らしさがあんまりなくなっちゃったのは事実ではある「4」も、例えば、別に中盤のどんどんどんどんフェーズが変わっていくバイクの追っかけ、巨大ロボットからバイクの追っかけとか、どんどんフェーズが変わってく中盤のアクションシーンとか、さすがマックジーって感じで素晴らしいアクションシーンだったし。何しろクライマックスにちゃんとシリーズファンへの大・大・大サービスが用意されてて、俺映画館で観て「おー!最高じゃん!」っていう。「これ観たかったよ!」って。僕は全然頑張ってたと思います。ちなみにその「4」のクライマックス、シリーズファンへの大・大・大サービスを、今回「ジェネシス」でも、もうまるっきり同じこと繰り返してるだけだかんね。だから「前見たんだけど!」って、俺、「ジェネシス」に。逆に「4」支持者としては。前みんなが嫌いな「4」でもやってましたけど!?みたいな感じがしちゃうっていうことです。ただ、「4」の話の続きが観たいかっていうと、そこは私も微妙です。という感じの立場なんですけど。

ターミネーターの制作権

で、「1」「2」のカロルコ社ってのは倒産しちゃったのと同じように、「4」を作ったハルシオン社っていうのも倒産しちゃって。「ターミネーター」のその制作権ってのは宙に浮いてたのを、スカイダンスとパラマウントが次取得してということで、仕切り直しということです。デヴィッド・エリソンさんという人が仕切ってるスカイダンスっていうのは、「スタート・レック」のリブートとかもやってますから、リブート方法論ってのがパラマウント含めてあるということですけど。で、どう仕切りなおすかっていう話です。特に「4」の不評だった部分っていうのを踏まえて、何が「ターミネーター」らしさなのか、観客は何を持って「ターミネーター」らしさ期待してんのかね、っていうポイントを改めてきっちり押さえましょうよっていうのが今回の仕切り直しです、はっきり言えば。それは何かって言えば、もうここに尽きんだけど。シュワルツェネッガー本人に出てもらわないとダメってことっすね、っていう。ぶっちゃけそういう話。シュワルツェネッガー本人が主演してるということ。「4」もちゃんとサービスはしたけど、やっぱり本人が出ないとダメ。で、なおかつ、やっぱりジャッジメント・デイという巨大カタストロフの直前・手前での阻止、事前阻止を目的とするタイムトラベルもの・タイムパラドックスものっていう側面、これ捨てるとやっぱ「ターミネーター」っぽくはなくなっちゃう、というポイントじゃないかと思います。

引用:IMDb.com

ターミネータージェネシスのリブート話

だからこそ、今回の「ジェニシス」は、リブート話、監督いろんなところに、いろんなところに候補に挙がってるんです、いろんな人が。そん中には「ルーパー」この番組でも扱いました、のライアン・ジョンソンさんも候補に挙がってた。なるほどな、確かにタイムパラドックスものっていうとこで重なるものがある。で、最終的にお鉢が回ってきたのが監督。先ほども「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」映画だとそれだし、テレビ業界でいろんな本当にやってる、「セックス・アンド・ザ・シティ」とか「ソプラノズ」とかいろいろやってるアラン・テイラーさん。で、テレビシリーズでいうと、「ゲーム・オブ・スローンズ」をやってらっしゃるわけだけど。

アラン・テイラーの良い点

今回このアラン・テイラーさんになって良かった点、1つあるなと思ったのは、俺、サラ・コナー役が「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラークさんになってる、っていうのが良かったと思う。これ明らかにアラン・テイラーが監督になったからのキャスティングだと思われるので。なんか、特に「2」のサラ・コナー役リンダ・ハミルトンを美人にするとこうなるっていうバランスにちゃんとなってるのが良いですね。

引用:IMDb.com

今回のジェネシス、概要

で、今回の「ジェニシス」。どれだけ先ほどから言ってる「ターミネーター」らしさを手堅く抑えようとしてるかっていうと、平たく言えば、こういうことだと思います。前半、2時間6分で6分間はクレジットだとして、大体2時間の映画だと思ってください。きっかり前半1時間は、ほぼ過去シリーズの良いとこ取り、オマージュをしながらの、これまでのおさらいです。というかもっと言えば、観客の多くがターミネーターとは大体どういうお話であるかを知っている前提、映画実際観てなくても大体どんな話かは知っている前提。なおかつ、1984年の「ターミネーター」1作目では、現在の時世であった1984年さえも既に過去になっていて、シュワルツェネッガーも既にもう老年であるという現実っていうのも前提とした、メタ構造込みのセルフパロディ的なダイジェストです。はっきり言って前半は。良く言えば良いとこどり、悪く言えば焼き直しと。どっかで見たようなのがずっと続くと。でオマージュで喜べるポイントもいっぱいあるんだけど。なので最初の1時間は、もちろんオマージュが楽しいって見方もできるけど、なんにも新しいことはないです。

で、中盤以降の1時間。シリーズ根本をひっくり返すような反則技的新設定を出してくるわけです。ちゃぶ台ひっくり返し的な。これ、ネタバレもクソも、予告はもちろんポスター見てもそれがわかる級に予告でもはっきり言っちゃってるし、なってるんですけど。これどうしようかな。これさえ入ってなければ、俺もうちょっと中盤以降「おーっ!」てなった気がするんですよ。その中盤のある新設定、でも予告で見せちゃってるんです。実際どういうことになってるかっていうと、予告見れば分かる以上の情報が、この映画、そっから1時間、最初はこれまでのおさらい、2時間以降は新要素なんだけど、予告でネタバレはしてる。それ以上の要素が、この映画ないんですよ。なので、「あれ・・・?」っていう。「あれ、全然予告で見た以上の要素が出てこない・・・」ちょっともうネタバレしないで、あえて今日は言わないでおきましょうか。

予告編以上の事が出てこない・・?

ここまでの反則技的な、ちゃぶ台返し的な新設定を入れてきてるんですよ。なのに、これが一番残念なとこなんだけど、なのにやってることは、あんまりそっから、例えば後半1時間追っかけっことか、なんとかを爆破する、それを爆破しようとしてなんとかみたいな、結局やってることは同じだよね?と。あと、通常の兵器では殺せないタイプの敵が追ってくる。うん、まあ同じだよね、という感じがする。そして今回の敵として出てくる「T-3000」という、一応一番最新型の「ターミネーター」というか、敵方のあれが「T-1000」っていう、液状のいましたよね、「2」で出てきた、今回も出てきますけど、「T-1000」よりも決定的に何か新しい、ていうかあれよりも絶対に強い感って、そんな、なんか体バラバラになったり変形したりする、なんか似たようなもんだってのもあって、結果似たような感じのことやっぱやってるだけだなってことで。

引用:IMDb.com

今までナシだった事をガンガンやる

なおかつ、タイムトラベル、今回、今までの設定のさらにちょっと踏み込んだというか、今までそれナシだったよねってことをガンガンやるわけです。例えば、タイムトラベル。未来にも行けます!とか。複数行けます!とか。あとついに言い出した、「別の時間軸」っていうのもあります!と。「2」でも既に「あれっ?」というふうになりかけてたんです。タイムパラドックス的な意味では。なりかけてたんだけど、今回いよいよそれが複雑化していて、この後、二部作や三部作でさらに2作作るつもりっていうがゆえに、明かされてない謎とかもちょいちょいあったりするので、一応後から納得できるようにはなってんのかもしんないけど、はっきり言って現時点では、別の時間軸とか言われてるから、もう何でもありかよ!と。何でもありっていうのは、要するにどうでもええわとイコールだがね!っていう。なんかもう、何の件で争ってたんだっけ?みたいな。これは何を守る話なの?みたいな感じになってくるってことだと思います。とにかく複雑化し過ぎて、もう理屈は「ルーパー」で「タイムパラドックスの件は考えたくない」っていう名台詞ありましたけど、まさにあの感じだと思います。だんだんどうでもよくなってきちゃって。

話運びへの疑問

それは別としても、僕は話運びにも大いに疑問があるなと思ってます。例えば、カイル・リース、今回ジェイ・コートニーが演じます。ジェイ・コートニーはまた、この人アウトローの悪役以外あんまりはまってないってか、華ないよね、この人も。ジェイ・コートニーがカイル・リース役で過去1984年に来る。

その前に、1984年の若い状態のシュワルツェネッガーと老いたシュワルツェネッガーが対決する。さっきメールでもあったように、ここのセリフのかぶせとか気が利いてるんだけど、この戦いからの自然に戦士と化したサラ・コナーとコンビを組んでますっていうのを、カイル・リースが来る前に先に見せちゃってるわけです。だからその後でカイルが来てから、T-1000が襲ってくるところに2人がやってきて、そしたらターミネーターが、本当は味方側なんだけどいるからってんで、こうワーってビビったりする、「2」的な描写。それをいちいち繰り返すの。

先にそれ見せてるから、あんまりもうウザいんだけどみたいな、鈍重な感じになっちゃってる。これ僕、もっと途中までは1作目をもうちょっときっちりなぞって、ディスコの場面、ディスコでサラ・コナーがまさにターミネーターに今殺されるって瞬間にカイルが守るぞ、と思ったらそこになんとか。分かんないけど。とにかくそのディスコの場面までコピーして、そこで初めてカイル・リースも新しくなった現実タイムラインっていうのを築くと。観客とカイル・リースの驚きが一致するような作りにしてた方が絶対効果的だと思うんですけど。

何をまたさっきの分かりきった話ししてんの、みたいなのが増えてきちゃうと思います。で、どうせオマージュとかやるんだったら、やっぱりそこはT-1000だったらロバート・パトリックに演じてほしいとか。なんなら「3」のクリスタナ・ローケンとか出してくれよとか、そういう問題もあったりする。

引用:IMDb.com

中盤のダラダラ

あと鈍重といえば、特に中盤カイルとサラが、なんかくだらん口論をする場面が多すぎるし長すぎるし、どうでもええわっていうような。ダラダラダラダラしやがって、っていうのもあるし。キャラクターの描き込みがすごく浅くなってる。ダイジェストになっちゃってる。例えば、カイルが現代の社会に来て、その現代の社会にカルチャーショックを受けてる、みたいな描写全くなくなってるため、彼のキャラクターの深みみたいなのが全然なくなっちゃってるとか。あと、サラだって、今回敵になる人。仮にも未来の大事な人がこうなっちゃうのに、そこのカット、ドライに気持ち切り替えすぎだろお前!とか。あとシュワルツェネッガーはもう普通にただの人間の頼りになるオヤジにしか見えない、とか。いろいろあるんだけど。

クライマックス

あと、クライマックス。例えば、起爆スイッチを誰が押す、みたいな問答をするわけです。俺は押せない。起爆スイッチを誰が押す。んで、パーってカイルに渡す、みたいな。さんざん引っ張るシーンがあるんだけど、そこのオチ、起爆スイッチ壊れちゃった、で終わりとか。はあー!?さっきまでの3分返して!みたいなのが多いわけです。

あと、破壊行為、規模のインフレがどんどんどうでもいい感を増してる感ってのもあると思います。例えば、トラックみたいなドカーンてやって、人を殺さないっていうか、人死んでんだろうって。でもそれの何か影響とか全然何も考えられてない感じ。1作目は、例えば警察署を襲撃する、警察署に恐れずに入ってくるターミネーターっていうのがすごく衝撃だったし、痛快だったんです。それに比べると、もう何も怖くない。だって何でもありじゃん、ドッカンドッカンやって。あれApple爆破してるようなもんだかんね。あいつら。なんかそういうやっぱインフレによるどうでもよさもあると思います。

クレジット後に次作への引っ張りとかがあるんだけど、正直こっから先の話どうなろうと、基本はやっぱり1作目の完成度の高さとか諸々含めて、実はシリーズ化が向かない話なんじゃないかというのを再確認できる新作ではございました。ただまあ次回作あるなら、そこで真価が問われると思います。次のその続きを観て、1作目のそういうのも、そういう作りなのも納得、ってことなのかもしんないんで、上方修正する可能性はありますが、現状はこんな感じでございました。

リアルタイムで判断するためにも、劇場でウォッチしてみてください!

書き起こし終わり。

○○に入る言葉の答え

「③前半は『ほぼ過去シリーズの良いとこ取り、オマージュをしながらのこれまでのおさらい』だった・・・」でした!

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