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JUNK HEADのライムスター宇多丸さんの解説レビュー

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2021年05月18日更新
いいから見とけ!今!後々、自慢できるぞ!という一作でございます!今、見ないという選択はない!ぜひぜひ劇場で!絶対にオススメです。劇場でウォッチして下さい!(TBSラジオ「アフター6ジャンクション」より)

RHYMESTER宇多丸さんがTBSラジオ「アフター6ジャンクション」(https://www.tbsradio.jp/a6j/)で、『JUNK HEAD』のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

宇多丸さん『JUNK HEAD』解説レビューの概要

①いいから見とけ!今!
②のちのち自慢できるぞ!
③若い人を中心に劇場に人がたくさん入っていた
④『JUNK HEAD1』を4年かけてたった1人で制作
⑤とにかく恐ろしい事に、その全てを独学で行った
⑥本作『JUNK HEAD』の冒頭は『JUNK HEAD1』だが、より大きな世界観を提示する要素が加わっている
⑦なんと○○○○○からのオファーを断る

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」でラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

映画『JUNK HEAD』宇多丸さんの評価とは

さぁここからは私宇多丸がランダムに決まった最新映画を自腹で鑑賞し評論する週刊映画時評ムービーウォッチメン。今夜扱うのは3月26日から劇場公開されているこの作品、『JUNK HEAD』!

〜音楽〜

この音楽もね、堀貴秀さんがねご自身で作られてという事ですよね、すごい事ですよ。

という事で、孤高のクリエイター堀貴秀が監督・脚本・撮影・編集・デザイン・声優まぁ他にも何だ?例えば衣装とか、デジタル処理とか、まぁ音楽もそうですし。あとたぶんこの、パンフも・・劇場パンフもこれ手作りだよね、きっとね。ほぼ1人で担当し7年かけて制作した本格SFストップモーション・アニメーション。

これいかにこの今言ってるこの2行が、めちゃくちゃなことかってのも後で説明しますけど、絶滅に瀕した人類を救う方法を探すため、1人の男が地下世界へ調査に向かう。そこには、かつて人類が生み出し、独自の進化を遂げた人工生命体、マリガンが生活していた。男は、人類再生の鍵を握るマリガンを探すため、広大な地下を旅することになる。

こう言うとなんかすごい堅い話みたいにも思えるけども。ははははは(笑)

カナダ・モントリオールで開催されるファンタジア国際映画祭で、最優秀長編アニメーション賞を受賞する等、世界的に高く評価されている作品です!

引用:IMDb.com

映画『JUNK HEAD』を鑑賞した一般の方の感想

という事で、リスナーの皆さん、『JUNK HEAD』をもう見たよ〜という皆さんからメールもいっぱい頂いております。ありがとうございます。メールの量、普通という事ですけど、まぁ公開規模とかを・・拡大公開ね、まぁ大ヒットを受けて。拡大公開。なんかシネコン系でもね、拡大公開が決まっているようですけども、最初はね、ミニシアターだけの公開。・・を考えるとですね、結構これはいいんじゃないですかね。

で、賛否の比率はおよそ8割が褒め!非常に評判がいいです。

映画『JUNK HEAD』の称賛の意見

・すごい作品と出会えた。堀監督が7年かけた苦労と狂気が詰まっている。
・世界観もキャラクターも魅力的。エンタメ映画としても楽しいのが嬉しい驚きだった。

などがございました。

映画『JUNK HEAD』の批判的な意見

一方、否定寄りの意見としては

・すごいとは思うが、音楽の使い方や中盤の展開がダレるあたりなど、惜しい所もある。
・セリフが多すぎて疲れてしまった。

などもございました。ただし全面的に否定するような意見はもちろんございませんでした!

引用:IMDb.com

映画『JUNK HEAD』を鑑賞した方の感想

という事で、代表的な所をご紹介しましょう。ロジャーさん。

1人の映像作家のうん年がかりの執念の力作というのは、意欲は買えるけど諸々未熟だし、独りよがりでゴニョゴニョ・・的な感想になりがちなのですが、本作は違いました。ビジュアルやデザインのクセこそ強い物の、とても明快でユーモアたっぷりに進行するメジャー志向の純娯楽映画であった事が嬉しい驚きでした。ビザールでエッジーで時にはグロテスクでありながら、間口と射程がとても広くて、誰でも抵抗なく楽しめる内容に仕上がってると思います。

小規模な環境で1人で作って偉いね。それにしてはよくできてるね、というゲタは本作には必要はありません。隅々まで作り込まれ、更に奥行きとスケールを十分に感じさせるリッチな世界観と、すでに神話のような風格のある物語に身を任せているだけで、115分があっと言う間の、世界中どこに出しても恥ずかしくない堂々のエンターテイメントです。堀監督は、本作を絶賛したギレルモ・デル・トロや、なんならティム・バートンぐらいに世界射程で大活躍できるスケールの大型新人と確信しています。と。

あとね、色んな褒めのメールがあって、例えば逆さクラゲの飼育員さん。
非常に長いメールを書いて頂いた物の抜粋ですけど、この映画を一言で感想にすると、令和版ヤン・シュヴァンクマイエル悪ふざけバージョン。国も作風も違いますが、根底に流れる肉グチョグチョイズムはヤン・シュヴァンクマイエルを彷彿とさせます。(ヤン・シュヴァンクマイエルは、チェコのね、有名なストップモーションアニメ作家ですね。)

あとはそのね、愛すべきキャラクター達が非常に良かったとかね、色々書いて頂いて。ありがとうございます。

映画『JUNK HEAD』を鑑賞した方の否定的な感想

一方、ちょっと否定的なご意見もね代表的な所をご紹介しましょう。ラジオネーム空港さん。

アップリンク京都で『JUNK HEAD』を監視してきました。平日にも関わらず半分ぐらい埋まっていました。正直な意見として、“すごい”が“面白い”に勝ってしまった。完璧には世界に入り込めなかったという感じです。特に1番強い感想は、ちょっとみんなしゃべりすぎでは?

独自の言語を話すというアイディア、またその会話のトーンもすごく面白いのですが、広がる世界の仕組みや感情等をかなりの割合で字幕で知らせるのは正直ムムムでした。全編会話なしとは言いませんが、身振り手振りなどのアクションで見ている側がそれを汲み取るというのは個人的にストップモーションアニメにおける醍醐味だとは思うので・・まぁ『ひつじのショーン』とか、と。作品から与えられる情報に対して受動的になりすぎてしまったのがエンジョイしきれなかった要因でした。

もっと言うと中盤、会話シーンが続く際にはハッキリ”長い”と感じてしまいました、と。でもまぁあの非常にキャラクターも良かったし、色んな所が本当に鳥肌が立つほど最高だった、と書いて頂きつつ、敢えてメールさせて頂きました、と言うね。でも、とにかく監督には尊敬しかありません、と。こうして多くの劇場でかかってる事自体が奇跡的である事は間違いありません、といったご意見でございます。

あとですね、ラジオネーム、ヤーブルスさんの、この方もいろいろと不満、すごい作品なのはわかるけど、不満もあるという事で。

例えば音楽の使い方がちょっと一昔前のサイバーパンク的で鼻白んでしまう。制作年2017年との事で、そのへんを加味してももう少し今っぽい変化をつけてもよかったのではと思ってしまいましたというようなご意見。あったという事も一応、言っておきたいと思います。はい。という事で、皆さん、メールありがとうございました。

『JUNK HEAD』宇多丸さんが鑑賞した解説

『JUNK HEAD』、私もですね、3月24日にやった、この番組でやった「ストップモーションアニメーションの逆襲特集」に備えてまずは拝見して。そもそもその2年前、やはりそのストップモーションアニメーション特集。やった時に、今回の長編の元になった30分の短編『JUNK HEAD1』てのも、こちらも見ていた訳ですが。

でですね劇場にも当然行きました。アップリンク渋谷に見に行って、ちなみにこの作品2017年には完成してね、ちょっとしばらく公開まで時間がかかってしまった作品ですけども。ようやくの今回の劇場公開タイミング、アップリンク渋谷で僕は見てきたんですけど。やはりね若い人たちを中心に、めちゃくちゃお客が入っててですね。皆さんちゃんと、これは見ておかないとという物に対してきちんとね、嗅ぎ分けてキャッチしていらっしゃるんだなって。とてもこれ嬉しくなりました、はい。

引用:IMDb.com

パンフレットも恐らく自主制作

でね、そのパンフもすごい売れてて。恐らくこのパンフ自体も恐らく自主制作的なんでしょうね。これ1500円。非常に解説が詰まったパンフもめちゃめちゃ売れているという事で、それも当然だなと思いますね。

ちなみにこのアップリンク渋谷には、えと劇中で使われた本物の人形達。パペット達がずらりと展示してあって、これたぶんシネマ・ロサとかアップリンク吉祥寺もそうなのかな?とにかく、貴重な実物が直接見られる機会でもあるという事で、これ皆さん!ぜひぜひ劇場でウォッチ下さい!

とにかく見とけ!今!とんでもなくヤバいのが来た!

ね、えぇもう今日はこれで終わらせていいんじゃないか、っていうぐらい僕が四の五の言うよりですね、とにかくちょっと、見とけ今!って言う。後々、リアルタイムで映画館で見た事を、もう何年も自慢できる代物なので、いいからこれ行っとけ!っていう事なんですよね。

歴史的にも世界的に見ても、ちょっとこれは非常に稀なというか、類例がないタイプの一作ですね。

とんでもなくヤバいのが来た!という言い方を私させていただいておりますが、とにかくこの堀貴秀さんていう方のクリエイター魂。殆ど狂気・・これ狂気っていう言葉を使っている人が多いですが、その狂気っていうのはその、狂気を感じさせるまでのクリエイターとしての根性ですね。もう本当にタダ事じゃない訳ですね。

パンフレットに書かれている堀監督のプロフィール

まぁパンフのね、書かれているこのプロフィールによれば、

高校卒業後、バイトを転々としながら芸術家を目指し、29歳の頃アートワーク専門の仕事で独立。商業施設に壁画やエイジング(エイジングって言うのは経年変化的な塗装とかですかね)エイジング、造形物等、施工多数。

という事。まぁだから、ご自身のアート的なセンスとか技術とかっていうのを生かしながらの手に職というか、そういうお仕事ではあったんだろうなっていうのが伝わってきますけども、えー尚且つ色んな創作活動とかも色々されては来た、という事が書いてあるんですけども、まぁそれが1つなんと言うかな、ドン!というこう形は成していなかったと。

少なくとも映像作家だった訳ではない訳です。映像作品は作ってないし、ましてストップモーションアニメーション作家だったわけじゃない訳ですね。で映画はお好きだったという事ですけども、自分で作るという発想はなかったと。それが変わったのは、映画って1人でも作れるんだという事に気づかされたある一作・・皆さんご存知、新海誠監督2002年の・・まーあ鮮烈な作品でしたね!『ほしのこえ』。度肝を抜かれました。これ1人で作っちゃったの!?と言う。

引用:IMDb.com

『JUNK HEAD1』の制作を開始

それでやっぱり一念発起してこの堀さんも2009年から、その内装業のお仕事をしながら、さっき言ったその短編の『JUNK HEAD1』の制作を開始したと。ストップモーションアニメというコレを選んだのも、その手法も前からファンだったという訳じゃなくて、堀さんの頭の中にあるその壮大なスケールの実写SF的なイメージを、しょぼくない絵として、しょぼくない実写映像として現実に成立させる手段としてのそのストップモーションアニメ。あとはまぁ元から操り人形制作などはされていたという事なので、まぁある種、逆算的に。例えばそのキャラクター達のこう、”目”があんまりない訳ですね。目がないキャラクター達、そのレンズだったりしてる訳ですけど、というのも、そのリアリティー表現の上でこう目を作らない、目がないキャラクターであるっていうのはこれはもう、堀さんのハッキリした計算の上だったりするということなんですねリアリティー表現的に。

逆算的に考えられた手法

という事で、逆算的に今のこの方法論が選ばれたという事らしいんですね。だから非常にクレバーではある、なんだけど、同時にそういうストップモーションアニメーション、しかも長編映画を実際に作るノウハウ、人脈、誰か教えてくれる人とか、全くいない状態からのスタートでもある訳です。

そういう意味では例えばその『PUI PUI モルカー』の見里朝希監督の、藝大に行って、伊藤有壱さんの教えをね、受けてというルートとはかなり対照的というか、本当にストリート。”野育ちの”っていう感じですね。

全てを独力で、独学で

で、堀さんはですね、とにかく恐ろしいことにですね、そのノウハウがない中、人脈も何もない中で、全てを独学で・・例えばそのストップモーションアニメーション用とかにですね、まずそのパペット、人形を作る訳ですけど、そのパペット1つ取っても骨組み、アーマチュアというその金属の骨格とか、外側を作るのは石膏で型取りしてって言うフォームラテックスで整形していく訳ですけど、そのフォームラテックスの作り方とかフォームラテックスの調合の按配とかまで、自分で調べて試行錯誤してやる。

あるいはそのパペットアニメーションをこう作っていく動きを作っていくにあたってですね、アナログなモーションキャプチャーというかね、実際にそのライトを体の各所に付けて自分で実際に動いた映像を撮って、それに重ねて動きを付けたりとかそういう事もご自分でやってたりとか。

引用:IMDb.com

ストップモーションアニメーションを効率的に撮影する為のオリジナルの器具まで創作

あるいは、やはりこれパンフレットに載ってるアレなんですけど、ストップモーションアニメーションを効率的に撮影する為のオリジナルの器具まで創作して。その効率を上げたりとか、あるいは当然必要になってくるデジタルによるその画像処理。ポストプロダクション的な事などなどって言う。

あとは声とか。あとはその効果音とか。あと音楽ですね、さっきから言ってる音楽等々も、もうすべて独力で学び作り撮って、積み重ねてきた、そして4年の月日が経ったって言う。30分の短編『JUNK HEAD1』が4年かけて、ようやく2013年に完成したと。

『JUNK HEAD 1』に書き加えられた物

ちなみに今回の長編版ですね、頭の30分ほどがほぼその『JUNK HEAD 1』なんですけども、最初の方に出てくる後にその”生命の樹”に育っていくというあの野生マリガンっていうね、くだりと、あと主人公が地上での暮らしを回想するというくだりが今回の長編には加えられています。要するに、より大きな世界観を提示する要素というのが今回後から加えられている訳ですね。

ハリウッドからのオファーを断る

でまぁとにかくですね、その短編を作ったと。でまぁ世界的に当然、作品としては世界的に高い評価を得て、賞を取ったりしたんですけど、途中でそのクラウドファンディング失敗とかですね、ハリウッドからのオファーを堀さんが!断ってるとか、色んな経緯を経て、最終的にその続編というか続きを作る資金を得て、堀さんが元々仕事で使っていたという工場を改造して、撮影用の、これなかなかデカめなセット。これ縮尺がね、6分の1ですから。を作って。コレちなみにエンドロールでチョロッと出てきてね。こう「おお・・!!」っていう感じがしますけども。

引用:IMDb.com

後半部分は3〜4人体制で、2年4ヶ月

でそこで、今度はこの番組の特集でご出演頂いた時も仰ってましたが、その残りの70分とかは3〜4人体制で、2年4ヶ月。朝が7時から夜9時までぶっ通しで、休みなしで作業して。ご自身はそのスタジオというか、スタジオにした工場跡の2階に住んでいるので、もう切れ目なく。やって、ついに2017年今回の長編完成にこぎつけた、という事なんですよね。これ、改めて言いますけど、とんでもない事をやってる訳です。確認しておくと、ストップモーション。コマ撮りアニメーション。1コマ1コマ。ね。1秒間に24コマですよ、24コマこうやって動かして撮る。人形を動かして撮ったりするアニメーション。それも長編。尚且つそれで、壮大な背景とか舞台をね、使った、しかもアクションシーンとかまであったりするような娯楽作品というのはですね、もう想像してみればわかると思いますが、もう気が遠くなるような、ムチャクチャ手間がかかる!で手間がかかるイコール、普通の映画制作のシステムで言ったら、めちゃくちゃお金もかかる訳ですよ普通は。だからこそ、例えば今、定期的に長編ストップモーションアニメを作っている会社ってのはもう、ライカとアードマンの2社ぐらいですよね、大体ね、たぶんね。

ストップモーションアニメーションの常識を変えた

それももう何年かに1度ですよライカの新作なんか来るのは。もう何百人、何千人体制で作ってそれですから。

例えばそのね、私が昨年11月20日に評しました、ライカの『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』かな。僕もちろん大好きな作品ですけどね、100億円かけて作ったりしている訳ですよ。でコケちゃったりしている訳ですよ。

それがですね。だからその長編のストップモーションアニメーション映画を作るということの一種、常識な訳ですよね。めちゃめちゃお金もかかるし手間もかかる。まして日本でとなると、これは本当に長編ストップモーションアニメ自体が少なくて。これ構成作家の古川耕さんも色々と言っていましたが、2005年の川本喜八郎さん『死者の書』、あとは遡って1979年。これね、藤井隆さんも大好きなサンリオの『くるみ割り人形』、まぁそんなもん・・かな?っていう感じだし。

しかも今回みたいに、完全オリジナル企画で、SFアクションダークコメディ。それを壮大かつグロテスクかつユーモラスな基本その全てを、美術・人形制作・編集・声・音楽・・音、などなど、ほぼ全てを全部自分でやって、独力で作りました!なんていうのはもうですね、規格外も甚だしい。本当に文字通り、考えられない達成な訳です、考えられない!!

1人の孤高の天才アーティストが作り上げたヤバい一作

しかもこの『JUNK HEAD』、さっきのメールね、ロジャーさんのメールにも近いですけど、

”1人の孤高の天才アーティストが作り上げたヤバい一作”っていうことは間違いないんだけど、それが、アートアニメ的にね、その難解なね、作品っていう事でもない。どころか、どっちかって言うと、しょうもないギャク満載だし、ストレートに熱い展開もあったりする、あるいはものすごくこう分かりやすく上がるアクションシーンがあったりする、要するにエンターテイメントとしてはむしろ明快なコテコテという言い方すらできるような分かりやすさに満ちた一作でもあって・・という事なんですね。

引用:IMDb.com

堀監督が影響を受けた作品達

で、これは監督があちこちのインタビューで挙げられている影響を受けた作品達っていうのがあって。

例えば!1986年、これね、旧ソ連時代のカルトSF『不思議惑星キン・ザ・ザ』。クー!あれの、SFなのに人懐っこいオフビートなユーモア感とか、あとはもちろん、もう誰がどう見てもそれは『エイリアン』、あるいは『ヘルレイザー』も好き。まぁそれのモンスターの造形であるとか。

あと『イレイザーヘッド』好きって言ってて、あぁなるほど!と。要するに『イレイザーヘッド』の、生き物、生命そのものの生々しい不気味さ、キモさ。生きるってキモくない?みたいな、あの感じとか。

あとはですね弐瓶勉さんの・・これ漫画ね。『BLAME!』っていうSF作品。Netflixでアニメ化もね、近年されましたけど。あの巨大な階層都市、階層世界の中で、細々と、しかし確かに命を繋いでいく者達的なイメージ。あと、マスクのデザインとかもちょっと『BLAME!』的だったりしましたよね。

とかもそうですし、あとさっき言ったようにね、あの樹木化するマリガンっていうね、あれはちょっと、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートっぽい感じもあったしとかね。アレをどうやって撮っているかとかね、あれメイキングで見るとね、「あぁなるほど。」って言う。見れば、種明かしすれば「あ〜〜なんだっ。」って言う事なんだけどもね、工夫して撮っていたり。

『プリンプリン物語』のルチ将軍をオマージュ

あとはですね、これはあのIGN Japanのインタビューの中でこんな事を仰っていて。

NHKの人形劇『プリンプリン物語』、あれに出てくる「ルチ将軍」というキャラクターがいて、それを受けての「ドクター・ルーチー」あの博士のやつ。あの後頭部がビヨーンと伸びてるの。あれはルチ将軍オマージュなんだって言うね。

まぁ確かにそのデフォルメされたキャラクター達の異形感、ダークコメディ感、ドタバタなんだけど、社会風刺感が満ちている感じ、非常に『プリンプリン物語』っぽいかもなって思いましたね、はい。あとあのクライマックスのね、3人のあのチームアクション。あれはもうジェットストリームアタックでしょう、とかね。

意外と親しみやすいネタ感

まぁそんなこんなで、とにかく個々のディテールそのものは、特に僕は堀さんとほぼ同世代である事もあって、あぁ、アレが元ネタかな?みたいな感じ。意外と親しみやすいネタ感みたいな物もあったりするんだけど、それらを集積して組み上げたやっぱ巨大な世界観というのがですね、やっぱりものすご〜く独特な味わいで面白い訳です。

個人的にはやっぱりですね、これは堀監督ご自身にも言いましたけど、クノコと呼ばれるですね、この世界での高級食材の、採取システムの、エグいユーモアセンス。含めてですね、この作品全体が、食べ、食べられるという、いわゆるそのサイクル、食物連鎖的なサイクル。それも、排泄まで含めて。先ほどもチラリと言いましたが、それを序盤で見せる事で、要するに食べられる事ってどういう事なのか、消化されてウンチになっちゃう事なんだって言う事まで生々しくこう実感させる。

引用:IMDb.com

食べ、食べられる、食がつなぐ生のサイクル

つまりその食べ、食べられる、食がつなぐ生のサイクルというのが非常にこう全編に渡って芯になっているあたりが、この世界全体にですね、異様な実在感、生々しさ、与えてる。

これも非常に特徴的だし、あと本作特有のね、面白ポイントとしてやはり、劇中で話されるそのモゴモゴした架空の、複数の言語体系。

その、まずは単純に語感的なおかしみみたいな物、これもやっぱり『不思議惑星キン・ザ・ザ』感覚ですね。「クー!」っていう感じがあったりする。

語感的なおかしみ

特に日本語的な響きと微妙に重なる所がかもす、なんともしょうもないおかしみ。これが非常に印象的で、食べ物を乞う目がバツ印のあの2人の子供、最初はしおらしく、「チケチケチケ」とか言ってたのが、あぁお恵みがないと知るや否やのあの感じであるとか。でも!この場面は実はちょっと怖悲しい余韻があるシーンだったりしますけどね。

あと、あの「バルブ村」と言われるね、そのバルブをこうやっている巨大空間があるんだけど、そこの職長と言われるね、その上司と部下の、「ねー職長♡」って言っている所の、なんか「パップンチョ!」みたいな、あの語感の繰り返しのおかしさとか、あとまぁさっき言ったクノコ採りのお使いの結果ですね「カピカピやないか!」みたいな事を言われてる時の、カピカピホニャララ〜みたいな、もう“カピカピ”ってもう言ってんじゃん!みたいな。

その感じとかも含めて笑っちゃう。(笑)

ただ同時に非常に確かに、ドメスティックな笑いのツボでもあるのかもしれないし、演出そのものはつまり、サイレント的というよりはやはり、意外とセリフ劇的な面もあって。という感じがしますかね。

で、この声はもちろん堀さんが殆どやってる中で、一部はストップモーションアニメ作家で、このスタッフとして入られた、三宅さんという女性の方が女性のキャラを当てられたりしておりますけども。

『JUNK HEAD』の構成

でですね、これちょっとね。この作品全体構成も変わってて。

本来、『JUNK HEAD1』から『10』までの連作として作る予定だったのが結局、長編三部作計画になったという。これもあるのかもしれないですけども、構成がちょっと、語り口が独特で。普通の三幕構成ではあるんだけど、設定上、主人公のアイデンティティーが、その三幕ごとにガラッと変わる訳ですよね。

もっと言えばその最初の短編にあたる最初の30分、一幕目の中でも、その主人公の人格がいきなりドンドン変わっていくという話なので、最初はちょっとどの視点で話に乗っかっていいのか、ちょっと乗りづらい所も最初は感じるかもしれない。

ただ、今回の長編版ではさっき言ったように主人公のバックボーン描写がちょっと足されていたりするので、一応そこの補強もされていたりはする。

引用:IMDb.com

三幕というか、3パート物っていう感じ

とにかくね、その地上、人間世界から地下世界へ、調査の為に送り込まれたはずが、記憶をなくし、子供のようなボディに改造された主人公が、更なる奈落に落ちていくまで、という一幕目。

そしてそこから、さらに小間使いロボットに改造され、さっき言ったクノコの買い出しのお使いに出かけるも、この地下マリガン世界の様々な闇に遭遇していく。そしてどんどん散々な目に遭うという二幕目。そしてラスト。ラスボス的な巨大生物と対決という、まぁ一大アクションも用意されているクライマックスの三幕目で。ストーリーを整理すればそういう、三幕というか、3パート物っていう感じですね。

物語を織りなすキャラクター達や世界観

なんだけども、本作の魅力はやはりですね、その物語を織りなすキャラクター達や世界観、そのすんごくキモいしグロいけど、さっき山本さんも仰っていました、みんな必死で生きて、そして死んでいく、健気でかわいく、愛おしくもある。そのディテール存在感そのものにある。例えばその生き物たちの質感、あるいはその物達の質感1つ1つに本物の手触りが感じられる。このこうした感触こそがやっぱりストップモーションアニメの肝でもある訳ですよね。まぁその魅力的なキャラクター。アレが良かった、コレが良かったなんて言っているとキリがないんですが、とにかく本作は様々に出てくるそうしたマリガンと呼ばれる地下生物達。

これは、どんな辺境の、底辺の場所にも、それでも確かに根付いて、今日を生き抜こうとするその人々、物達、生命達との、その出会いと別れっていう。

だからこれこそが、その「人類救済のための鍵探し」というその大きなストーリーの柱以上に、色んな人々との出会いっていう、そこの味わい。これがメインテーマの作品と言っていいかもしれない。

そしてそれはやっぱり非常に、『不思議惑星キン・ザ・ザ』的な味わいですよね。

三部作の計画

ただ、もっとも本作はですね、さっき言ったように実は三部作の一作目。二作目は1000年前に話が遡って物語の発端的なことをやるのか、そして三作目は今回の続き、そして『2』とも接続するという、そういう計画らしくって。なので今回は敢えてまだまだ小さな話に留めている段階かもしれないと言う。

当然、現実の制作条件、制約もあった事でしょうから。つまり2作目以降を我々が見るためには、この1作目がきっちり大ヒットしてもらわないと困るという事なんですね。

あの、確かに音楽とか、もっと作りを洗練する余地はある作品だと僕も思います。ただですねこれ、例えば音楽を外注とかしてですよ、整えたとして。これ本シリーズにとってそれはプラスなのかって言うと、僕それはすごく疑問だと思います。

なので僕はこのまま堀さんが信じるように、突き進むのが・・まぁそんな事はね、たぶん堀さんは誰が何を言おうと突き進むと思いますけども、言われんでもやると思いますが、ぜひ皆さんね、メイキング映像なんかもセットで見ると、よりこのスゴみ・・でもそういうゲタ抜きでも楽しいってのはもちろんその通りだと思いますし、1粒で2度おいしい、いや3度おいしいという作品じゃないでしょうか。

と言う事でまず最初に言った事を繰り返します!

いいから見とけ!今!後々、自慢できるぞ!という一作でございます!今、見ないという選択はない!ぜひぜひ劇場で!絶対にオススメです。劇場でウォッチして下さい!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑦なんとハリウッドからのオファーを断る

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