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「クロサワのDNA」 プライベート・ライアン もりそんさんの映画レビュー

プライベート・ライアン Saving Private Ryan

クロサワのDNA

2021年9月23日 19時16分 役立ち度:0人
総合評価: 5.0
スピルバーグとルーカスは若かりし日に黒澤明作品から大きなインスピレーションを受け、後に「夢」や「影武者」の製作にまで参加するようになった事は良く知られている。
「プライベート・ライアン」は1944年のフランスが舞台の戦争映画だが、黒澤明のDNAが作品全体に刻印されたような映画だ。

序盤、トム・ハンクス演じる隊長が困難なミッションに参加するメンバーを一人ずつ集めていく。ややコミカルに描かれるこの場面は「七人の侍方式」とも呼ばれる映画的なシークエンスだ。気性の荒い兵士、無口なクリスチャンの狙撃兵、戦闘経験の無い童顔の事務係など、個性豊かなメンバー達に三船敏郎や加東大介や木村功の面影が見えるようだ。

クライマックス。土砂降りの中で繰り広げられる泥まみれの戦闘場面は、カメラアングルや人物たちの縦横無尽な動きなど、まるで黒澤監督が指示を出して演出しているかのような印象さえ受ける。

黒澤作品の「骨太のヒューマニズム」と「男臭いアクション」に魅了されたスピルバーグの快心の一本だろう。
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