妻殺しの濡れ衣を着せられた医師が決死の逃避行を続けていく、アクション映画としての面白さは満点でした。一方では事件の背後にある医学界と製薬会社の癒着など、社会派サスペンスとしての一面ももう少し掘り下げてほしかったですね。
外科医としての腕前はピカ一、勤務態度も真面目で周囲からの信頼も抜群、自宅に帰れば美しい妻・ヘレンがお出迎え。他人が羨むすべてを持った主人公、リチャード・キンブルに突如として降りかかってくる悲劇には胸が痛みます。キンブル役のリチャード・ギアは映画の前半でこそ上品な顔立ちのエリート医師といった様子ですが、みるみるうちにワイルドな表情に豹変していきますよ。
キンブルの行方を追う捜査官サミュエル・ジェラード役には、今では某飲料メーカーのCMですっかりお馴染みとなったトミー・リー・ジョーンズ。無実を訴えるキンブルの主張になかなか耳を貸そうとしないジェラードが、どのタイミングで心変わりをするのかに注目しながら観てください。