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引用:IMDb.com

なぜ君は総理大臣になれないのかの町山智浩さんの解説レビュー

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2021年05月19日更新
本当はこういう人が政治家になれなければ、総理大臣になれなければいけないのに、この人は、今の現状だと絶対になれないだろうなと。いう話なんですよね。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『なぜ君は総理大臣になれないのか』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『なぜ君は総理大臣になれないのか』解説レビューの概要

①立憲民主党の衆議院議員、小川淳也議員を追ったドキュメンタリー
②2003年からずーっと追いかけたドキュメンタリー
③取材すればするほど、総理大臣になれる要素が感じられなくなる
④地元、香川県の選挙区のライバルはデジタル改革担当大臣、平井卓也
⑤”地元より国”のビジョンを考えていても、地元での選挙に勝てないと大臣になれないジレンマ
⑥○○○○○さんの下で野党が大団結するはずが・・
⑦選挙は51%で勝てるが、あとの49%の人達の意見も聞かなければいけない

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

(町山智浩)
水道橋博士が映画をね、「これちょっと紹介しないの町山く〜ん。」みたいな。「えっ、知らないよこの映画。」って。いう話で、見たら、すごくいい映画だったんですよ。

(赤江珠緒)
へー!あぁそうですか!うん。

水道橋博士から紹介された『なぜ君は総理大臣になれないのか』

(町山智浩)
はい。で、これですね、もう6月からずっと公開されてて。僕、全然なんか知らなくて。(笑)『なぜ君は総理大臣になれないのか』というタイトルなんですよ。

(赤江珠緒)
はぁ〜。ね。なんか6月に「金曜たまむすび」に監督さんが来てくださったっていう情報もスタッフから。

(町山智浩)
そうらしいですね。大島渚監督の息子さんでドキュメンタリー作家の大島新さんっていう人なんですが。僕、1回園子温監督と飲んでてお会いした事があるんですが。(笑)

(赤江珠緒)
へー!

(町山智浩)

それでですね、この映画はまぁすごく面白かったんですよ。で早く知ってれば紹介したのに!と思ったんですけれど。(笑)

(赤江珠緒)
そうだったんだ!

(町山智浩)
はい。えっとね、これはね、立憲民主党の衆議院議員の、小川淳也議員を追ったドキュメンタリーなんですけど、なんとですね。この2003年からずーーっと追いかけたドキュメンタリーなんですよ。

(山里亮太)
えー!

引用:IMDb.com

2003年からずっと小川淳也議員を追ったドキュメンタリー

(赤江珠緒)
長いですね、2003年から?うん。

(町山智浩)
これね、大島監督自身がね、どんどん白髪になっていくのが映っていて。(笑)でね、これ娘さん達がいて、最初はその、お父さんお母さんが選挙で一生懸命だから、おばあちゃんに預けられて泣いてんですよ。うぇんうぇん。ちっちゃくて。「えーん!」とか言って。その子達が、このドキュメンタリーの最後の方だと、ハタチになって、「私の父を、お願いします!」とか言って選挙活動してるんですよ。すげぇ時間が経っちゃってるんですけど、そういうね、構想13年というすごいドキュメンタリーでですね。

(赤江珠緒)
ふーん!

統計王子、小川淳也議員

(町山智浩)
で、この小川淳也議員という人は、この人は統計不正というのがあった時に非常に有名になった人なんですね。統計不正って、去年ですよね、あれ。覚えてません?

(山里亮太)
統計不正・・?

(町山智浩)
統計不正っていうのは、厚労省がですね、賃金とか雇用の現状についてですね、統計をいじってて・・。GDPとかね。

(赤江珠緒)
はいはい!そうでしたね!変わってきちゃうっていう、ベースが。

(町山智浩)
そうそう。だから景気の調子がいいように見せかけていたというね、アベノミクスがうまく行っているように見せかけた。それを追求した議員なんですよ、小川さんという人は。

引用:IMDb.com

統計不正事件を暴いた議員

(山里亮太)
あー!

(町山智浩)
で、イケメンだったんで、統計王子と、呼ばれた事もありましたね。(笑)で、非常に素晴らしいその国会での演説で有名になってですね、なんて言うか、政権にね、尻尾を振れば官僚は出世して、逆らえば飛ばされるという現状で正しい政治ができるのかっていうような事を言って、非常に注目された議員なんですけども。

(赤江珠緒)
ふーん!うん。

(町山智浩)
で、このドキュメンタリー。なぜその大島監督が彼を撮り続けようと思ったかと言うと、まさにタイトル通り、総理大臣になれる要素が取材すればするほど、感じられなくなるっていうドキュメンタリーなんですね。

(赤江珠緒)
感じられなくなる!?

(町山智浩)
なる!そう。この人では総理大臣になれないんじゃないかという風に、監督は何度も思っていくのが言葉で語られるんですね。

(山里亮太)
へー!!

総理大臣になれる要素が取材すればするほど、感じられなくなる

(町山智浩)
で、まずこの小川議員はどういう人かと言うと、両親は美容院・・ちっちゃい美容院の人なんですよ、香川県で。小さい美容院を営む家庭で生まれて、ただ勉強ができたんで東大を出て総務省、官僚になって。ところが2003年に退官して、32歳でですね、当時の民主党から出馬したんですけれども。まぁ、その香川県の地元でじゃ絶対に勝てない人なんですよ、この人。選挙。

というのは香川県のその彼のライバル、地元で絶対的な権力を持っているのは平井一家という一家で、今この平井卓也さんっていう人は三世議員としてですね、デジタル改革担当大臣をしてる人なんですよ。

(赤江珠緒)
はー!はー!はー!

(山里亮太)
ああ!はいはい!

引用:IMDb.com

ライバルはデジタル改革担当大臣、平井一家

(町山智浩)
はい。祖父も、父も、大臣でですね。お母さんは四国新聞という香川の圧倒的なシェアを誇る新聞社の社主なんですね。

(赤江珠緒)
社主!?(社主とは、会社・結社の持ち主や代表者の呼称)

(町山智浩)
そう。この平井一族というのは元々その、四国新聞の創業一族でもあるんですよ。

(赤江珠緒)
あー!なるほどぉ!

(町山智浩)
さらにですね、この一族には西日本放送という、そこのですね地元の、第一民放のテレビとラジオも仕切ってるんですよ。だからメディアを全て、地元のメディア全てを完全に押さえて、しかも長年その地元の政治と経済を、はっきり言って、支配している一族なんですね。

(赤江珠緒)
地盤が強固な訳ですね。

地元の政治と経済を支配

(町山智浩)
強固な地盤に対して、美容院の息子が立ち向かったので、まぁ地元では勝てないんですよ。で、彼はだから比例で議員になっていくんですけどもね。で、この彼にその大島監督がですね、この人を追いたいと思わせたのはですね、非常にビジョンが大きい人で、日本が少子化によってどんどん人口が減っていって経済とかがどんどん停滞ないしはどんどんダメになっていくのを救う為の、もう何十年にも及ぶビジョンを全部自分で組み立てて、それを発表した人なんですよ。

(山里亮太)
ほうほうほう。

(町山智浩)
そうすれば日本は救われるだろうと。ですごく大きなビジョンを持っているんですけれども、ただその国全体を見るビジョンを持っていても、日本という国の政治では、地元での選挙に勝てなければ絶対に大臣になれないんです。

(赤江珠緒)
(大きいため息)うん。。

引用:IMDb.com

日本を救うビジョンを持ちながらも、地元での選挙に勝てないと大臣になれないジレンマ

(町山智浩)
比例で勝つと、要するに”勝たせてあげた”っていう感じになっちゃうんですね。党からすると。

(赤江珠緒)
そうですね、はい。

(町山智浩)
人数合わせの為にお前が必要だったから比例に入れてやったよっていう世界なので。だから党の中で全く実力・・というか、地位がなくなっちゃうんですね。

(赤江珠緒)
まぁ、それはそうですよね、うん。

(町山智浩)
はい。だから彼のように、その、”地元よりも国”っていうビジョンで考えてる人っていうのは、まず、政治家になれない。なかなか。ちゃんとした権力とか、大臣の座になかなか就けないという問題が1つあるんですよ。こういった事が、その、総理大臣になれない理由としてどんどん出てくるんですよ。

(赤江珠緒)
あー!うん。

”地元よりも国”っていうビジョンで考えてる人はまず政治家になれない

(町山智浩)
ね。更に、この人が、この映画の中で一番怖いのは、あの小池百合子さんなんですよ。

(赤江珠緒)
んん?

(町山智浩)
これ、民主党って結局もうガタガタになっちゃって、民進党になったじゃないですか。

(赤江珠緒)
分裂してきましたねぇ。

引用:IMDb.com

小池百合子さんの下で野党が大団結するはずが

(町山智浩)
分裂していって・・あ、民進党の時は分裂してないんですけど、名前変えたんですね。その時に自民党の安倍政権に対して、対抗できる大きな野党を作らなければならないという事で、野党が大同団結して、安倍政権に立ち向かおうという事で、その時小池百合子さんが、小池百合子さんの下に集まるという形を取ったんですね。取ろうとしたんですよ。それが「希望の党」という名前でやったんですけれども、その下に民進党が入ろうとしたんですね。その時に小池百合子さんが、「憲法改正に反対する人は入れない。排除する。」って言ったんですよ。

(赤江珠緒)
そうでしたね〜、はい。

(町山智浩)
それで、立憲民主党が分裂した訳ですね、民進党から。だから、すごいのは、”大同団結をする為”だったのに、分裂させられちゃったんですよ。

(赤江珠緒)
そう、そこで篩(ふる)いにかけるみたいになりましたもんね。

事態は真逆の方向へ

(町山智浩)
そう。逆の方向に行っちゃったんですよ。ねぇ小池さんの排除って言うので。で、この時に小川さんがものすごく悩むんですよ、小川議員が。彼自身は、憲法改正には反対なんですよ。でも、それで立憲に行くべきなのか。でも彼自身は民進党の中央部の人達との義理とかがある訳ですよ。仁義とかが。だから結局、希望の党の方に行っちゃうんですよ。自分の信念を曲げて。

(赤江珠緒)
ほう。

引用:IMDb.com

リアルな選挙活動の映像

(町山智浩)
そしたら今度地元で、選挙活動してる所ですごい映像が入るんですけど。地元の人、商店街の人に握手をしようとしたりすると、拒否されるんですよ!パーン!つって。「あんた何、希望の党とか行ってるのよ。言ってる事違うじゃないの。憲法改正すんの?」みたいな。

(赤江珠緒)
まぁそこは結構根幹というかね。信念としてはね。うん。

(町山智浩)
そう。モロに映っているんですよ、それが。で、負けちゃうんですよ。キツいシーンですよあれは・・。本人は本当にウーー!みたいな感じで。そういう所もすごく正直で、なんか、そういう人はいい人過ぎて大臣になれないんじゃないのっていう映画なんですね、これ。

いい人過ぎて大臣になれない

(山里亮太)
そういう事か!そういう事で『総理大臣になれないのか』って言うのか。

(町山智浩)
そうなんですよ。

(山里亮太)
なるほどなぁ。

(町山智浩)
で、この小川議員は、野次とかを飛ばされたりすると、飛ばされても、ありがとうございますって言うんですよ。ご意見は、参考にさせて頂きますって言うんですよ。

(山里亮太)
素晴らしい・・!

(赤江珠緒)
いいですね。

(町山智浩)
で、それは彼自身の信念で、選挙っていうのは100%のうち51%取って、もう勝てるんだと。過半数だから。その時にでも、あとの49%の人達の意見も聞かなければいけないんだっていう人なんですよ。

(山里亮太)
んー!なるほど!

引用:IMDb.com

51%と49%

(赤江珠緒)
あぁそれは、本当。民主主義として本当に正しいですね。

(町山智浩)
そう。で49%の人を批判したり、叩いたりしたり、拒否したりしてはいけないんだ、と。政治家っていうのはその人達に対しても責任を持つ人になる訳ですよね、政治家って、勝つと。だから、その人たちを排除してはいけないんだっていう人なんで、これは、例えば日本のその安倍総理大臣が、自分に野次を飛ばした人を、「あの人達に負ける訳にはいかない。」って言ったり、野次を飛ばした人を警察を使って排除したりした訳ですけど、そっちは勝てるんですよ!で、彼もはっきり言うんです。「49%を切り捨てる人っていうのが勝っちゃうんですよね。」って言うんですよ。

(赤江珠緒)
意見が違うと敵とみなすっていうのがね。それは・・切っていってどうするんだよなぁ。

(町山智浩)
そうそう。アメリカのトランプ大統領もそうなんですけど、とにかく今、分断して排除していく事で、コアな支持層を固めていく事で勝つっていう風に政治の流れが世界全体で変わってるんですよ。

政治の流れが世界全体で変わってる

(町山智浩)
全体を包み込むような包括的な、政治家になろうっていう人はオバマさんで終わった感じになっちゃってるんですよね、今ね。だからその中で彼は・・小川議員は、どんどん勝てない、いい政治家になっていくというドキュメンタリーでしたね、これね。

(赤江珠緒)
ふうーん!!

(町山智浩)
すごく、なんていうか逆説的ですよ。

(赤江珠緒)
そうですね、うん。

(町山智浩)
だからつまり、彼は、今の日本の政治だと、総理大臣になれないんですよ。正直すぎて。

(赤江珠緒)
能力とかそういう問題じゃなくて。。そういう色んなシガラミだったりシステムだったり。そういう事かぁ。

(町山智浩)
そう。そういう話で、非常にそのなんて言うか、皮肉で面白いドキュメンタリーでね。

(赤江珠緒)
そうですね。でまたこれ、そういう意味ではこの人1人の問題じゃなくて、じゃぁ普通の人が政治家になっていく道ってどうなの、こんなに細くなっちゃっていいの?って言う所ありますよね。

(町山智浩)
その通りなんですよ。だから本当はこういう人が政治家になれなければ、総理大臣になれなければいけないのに、この人は、今の現状だと絶対になれないだろうなと。いう話なんですよね。

で、まぁすごく、水道橋博士がね、これ絶対紹介してくれって言ったんですけど、これね今ね、もう劇場公開が終わりかけてて。(笑)

===後日談===

引用:IMDb.com

赤江さんも『なぜ君は総理大臣になれないのか』鑑賞

(赤江珠緒)
町山さん、ちょっと冒頭でも言ったんですけども、『なぜ君は総理大臣になれないのか』見ました!面白かった、あれは価値あるドキュメンタリーでしたね。

(町山智浩)
ねぇ。ちっちゃいお家に住んでる所がいいんですよ。

(赤江珠緒)
いや、それでまたね、ご家族がね、お父さん、お母さんも含めてな〜んかいいですね!

(町山智浩)
美容院をやってるんですよね、主人公というのかな、中心人物になっている香川県のね、

(赤江珠緒)
小川議員ね。

(町山智浩)
はい。小川議員のお父さんとお母さんがね、美容院で・・。

(赤江珠緒)
ごくごく普通の方で、なんかすごく好感度の高いお父様お母様でしたね。

(町山智浩)
ねぇ。で、あの方ね、東大入ってね、官僚になって・・と思ってお父さんお母さんがすごい期待してたら、ねぇ。政治家になるって言って、それでしかも全然お金になんないんですよね。で、また、あの娘さんたちがね!

(赤江珠緒)
そう!また娘さん達もいいんですよー!ちっちゃい時から見てるしねぇ。

(町山智浩)
そう、泣いてたりしてね。

(赤江珠緒)
でね、家族みんなね、政治家なんかなってほしくないっていうね、スタンスなんですよ。でも、応援するの。

(町山智浩)
そう。

(山里亮太)
これね、面白そうだなってわかるんですけど、これは今はもう、見れない訳でしょ?皆さん。こういう場合ってどうしたらいいですかね、町山さん。町山さん。どういう行動をすれば、またどこかで見れたりするんですかね?なんかあるんですか、こういう時って。

(町山智浩)
あぁ今はね、でもね、全ての映画館のスクリーンが『鬼滅の刃』に埋め尽くされて、他の作品が入れない状況になってますよ。(笑)

(赤江珠緒)
アター、そうか。(笑)

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑥小池百合子さんの下で野党が大団結するはずが・・

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