引用:IMDb.com

83歳のやさしいスパイの町山智浩さんの解説レビュー

2021年06月02日更新
スパイとしてはね、ミッション忘れたりしてて大ボケなんですけど、人としては素晴らしい人なんですよ。(中略)すごく心温まる素晴らしい映画でしたね。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『83歳のやさしいスパイ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『83歳のやさしいスパイ』解説レビューの概要

①『83歳のやさしいスパイ』はドキュメンタリー作品
②老人ホームへの潜入捜査をする為、83歳のお爺ちゃんがスパイとして選ばれた
③しかし、83歳なのでスマホの操作がわからず、暗号も覚えられない、○○○○○○○も覚えられない
④潜入捜査なのに老人ホーム内の撮影が出来た理由
⑤主人公セルヒオさんはシャイなお爺ちゃん
⑥老人ホームに入っている方は殆どが女性
⑦老人ホーム内でモテモテになってしまうセルヒオさん
⑧認知症の老人に「○○○○○」は絶っ対に言ってはいけない
⑨スパイとしては大ボケ、人としては素晴らしい

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

町山さんの師匠、越智道雄教授について

(町山智浩)
どうもです。ちょっとまぁ、個人的な話を、させて頂くんですけども。

(山里亮太)
はい!

(町山智浩)
あの、僕が編集者としてと言うか、アメリカのまぁ研究をずっとしてるじゃないですか、今まで。アメリカまでわざわざ来て。そのキッカケになった師匠がいるんですよ。

(山里亮太)
師匠?はい。

(町山智浩)
で僕、師匠が非常に恵まれた、人間だと思ってるんですけども。まぁみうらじゅんさんとかね、一杯いるんですが。(笑)その中でアメリカについてのお師匠様がですね、越智道雄教授という、明治大学の名誉教授なんですが。

(赤江珠緒)
えぇ。

(町山智浩)
その越智道雄先生が先日亡くなったんですね。

(赤江珠緒)
わぁ〜・・そうですか。

引用:IMDb.com

アメリカに行ってアメリカの研究をするキッカケとなった師匠

(町山智浩)
はい。84歳でしたけども。このね、僕20代の時に、アメリカ映画っていうのは一体誰が作っているのかという事を調べる本を、作ったんですよ。つまりそのハリウッドと言われてますけど、ハリウッドって言うのはどういう人達がいるのかと。そうすると、いわゆるその、イギリス系の人とかって殆どいないんですね、ハリウッドって。

(赤江珠緒)
ほぉほぉほぉ。

(町山智浩)
殆どはユダヤ系だったりロシア系だったり。例えば、西部劇の音楽て作ってる人、殆どロシア人なんですよ。

(赤江珠緒)
あぁそっか。。へぇ。うん。

(町山智浩)
それ、殆ど知られてないですよね?西部劇の音楽って、ウエスタン調の音楽って言うから、みんな何て言うかそういう感じだと思ってるけど、殆どがロシア民謡を元にしてるんですよ。

(山里亮太)
へぇ〜!

ウエスタン調の音楽の殆どがロシア民謡を元にしている

(町山智浩)
ロシア人が作ってる、音楽を。そういう事を調べる本を作って、その時に日本で1番詳しかったのがその越智道雄先生なんですね、明治大学の教授だったんですが。

(赤江珠緒)
へぇ〜。

(町山智浩)
はい。で、本当にずっとそれからまぁ、支持し続けてですね、最終的にはそのオバマショックというオバマ大統領て言うのはアメリカの歴史においてどういう意味なのかという本を共著で出したり、あとね、『ザ・フィフティーズ』という文庫があってね、ちくま文庫から全3巻出てるんですけど。

これ大著でね、ものすごい大著なんですけど、アメリカの現在を確定したその1950年代に一体何があったのかという事を徹底的に書いたノンフィクションなんですね。

(山里亮太)
はぁ〜!

町山さんと越智先生の対談

(町山智浩)
これ、すごい内容なんです。これ、越智先生と僕が毎回3巻の1巻ごとの巻末で、30ページ以上で対談して解説してるんですよ。

(赤江珠緒)
えー!

(町山智浩)
そう。それで合計で100ページくらいの解説なんですけど。

(赤江珠緒)
そうですね、これだけで一冊になるね。

(町山智浩)
そうそうそう。そうなんです。そういう事をやらせて頂いて、まぁ僕アメリカに住もうと思ったのは、やっぱり越智先生の薫陶(くんとう:自分の徳で他人を感化する事)を受けたからなんですね。はい。でもう本当にね、いくら感謝しても感謝しきれないんで、ここでちゃんと感謝させて頂こうと思いまして。

(赤江珠緒)
あ〜そうですね、それだけこう人生に影響を及ぼして下さった、まさに恩師だったんですねー。

(町山智浩)
そうですね、本当に恩師でしたね。あとまぁ、みうらさんもそうですけどね、みうらじゅんさんもね。(笑)

(山里亮太)
師匠の幅が広いですね!(笑)

(赤江珠緒)
本当ですね。(笑)

町山さんの師匠、みうらじゅんさんの名言

(町山智浩)
そう師匠!色んな師匠がいるんですが。(笑)みうらさんはね、僕に教えてくれたのは、「何か仕事がない」って絶対に愚痴るなって言われたんですよ。

(赤江珠緒)
へー!

(町山智浩)
そう。誰かがやってる仕事っていうのをやろうとしても駄目なんだと。誰もやらない事をやれと。その場合は仕事が絶対ないからと。求められてない訳だから。そういう話をして・・

(赤江珠緒)
みうらさんそのものですね。なんかね。(笑)

(山里亮太)
そうですね!

(町山智浩)
そうそうそうそう。仏像を見に行くとかね、誰もそれ仕事にしてなかったんですけども。。

(山里亮太)
世の中の奇才とかをね、取り上げたりとか。。

(町山智浩)
そう。誰かが何かやってるからって、それを仕事にしようとするなって言われてね、それはすごかったですねぇ。

(赤江珠緒)
はぁ〜・・そうかぁ。。

『83歳のやさしいスパイ』はドキュメンタリー作品

(町山智浩)
そう。色々と、師匠に恵まれましたよ僕はね、本当に人生でね。
で、今日紹介する映画がまたね、そういう話なんですけど。。そういう話でもないか。(笑)えと、『83歳のやさしいスパイ』というタイトルの映画です。はい。
えーこれね、83歳のおじいさんが、私立探偵の事務所に雇われて、スパイをするというドキュメンタリーなんですよ。

(赤江珠緒)
83歳の方が!うん。

引用:IMDb.com

介護士の人達に虐待されているのでは・・?

(町山智浩)
はい。でね、これね、チリ映画ですね、南米のね。はい。で、これね、どういう事になっているかというとですね、まず探偵をしなきゃならないのは、老人ホームでソニアさんというおばあさんが入ったんですけども、どうもなんか、介護士の人達に虐待されてるんじゃないかと遺族・・遺族じゃないごめんなさい!家族の人が怪しみまして。で、お金持ちらしいですね。それでその私立探偵に依頼して、調べてほしいと言われたんですね。

(赤江珠緒)
はー!へぇ。

(町山智浩)
まぁ高価なペンダントとかを盗まれたりしてるらしいと。ね。じゃぁどうしようと。じゃぁおじいさんを、その老人ホームに入れて、潜入させて、内部から調査させようという事になったんですよ。

(赤江珠緒)
そうね。潜入捜査員という意味では確かにこの場合、83歳という年齢というのは有利ですよね。

老人ホームへの潜入捜査

(町山智浩)
そうじゃないと入れないんですけど。(笑)えーまず、新聞で募集したら、これ面白いんです、新聞って読んでる人がやっぱりね、チリもあんまりいないらしくて。新聞なんかに出していいのかとか言ってるんですけど。

おじいさんは新聞を読んでるんですね。

(山里亮太)
なるほどぉ!

(町山智浩)
だからもう、ワーッと殺到するんですよ。ね。そうすると、まぁ年金がね、あんまりないからちょっとでも仕事が欲しいんだっていう人もいるし。ただここで採用される人はセルヒオさんっていうおじいさんで、奥さんが亡くなって、何もする事がないと。お金もあるんだけども、毎日何したらいいかわからないから、なんでもいいから、宿題みたいな事が欲しいって言って、応募してきたんですね。

(赤江珠緒)
なるほどぉ!うん。

スパイとしての勉強

(町山智浩)
で、彼が雇われて、まずですねスパイをしなきゃならないから。あのこれ殆どコメディみたいな映画なんですけど。(笑)スマホの使い方をね・・要するに「写真撮って送れ」とか、「テキストは・・」とか言うんですけど、全然できないんですよ、みんな。(笑)

(赤江珠緒)
あ〜。そっか。

(町山智浩)
そう。スパイになりたいって言ってる人達は。全然スマホが扱えなくて、どうしようもなくて。(笑)電話をしてくるにしても、普通に喋っちゃ駄目だと。暗号を覚えて欲しいと。

(赤江珠緒)
あ〜。

(町山智浩)
ね、”QSL”とかね今何が起こってるかとかね、”QAP”とか色々暗号を教えるんですけど、全然覚えないんですね。

(赤江珠緒)
ははははは!(笑)

暗号が覚えられない

(町山智浩)
はい。(笑)これ僕もそうなんですけど、短期記憶がなくなるんですよ、歳取ってくると。

(赤江珠緒)
あ〜、うんうん。

(町山智浩)
これね、昔の事はね、いくらでも覚えてるんですけど。それこそ小学校の頃に、校庭でドジョウすくいをした事は覚えてるんですよ。(笑)

(赤江珠緒)
それ先週、話した話!はい。(笑)

(町山智浩)
それなのに、先週どこで何食べたかとか全然思い出せないんですよ。(笑)

(赤江珠緒)
それはそうですよ。なってくる。うん。

最近の俳優の名前が覚えられない

(町山智浩)
そう。でね、昔の俳優の名前とかいくらでも覚えてるんですけど、最近の俳優とかはもう全然顔が一致しないんですよね。

(赤江珠緒)
あっ!町山さんでも!へぇー!

(町山智浩)
出てこない時ありますよ。あれあれあれとか言って全然出て来ないんですよ。

(赤江珠緒)
ふ〜ん!

(町山智浩)
で、僕くらいの年齢の人と、映画ファンでみんなで話すじゃないですか。

(赤江珠緒)
はい。

(町山智浩)
そう、本当にね、誰も名前が出てこなくてね。(笑)

(山里亮太)
はははははは!(笑)

(町山智浩)
全員であれあれあれって言ってるんだけど、出てこないんだけど誰だかわかってるんですよ。

(山里亮太)
あー!

(赤江珠緒)
そうなんですよね!みんなで思い浮かべてる人は一緒なんだけど!って言う。。

(町山智浩)
そう!でも出てこないとかそういう状態になるんで、そういう人をスパイで行かせて大丈夫なのかって言う。。

(赤江珠緒)
そうね・・!

引用:IMDb.com

まず顔が覚えられない

(町山智浩)
まずね、このソニアさんのね、顔を覚えてくれっていう風に言われるんだけど、それがまず覚えられないって言う。(笑)

(赤江珠緒)
えー!そこは・・そこからだと厳しいなぁ。。(笑)

(町山智浩)
そう。これ「ターゲットなんだけど」って言っても覚えられないんですよ。そういう状況で行くって言うんでね、笑っちゃうんですよね。もう。コメディーでね。

(山里亮太)
ドキュメンタリーなんですもんね!

老人ホーム内での撮影はどうやって行ったのか?

(町山智浩)
ドキュメンタリーですよ、本当に。でね。これね、撮影どうやってやったのかっていうのが謎なんですよ、見てると。本当に老人ホームの中で彼が活躍・・活躍って言うか、調査してるのが普通に写ってるんですけど、これカメラどうやってやってんだ?と思って。はい。

(赤江珠緒)
確かに。うん。

(町山智浩)
これ映画の中で全く説明がないんですけど、これね、元々、監督のマイテ・アルベルディという女性監督が、本当は私立探偵物のミステリーを作ろうとしてたらしいんですよ。

(赤江珠緒)
ふんふんふん。

いきあたりばったり

(町山智浩)
で、私立探偵の事務所に、取材してたんですね。で色々取材してたら、老人ホームのスパイの仕事が入ったんだけどと。「あ、じゃぁそれ面白いからそれ撮りましょう!」って事に・・ていうかね、いきあたりばったりで撮ってる映画なんですよ。(笑)

で、この映画ね、こないだのアカデミー賞のアカデミー国際映画賞という部門にノミネートされてるんですよ。候補作になってるんですよ。それなのにね、いい加減なね、いきあたりばったりで制作してる映画なんですよ。(笑)

(赤江珠緒)
ははははは。(笑)

(町山智浩)
そう。思いつきでやってるんですけども。

(赤江珠緒)
そうですよね、たまたまですもんね、それね。

「自分が老人ホームのドキュメンタリーを作るんだ」

(町山智浩)
たまたまなんですよ。はい。でね、老人ホームの中で撮影するのどうしようかと思って、で、彼女は「自分が老人ホームのドキュメンタリーを作るんだ」と言って、老人ホームの管理人とか経営者の人を説得してるんですよ。

(山里亮太)
あー!

(町山智浩)
ところが実際は、老人ホーム内で虐待が行われてるかどうかという調査なんですよ。でもそれは黙ってるんですよ。で、セルヒオさんが私立探偵から送られたスパイだって言う事は老人ホーム側には知らせてないんですよ。これすごく複雑なんですよ。で、更に、老人ホームにいる人達がいますよね、中に入ってる人達、おじいさんおばあさん達には、ある老人の事を心配している家族がいるんで、頼まれてここに撮影に来ていますって言ってるんですよ。だから自分達が撮られてると思ってないんですよ。

(赤江珠緒)
あーなるほど。

二重三重に嘘をついて撮影

(町山智浩)
これ二重三重に嘘をついててね。いいのかなこれ!と思ってますけど。(笑)まぁ後で説明して納得させたから公開されてるんだろうと思いますけど、まぁドッキリみたいな感じですよね。

(赤江珠緒)
そうですね。

(町山智浩)
そう。とりあえず非常にね、欺瞞(ぎまん:人を騙し欺く事)に満ちたね、撮影をしてるんですけども。(笑)でまぁ、それで調査としてそのセルヒオさんが入るんですけど。で、色々調査してくれって言うんですけど、まずね、ソニアさんの顔を覚えてないしね、すごくシャイで、話しかけられないんですよ、このおじいちゃん。

(赤江珠緒)
えぇっ!

(山里亮太)
かわいいおじいちゃん。(笑)

引用:IMDb.com

お祖父ちゃんはシャイ

(町山智浩)
かわいいお爺さんなんですよ。でね、殆どここに入ってる人達が、おばあさんなんですよ。

(赤江珠緒)
あぁ、女性の割合のほうが多い?

(町山智浩)
女性が圧倒的なんですよ。彼と数人しか男性がいないんで。周り全部女だらけだから、このお爺さんはもう、若い頃から奥さん一筋だったから、むちゃくちゃ緊張しちゃうんですよ。「わ、私・・は・・妻以外とはあんまり喋った事がないので・・」みたいな感じで。

(赤江珠緒)
はーー!

(町山智浩)
そう。で、敬語で話してるんですね。お爺さんになるとすごく傲慢で「おい!」みたいな人もいますけど。彼はシャイで礼儀正しいんですよ。で、モテモテになっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
はははははは!!

(山里亮太)
スパイー!(笑)

モテモテになる83歳スパイ

(町山智浩)
スパイもてもてって・・ありますけどね。ジェームズ・ボンドとかね、美女いっぱい侍らしてってね。それに近い状態になってくんですけどね。でね、いるうちに「彼はシャイだし、ジェントルマンで紳士でね、で優しいし、人の話をよく聞いてくれるの〜」って言うんですけど、それ調査してるんだけどね!(笑)

(赤江珠緒)
はははははは!(笑)

(町山智浩)
聞き込みやってるからね、色々話を聞くんですよ。「そうなんですか。」「そうなんですか。」って礼儀正しく。話を聞いてもらえないんですよね、こういう所・・

(赤江珠緒)
あぁそういう事かぁ。

熱心に話を聞く

(町山智浩)
そう。だから本当に熱心に話を聞いてくれるから、本当にあの人好きだわ〜みたいな感じで・・で、年に1回の老人ホームのお祭りがあるんですね。その時にまた、チリの人達が嫌な事をやる訳ですよ。「1番人気があるのは誰!?」ってやるんですよ。

(赤江珠緒)
あは〜!高校生とかね、そういうのある・・。

(町山智浩)
日本なんか絶対やんないけど、アメリカとか1番人気のある人達がウイーンとかキングとかになったりするんですね、プロムとかでね。あぁいうのやめた方がいいですね、ムカムカするからね。

(赤江珠緒)
はははは!

(町山智浩)
ソフトボール部の奴とか選ばれたりする訳ですけど。

(山里亮太)
そうですね!

(赤江珠緒)
ドラマでも見ますね、そういうの。(笑)

キングとクイーン

(町山智浩)
チアガールの子がクイーンになったりしてね、でこう、王冠被せられて2人でこう並べられて、街をね、練り歩いたりする訳ですよ。アメリカって。

(山里亮太)
でも町山さん、そういう2人って大体あの、仲間同士で湖畔に行くと・・襲われません?(笑)

(町山智浩)
そう!斧で頭割られたりする訳ですよね!ジェイソンとかにね。(笑)

(赤江珠緒)
ジェイソンの話はこの場合いいんだよ。(笑)

(町山智浩)
串刺しになったりしますけど。(笑)

(山里亮太)
湖畔に行くとね、大体。(笑)

(町山智浩)
そう、そう、静かな湖畔のね。ジェイソンとかが出てくるんですけど。で、ここでやったらね、セルヒオさんがキングになっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
あぁ選ばれちゃった!

次々とワルツ

(町山智浩)
まぁ男があんまりいないんですけどね。王冠被せられて、この老人ホームにいる女性達はみんな、あなたが好きなのよー!とか言われて。次々とね、ダンスになるんですけど、次々と「私と踊って!」「私と踊って!」とか言って、次々とワルツをしていくんですよ。本当に王子様ですよ!ねぇ。なんか全然違う話になってるんですけど。

(赤江珠緒)
そうなんだ。(笑)調査はどうなったのさ。

(町山智浩)
そう。スパイで入ってるのに、1番目立つって。(笑)まぁジェームズ・ボンドもそうですけどね。スパイで入ってるのにナンパしまくっててめちゃくちゃ目立ってるのがジェームズ・ボンドですけど、どこがスパイなんだかよくわからないんですが。そういう状態になってますけど。

それだけじゃなくて、そのパーティーでね、1人の女性から・・ベルタっていう女性からですね、コクられちゃうんですよ!

(赤江珠緒)
えー!

引用:IMDb.com

告白までされてしまう

(町山智浩)
「セルヒオさん!私、あなたが好きなの!」って言われるんですよ。みんながいるんですよ!?で、みんながワーー!!みたいな感じになって。で、彼女は、カトリックの国だからなんですけど、独身だったんですね、ずっと。で、85歳なんですけど、「私ね、ヴァージンなの!」って言われるんですよ。

(赤江珠緒)
ほーお!うん。

(町山智浩)
「私は、本当に愛する人の為にずっと取っておいたの!」って言うんですけど、85年物ですからね!

(赤江珠緒)
ふふふふ。(笑)

(町山智浩)
大変な事になってますけども、熟成してて。(笑)なんか、全然違う話になってません?

(山里亮太)
しかもこれ、ドキュメンタリーの話してますからね今!

(赤江珠緒)
そうねぇ。全然違う人間模様が見えてきたねぇ。

ぜんぜん違う話になっていく

(町山智浩)
ドキュメンタリーなんですけど。(笑)そういうね、笑っちゃう所もあってね、でもね、いい話なんですよ、結構。

(赤江珠緒)
ね、これまた人間臭い話というかね。いくつになってもね、いいね。

(町山智浩)
ねぇ。このベルタさんはね、「セルヒオさん、私の事好きかしら?」って言って、雛菊のね、花びらを1こ1こ、こうやって、花占いするんですよ。

(赤江珠緒)
わーー乙女だ!

(町山智浩)
そう。「愛してる」「愛してない」ってやるんですよ。ねぇ。で、みんなでカラオケ大会やってもね、こうやっぱりこう・・恋の歌を歌うんですよみんな。

(赤江珠緒)
へぇ〜!

恋してないと生きられない

(町山智浩)
80歳過ぎても人間やっぱりね、恋してないと生きてられないんですね!

(赤江珠緒)
そうなんだな、そうでしょうね。

(町山智浩)
そう。その一方でね、やっぱりね、認知症になっていく人もいて、「ここから出して!」って毎日言ってる人がいるんですよ、マルタさんって人で。その人はね、「ママが私をここに入れてね、入れっぱなしなの!」って言うんですよ。で、「ママが全然迎えに来てくれないの!」って言うんですね、80歳過ぎて。

で、まぁお母さんなんて生きてる訳ないんですよね。。

(赤江珠緒)
うん。そうねぇ、この方が80超えてたらねぇ。

認知症になっていく人も

(町山智浩)
子供に返っちゃってるんですよ。で、「私の学校かばん知らない?」とか言うんですよ。で、「教科書やノートが入ってるの!」とか言うんですけど。で、「ママがいない!」とか言うと、どうするかって言うと、その介護士の人が別の部屋から電話してくれるんですよ、携帯に。そのマルタさんの。で、「ママですよ〜。」って言うんですよ。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
すると「ママ、どうして迎えに来てくれないの?」ってやるんですけど、これね、認知症になると、自分の愛する人が亡くなった事を忘れちゃう場合がありますよね。

(山里亮太)
あぁ〜・・。

(町山智浩)
その場合絶対に、「その人はもう亡くなりました。」って言っちゃいけないんです。

(赤江珠緒)
あっそうなのか・・!

老人ホームで絶対に言ってはいけない言葉

(町山智浩)
絶っ対に言っちゃいけないんです、それは。これね、今は日本で公開されている『ファーザー』という映画がありまして。

映画「」のポスター

(赤江珠緒)
あー町山さんに紹介して頂いた。

(町山智浩)
はい。あの83歳の、アンソニー・ホプキンス主演でアカデミー賞取りましたけども。彼にインタビューしたら、その娘役の方がオリビア・コールマンという女性で、この人もアカデミー賞取ってる人ですけども、お母さんが介護士だったんですって、老人の。で、オリビア・コールマンのお母さんが言った事がですね、「うちの女房どこだ?」とか、「うちの旦那どこ?」っていう風に認知症の人が言った場合に、亡くなってた場合にね、忘れてるから、絶っ対に、「あの〜もう既にお亡くなりになりました。」って言ってはいけないっていうのは決まりなんですって。

(山里亮太)
へぇ・・!

引用:IMDb.com

そこで殺してしまった事になる

(町山智浩)
何故ならば、その人は死んでる事を知らないから、自分の旦那が。「死にましたよ。」って言ったらそこで殺した事になるんですよ。

(山里亮太)
そうだぁ。。

(赤江珠緒)
そこで初めて失ったっていうその感覚をまた味わうのか。。

(町山智浩)
初めて失うんです。そう。愛する人を失うっていう悲しみをその人にその場で与えちゃうんですよ。

(山里亮太)
もう1度・・。

(町山智浩)
もう1度。で、何度も言ったりするバカな介護士もいるみたいですけど。

(赤江珠緒)
わ〜・・そうか。。

時間が飛ぶ現象

(町山智浩)
絶っ対にやっちゃいけないんです。そう言われたら、「あの〜旦那さんちょっと出かけてますから。」って言うものなんです。それは本当の思いやりなんですよね。そういう所が出てきたり。あとね、ルビラさんていうすごくインテリなね、非常にその上品で教養のあるおばあさんが出てくるんですけど。あのね、短期記憶が失くなってくる事がわかるんですよ。つまり、時間が飛ぶんですね。その数時間前が思い出せないっていう・・時間が飛ぶ現象が起こって。その『ファーザー』っていう映画は、認知症の人の立場で持って撮られた映画で、時間が飛んで、今家にいると思ったら全然違う所にいたりするんですよ。

(赤江珠緒)
その恐怖があるってね、町山さんさん仰ってましたもんね。あれ?さっき喋ってた人が、あれ?いなくなって、違う人になってるとかね。

(町山智浩)
そうそうそう。間が飛んじゃうから、突然そこにいた人が違う人になってたり、自分が全然知らない所にいたりするっていう恐怖があって、ルビラさんがその事を非常に論理的に・・頭でわかってるんだけど、そうなっちゃうんですよ。で、ものすごいパニックに襲われるっていうシーンがあるんですね。で、記憶があやふやで・・「あなたの顔とか名前が覚えられない。」みたいな事で、ものすごく恐怖に襲われるんですね、それね。つまりだって自分が壊れていく感覚だもん。

(赤江珠緒)
んー!

自分が壊れていく感覚

(町山智浩)
自分が故障していく感覚。俺が、ちょっと頭ハゲたな!っていつも思ってるけど、それどころじゃないんですよ。

(赤江珠緒)
んー!うん!うん!

(町山智浩)
ね。崩壊の仕方っていうのが、自分っていうのが存在が壊れていく感覚ですよ。

(赤江珠緒)
そうね、それは怖いな。考えると。本当に。

(町山智浩)
そう。そういう恐怖に怯えている人をね、そのセルヒオさんは優しく抱きしめてくれるんですよ。

(山里亮太)
は〜・・なるほど。

(町山智浩)
だからスパイとしてはね、ミッション忘れたりしてて大ボケなんですけど、人としては素晴らしい人なんですよ。

(赤江珠緒)
ふふふ、へ〜え!いや、なんだろう、思いも寄らない事が浮き彫りになって来てますね。確かに。

(町山智浩)
そうなんです。はい。

(山里亮太)
どうなるんだろう、目的達成出来るのかなぁ?

スパイの目的は達成できるのか?

(町山智浩)
目的を達成できるかどうかはよくわからないんですけど。(笑)はい。というね、これは・・僕はもう間近な事なんでね。。

(山里亮太)
そうですか!?

(町山智浩)
そうですよ。僕来年、還暦ですよ!

(赤江珠緒)
いやまーでもね!

(山里亮太)
まだまだ!

(町山智浩)
そしたらあと20年後、この状態ですからね。

(赤江珠緒)
まぁそうね、誰しもね。。

心温まる素晴らしい映画

(町山智浩)
だからねぇ、でもね、すごく心温まる素晴らしい映画でしたね。『83歳のやさしいスパイ』という映画。はい!え〜という事でね、これは7月に日本公開です!

(赤江珠緒)
ねぇ。今写真見てもこのお爺さんの、セルヒオさんが、いい感じのお爺さんだもんね。

(山里亮太)
そうそうそうそう!

(赤江珠緒)
虫眼鏡を覗いてる、ちょっとチャーミングな感じの方ですもんねぇ。

(町山智浩)
こういうお爺さんにならなきゃなぁと思いましたね。

(赤江珠緒)
ねーそうですか。『83歳のやさしいスパイ』は、7月9日シネスイッチ銀座他、全国公開です。町山さん、色々ありがとうございました!

(山里亮太)
ありしたーっ!

(町山智浩)
どもでした!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

③しかし、83歳なのでスマホの操作がわからず、暗号も覚えられない、ターゲットの顔も覚えられない
⑧認知症の老人に「その人はもう亡くなりました。」は絶っ対に言ってはいけない

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