アメリカ THE MOVIEの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『アメリカ THE MOVIE』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『アメリカ THE MOVIE』解説レビューの概要
①建国記念日の時期、アメリカでは建国の父であるジョージ・ワシントンの伝記アニメや子供向けのドラマが放送されている。
②○○向けのアニメ『アメリカ THE MOVIE』
③Fワード連発でめちゃくちゃな内容
④アメリカを独立させた理由が「○○ばっかり飲まされるから」という内容になっている
⑤ボストン茶会事件のリーダー、サミュエル・アダムズが今はビールのラベルになっている。
⑥政治ギャグ満載のアニメ
⑦建国の父達を徹底的にギャグにしている
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
アメリカは7月4日が建国記念日
(町山智浩)
で、建国記念日という事で、アメリカはですね。すべて独立記念日の行事ばっかりになってるんですけども。で、映画とかもですね、独立記念日向けの映画がネットフリックスとかで公開されたりテレビもね、子供向けの番組で朝の番組、特に土曜日の朝っていうのはアメリカはその・・漫画ばっかりやってるんですよ。
(赤江珠緒)
ふーん!はい。
アメリカの建国の父であるジョージ・ワシントン
(町山智浩)
土曜日とか日曜日は。で、こういう時期っていうのは、大抵その、アメリカの建国の父であるジョージ・ワシントンの伝記アニメとか、子供向けのドラマとかそういうのをやるんですね。
(山里亮太)
はぁはぁほう。
(町山智浩)
で、大人向けのも作られまして。日本でも見れるんですが、今日紹介するのは『アメリカ THE MOVIE』という・・ネットフリックスの独立記念日向けアニメです。紹介します。
(山里亮太)
へぇ〜!
(町山智浩)
これはさっき言ったみたいに、ジョージ・ワシントンとかのアメリカの革命。イギリスと戦って独立した時の、まぁ英雄達のアニメなんですが、絵柄的にはそういうアメリカ独特のアメコミ調のアニメでやってるんですけども。大人向けなんで、なんというか、子供は見れない内容になっています。
子供が見れない内容『アメリカ THE MOVIE』
(赤江珠緒)
子供が見れない内容?(笑)うん。
(町山智浩)
子供は全く見れない内容になっています。はい。っていうのはね、ジョージ・ワシントンがイギリス軍と戦うんですけれども、その戦う方法がですね。両手にチェーンソーを持って、振り回してイギリス兵の首を切りまくるんですよ。
(赤江珠緒)
えっ?ジョージ・ワシントンが?
(町山智浩)
そう。ジョージ・ワシントンが。で、「お前ら、桜の木の話は知ってるよな?」って言って。(笑)
(山里亮太)
はははは。
(町山智浩)
「桜の枝はこうやって切るんだ!」って言いながら、イギリス兵の首をバババッと切りまくるんですよ!
チェーンソーを持って暴れるジョージ・ワシントン
(赤江珠緒)
えー!あのエピソードをネタにしちゃうの?(笑)
(町山智浩)
そう。どういう事?とか思うんですけど。そうすると切られた生首とかから血がビュービュービュービュー吹き出すというですね。めちゃくちゃな内容になっています。
(山里亮太)
すごいな。
Fワード連発
(町山智浩)
すごいです。あと、英語・・まぁ日本では字幕が付いて見れるんですけど、ネットフリックスで。英語ではもう、いわゆるその”Fワード”と言って。まぁファックってやつを言いまくって、めちゃくちゃになってるんですけど。で、イギリス兵の方もね結構めちゃくちゃで、イギリス兵はね、2階建てバスでやってきます。
(山里亮太)
はははは。ロンドンのね。(笑)
(町山智浩)
そうそう、時代違うんですけど。2階建てバスにロボットみたいに足が生えたイギリス軍が攻めてくるっていうね、もうめちゃくちゃな内容になってるんですけど。で、なんでアメリカがイギリスに対して、まぁ植民地だった訳ですよね、アメリカはね。そこでイギリスから住み移った人達が自分達の母国であるイギリスに対して、反逆を起こしてね、アメリカを独立させたかっていうその理由というのはですね、紅茶ばっかり飲まされるからっていう話になってるんですよ。
(赤江珠緒)
え?え?(笑)
紅茶ばかり飲まされるから反逆?
(町山智浩)
それ違うのにね。(笑)本当の話は、普通に紅茶飲んでたら、その紅茶に対してイギリス政府が、ものすごく税金を高くかけてきたんで、それに対して”我々は政治的な議員をとかを選んでないのに、選挙に参加できないのに税金だけ取られるのはおかしい”っていう事で、武器を取って戦った訳ですが。
(赤江珠緒)
ティーパーティー事件、なんか習いましたね。
(町山智浩)
そうそうそう。ボストン茶会事件ですよ。
ボストン茶会事件
(町山智浩)
でイギリスが運んできたお茶を海に捨ててね。で、それをボストン茶会事件のリーダーをしたのがサミュエル・アダムズという人なんですよ。それが全然違う話になって。本当はビール飲みたいのに、アメリカ人は。ビール飲んでパーティーしたいのに、お茶ばっかり飲まされて、ムカつくぜって事で反乱を起こすっていう、全然違う理由になってますね。(笑)
(赤江珠緒)
はははは。いやいやいや、すごいちっちゃい話になってるけど。(笑)
(町山智浩)
すごいちっちゃい話になってるんですよ。っていうのは、これね、アメリカ人が見ると結構笑うのは、そのサミュエル・アダムズっていうその茶会事件のリーダーは、アメリカではそのビールのブランドになっちゃってるんですよ今。
(赤江珠緒)
あっ!本当だ!ラベルになってる!
(町山智浩)
そうなんです。で、アメリカ人でも、あんまり勉強しない人は、この人はただのビール会社の親父だと思っている人が多いんで。
ボストン茶会事件のリーダー、サミュエル・アダムズが今はビールのラベルに
(赤江珠緒)
はははは、嘘でしょう?(笑)ふふふ。
(町山智浩)
本当は革命の英雄なのにね。で、ただのビールを飲みたいというだけでね、革命戦争を起こすという話になっちゃって、もうめちゃくちゃなんですよ。ただね、その紅茶っていうのは、イギリス側がアメリカ人を手懐けるための、なんていうか洗脳のための薬になってて。そのアメリカ人が、その紅茶を飲むとイギリス人になっちゃうっていう話になってます。
(山里亮太)
いや・・めちゃくちゃ・・。
紅茶を飲むとイギリス人に?
(町山智浩)
そう。洗脳されちゃう。イギリス人に改造されて、従順なイギリス人になってしまうって言って。「お茶飲むなー!」とか言ってるんですけど。で、紅茶飲むと、アメリカ人がイギリス人になるっていう表現はね、歯並びがグチャグチャになるっていう表現なんですよ。
(赤江珠緒)
えっ!そうなんですか。
イギリス人=歯並びが悪い
(町山智浩)
これはね、アメリカ人はイギリス人の歯並びが悪いと思い込んでるんですよ。
(赤江珠緒)
あぁ、そういうイメージがあるんですね、アメリカの中で。
(町山智浩)
アメリカの中でイメージがあるんですよ。これはね、アメリカ人の中にすごく根強く残る偏見なんですけども、彼らの考え方は、アメリカには貧富の差はないんだ。・・あるんだけどね。イギリスで貧富の差がひどいから、貧しい人は歯を治す事ができないんだっていうまぁ、昔からあるそのなんて言うんですかね・・。
(赤江珠緒)
は〜〜〜歯の矯正を、してない。と?
政治ギャグがいっぱい
(町山智浩)
そうそう。そうそう。イギリス人に対する偏見を、こういうアニメで茶化してるんですけど。で、その他にも色んなね、なんていうか政治ギャグばっかり詰まってるんですけど、例えばイギリス兵達が酒場で飲んでるんですね。その酒場のお店の名前が「ベトナム」っていうお店なんですよ。
(赤江珠緒)
ほ、ほう。。
(町山智浩)
で、そこに乗り込んで、「あいつらと戦おう!」とか言うんですけども、ジョージ・ワシントンが。そうすると「いや、やめとけ!我々アメリカ人はベトナムに入ると2度と出られなくなるぞ!」って言うんですけど、それはベトナムにアメリカ軍が攻め込んで、ベトナム戦争になって、泥沼になったっていう事をまぁ茶化してるんですけどね。実際ベトナム戦争よりもアフガン戦争の方が長くて泥沼もひどかったんですけどね。
(山里亮太)
そうだ・・。
特にひどい内容
(町山智浩)
そういう事をね、延々とやるというね。あと内容的にはね、まぁひどいのはね、アメリカ人達は、要するに軍人じゃないんですよ、みんなね。みんな殆どが農民なんですね、アメリカに来て畑を耕したいからの移民してきた人が多かったので最初は。ところがイギリス側は、ちゃんとした正規軍なんですよ。非常に訓練された軍隊で。それとどうやって戦うんだ?武器なんか我々は持ってないじゃないですか!とか言うんですよ。
すると、「あっ、アメリカではね、武器を買う時はスーパーマーケットに行けばいいんだ。」って。で、スーパーに行くと、「あの、これから反乱戦争を起こすんだけど、ライフルください。」って言うと「はいはいはい。どうぞどうぞどうぞ。」って言ってくれるんですよ。
(赤江珠緒)
えっ、もう時代が・・。(笑)
(町山智浩)
そう。それは今がそうだから。
(赤江珠緒)
そういう事ね。はー。
簡単に銃を買える現状を皮肉
(町山智浩)
そう。それで「チェックとかしないの?身元ー。」とか言うと「あぁ別にいいよいいよ。どんどん持ってってー。」って言われるんですけどスーパーで。
(赤江珠緒)
わー、そういう皮肉っているところもあるんだ。
(町山智浩)
そう。皮肉っているんですよ。だから全然アメリカ側、良くも描かれていないんですけど。で、「こうやって革命を起こしてアメリカ人は平等になるの?」とか言うと、「じゃぁ黒人はどうするの?」とかね。「先住民の土地奪ってるよ?」とか言ってみんな怒ってたりですね、そうやって悪いところもちゃんと見せてるんですけどね。
これ、スゴイなぁと思うのは・・あ、であとジョージ・ワシントンは行き当たりばったりで、あんまり何も考えないという典型的なアメリカ人になってるんですよ。(笑)勢いだけの人になっていて。
(赤江珠緒)
ふふふ。うん。
建国の父をギャグにするセンス
(町山智浩)
で、こういう・・まぁ歴史的事実とは全然違うんで全く勉強にはならないんですけど、この建国の父達を徹底的にギャグにするっていう事ができるってのは、やっぱりアメリカだなぁと思いますね。
(赤江珠緒)
そうですね。
(町山智浩)
これ出来ないよね、日本で。
(赤江珠緒)
ナンセンスギャグの世界に引きずり込んでいる感じが・・ねー。
(町山智浩)
そう。だから建国記念日に、神武天皇コメディとかをやってもいいと思うんですけど。
(赤江珠緒)
ふふふふ、日本だとね、そういう話ですね。(笑)
(山里亮太)
って言う事か・・はぁ〜。
(町山智浩)
やらないですね。誰も”やるな”って言ってないですけど誰もやらないですが。(笑)元ネタを知らない人が多すぎてギャグが通用しないのかもしれないですけど。はい。でもね、やっぱりアメリカこういうのやっちゃう所がね、非常にバカバカしいんですが。はい。で、アメリカ自体もバカにしてるんですけど、本人達がね、自分で。自虐ギャグなんですけど。そういうところ面白いなぁと思いますね。
(赤江珠緒)
へ〜。歯の矯正とか町山さんに聞かなかったら意味が分からなかったかもしれないですね、見てもね。
(山里亮太)
わからないもんね!
(町山智浩)
これ結構ね、わからないんですよ、ネタが。
(赤江珠緒)
そういうのが散りばめられてるんですね。
(町山智浩)
勉強した人だけが笑えるという内容になってますね。はい。という事でアメリカは今もう完全に再起動です。ものすごい元気になっています。
(赤江珠緒)
そうなんですね。『アメリカ THE MOVIE』はネットフリックスで配信中でございます。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
②大人向けのアニメ『アメリカ THE MOVIE』
④アメリカを独立させた理由が「紅茶ばっかり飲まされるから」という内容になっている