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孤狼の血 LEVEL2の町山智浩さんの解説レビュー

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2021年08月04日更新
確かに残酷シーンもすごいんですけど。これはもうなんか・・私はちょっと・・松坂さんすごく好きだけど、ちょっと怖いわ!っていう人もいると思うんですよ。鈴木さんすごい好きだけど、ちょっと怖い!っていう人もいると思うんですよ。でもね、我慢して絶対に行った方がいいですこれ!この映画、実は、松坂桃李と鈴木亮平のラブストーリーなんです。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『孤狼の血 LEVEL2』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『孤狼の血 LEVEL2』解説レビューの概要

①『孤狼の血』の続編である『孤狼の血 LEVEL2』
②前作で役所広司さん扮した大上刑事は、ヤクザの中に入っていく事でヤクザをコントロールしようとした。
③前作で大上は殺されてしまい、松坂桃李演じる日岡がその孤狼の血を引き継いだ。
④『孤狼の血』という映画は東映ヤクザ映画『仁義なき戦い』へのオマージュ
⑤松坂桃李さんがすっかり不良刑事になっている
⑥鈴木亮平さんが演じる上林がとんでもない。
⑦ヤクザ映画史上、最も凶悪だったのは『仁義の墓場』で渡哲也さんが演じた石川力夫っていう実在のヤクザ。
⑧2番めに凶悪と言われるのが大友勝利
⑨白石和彌監督いわく、この映画はヤクザ映画と言うよりは○○○映画。
⑩日本映画の最大の魅力は脇役たちの面白さ
⑪今作で裏表がない人物は1人だけ。それが上林
⑫この映画、実は、松坂桃李と鈴木亮平の○○○○○○○なんです
⑬大変な映画なので、はっきり言って○○なんで。

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『孤狼の血 LEVEL2』町山さん書き起こし

(赤江珠緒)
今日は久しぶりの日本映画ですね!

(町山智浩)
あっ、そうですね、はい。今日は東映の映画ですね。『孤狼の血 LEVEL2』という映画についてお話します。これは『孤狼の血』というのは”孤狼”って言うのは何だって・・ラジオって難しいですね。(笑)

(赤江珠緒)
確かにね!孤独の孤に狼でございますね!

前作『孤狼の血』のあらすじ

(町山智浩)
そうですね、まぁ孤独な狼という意味なんですけど、まぁ一匹狼の事ですね。で、これの続編なんですが、『LEVEL2』で。一作目は役所広司さんが一匹狼の役を演じたんですね。名字が”大上”って言うんですけども。で、彼は悪徳刑事だと言われてる刑事でですね、ヤクザと繋がって賄賂を受け取ったりしてると。言われて評判が悪かったんですけど、その大上刑事とコンビを組まされたのが、ものすごく真面目で正義感が強くて、若いエリート警官の松坂桃李さんなんですね。役名は日岡というんですけれども、それが一作目だったんですけど、ご覧になっていますか?

(山里亮太)
はい!見ましたー!

(赤江珠緒)
見ました。

(山里亮太)
すごかったですよね!

役所広司さん扮する大上刑事

(町山智浩)
ねぇ。最初ね、この役所広司さん扮する大上が・・なんというか、悪の限りを尽くしてるように見えるんですよね。で、ところが段々わかって・・日岡は・・松坂桃李さんは彼を軽蔑してて。憎んでいるんですけど、最初は。「汚れた刑事だな。」と思って。ところが段々分かってくるのが、この役所広司さん扮する大上刑事は、ヤクザの中に入っていく事でヤクザをコントロールしようとしてると。

(赤江珠緒)
そうなんです、だから悪と正義の線引きがね。難しいって言うようなね。

(町山智浩)
非常に難しいんですよね。善悪を超えた形で、ヤクザ同士の抗争をなんとかコントロールしようとしてるんですね。だからまぁ一言で言うと毒をもって毒を制す。悪をもって悪を制する正義の刑事が大上刑事だったんですけども。まぁ非常に危ない橋を渡ってるんで、警察からもヤクザからも狙われて結局殺されてしまうんですね。

(山里亮太)
エグい殺され方するんだよね〜。

(赤江珠緒)
そうなんですよ〜、ねぇ〜!

日岡は大上の孤狼の血を引き継いだ

(町山智浩)
すごい殺され方をするんですけど。で、その・・死を知った日岡は、実は大上は正しかったっていう事を知って、その彼の孤狼の血ね、一匹狼の血を引き継いで!

(山里亮太)
はー!

(町山智浩)
で、ヤクザ同士を戦わせて、まぁ潰していくと。いう話が一作目だったんですね。で、この『孤狼の血』という映画は、すごく東映で作られた映画である事が非常に重要なんですよ。これは白石和彌監督の東映ヤクザ映画、実録ヤクザ映画へのオマージュとして作られているんですね。

(赤江珠緒)
うんうんうん!

東映ヤクザ映画『仁義なき戦い』へのオマージュ

(町山智浩)
具体的には『仁義なき戦い』シリーズですね。

(赤江珠緒)
そうですね。だから広島か。そっか。

(町山智浩)
そうなんです。広島と呉が舞台なんですけれども。で、東映のいわゆる三角マークで、ドバーンッ!とこう波がね、打ち寄せる、あのオープニングがないとこの映画というのは本当にもう全然意味がないんですけども。あれでグワーッと来るんですよ。はい。で、その続編が今回の『LEVEL2』なんですね。で既に松坂桃李さんは・・日岡は、もうすっかり孤狼になってですね、不良刑事になってます。

(赤江珠緒)
あの日岡くんが・・はい。

松坂桃李さんはすっかり不良刑事に

(町山智浩)
そうなんです。で、バーのママさんを恋人にしてるんですが、そのバーのママさんをやっているのは乃木坂の彼女ですね、西野七瀬さんが演じてるんですけども、その彼女を愛人にして、その彼女の弟をヤクザの組に無理矢理入れてですね、スパイにして情報を取ってるという酷い男というか、まぁそういう悪と正義のギリギリのところを行っている刑事なんですね。

で、その彼がせっかくそうやってヤクザをコントロールしているのに、でバランスを取っているのに、そのバランスを壊す男が出てくるんですよ。はい。それは鈴木亮平さんが演じる、上林という男なんですが。彼が刑務所から出てくるんですね。彼はものすごく凶暴なんで、刑務所の監守達が面倒くさくなって出しちゃったんですよ。

(赤江珠緒)
えっ、そんな?うん。

鈴木亮平さんが演じる上林

(町山智浩)
そういう奴なんですね。でムショから出てきたその足で自分をいじめた看守の家族の家に行って、まぁ殺しに行くんですよ、その家族を。

(赤江珠緒)
ええええ!!

(町山智浩)
というね、まぁ殺人マシーンなんですね、鈴木亮平。はい。で、彼が敵だろうと味方だろうと、自分の兄貴分だろうと親分だろうと、片っ端から殺していくと。

(赤江珠緒)
えっ、その・・味方まで?えっ?えっ?

悪魔的な怖さ

(町山智浩)
味方まで。自分の兄貴とか親分も全部殺しちゃうんですよ。でメッチャクチャになっていくという話なんですね。それが今回の『LEVEL2』なんですよ。で、とにかくね、この映画はね、鈴木亮平さん演じる上林がすごいんですよ!これね、髪型が写真で見るとわかるんですけども、こうもみあげを全剃りしてですね、まぁ鈴木さん、ちょっと耳が尖ってるんですね、彼ね。

(赤江珠緒)
あ〜〜ほんとだ。

(山里亮太)
確かに。

(町山智浩)
で、すごい独特の怖〜いね、悪魔的な感じになってるんですよ今回。

(赤江珠緒)
その剃り上げた上にパンチパーマっていう感じですか?

(町山智浩)
そうなんですよ。はい。で、まぁすごく冷たい目をしてですね、片っ端からヤクザの上下関係とかも無視して殺しまくるんですね。それだけじゃなくてヤクザって普通、金儲けが重要じゃないですか。シノギと言われるね。それとヤクザ同士の中で出世していく事が目的じゃないですか。そういう事、全然考えないんですよ、この上林ってのは。全部殺しちゃうんですよ、片っ端から。

(山里亮太)
1番ヤバイやつだ。

ヤクザ映画史上、最も凶悪と言われているのは・・

(町山智浩)
1番ヤバイやつなんですよ。”ヤクネタ”って言われるんですね、ヤクザ業界では、こういう人をね。で、東映のね、ヤクザ映画史上の最も凶悪なヤクザの中に結構入るぐらいのキャラクターですね。で、1番凶悪と言われてるのは『仁義の墓場』で渡哲也さんが演じた石川力夫っていう実在のヤクザ。はい。ご覧になりました?

(山里亮太)
はいはいはい!はい見ました!

(町山智浩)
これ、スゴイんですよね、親分でも殺しちゃうし。ねぇ。まぁ超アナーキーなんですけども、まぁ彼が1番最強と言われてるんですね。

2番めに凶悪と言われるのが大友勝利

で、2番目がね、『仁義なき戦い 広島死闘篇』 に出てくる、千葉真さんが演じた大友勝利というヤクザがいて。

 

映画「」のポスター

 

(山里亮太)
あーはいはい!

(町山智浩)
これは凶暴というかね、デタラメなんですよこの人。で、木刀を振り回していつも暴れているんですけど。とにかく粗暴でね下品で、1番問題なのはこの千葉真一さん演じた大友勝利のセリフはラジオで絶対に放送ができないんですよ!

(山里亮太)
はい。はいわかります。アレだなっていうのは。

町山さんでも言えないセリフ

(町山智浩)
スゴイんですよね。まぁ言えないですよ・・俺でも言えないんですよ。(笑)

(山里亮太)
相当ですよ!町山さんが言えないって!

(赤江珠緒)
そうですね!

(町山智浩)
そう。もう完全に言ったら人格を疑われるようなセリフを言ってるんですけど。この2人が最も凶悪と言われているんですが、そこにね、かなりね、肉迫しているのが今回の鈴木亮平さんですね。

(赤江珠緒)
すごいですね・・へぇ〜!

この映画はまぁ基本的にヤクザ映画って言うよりはゴジラ映画みたいなものです

(町山智浩)
まぁものすごく強くて、ヤクザも警察も彼を止める事ができないんですよ。でね、白石和彌監督にインタビューしたんですけど、そしたら彼ね、「この映画はまぁ基本的にヤクザ映画って言うよりはゴジラ映画みたいなものです。」って言ってました。

(山里亮太)
ほーーお!

(町山智浩)
だからほら、ゴジラっていうのは登場すると、それを食い止めるために人間達が色んな新兵器を作ったり色んな作戦を使って、なんとかゴジラを食い止めようとするじゃないですか。あれのヤクザ版であると。(笑)

(山里亮太)
わー見たい!

(赤江珠緒)
じゃぁ善も悪もなく、全て破壊って言う?

鈴木亮平=ゴジラ

(町山智浩)
そう。全てを踏み潰していく鈴木亮平をなんとか止められないのかって言って、メカゴジラとかを作ってくんですけども。この映画の場合にはその役が松坂桃李さんなんですよ。

(赤江珠緒)
鈴木亮平さんスゴイですね!せごどんやったり、救命も・・。

(町山智浩)
そう。(笑)救命して人の命を救ったかと思うと、こっちで殺してバランスを取ってる人なんですね。(笑)

(赤江珠緒)
なんの帳尻ですか、みたいな。(笑)

(町山智浩)
帳尻を合わせているんですけども。(笑)はい。でもね松坂さんもね、敵が怪獣だったら彼、侍戦隊ですからね!

(赤江珠緒)
あー!

ゴジラ対シンケンジャー

(町山智浩)
シンケンジャーだから。

(山里亮太)
そっか!

(町山智浩)
止められるんじゃないかという風に思うんですけども。(笑)。でね、とにかくその1970年代の実録ヤクザ映画へのオマージュでもあるんですけども、白石和彌監督はもう1つ目標にしてるのが、香港とか韓国映画の韓国ノワール、香港ノワールなんですよ。元々日本のヤクザ映画を真似して始まったんですけどね、あっちはね。ジョン・ウー監督とか、韓国のヤクザ映画とか。でも向こうは超えちゃったんですよね、完全に日本の映画をね。で、やっぱりアクションがすさまじいんでね。で、それになんとかね、迫ろうとして、逆襲しようとして白石和彌監督は今回ものすごく頑張ってるんですよ。

(赤江珠緒)
へ〜〜!

韓国映画や香港映画に逆襲

(町山智浩)
でね、ちょっと言えないんですけども、こう普通に話してるかと思うとグワッとアクションが入るというね。それをワンショットの中でやる、とかいう形で、次々とびっくりさせて、もうまったく飽きさせないという映画になってますね。

でね、もう1つはね、やっぱりね、日本映画独特の良さっていうのはね、アクションとかでは香港映画に負けるかもしれないけど、韓国映画にもね、カーチェイスとかでは。ただ、日本のヤクザ映画の最大の魅力っていうのは、脇役達の面白さなんですよ。

(山里亮太)
あ〜〜なるほど。

日本映画の最大の魅力は脇役たちの面白さ

(町山智浩)
もうヤクザが怖いだけじゃなくて、みんな一癖も二癖もあって、ものすごく人間臭いんですね。で、群像劇になってるんですけども、先日亡くなった田中邦衛さんなんかまさにそういう人で。『仁義なき戦い』で本当にズルくて卑怯で、もう最っ低の役をやってるんですけども。

(山里亮太)
嫌なやつだった。。

(町山智浩)
そう。でも、ものすごく弱いんですよね。でも1番面倒くさいやつなんですよズルくて。あぁ言うのが・・要するに強さだけじゃなくて1番困った奴みたいなのが出てくるんですね。その面白さなんですけど。

ヤクザの組に入れられるチンピラ役、村上虹郎さん

今回はですね、すごくみんな俳優がいいんですよ!で、さっき言った西野七瀬さんの弟で、ヤクザの組に入れられるチンピラの役をやってるのが村上虹郎さんっていう人なんですけど。

彼がね、どんどんヤクザと警察の間で、その日岡との間で、板挟みになって、大変な事態になってくんですよ。それがね、ものすごく切なく描かれていて、これはね、昔の東映『仁義なき戦い』シリーズに必ず出てくるチンピラのなんていうか悲劇というね、定番なんですけども。これが泣かせるんですよ。

(赤江珠緒)
いいですね。彼、結構なんか高校生役とかも見てましたけど、はい。弟として、ヤクザの組に送り込まれるんですね。は〜。

ベテラン刑事を演じる中村梅雀

(町山智浩)
そうなんですよ。その彼がねものすごい切なくてね、素晴らしいですね今回。あとね、日岡・・要するに不良刑事ですよね。松坂桃李さん。の相棒に抑え役としてベテラン刑事が付けられるんですよ。それが中村梅雀さん。

(赤江珠緒)
わっ中村梅雀さん!

(町山智浩)
そう。非常に味のあるね。「いや〜もう本当に困るんだよ君みたいな人は。」みたいな感じで。で、奥さんが宮崎美子さん。

(山里亮太)
ほ〜〜〜。

家族団らんのシーンが後で大変な事に

(町山智浩)
でね、この日岡っていうのは両親がいないらしいんですね。その彼を息子みたいにかわいがって。この中村さんと宮崎さんが、自分の家に呼んで手料理を食べさせてくれたりするんですよ。で、そのね、なんというか家族団らんみたいな場面はね、このね、殺伐とした映画の中で、唯一ほっこりするシーンなんですけど、これが後で大変な事になってくるんですよ。

(赤江珠緒)
えーー!その唯一のオアシスみたいなのが!えー。

数々の名脇役が登場

(町山智浩)
そう。あとね吉田鋼太郎さんがねヤクザの親分をやってんですけども、これがね、吉田鋼太郎さんって最初結構怖い、かっこいいヤクザの・・まぁ役で出てきた人ですけども。

(赤江珠緒)
コワモテって感じですね。

(町山智浩)
最近はなんか色々キャラが・・本人の素が結構バレてきて三枚目になってきてますけども。(笑)今回もね非常にね、卑怯でズルいタヌキ親父役でね、もうめちゃくちゃ笑わせてくれるんですよ。これは『仁義なき戦い』における金子信雄さんみたいな役をやっているんですね。

(赤江珠緒)
あぁー!!なるほど!

(町山智浩)
これがまたね、非常に味があっていいんですけど。あとね、寺島進さん。

(山里亮太)
あ〜〜!欠かせないですねぇ!

(町山智浩)
寺島進さんっていう人は「オラァッッッ!」とか言ってんですけども、この人ね、結構ヤクザ映画とかそういうのに出ると、いじめられ役なんですよ。あのね、『殺し屋1』っていう映画があるんですけど。見ました?

映画「」のポスター

(山里亮太)
はいはい!見ました!

(町山智浩)
あれでほら、全裸でさ、寺島進さんがカギ針を体中に刺されて天井から吊るされて。

(山里亮太)
あっ!はいはい!油かけられるやつ!(笑)あぁあれ寺島さんかぁ!

寺島さんは今回の『孤狼の血』でもひどい目に

(町山智浩)
そう。浅野忠信さんに煮立った油をかけらるっていう。(笑)ひどい拷問コメディみたいなのやらされてましたけど。ダチョウ倶楽部みたいな仕事してましたけども。(笑)今回の『孤狼の血』でもまたね、ひどい事をされてますよ、寺島さん。「てめぇこの野郎!」とか言ってんですけど、ひどい目に合ってるって言う。これはね、東映のヤクザ映画だと川谷拓三さんがやるような役なんですね。

(赤江珠緒)
あーー!はい!

(町山智浩)
川谷拓三さん、手を縛られた状態で走るボードから海に突き落とされたりしてましたからね、東映のヤクザ映画でね。

(赤江珠緒)
そうだーー!そう。見ました!

(町山智浩)
あとね、音尾琢真さんという俳優さんがいるんですよ。で、彼がね、やってる役がね、スケベでインチキなね、ヤクザから社長になった男の役をやるんですね。で強い奴にはペコペコして、秘書とかのケツは触るっていうもう最低な男なんですよ。これは完全に山城新伍さんなんですよ。

(山里亮太)
あ〜!

(町山智浩)
山城新伍さん、いつもこういう役でしたよね。

(赤江珠緒)
ははは、オマージュですね!はい。

中村獅童さん演じる新聞記者

(町山智浩)
あとね、中村獅童さんがね、非常にインチキなギリギリの所でやってる、”トップ屋”って昔呼ばれたような新聞記者を演じてるんですね。でまぁ人を隠し撮りして、それをうまく使って金儲けしようとしてるような奴として出てきて、この辺もね、非常に最近の映画にはないですね、昔の東映らしい所なんですよ。正義と悪と、どっちか分からないって言うね。

(赤江珠緒)
配役いいですね。伺うと確かにね。

(町山智浩)
いいんですよ。すごくもういいんですよ今回配役!あとね、滝藤賢一さん。

(山里亮太)
あぁ、いいですね〜。

東映のヤクザ映画のキャリア組は・・

(町山智浩)
滝藤賢一さんがね、広島県警のエリート。いわゆるキャリア組なんですね。で、東大かなんか出てるっぽいんですよ。で、これはね、東映のヤクザ映画だと佐藤慶さんが演じる役なんですよ必ず。で、実は、本当は・・!っていう話なんですよ。

(山里亮太)
おおーー!!

(赤江珠緒)
えっ。

(町山智浩)
これはね、東映のヤクザ映画に出てくるキャリア組っていうのは1番悪いんですけどね。はい。決まりがありまして、そういう。で、かたせ梨乃さん。もちろん極妻ですよ!これは決まってますね。

(赤江珠緒)
そうですか、そこはやっぱり。

(町山智浩)
はい。これはね〜、もうね、絶妙なんですよキャスティングが本当に。

(山里亮太)
確かに。

裏表がない人が1人だけいる

(町山智浩)
でね、まぁ今聞いてもわかるように全員、海千山千じゃないですか。それこそさっき言った、チンピラが刑事のスパイとしてヤクザの中に潜り込んでたり、全員が二面性があるんですよ。全員が裏表があって、誰かが必ず誰かを騙してる。で、そのまんまの、見たままの人っていうのは1人もいないんですよ。いいと思った人が悪かったり、悪いと思った人が良かったり。その中で、全く裏表がない人が1人だけ出てるんですよ、この『孤狼の血2』では。1人だけ!裏表がないのが上林なんですよ。

(赤江珠緒)
まさかのその、鈴木亮平さん!?(笑)

(町山智浩)
鈴木亮平さん。だって「何もかもぶち壊してやる!」って言って、本当に何もかもぶち壊してますから。

(赤江珠緒)
はははは。(笑)

怖い映画が見られない鈴木亮平さんや松坂桃李さんのファンへ

(町山智浩)
有言実行なんですよ、この人だけ。そういうね、すごい映画になってるんですよコレ。でね、じゃぁまぁこれ、ひどいんじゃないのっていうね、それこそ鈴木亮平さんのファンとか松坂桃李さんのファンとか、話聞いてると、こんな物見れないわって言う人もいると思うんですよ。

(赤江珠緒)
直視できるかなって言うね。

我慢して絶対に行った方がいいですこれ!

(町山智浩)
これね直視できないんじゃないのって・・確かに残酷シーンもすごいんですけど。これはもうなんか・・私はちょっと・・松坂さんすごく好きだけど、ちょっと怖いわ!っていう人もいると思うんですよ。鈴木さんすごい好きだけど、ちょっと怖い!っていう人もいると思うんですよ。でもね、我慢して絶対に行った方がいいですこれ!

(山里亮太)
我慢?(笑)

(町山智浩)
我慢して。これね、実はね、鈴木亮平扮する一種のモンスターがいる訳ですね。で、そのモンスターはどうしてモンスターになったのかというと、本当にかわいそうな事が子供の頃にあったんで、そうなってしまったんですね。で、哀れな男なんですよ実際は。本当は彼は、その荒ぶる気持ちを誰かに鎮めてほしいんですよ。でも、あまりも強すぎて誰も彼は倒せないんで、どうしようもないんで暴れてるんですよ。これ、怪獣映画における怪獣なんですよやっぱり。

(赤江珠緒)
本当だ、ゴジラだ。

(町山智浩)
あのね、白石和彌監督は今、『仮面ライダーBLACK』をちょっと進行させてるんですけど、その辺はすごく通じる所があるって仰ってましたね。で、このどうしようもない、暴れる、荒ぶる魂を、なんとか鎮めてやろうとする人が狼の血を継ぐ者、日岡なんですよ。だから、この映画、実は、松坂桃李と鈴木亮平のラブストーリーなんです。

(赤江珠緒)
ははははっ!おお〜〜〜?

この映画、実は、松坂桃李と鈴木亮平のラブストーリーなんです。

(町山智浩)
本当に。で、色々、色々あったけれども、最後は2人きりになりますよ。で、愛を交わすんですよ。あの〜なんか違うものを刺したりとか色々する訳ですね。

(山里亮太)
えっ!?ちょっと待って・・。(小声)

(町山智浩)
という大変な映画なので、はっきり言ってBLなんで。

(赤江珠緒)
えぇっ!?

(町山智浩)
我慢して、ファンの人は見に行った方がいいと思いますよ。(笑)

(山里亮太)
いやー見たいわー。

(赤江珠緒)
あれっ!?ねぇ。『孤狼の血1』とはまた全然違う感じにまたねぇ。。展開が・・。

今回は原作なしのオリジナル

(町山智浩)
全然違うんですよ。今回オリジナルなんですよ原作なしで。だからね、もうその先に行く行き先がね、誰にもわからない。

(赤江珠緒)
そういう事かぁ。

(町山智浩)
そこも素晴らしいなと思いましたね。で、この『孤狼の血』というタイトルがね、もう狼がもう1人しかいなくなってしまった。日本に狼はどこに行ってしまったんだっていうタイトルでもあって、それはね今日本映画やっぱりすごく・・こういったアクション映画とか作らなくなってきてるんですよね、段々ね。ましてやこういった、今言ったようなすさまじい物語っていうのは段々段々作られなくなって、高校生のラブストーリーみたいな物ばっかりになっちゃったんですけどもで。狼はどこに行ったんだ!日本にも狼はいたはずじゃないか!っていうのがこの白石監督達の日本映画に対する叫びでもあるんですよ。だから最後の狼の映画という事で、ぜひ『孤狼の血 LEVEL2』見に行っていただきたいなと思います。

(赤江珠緒)
はい!『孤狼の血 LEVEL2』は8月20日から全国で公開されます。そうですか町山さん大絶賛という事で。ありがとうございました。

(山里亮太)

ありしたーっ!

(町山智浩)
どうもでした!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑨白石和彌監督いわく、この映画はヤクザ映画と言うよりはゴジラ映画。
⑫この映画、実は、松坂桃李と鈴木亮平のラブストーリーなんです
⑬大変な映画なので、はっきり言ってBLなんで。

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