Wの悲劇の町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『Wの悲劇』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『Wの悲劇』解説レビューの概要
①澤井信一郎監督の訃報を受け、オススメの作品を紹介
②原作は推理小説だったが、映画では舞台劇化した時の○○○○の物語に
③三田佳子さん演じる劇団トップ女優の不祥事の身代わりになる事で主役の座を掴んだ薬師丸ひろ子さん演じる主人公
④薬師丸さんが清純派から汚れていって女優として一皮むけるという事自体をドラマにしている
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
澤井信一郎監督の訃報を受け、オススメの作品を紹介
(町山智浩)
最近ちょっと訃報が続いてるんですけども。
(山里亮太)
あぁ、そうですね・・。
(町山智浩)
映画関係でね。で、まずですね澤井信一郎監督、日本の澤井信一郎監督が亡くなりましたね。澤井信一郎監督の映画って何かご覧になってますか?
(赤江珠緒)
あ、ごめんなさい。
(山里亮太)
作品聞けばわかるのかしら?
(赤江珠緒)
あ!「Wの悲劇」とかか。
(町山智浩)
えとタイトルを言うとね、結構見ると・・。
(赤江珠緒)
あと『野菊の墓』。はい。
(町山智浩)
そうです、あと「めぞん一刻」とかね。見てる人も多いと思うんですけど。オススメと言う・・この1本!と言う事だと、やっぱり「Wの悲劇」だと思いますね。ご覧になりました?
(赤江珠緒)
見てます。
(町山智浩)
あれ、すごいですよね、原作を知ってる人が見るとビックリする内容ですよね。
(赤江珠緒)
うん。面白いですよね。舞台の・・。
原作は推理小説だったが、映画では舞台劇化した時の主役争いの物語に
(町山智浩)
原作は普通の推理小説なんですよ。夏樹静子さん原作の、「Wの悲劇」って言う、なんて言うかエラリー・クイーン的な謎解き物なんですね。ところが、この映画版は、「Wの悲劇」という夏樹静子さん原作のミステリーを、舞台劇化した時の、その主役争いの物語にしてるんですよ。
(赤江珠緒)
あ、私そっちしか見てないですね、原作を読んでないですね。
(町山智浩)
あぁそうですね。だから原作を物語の中の舞台劇の枠の中に入れちゃってるんですよ。で、舞台劇に出る為の薬師丸ひろ子さんを巡るドラマは、全部映画用に作ってるんです。
(赤江珠緒)
あ、そういう事か。はいはい。
薬師丸ひろ子さん主演
(町山智浩)
で、薬師丸ひろ子さんはそれまでアイドルだったんですけれども、この映画で、まず最初、彼女はアイドルの役のままで出てくるんですね。非常にその、まぁセリフの中でハッキリと処女と言われてるんですけども。で、ウブなね、劇団員として出てくるんですけれども。それで、オーディションに負けてしまって、主役を失ってしまうんですけども、たまたまその・・覚えてますか?ストーリー。
(赤江珠緒)
えーとね、なんか・・怪我を・・をされます?
(山里亮太)
はははは、ぼんやり。(笑)
(町山智浩)
劇団のトップ女優が三田佳子さんなんですよ。
(赤江珠緒)
そっか!はい。
(町山智浩)
三田佳子さんがパトロンの中年男性とセックスしてる時に、パトロンの男性が腹上死しちゃうんですよ。
(赤江珠緒)
あれ、そんな・・そんな話だったかな?うん。
三田佳子さんの身代わりに
(町山智浩)
そうなんです。で、その現場にたまたま、そのオーディションに落ちて主役をライバルに奪われてしまった薬師丸ひろ子さんが通りかかって、で、その三田さんに「あなた私の身代わりをして。」と。「あなたの部屋でこの男が死んだことにして下さい。そしたらその代わりに私が裏で手を回してあなたに次の「Wの悲劇」の主役をあげるわ。」って言うんですよ。
(赤江珠緒)
そっか〜・・。うん。
(町山智浩)
って言う、すごいその薬師丸さんが清純派から汚れていって女優として一皮むけるという事自体をドラマにしてるんですよ。
だから、その後、随分後にアメリカでナタリー・ポートマン主演で「ブラック・スワン」という映画が作られて。あれがやっぱり処女で、白鳥の湖のね、二重性を表現できないって事でもって、非常に役づくりに苦しんでる彼女がダークサイドを知る事によって一皮むけていくって話だったんですよね、バレリーナとして。
あれは何十年も後から作られていますけども、「Wの悲劇」がすごく近いんですよね。だから「Wの悲劇」がその薬師丸ひろ子さんという女優自体の女優開眼と、そのドラマを完全にリンクさせているというものすごく複雑な構成の映画なんですよ。だからこれはもう本当に澤井信一郎監督の、傑作としておすすめなんで是非ご覧ください。
(赤江珠緒)
うん、全然覚えてなかったな。そうですか。間違いなく見たんですけどね。舞台での主役争いっていうのは覚えてたんですけど。(笑)
(山里亮太)
さっきご説明頂いたあのシーンが出てこないって。。(笑)全てを忘れてるんじゃない?(笑)
(赤江珠緒)
そういう事だね。(笑)もう1回見ても楽しめますね。
(町山智浩)
大丈夫です。何度も楽しめるから、素晴らしい事ですそれはね。僕もこの歳になるとね、記憶力がすごく落ちてくるんで、人生がもう1回楽しめる感じになってますからね。(笑)
(山里亮太)
それいいですね!また新鮮に驚けると言う。(笑)
(町山智浩)
髪の毛をもう1回生えてくるといいなと思いますけどね。(笑)
(山里亮太)
ずっと気にしてる町山さん。(笑)
(赤江珠緒)
そこまでは。(笑)
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
②原作は推理小説だったが、映画では舞台劇化した時の主役争いの物語に