リオの男の町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『リオの男』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『リオの男』解説レビューの概要
①最近亡くなったフランスの俳優、ジャン=ポール・ベルモンドのオススメ作品『リオの男』
②千葉真一さんが憧れてた人がジャン=ポール・ベルモンド
③ジャン=ポール・ベルモンドは○○○○○○を使わないスター
④ジャン=ポール・ベルモンド→千葉真一→ジャッキー・チェンの順に引き継がれていく
⑤アクションスターとしてジャッキー・チェンにすごく影響を与えた
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
千葉真一さんが憧れてた人がジャン=ポール・ベルモンド
(町山智浩)
もう1方ですね、お亡くなりになった人がいまして、それはジャン=ポール・ベルモンドさんというフランスの俳優さんなんですね。で、この人はこの間、千葉真一さんが亡くなったじゃないですか。その千葉真一さんが憧れてた人がジャン=ポール・ベルモンドなんですよ。
(山里亮太)
へぇ〜!
(町山智浩)
で、どういう人かと言うと、ヘリコプターからぶら下がったりビルをよじ登ったりしている人なんですよ。
(山里亮太)
どういう人なんですか、これ。(笑)。
(町山智浩)
要するにスタントマンを使わないスターなんですよ。
(山里亮太)
ああ〜!
スタントマンを使わないスター
(町山智浩)
で、スタントマンを使わないスターの歴史みたいなものが昔からあるんですけども、千葉真一さんの前にはジャン=ポール・ベルモンドがいて、千葉真一さんの後にジャッキー・チェンが来るっていう順番なんですよね。
(山里亮太)
へぇ〜!
(町山智浩)
で、このジャン=ポール・ベルモンドさんの究極の映画というのは、『リオの男』という映画なんですが、これね、リオ・デ・ジャネイロにフランスから行って、宝探しみたいな話なんですけども、とにかくバイク・自動車・飛行機・ボート・ありとあらゆる乗り物にベルモンドさんがぶら下がります!
(山里亮太)
wwww全部ぶら下がる!(笑)
ありとあらゆる乗り物にぶら下がる
(町山智浩)
もうとにかく全部、スタントなしで命がけで撮ってるんですよ、全てのシーンを。
(赤江珠緒)
で、また当時だから完全にCGでもなくね。
(町山智浩)
これものすごい低予算で、すごく少ないスタッフで撮ってるんで、本当にカメラマンとベルモンドさんがいるだけなんです。もう何の安全策も取ってないんです。すさまじいですよこれは。
(赤江珠緒)
えええ。(笑)それもう本当に、一か八かみたいな撮り方。。
競い合いの歴史
(町山智浩)
そんな撮り方なんですよ。この人はその当時ハリウッドでやっぱりスタントマンを使わないって言ってたスティーブ・マックイーンという俳優さんがいて、彼とそのフランスとアメリカで争う形になって、スティーブ・マックイーンがカーアクションをやるとベルモンドもカーアクションやって、ベルモンドが『恐怖に襲われた街』という映画でパリの地下鉄の屋根の上に乗って、屋根の上を歩きながら時々トンネルに突っ込んでいく時にバッと伏せたりするっていう命がけのアクションをやると、スティーブ・マックイーンがすぐにその後『ハンター』っていう映画でシカゴの地下鉄で全く同じ事をやるという・・。ノースタントバトルがアメリカとフランスで繰り広げられたという人なんですね。
(赤江珠緒)
うーわ・・。はい。
(町山智浩)
で、アクションスターとしてはもう本当にジャッキー・チェンにすごく影響を与えていて、ベルモンドがやったアクションのいくつか。例えば走ってくバスに外側からぶら下がってバスからバスに飛び移っていくとかそういうのは、『ポリス・ストーリー』っていう映画でジャッキー・チェンがそのままオマージュを捧げていたりね、
『プロジェクトA2』のクライマックスで来るその、香港独特のビルの建築現場に足場として竹が組んであるっていう状態あるじゃないですか、その竹の足場でものすごいアクションをするってのは、ベルモンドさんが『カトマンズの男』でやったアクションの再現なんですよ。
(赤江珠緒)
へぇ〜!!
(町山智浩)
だからジャッキー・チェンはものすごく影響受けてます、ジャン=ポール・ベルモンドに。しかもジャン=ポール・ベルモンドは文芸映画の方でも革命を起こした人で、タイトルだけは誰でも知ってると思うんですが、ジャン・リュック・ゴダール監督のヌーヴェルヴァーグの最初の革命的な作品と言われている『勝手にしやがれ』の主演なんですよ。
(山里亮太)
はー!
(町山智浩)
だからベルモンドがいなければ、その後のヌーヴェルヴァーグとか、ヌーヴェルヴァーグに影響された日本の色んな青春映画、アメリカのニューシネマも存在しなかったんですね。でベルモンドがいなければ千葉真一もジャッキー・チェンも今のような形ではなかった。そのぐらいの革命家だったんですけども。まぁこの人は日本の色んな物に影響を与えていて、1番ベルモンドが影響を与えたのは、少年ジャンプの漫画で『コブラ』ってありましたね?
(山里亮太)
はいはいありました!
(町山智浩)
アニメは『スペースコブラ』ですけど、あれのモデルがジャン=ポール・ベルモンドなんですよ。
顔もそっくりなんですが、キャラクターが非常に近いんですよ。コブラってなんかものすごい命がけのことをして、ギリギリの所で助かっても軽口を叩くじゃないですか。「ちょっと閻魔様の顔を見ちまったな。」みたいな事を言うじゃないですか。あれはジャン=ポール・ベルモンドがそういう人なんですよ。
(山里亮太)
へ〜〜!
(町山智浩)
ものすごい命がけのアクションやるんですけど、全然大変そうじゃないんですよジャン=ポール・ベルモンドは。
(赤江珠緒)
じゃぁ飄々とした感じで。
(町山智浩)
だから殆どコメディなんですよ、大抵の映画が。でも本当に命がけなんですけど。(笑)いやー、大変だったな〜みたいな感じなんですよ。だから、テレビで放送する時は声は山田康雄さんだったんですよ。ルパン三世です。
(赤江珠緒)
ねぇ!
(町山智浩)
ルパン三世のキャラクターも非常にジャン=ポール・ベルモンドのキャラクター、つまりものすごい大変な時になってギャグを言っている。
(赤江珠緒)
イメージありますもんね。あ〜そうかぁ!
(町山智浩)
で影響を受けていて。まぁとにかく、それぐらい、ありとあらゆる物に影響を与えた人がジャン=ポール・ベルモンドっていう人なんで、この人の映画で『リオの男』は是非見て頂きたいなと思いますね。高所恐怖症の人はかなりきつい映画です、これは。はい。もう全編そういうシーンなんで。
(赤江珠緒)
はい。もうありとあらゆるものにぶら下がっているポスターが。(笑)出てきました。(笑)
(町山智浩)
ちょっと高い所に弱い人は本当に気持ち悪くなっちゃう映画なんですけどね。ぜひご覧ください。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
③ジャン=ポール・ベルモンドはスタントマンを使わないスター