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引用:IMDb.com

MINAMATAーミナマターの町山智浩さんの解説レビュー

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2021年09月22日更新
この水俣という言葉がね、病気と結び付けられて迷惑してる人もいるという事ではあるんですけども、やっぱこれは知らなきゃならないんで是非見て頂きたいなと思います。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『MINAMATA ミナマタ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『MINAMATA ミナマタ』解説レビューの概要

①水俣病についての映画
②水俣病を世界に知らしめた写真家、ユージン・スミスの物語
③ジョニーデップ主演、制作
④写真家ユージン・スミスは○○○○
⑤廃人同様の生活をしていたユージンの再起の物語でもある
⑥いくつか事実と違う部分がある
⑦ロケ地が水俣ではなく○○○○
⑧真田広之さんや加瀬亮さんなど日本人俳優も出演している

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『MINAMATA ミナマタ』町山さんの評価は

(町山智浩)
今日、ご紹介する映画も結構重いんですけど、はい。『MINAMATA-ミナマタ-』という映画をちょっと・・ご紹介します。これはですね、僕の子供の頃にはもうすごく大きな事件だった水俣病という病気についての映画なんですね。

(山里亮太)
はい。

引用:IMDb.com

水俣病についての映画

(町山智浩)
熊本県の水俣町。現、水俣市でですね。チッソという会社がありまして、昔窒素の肥料を作ってた会社なんでね、はい。そこがプラスチックの原料となる物を作る時に出てくる、その有機水銀というものを海に流してたんですよ。で、それが薄いからいいだろうって言ってたら魚介類の体内で蓄積されていって、その魚を食べた人達が病気になって、しかもその、妊婦の人が食べるとそれが赤ん坊の中に蓄積されるという最悪の状況で、生まれてからもうしゃべる事も歩く事もできないその脳に障害があるお子さんが生まれてしまうという事件があったんですね。で、これが水俣病の事件なんですけれども、まぁ実際には1950年代からすでに起こっていたんですが、1960年代から大問題になっていって、それを世界にですね、知らしめた写真家がいます。

(赤江珠緒)
うん。

水俣病を世界に知らしめた写真家、ユージン・スミスの物語

(町山智浩)
はい。それが、1971年にアメリカの写真雑誌「ライフ」に写真を載せた、ユージン・スミスというカメラマンがいまして、その人と奥さんのアイリーンさんという日系人の物語がこの『MINAMATA-ミナマタ-』という映画です。はい。で、これですね、ユージン・スミスを演じるのはジョニー・デップなんですよね。

(赤江珠緒)
ジョニー・デップが。

(町山智浩)
はい。でね、彼自分で製作もしてます。

(山里亮太)へーえ!

(町山智浩)
この映画をやりたくて。で写真見るとそっくりなんですけど、このユージン・スミスと。

(山里亮太)
そっくりですよね。

(赤江珠緒)
そうですね。ポスターを見ると、えっジョニー・デップ?って思うぐらい面影がもう、なんかなくて。

引用:IMDb.com

写真家ユージン・スミス

(町山智浩)
そうですね。まぁジョニー・デップも俺と1つ違いだから、もうすぐ60なんで。(笑)それは単に歳取ってるんですけども、はい。ユージン・スミスさんはこの時まだ51歳なんですけどね。で、このユージン・スミスさんっていう人はすごく有名なカメラマンだったんですね、その当時。というのは、第二次世界大戦の時にサイパン、硫黄島、沖縄と、アメリカ軍に付いてですね転戦していって、日本軍との戦いを撮った写真が非常に評価が高くて、日本でも有名だった人なんです。だから、この水俣を撮ってくれと。いう風にお願いされて、日本に行った訳ですけども、この人がね、全然ダメなんですよ。

(山里亮太)
だめ?

アルコール中毒だった

(町山智浩)
アルコール中毒なんですよ。

(山里亮太)
えぇっ?

(町山智浩)
で、朝起きるといきなりその目覚めの1杯飲んでるような人なんですね、でウイスキーを。で、それだけじゃなくて、ありとあらゆる薬物。の中毒なんです。

(赤江珠緒)
ほぉ〜お。。

(町山智浩)
で、その1971年に日本に行って水俣に3年間住んで写真を撮るんですけども、その前は殆ど、なんというか廃人同様だったんです。

(山里亮太)
えーー・・!

引用:IMDb.com

廃人同様の生活をしていたユージンの再起の物語でもある

(町山智浩)
でお金もなくて。仕事もしてないですからね。で、子供が4人、別れた奥さんとの間に4人の子供がいるんですけど、全然その養育費も送らないと。

(山里亮太)
あら・・だめだね。

(町山智浩)
まぁひどい状況だったんですよ。だからこの人自身の、ユージンさん自身の再起の物語にもなってます。

(山里亮太)
なるほど。

(赤江珠緒)
ふーん!

いくつか事実と違う部分がある

(町山智浩)
で、これハリウッド映画なんで、この『MINAMATA-ミナマタ-』というのは。いくつか誇張があったり、事実と違うって所があったりもするんですよね。だからもうこれはね、是非ね、映画を見た後、何が本当で何がちょっと違うのかって事は是非ね、見て色々調べてほしいんですよ。でね、最近だとね、石井妙子さんという『女帝 小池百合子』を書いたノンフィクション作家の人が、このユージン・スミスの奥さんだったアイリーンさんにインタビューして、本を1冊出してるんですね。『魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣』という本を出してるんで、これなんかすごく短くわかりやすく事実関係をまとめてあるのでぜひ読んで頂きたいと思うんですけど。

(赤江珠緒)
はい。

引用:IMDb.com

ユージン・スミスがダメになった原因

(町山智浩)
で、このユージン・スミスさんがですね、アルコールとか薬物中毒になっちゃった原因というのは、まぁ色々あってまずお父さんが子供の頃に自殺したりですね、あと第二次大戦で戦場に行くんですけど、そこで日本軍が、降伏するなって言われてるから、いわゆる万歳特攻とかですね、あと崖から集団自決したりですね、あと入植した人達が子供を捨てたまま逃げたりして、それで子供が置き去りになって死んでったりとかそういうのを見ちゃうんですよ、この人は。25、6歳の時に。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
で、それが非常に大きなPTSD、トラウマになるんですね。で、それだけじゃなくて沖縄戦に行った時には、榴弾砲の破片を口に受けてしまって、歯と上顎を失っちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
えー。。

PTSDやトラウマ

(町山智浩)
この人、上顎に大穴があいてる状態で、だから歯もないから固形物が食べられなくて、牛乳とオレンジジュース飲むだけなんですね、ミルクセーキみたいな物と。で途中からもうウイスキーだけになっちゃうんですよ、この人。で、しかもその体中の痛み止めの為に薬物中毒になってね。だからまぁ、そういう事があったんでこうなってしまったんですけども。でも、その時まだ51歳だけど70代ぐらいの体調だったみたいですね。

(山里亮太)
えー。。

(町山智浩)
はい。で、この映画はね、だからジョニー・デップが60近くて51歳の役をやるんですけど全然普通なんですけど。でね、あとね、この人ね、その奥さん、アイリーンさんと会った時はアイリーンさんまだね、ハタチの女子大生なんですよ。

(赤江珠緒)
あぁ、そんなに歳の差がある。

引用:IMDb.com

アイリーンからユージンに惚れる流れは事実と違う

(町山智浩)
30歳以上離れてるんですねぇ。で映画の中だとこのアイリーンさんの方がユージンに惚れるみたいな描写になってるんですが、これは全然違いますね事実関係と。このユージン・スミスという人はね、若い女の子に目がないんですよ。

(赤江珠緒)
あそう、うん。

ユージンは若い女の子に目がなかった

(町山智浩)
次から次へと20歳以上若い女の子に「愛してるよ」とか「君がいないと死んじゃうよ」とか言いまくってって、口説きまくっていたおじさんなんですね。だからそれはね、どうもそういうパッションがないと仕事ができなかった人らしいんですけど。で、このアイリーンさんという日系人の女性は口説かれて、それでまぁ日本に行って結婚して、彼の通訳をやって水俣に3年間住むんですけど、その間ももう本当収入もないし。だから一文無しに近い状態だったみたいですね。で、そのチッソっていう化学工場との戦いを撮影していくんですけれども。これですね、映画を見てて、こんなにドラマチックな事があるのかなって思うようなシーンがあるんですが、いくつも。これはかなり殆ど事実か、事実の方がドラマチックぐらいなんですよ。

(山里亮太)
へぇ〜!

(町山智浩)
はい。ただね、日本の人がねたぶんね、映画はこれから公開なんで、今週末ぐらいに公開かな?見てね、すぐ、これ違うだろう!って思う所が、あります!

(赤江珠緒)
なんだろ。

引用:IMDb.com

ロケ地がセルビア・モンテネグロ

(町山智浩)
えーとロケがね、全部セルビア・モンテネグロなんですよ。

(赤江珠緒)
え?

(山里亮太)
あ、日本じゃないんだ。

(町山智浩)
日本じゃないんですよ。だから、どう見ても日本じゃないんですよ。(笑)

(赤江珠緒)
あ〜それは、そうでしょうねぇ・・、セルビアの風景、なるほど。

日本人俳優も登場

(町山智浩)
だからね、これは違うと思うんですけど、でもすごく頑張って、室内とかはすごい日本家屋を完全に再現していますね。で、あと日本人の俳優さんがみんな向こうに行って、ちゃんとやってるんで。それもモデルになった人達はみんな映像が残ってるんで。1970年代の話で僕もテレビで見てましたから。それを元にしてね、かなり再現しています。例えばその、水俣病の患者側の抗議運動のリーダーを演じるのは真田広之さんなんですね。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
で、これは実在のリーダーだった川本輝夫さんをモデルにしたキャラクターなんですけれども、写真を見るとですね、社長と向き合ってですね、戦う所とか写真そのままに再現してますね。はい。であとね、加瀬亮さんもその抗議活動をする、キヨシというですね、人物を演じてるんですが、彼がやる、ちょっとビックリするような行動っていうのも実際は川本さんがやった行動なんですが、ちょっとまぁ、言えないんですが、見るとビックリしますけど、本当にあった事です。見ればわかると思います。はい。で、あとね、ユージン・スミスが地元で、その水俣で、胎児性水俣病の少年にカメラを教えるという非常に感動的なシーンがあるんですよ。で、あまりにもよく出来てるから、嘘だろうと思う人もいるかもしれないですが、これも実話です。

(赤江珠緒)
ほぉ〜。。実際じゃぁカメラを教えた子が、いた?

引用:IMDb.com

長井勇さんというカメラを教わった子供は実在している

(町山智浩)
今もお元気ですね。長井勇さんという人で、足とか動かなかったりするんですけどカメラをそのユージンさんに教えてもらった人ですね。

(赤江珠緒)
ふ〜ん・・!

(町山智浩)
で、かなり細かく事実なんですが、ユージン・スミスは実際の人物の方がとんでもない人なんで、ジョニー・デップは抑えめですね。

(山里亮太)
あっ、へーえ!なるほど。

(町山智浩)
抑えめです。だからさっき言ったみたいにその、君が結婚してくれなきゃ死んじゃうよぉ〜!とか言うようなじいさんだったんで。(笑)

そういうね、甘えっ子な所はあんまり出してなかったですけども、はい。だからね、これね、アイリーンさんが日本でものすごい30歳以上も歳の差があって大変でしょ?って言われると、いやーもう本当旦那が子供っぽくて・・って答えてたんですね。(笑)

(赤江珠緒)
30も上なのに。(笑)

ボコボコにされるシーンは事実

(町山智浩)
精神年齢が逆だからって言う。(笑)あとね、そう、ユージンさんが写真を撮ってる時に、やっぱチッソの社員にボコボコにされる所があるんですよ、暴行を受けて。で、これも本当かよって思うんですけど本当なんですね。

(赤江珠緒)
えー!!

(町山智浩)
ユージンさん重傷を負いますこれで。要するに撮ってんじゃねえよってやられて。で、片目を殆ど失明するんですよ。でもね警察は動かないんです。訴えたけど、「えっ。それ別にうちの社員じゃないですよ。」とか、「誰が殴ったんですか?」って誰もわからなくて。犯人がわからなくて、特定できなかったんですよ。で、まぁ殆ど右目の視力を失うぐらいの大怪我をするんですけど、でね、映画に出てこない、本にしか出てこないイイ話がね、その時に黒柳徹子さんがユージンさんを応援してたんですね。でユージンさんがお酒が好きだっていうんで、サントリーオールドをね、20本送ってるんですよ。そう。でもね、アイリーンさんはね、「レッドにしてくれたらもっとたくさん送ってくれたのに。」って言ってるんですけど。(笑)

(山里亮太)
リーズナブルだから、レッドの方が。(笑)

引用:IMDb.com

黒柳徹子さんからウィスキー

(町山智浩)
そう。これはね最近の人はわからないと思うんですが、レッドはね、サントリーの1番安いお酒なんですよ。でオールドが高いんで、レッドの方が量があって良かったって言ってて。それがおかしいんですけど。(笑)ユージンさんがね、実際に飲んでたのレッドらしいんですよ。お金が全然なかったんでね。でもね、この中でね、素晴らしい演技なのはね、國村隼さんですね。

(山里亮太)
あ〜・・すごいなぁ〜。

(町山智浩)
チッソの嶋田社長を演じてるんですよ。で、まぁお金で黙らせようとしたりして、すごく悪いやつに見えるんですけど、実際はこの社長はこの事件が起きてから、全てをまぁ尻拭いをする為に選ばれて、本人は何も悪くないのに、責任を負わされちゃった社長なんですよ。押し付けられた人。そう。だから、本当は患者の人に対して、ものすごく申し訳ないっていう罪悪感と、思いやりを持ってるんだけれども、彼らを黙らせる仕事を背負わされてしまった人です。

(山里亮太)
うわぁ〜つらいなぁ〜・・。

國村隼さん演じる嶋田社長は押し付けられた人

(町山智浩)
國村隼さんがやる人は。だから、すごくいい芝居をしてますよ今回。國村さんしかも英語でね、ものすごい長いセリフがあるんですが、素晴らしいです。それも。今回はふんどしにならないですね!

(山里亮太)
『哭声/コクソン』の時みたいに。(笑)

(町山智浩)
本当に素晴らしいですよ國村さんの演技は。これもね、嘘じゃね?って思う人もいるかもしれないですが本当なんですよ。この社長は、すごく悪くない人だったんですよ。押し付けられちゃっただけで。

(赤江珠緒)
へーえ。

引用:IMDb.com

上村親子(智子・良子)さんの写真で話題に

(町山智浩)
そう。でね、なぜそのユージン・スミスの写真が世界中の人の心を動かしたかと言うと、胎児性の、つまり生まれた頃からずっと体が動かない、患者さんの智子さんっていう人がいて、その智子さんをお母さんがお風呂に入れてあげたんですね、良子さんという人が。上村親子なんですけど。その、写真をユージン・スミスが撮ったのが、世界的にものすごい衝撃を与えたんですよ。で、それは、我が娘を抱き抱えているそのお母さんの表情とか全てがですね、その”ピエタ”という十字架から降ろされて、死んだキリストを膝に抱いた、聖母マリアの姿に似てたからなんです。これはすごく大きな、つまりその、公害という罪をね、背負った犠牲者。聖者として見えたんですよ。世界中の人に。まぁそれが非常に大きく世界中を動かしたんですけどもね。

(赤江珠緒)
この写真はね、水俣のね、象徴的な写真でご覧になった方も多いと思いますけどね。なるほど。

世界では同様の事件が起きている

(町山智浩)
で、この事件がね世界的に衝撃を与えたんだけども、あんまり世界の化学工場とかはあんまり反省してなくて、まさに水俣事件が起こってる最中に、アメリカではデュポンという化学会社がテフロン加工の過程で出るですね、有機フッ素化合物の排水垂れ流してて、大量の被害者を出してたんで、これなんかまだ裁判の決着がついてないんですよ。

(山里亮太)
えー!

(赤江珠緒)
まだ?

(町山智浩)
まだやってます。だからね悪いやつはね、まぁもうどうしようもねーなと思いますが。で、この水俣という言葉がね、病気と結び付けられて迷惑してる人もいるという事ではあるんですけども、やっぱこれは知らなきゃならないんで是非見て頂きたいなと思います。『MINAMATA-ミナマタ-』です。はい。

(赤江珠緒)
9月23日から全国公開となります。これもね、そうね、日本での事でね。知らなきゃいけないですね。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)
ありしたーっ!

(町山智浩)
はい。どもでした!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

④写真家ユージン・スミスはアルコール中毒、薬物中毒などのダメな人だった
⑦ロケ地が水俣ではなくセルビア・モンテネグロ

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