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引用:IMDb.com

ボストン市庁舎の町山智浩さんの解説レビュー

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2021年10月27日更新
ウォルシュ市長の演説が本当に素晴らしくてですね。「私がやってるのはただの市の仕事ではありません。」って言うんですよね。「この市を改革して、それが成功すれば、それが州に広がり、最後には国に広がるんです。」って言うんですよ。(中略)「皆さん!助けを求めて下さい。助けるのが、我々の仕事です!」って言うんですよ。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『ボストン市庁舎』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『ボストン市庁舎』解説レビューの概要

①上映時間は4時間半
②映画を撮ったフレデリック・ワイズマン監督は現在91歳
③ギネス級の54年間で48本のドキュメンタリー映画を作った監督
④監督の最初の作品は『チチカット・フォーリーズ』という、精神病院の内部を撮影したドキュメンタリー
⑤精神病院での虐待が話題になり、社会に影響を与えた
⑥過去作品は「高校」「病院」など、そのまんまのタイトル。
⑦映画の撮り方も○○○
⑧マーティ・ウォルシュというボストン市長が本当にすごい。
⑨唯一取材許可を出してくれたのがボストン市庁舎だった
⑩ボストンの昔は腐敗した街だった
⑪改革をどうやってやったかを見せていく
⑫ウォルシュ市長の演説が本当に素晴らしい。○○○
⑬彼は今は市長を辞め、バイデン政権の労働長官に任命されて本当に国を変えている

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

タイトルで見る気をなくす?『ボストン市庁舎』

(町山智浩)
という事でね、今日紹介する映画はちょっと近いんですが、ちょっと遠いような話なんですけども、えっとね、タイトルからして全然見る気をなくす映画なんですが。

(山里亮太)
はははははは。

(赤江珠緒)
え?どういう事?(笑)

(町山智浩)
『ボストン市庁舎』っていう映画なんですよ。

(赤江珠緒)
わっ確かにね、固いし、地味な・・なんかタイトルですね。

(山里亮太)
ほんと役所のポスターですね。

(町山智浩)
市役所ですよ。「ボストン市役所!!」みたいなね。これで、しかも上映時間はなんと4時間半あるんですよ。

(赤江珠緒)
ええーーー!?なっ・・4時間半!?

(山里亮太)
いや、見れるかなぁ・・?

引用:IMDb.com

上映時間は4時間半

(町山智浩)
4時間半ですよ。ポストン市役所のドキュメンタリーを4時間半見るって・・ちょっとすごい地獄のような気がするんですけど。これ結構面白いんですよ。でね、これ監督はね、この人もまたすごいんですが4時間半の映画を撮った監督は現在91歳!

(山里亮太)
おぉっ!

(町山智浩)
現役最年長監督です。世界で。

(山里亮太)
すごい!

(町山智浩)
クリント・イーストウッドと同じ年かな?フレデリック・ワイズマンっていう監督なんですが。この人はまぁドキュメンタリーの巨匠で、1967年から50数年間でですね、48本もドキュメンタリー映画を作ってきた人なんです。

(赤江珠緒)
うーん!

ギネス級の54年間で48本のドキュメンタリー映画を作った監督

(町山智浩)
ギネス級の人です。だから54年間で48本だから、殆ど1年に1本映画撮ってますね。

(赤江珠緒)
すごい事ですね。それを続けてやらないと、そうならないもんね、へぇ〜。

(山里亮太)
しかもドキュメンタリー!

(町山智浩)
そうなんです。で、この間インタビューしたんですけども、あまりにも元気なんで「なぜそんなに元気なんですか、秘訣を教えてください。」って言ったら、「まぁ遺伝としか言いようがないね。」ってかわされましたけど。(笑)

ワイズマン監督の最初の映画は、チチカット・フォーリーズ

でね、この人はどういう映画を撮ってきたかって言うと・・フレデリック・ワイズマンっていう人は。最初の映画は1967年の『チチカット・フォーリーズ』っていうタイトルの映画なんですが、これ非常に奇妙なタイトルなんですが、これね。ボストンの近くにあるマサチューセッツ私立精神病院の内部を撮影したドキュメンタリーなんですね。

映画「ボストン市庁舎」のポスター

で、ちゃんと許可を取って撮影したんですけれども、いわゆる閉鎖病棟というやつでですね、完全に患者達が閉じ込められていて、檻の中に。そこでもう徹底的に虐待されるんですよ。

(赤江珠緒)
えぇ。。

精神病院での虐待が話題に

(町山智浩)
でまぁ、全裸にされたり、拘束されたり、ムリヤリ薬を飲まされたりですね、人権を踏みにじられるのをそのまま撮影して、でそれを公開しようとしたらですね、マサチューセッツ州が映画の公開を禁止して大騒ぎになって、大騒ぎになったおかげで、精神病院の中ではこんなひどい事が行われてるんだと。言う事で全米のですね、各地の閉鎖病棟の内部がですね、色々と調査されて、廃止されたり改善されたりしていったきっかけになった映画なんですね。

(赤江珠緒)
ふ〜ん。

(町山智浩)
それが『チチカット・フォーリーズ』っていう映画なんですが。その後ですね、ワイズマン監督が撮ってきた映画のタイトルを言うとですね、『高校』。そのまんま。『病院』。『福祉』。

(赤江珠緒)
えっちょっとま・・、『福祉』とかって、そんなタイトルあります?(笑)

(町山智浩)
そのまんまなんですよ。はい。『競馬場』。『動物園』。

(赤江珠緒)
いやっはっはっは。(笑)ええー?タイトルを考えようという姿勢はないのですか?

(山里亮太)
そう言われたら今回だって『ボストン市庁舎』だもんね。(笑)

そのまんまのタイトル

(町山智浩)
そう。『大学』。というね、もう、そのままのタイトルなんですけども、この人の映画の撮り方はもうまさにそのまんまなんですよ。この人ドキュメンタリーで撮ってるんですけど、まず初めて見た人はびっくりすると思うんですね。誰が誰だかわからないんですよ。出てる人が。つまりナレーションとか下にテロップで、説明が入らないでなんですよ。

(山里亮太)
えぇっ!

(町山智浩)
で、ナレーションがないから、その場は一体どういう場で、どういう状況でこの人達は何をしてるのか、全くわからない。だから、見ながら考えなきゃなんですよ。

(赤江珠緒)
そうですね、急にその場に連れて来られたみたいな感じですね、観客はね。

映画の撮り方もこだわりが

(町山智浩)
そんな感じなんですよ。でもどうしてそういう事をするかって言うと、ドキュメンタリーでナレーションを付けたり説明を付けたりすると、”こういう風に見て下さい” ”こう考えて下さい”っていう風に監督が押し付ける事になっちゃうんですね。

(山里亮太)
なるほど。

(町山智浩)
それは避けたいと。ただありのままの状況を見せるから、観客が自分で考えて下さい。っていう映画なんですよ。だからタイトルもナントカのナントカ!っていう風にならないで、『高校』!『病院』!みたいな。

(山里亮太)
あ〜〜なるほど!

(赤江珠緒)
そうね、何も足してないですね。

市役所を取材するに至った経緯

(町山智浩)
何も足してない。『動物園』。ねぇ。「これがどうだ!?」みたいな、”地獄の”とかね、”楽しい!とかそういうの付けないんですよ。印象を植え付けられちゃうから。『高校』。そのままなんですよ、『病院』。そういうすごい撮り方をしている監督なんですけどもね。で、今回『ボストン市庁舎』を撮る事にしたんですが、これ日本語タイトルは『ボストン市庁舎』なんですけども、原題は『City Hall』で、ただの”市役所”なんですよ。市役所。だからこの人の路線のままなんですけども、あんまりにも、『市役所』っていうタイトルで公開できないと思ったのか『ボストン市庁舎』ってタイトルになってるんですけど、日本ではね。で、今までこうやって病院とか学校とかのまぁドキュメンタリーを撮ってきたんで、それを一括して管理してる所はどこなのか、運営してる所はどこなのかと考えたら、あっ、それが市政府なんだと。だったら、市役所、市長をちゃんと取材すれば全部、全体像が抑えられるという事で『ボストン市庁舎』を撮る事にしたそうです。

(赤江珠緒)
ふ〜ん、うん。

ボストン市庁舎の電話コールセンター

(町山智浩)
でね、この映画はまず最初にボストン市庁舎の、電話コールセンターから始まるんですけども、で、そこにかかってくる電話はですね、「ネズミが出ました。」とかね、「家主に電気を止められちゃいました。」「水道止められました。」とか。「近所の信号が消えてるんですけど。」みたいな、「街灯が消えてます!」とかそういう電話なんですが、ボストン市はね、警察を呼んだり消防署を呼んだりするみたいな非常事態以外の、緊急事態以外の全ての相談を電話番号「311」で通報して、相談できる事になってるんですと。

(赤江珠緒)
へぇ〜。いいですね。

(町山智浩)
だから、例えば急いでない物だから、「近くの公園に、車椅子で入りにくい。」とかね、「アプローチがない。」とか、そういう事を何でもいいから相談していいっていう事になっていて、それに受け答えしていく所から始まって、あとの映画は、それに実際にどういう風に応じていくかっていうのを見せていく映画になってますね。ただ、見ながらこれは一体どこで何をしてるのかって事を考えるんですけども、こういうシーンがありまして。

その、教会があってですね、教会にご老人達が集まってるんですね。そこに50代の男性職員が来てですね、市のね。で、老人達から色々、振り込み詐欺・・振り込み詐欺アメリカでもヒドイんですよ!それについて色々な質問のやり取りをするんですね。で、こう言うんですよ。

「銀行からメールが来ても、そういう事を銀行はメールしませんから!それはインチキです!」とかね、そういう事を教えていくんですけども、その職員はですね、こう言うんですね。

「市庁舎の方に、いつでも困った事があったり、詐欺かなと思う事があったら電話して下さい。」と。「私もオフィスにいる時はその電話に出ます。」と。「だから何でも電話して下さい。」って言うんですが、その市職員は実は、ボストン市の市長なんですよ。

(赤江珠緒)
え、市長みずから?へぇ〜。

マーティ・ウォルシュ市長

映画「ボストン市庁舎」の画像引用:IMDB.com

(町山智浩)
そう。市長みずから、その老人の所に行って、現場の所に行って、質問を直接受けて話し合いをしてるんですね。この人はマーティ・ウォルシュという市長なんですけれども、この人がすごい訳ですよ、実際は。というのは、もう日本の地方自治体の長って、市長とか知事のかなり多くの人達は市民と直接会話しないどころか、記者会見ですら質問にちゃんと答えない状況ですから。この感じはすごいんですね、このウォルシュ市長の。で、これはね、アメリカの市長はみんなこうかって言うとそうじゃなくて。これはボストン市のウォルシュ市長が特にすごいんですよ。

というのは、この映画でなんでボストン市を取材する事になったのかというと、このフレデリック・ワイズマン監督は、あらゆる所に送って、市の仕事を全部撮らせてほしいと。密着して。という風に手紙を書いたら、返事が返ってきたのがボストンだけだったんですね。

(赤江珠緒)
は、はは〜。

(山里亮太)
他は見られたらまずいんだ・・。

(町山智浩)
そう。やっぱり内側を見られたらまずいっていう事で、みんな返事もしてこなかったと。

(赤江珠緒)
あぁ、そうなんですね。

唯一取材許可を出してくれたのがボストン市庁舎だった

(町山智浩)
で、ここはもう、全部撮ってくれ!どこでも撮って下さい!っていう感じだったそうですね、ボストンは。

(赤江珠緒)
本当に風通しがいいんだ、ボストン市長は。

(町山智浩)
そう。で、このボストン市が、そういう事でね、すごい市だって事を知ってたんですかって監督に聞いたら、全然知らなかったって言ってましたけど。(笑)

(赤江珠緒)
ふ〜ん!

(町山智浩)
フランスに今住んでるんですね、フレデリック・ワイズマン監督は。で、撮ってるうちに、”こいつらすげえ!”と思ったって言ってましたから。(笑)というのはね、このワイズマン監督自身はボストンで育った人なんですよ。で、ユダヤ系なんですけど、昔は非常に差別的で腐敗した街だったんですね、ボストンって。これ映画でもね、『ディパーテッド』とかね、『スポットライト 世紀のスクープ』とかで描かれてるんですけれども、ボストンはね、アイルランド系のマフィアが仕切ってる街なんですよ。

(赤江珠緒)
あ、そうなんですね、うん。

ボストンの昔は腐敗した街だった

(町山智浩)
はい。で、警察も市役所もキリスト教のカトリック教会も、このアイルランド人かイタリア人のカトリックに支配されていて、完全に腐敗しきっていて、癒着してて。で、黒人とかユダヤ系とかアジア系とか中南米系に対してものすごい差別があったんですね。で、このワイズマン監督の父親もユダヤ系で市の役職に就けなかったりした事があったんで、すごくこのボストンってダメだなとワイズマン監督が思っていたら、今回取材してみたら全然違うんでびっくりしたと。でそれは、2014年に市長に就任したマーティ・ウォルシュ市長がすごい改革をしたらしいんですよ。とにかくその市の要職に女性を半分つけてね、あとアフリカ系とか中南米系とかアジア系の人達をどんどん採用して。で、アメリカで1番多様性のある市政にしようって事で、もう変えていって。あとその、経済格差解消作戦みたいな事を始めてですね。市の持ってる市有地ってありますけどね、そこにどんどん低所得者向け住宅を作っていくと。

(赤江珠緒)
へぇ〜!すごいですね!

(町山智浩)
で、その5年間で2万8000戸の低所得者向け住宅を建ててるんですよ。

(山里亮太)
へぇ〜!

(町山智浩)
で、今アメリカですごく問題になったのが、家賃がとにかく高くて高くて。貧しい人達っていうかまぁ、低賃金労働者が仕事があるのにホームレスになっちゃってる状況が広がってるんですね。それを解決する為にそういった住宅を作ると。あと、やっぱり家賃を上げたいって事でもって大家とトラブる訳ですけど、それに対して家賃が払えなくなってもすぐに立ち退きをすることを法律で禁止する、立ち退き防止法を作ったりね、その市で。色んな形で頑張っていくうちに、その5年間でものすごい中産階級を増やしていくと。中流を増やしていくと。いう事をして、かなり実績を上げていくんですね。

(赤江珠緒)
うんうん。

改革をどうやってやったかを見せていく

(町山智浩)
で、実際にどうやってやっていったかを見せていくんですが、これがまぁすごいんですよ。例えばですね、そういう所得者向け住宅を作る時に、建設業者の人達に発注をする訳ですね。で入札がある訳ですけど、その時もちゃんと意見を聞くんですよ。地元の人達にね。そうすると、「大手の所に受注させないでくれ!」って言うんですよ、地元の工務店の人が。

(赤江珠緒)
あー・・うん。

(町山智浩)
大手の建設業者とかが受注しても、どうせ俺たち下請けに下請けさせんだから!

(赤江珠緒)
あーそういう事。

(町山智浩)
結局大手に中抜きされるだけで俺達は給料が減るだけ、取り分減るだけなんだから、直接俺たちに仕事をくれないか、みたいな事を言うのをちゃんと聞いたりね。

(赤江珠緒)
ふ〜ん!

(町山智浩)
すごい・・もうすごくみんなの意見を聞いていくね。

(赤江珠緒)
政治家としてものすごく頑張ってる人ですね。

ウォルシュ市長とその仲間達が結果を出していく

(町山智浩)
そうなんです。すごいんですよこれ。このウォルシュ市長とその仲間達がね。で、失業率もね、2.4%まで落としてね、史上最低を記録したりするんですけど。あとね、仕事が早い早い。

(赤江珠緒)
へ〜え!

(町山智浩)
あのね、公園がありまして。ボストンコモンズっていう公園があるんですけど、そこにさっき言った車椅子用のアプローチがなかったんですね、スロープが。ウォルシュ市長の前には。で、それを障害者委員会みたいな物を作ってですね、何が問題かって言うと、そこにないって言ったら、じゃぁ作りましょう!って言って、もうすごいんですよ。5分ぐらいで決めちゃうんですよ。予算を立てましょうって。このスピード!スピード感がものすごいんですね。で、ホームレスが冬になると、駅に集まってしまって大変だと。その人達を追い出すとか色々話になる訳ですが、そうじゃなくて、「彼らの為にシャワールーム作りましょう!」とかね、ぱぱっとこう、決めるんですよ。スピード感があってですね。で、それだけじゃなくて1番ね、この『ボストン市庁舎』で感動的なのは、1人1人の職員達が、自分達がやること、自分達がやっている仕事の意味という事を完全に理解しているって事なんですね。でね、駐車違反をした人がね、チケットを切られて、このチケットは払えないっていう風に反論してくる場所っていうのがあるんですね。日本でもやってるとは思うんですけど、で異議申し立てをする時に、その駐車違反をした人がですね、「僕子供が初めて生まれて、ものすごく大喜びで、焦ってて、だからその車を消火栓の所に停めちゃったんです。」って言うんですよ。そうすると、駐車違反取締係の人は、「わかりました。ではこの違反はなしにします。」って。

(赤江珠緒)
えっ!そんな事も?えぇ〜!

(町山智浩)
その人の、彼自身の、彼女自身の個人的な判断でチケットをなしにしてるんですよ。その場で。

(赤江珠緒)
えーっ!そういう・・なんか全部杓子定規っていうかルールに則って!みたいなイメージですけど。

(山里亮太)
役所と言えばね。

(赤江珠緒)
ねぇ!

ウォルシュ市長の素晴らしい演説

(町山智浩)
そうなんですよ。お役所仕事って言うとそういうイメージなんですけど、そうじゃないんですよ。ものすごく人間的なものになっててですね、まぁボストンを改革しようとしてるんですけど、その中でまぁ色々戦いがあって、例えば、その時トランプ政権なんですよ、これ撮影しているときは。だから入国管理局に・・入管にですね、外国人を見つけ出して、そのビザが切れてたら、どんどんその家族や子供と引き離して収容所にぶち込むっていう事をトランプ政権はやってたんですけど、それをさせない!って言うね、法律を作ったりね、このボストン市長はね。トランプ政権と闘いながら5年間で本当にいい市にしていこうとするんですけども、ここで、本当にね、彼、ウォルシュ市長の演説が本当に素晴らしくてですね。「私がやってるのはただの市の仕事ではありません。」って言うんですよね。「この市を改革して、それが成功すれば、それが州に広がり、最後には国に広がるんです。」って言うんですよ。

(山里亮太)
はーなるほど。

(町山智浩)
「だから私達で街を変えて、国を変えましょう!」って。これは素晴らしいんですけど、彼は今はですね、その市長を辞めて、今年からバイデン政権の労働長官に任命されて本当に国を変えてるんですよ。

(赤江珠緒)
へーえ!!

(山里亮太)
すごい!

(町山智浩)
これはね、すごい事になってますけどね。これは、映画が作られた後でそういう人事があったんですけどもね。

(赤江珠緒)
はい。あぁそうですか。

(町山智浩)
でね、とにかく彼が何度も、ウォルシュ市長が言うのは、「皆さん!助けを求めて下さい。助けるのが、我々の仕事です!」って言うんですよ。

(赤江珠緒)
んー!

一方、日本の政治

(町山智浩)
これ当たり前の事なんだけど。最近なんか、変な事になってて、日本だと総理大臣が「自助!」とか言ったりして、それが政治理念とか言ったりする時代になってるんで、でも、政治っていうのは実際そうじゃなくて、「公助」する為の物なんだっていう事を改めて思い出させる感じなんですよね。

(赤江珠緒)
ねぇ!それでそれが成立している世界があるっていうね。

(町山智浩)
て言うか、これが当たり前だったんですよ!昔は。日本でもいっぱい都営住宅作ったりして、僕が子供の頃は都はすごく貧しい人達の為の、そこらじゅうに都営住宅作ったんですよ。ね。そういう事をやってたんですけど、今は逆にその公共サービスって・・まぁ日本ではすごい削られてる訳ですよ。で、民営化がすごい進んで、病院とか減らされたりね。それでいて大企業とやる事業ばっかりに色々・・カジノとかね、そういう事ばっかり考えてて。で、公務員をすごく減らして、人材派遣業者の方にやらせてるから、今日本の、役所の窓口の職員や教員や保育士の、5人に1人が非正規労働者で、最低賃金で働いているワーキングプアなんですよ。だから役所がワーキングプアを作り出してる状態なんなんですよね。今の日本は。フレデリック・ワイズマンにそれを話したら、「この映画を見て勉強し直せ!」って言ってましたよ。(笑)

(赤江珠緒)
そうね。このボストンのこの政治のやり方がレアっていうのがね、おかしな事ですもんね。

(山里亮太)
これがあるべき姿ですもんね。

(町山智浩)
そうなんですよね。だからまぁ、今週選挙だからね。本当に投票で変わりますから。それは。国もね、地方自治体も。という事で皆さんね、ぜひ投票と、この映画、『ボストン市庁舎』。11月12日から公開なので、4時間半ですが!(笑)

(山里亮太)
よじかんはん!かぁ〜〜!(笑)

(町山智浩)
でもね、地方自治体とか政治に関わっている人、まぁ全ての人ですね、それは。全ての人が見るべき映画です。これが政治ですよ。

(赤江珠緒)
なるほど。『ボストン市庁舎』。11月12日から全国順次ロードショーです。町山さん、ありがとうございました!

(山里亮太)
ありした!

(町山智浩)
どうもでした〜!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑦映画の撮り方もそのまんま
⑫ウォルシュ市長の演説が本当に素晴らしい。「私がやってるのはただの市の仕事ではありません。」「この市を改革して、それが成功すれば、それが州に広がり、最後には国に広がるんです。」

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