フォードvsフェラーリの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、今年ベストと言う『フォードvsフェラーリ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『フォードvsフェラーリ』解説レビューの概要
①町山さんが今年(2019年12月時点)ベスト!という傑作!
②○○○を発明し○○○○の人々を生んだ「フォード」の挑戦について、実話を元にしたストーリー。
③現代の車の上に60年代の車のボディーを乗せて撮影、CGなし!※背景等はCGを使用
④『フォードvsフェラーリ』ではあるが、フォード内での対決も描かれ、『下町ロケット』等にも近い物として見てる人も多い。
⑤レーサーとしてこの先ないな、と思っていた2人のセカンドチャンス
⑥電気自動車や、運転自動化により、エンジン型の車は衰退していくのでは、そういった背景を考えるとまた感慨深い作品。
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『フォードvsフェラーリ』町山さんの今年(2019年)ベスト!
(町山智浩)
今日はね、僕ね今年のねベストですよ。
(山里亮太)
出ましたか・・!!
(町山智浩)
今ん所、ベスト。
(赤江珠緒)
おっ!えっ嘘、もう今年の!?
(山里亮太)
実質1位じゃないですか?
(町山智浩)
ん、今の所そうですね!『フォードvsフェラーリ』という映画になりますっ!
〜音楽♫〜
(町山智浩)
かっこいい曲ですが、これ、いつ頃の曲だと思います?
(赤江珠緒)
なーんかね、ええとねぇ、60年代?
(町山智浩)
そうそう。60年代のね、ロックンロールですけど。この『フォードvsフェラーリ』という映画は、1960年代にあった、実際のフォードという自動車会社とフェラーリという自動車会社の対決を描いた映画です。
1960年代にあった実際の自動車会社同士の対決を描く
(赤江珠緒)
へぇー!フォードとフェラーリ対決してたんだ。
(町山智浩)
ものすごいもう熱血映画なんですよ。でね、舞台は、ル・マン24時間耐久レースです。これはご存知だと思うんですけど、フランスのル・マンという場所で、24時間、1台の車を走らせ続けるというレースなんですね?
(山里亮太)
はいはい。
(町山智浩)
で、レーサーは2人だけで交代してやるんですけども、当時1960年代は、55台レースに出て、10台ちょっとしか完走できないうですね。
(赤江珠緒)
そんな過酷!!
ル・マン、それは過酷なレース
(町山智浩)
ものすごい過酷なレースだったんですよ。で、それはまぁ自動車レース界のF1と並んで最高峰のものなんですけれども。そこにフォードが参戦することになったんですね。で、どうしてフォードが、フォードっていう会社はそれまでレースに出たことがなかったんです。で、どうしてフォードが出なかったかと言いますと、フォードという会社はヘンリー・フォードという人が始めた会社なんですけど、自動車ってそれまで贅沢品だったんですね?自動車が始まった頃ですけれども。それを「誰でも買えるような物にする」という目的でフォードという自動車会社は始まったんですよ。
そのおかげで、アメリカは一気に庶民がみんな自動車を持つことができて、いわゆるモータリゼーションというのが起こったんですね。だから、スポーツカーとかは贅沢品だから作らない方針だったんですよ。
(赤江珠緒)
あっわりと大衆車というか、庶民的な車を作っていた?フォードは。
フォードは大衆車を作っていた
(町山智浩)
そうです。はい。「大衆車」というものを発明した会社なんですよ。で、それによって、ものすごい人達を工場で働かせて、いわゆるベルトコンベヤーの流れ作業でね。ものすごい人数の人達を。それによってアメリカは貧困層と富裕層の2つにはっきり分かれてきた所に、いわゆる中流というものを発明したんですよ。フォードが。
(赤江珠緒)
はぁ〜。。ほうほう。
(町山智浩)
自動車産業によって、いわゆる中流という人達が生まれていったんですね。家があって車があるんだけども大金持ちではないと。それで子供を大学に入れられて普通に生活できるレベルの人たちが拡大していって、その人達が人口でいちばん多い層に初めてなったんです。それがまぁ世界にその考え方広がっていって、1940年代から60年代にかけて全世界で中流という人達が全世界の巨大な文化と産業を作っていったんですね?だからフォードっていうのはすごい人なんですよ。
(赤江珠緒)
そうですね!
フォードは中流の人達を作り、二十世紀を作った
(町山智浩)
二十世紀を作った人なんですけども、そうなるとその中流の中で、格差が出てくるわけですよ。そうすると、そこから出てきた若い人達が「おしゃれな車に乗りたいぜ」っていう人達がいるわけです。「そんなダサいオヤジの車じゃなくて」。ねぇ。結婚すぐにしなくなったので、みんな。”お金があるんだけれども独身”という人が出てくるわけですよ。昔は社会に出たらすぐ結婚してましたからね。その人達の為のスポーツカーが必要になるんですよ。
(赤江珠緒)
ちょっと余裕が出てきて、はい。
(町山智浩)
そう。でもフォードは持ってないんですよ。売ってないんですよ。大衆車会社だから。で、今さらフォードが出しても、まあムスタングっていうスポーツカーを発売しようとするですけれども、1963年ぐらいに発売しようとするんですけど、フォードの車のイメージが大衆車だから売れないんですよ。
(赤江珠緒)
んーー!!
フォード=大衆車=ダサい
(町山智浩)
「ダサい」っていうことで。だから、レースに出よう。でも、レースのノウハウがないから、じゃあ、ル・マン24時間耐久レースで5年連続で勝ち続けている最強のチームであるイタリアのフェラーリを買収してしまえ!と思うんですよね、フォードは。で、フェラーリを傘下に収めようということで交渉をしてるんですけれども、交渉は決裂するんですよ。それは実はまぁ、フェラーリがフォードをバカにしていたんですね。
(赤江珠緒)
まあフェラーリはイメージ高級車っていう感じですもんね!
(町山智浩)
でしょう?で、イタリアの車だから職人さんが作る手作りの芸術品なんですよ。フェラーリっていうのは。
(赤江珠緒)
「跳ね馬」っていうね!
「ダサい工場でダサい車を作っているな」
(町山智浩)
ね。で、そのエンツォ・フェラーリっていう元レーサーの人が社長なんですけれども。その人がフォードが大量生産で流れ作業で作っているのを見て、「ダサい工場でダサい車を作っているな」って言っちゃうんですよ。
(赤江珠緒)
お、おおお〜。(笑)
(町山智浩)
ね?(笑)それで、しかもですね、裏でフィアットっていうイタリアの会社と買収の取引をしてたんで、自分達の会社の値段を吊り上げるためにそのフォードを利用していたんですね?
(山里亮太)
はーー!!
「フェラーリを潰す!」
(町山智浩)
で、完全にバカにされていたんですよフォードは。で、フォードのその頃の社長ヘンリー・フォードの孫なんですけども、彼が「もうわかった。」と。「フェラーリを潰す!」って言う事になるんですよ。復讐のために。メンツがあるから。で、「やつらがいちばん威張っているそのル・マン24時間耐久レースでフォードが優勝するんだ!」っていう計画を立てるんですよ。
(山里亮太)
正々堂々と!決闘だと!
(赤江珠緒)
そうだねぇ。火が着いちゃったねぇ。
(町山智浩)
そうなんです。だから『フォードvsフェラーリ』というタイトルなんですよ。でも、主人公はフォードの人じゃないんですよ、この映画は。これね、フォードは出場するんですけれども、全然勝てないんですよ。
(赤江珠緒)
あ、やっぱりダメなんだ、そこは。
マット・デイモンが演じる一匹狼のカーデザイナー
(町山智浩)
ダメなんですよ。1台も完走できなかったんですよ1964年に出て。で、どうするか?っていうことで、まぁ一匹狼のカーデザイナー、元レーサーのカーでデザイナーがいまして。シェルビーという人がいまして、これマット・デイモンがこの映画では演じています。で、その人を雇って、「何とかフェラーリを叩きのめすレースチームを作ってくれ。」と。「レースカーも開発してくれ」と。という事で彼を雇うという事で、シェルビーが1人の主人公なんですね。で、このシェルビーは「それにはテストドライバー、レーサーが必要なんですよ。」と。それで、彼が雇うのが、ケン・マイルズというイギリス人のレーサーで、これはクリスチャン・ベールが演じてます。
(赤江珠緒)
ふーん。
レーサー、クリスチャン・ベール演じるケン・マイルズ
(町山智浩)
だからこれまぁ、『バットマン』のクリスチャン・ベールと『ボーン・アイデンティティー』のマット・デイモンが手を組むという話になっているんですけど。で、始めるんですが、この2人はですね、こうなんて言うか、はぐれ狼みたいな2人組なんですよ。だから、レーサーとしてもエンジニアとしても優秀なんだけれど、フォードとなかなか合わないんですね。この映画の中だと。というのは、フォードという会社は、組合とかに関してもすごく弾圧していたりしてたような会社なんですけども、とにかく真面目なんですよ。それで、流れ作業とかを見ても分かるように突出した人はあまり求めない会社なんですよ。忠実な社員がいいんですよ。
(赤江珠緒)
あ〜・・ちょっと個性的過ぎるのは困るという?
(町山智浩)
そう。この2人はならず者なんで、フォードとしては合わないので、まぁ『フォードvsフェラーリ』というタイトルになってるのに、このシェルビーとマイルズチームvsフォードみたいな話になってくるんですよ。
(赤江珠緒)
な、へぇ〜!!うんうん。
『下町ロケット』に近いものが
(町山智浩)
そう、その辺がまた面白くて。すごく日本で見た人たちは、そのTBSでやっているようなその、『下町ロケット』とか『陸王』とかの、そのちっちゃい会社が、巨大な企業と製品開発で戦うって話ありますよね。それに非常に近いものとして見てる人も多いと思います。で、これがね、この『フォードvsフェラーリ』がすごいのは、最近のレース映画って、実はCGがほとんどなんですよ。コンピューターグラフィックスなんですね?でも今回は、監督がジェームズ・マンゴールドという監督なんですけれども、「絶対にコンピューターグラフィックス使いたくない!」と。いうことでね、現代の車の上にその60年代の車のボディーを乗せて、本当にレース場で撮っているんですね。
(赤江珠緒)
へぇー!
(町山智浩)
これがすごいんですよ、迫力が。やっぱり本物だから。
(赤江珠緒)
あっ、そーう!CGなし!?
CGなしで撮影
(町山智浩)
CGなしで撮ってますね。あの背景だけCGで、アメリカのレース場で撮ったやつの後ろにフランスの背景とかをくっつけてますけど。車自体がひっくり返ったりするのは本当にやってますよ。
(赤江珠緒)
はーー!!
(町山智浩)
だからもんのすごい迫力なんですよ。ただね、この映画がすごくいいのは、この跳ねっ返りの一匹狼の2人組、”一匹狼が2人で組む”っていうこと自体がだいたい難しいんですけども。(笑)一匹狼グループって、一匹じゃねえだろって思うんですけども。(笑)
(赤江珠緒)
確かに。(笑)
(町山智浩)
お互いにね、このシェルビーとマイルズがね、もう殴り合いのケンカばっかりしてるんですよ。もうそれでケンカしながらね、ダチになるというね、この番長物のような。(笑)
(赤江珠緒)
はははははは。
シェルビーとマイルズの殴り合いの喧嘩
(町山智浩)
”タイマンはったらダチ”みたいな世界とかがね、本当にね少年漫画的でね、泣かせるんですよね。
(赤江珠緒)
でもこれ、実話ベースっていうことは、本当にそういう感じだったって事ですか?
(町山智浩)
いや、その辺は誇張しているそうですよ。やっぱり。そのへんはやっぱり。ただね、このケン・マイルズというレーサー、クリスチャン・ベールが演じているんですけども、その当時もう40半ばなんですよ。で、そのシェルビーの方は心臓病でもうレースができないんですよ。2人ともレーサーとして、もうこの先ないなと思って諦めていた所に、この話が来て。まあセカンドチャンスで頑張るっていう所も泣けるんですよね。
(赤江珠緒)
ほーーう!なるほど。
(町山智浩)
中年過ぎての、世界を取るかどうかという。で、フォードはフォードでもう本当にメンツの問題だから、「これはもうフェラーリと戦争なんだ!」とかね。「あいつらの骨をル・マンに埋めてやれ!」とか言っていたりね。
(赤江珠緒)
はははははは。(笑)ふーん!
無茶振りのフォード
(町山智浩)
すごいんですよ。で、ただ開発期間はものすごい短いんですよ。だって今までフォードはレースをやってなかったんですから。それをたった3年かなんかで優勝しろって言ってるんですよ。
(赤江珠緒)
うわぁ、かなり無謀な挑戦ですね。
(町山智浩)
そう、もう無茶ぶりなんですけど、まあその時にシェルビーがね、マイルズを誘う時の言葉がまたいいんですよ。「2人で歴史を変えようぜ」って言うんですよ。
(山里亮太)
あー!いい!
(町山智浩)
また、もうめちゃくちゃ泣かせる映画でね。
(赤江珠緒)
本当にね。熱いセリフですね。
(町山智浩)
すっごい熱い映画なんですよ。ただね、これを見てやっぱり1つね、すごい悲しい気分になった所もあったんですよね。僕ね、実は、この間、デトロイトに行きましてね。デトロイトのフォード博物館に行ってきたんですよ。で、このフォードがル・マンのために開発したフォード・GTも実際に触ってきました。ル・マンのレースで優勝したやつの現物がありました。
(赤江珠緒)
へぇー!
(町山智浩)
はい。翌年も優勝しまして。67年に優勝したル・マンの、もう本当にちょっとクラッシュした跡とかも残っているフォード・GTに触ってきたんですけど、ただね、前も話したんですが、デトロイトは、今すごい勢いで再生してるんですよ。
(赤江珠緒)
そうですってね、うん。
デトロイトはすごい勢いで再生している
(町山智浩)
もう10年前に自動車産業その物がもう、めちゃくちゃになっちゃったと。言うことで崩壊していたんですけど、フォードもゼネラルモーターズもクライスラーもね。で、その後も実はすごく調子が良くなくて。というのは、電気自動車の時代になってきたじゃないですか。で、そのデトロイトの自動車産業自体が、その電気自動車の時代にあんまり追いついていけなくて。まあプリウスに負けていたんですよね。
(赤江珠緒)
うん。
(町山智浩)
で、このまま、どうなっちゃうんだろうと。電気自動車が普及すると、電気自動車って誰でも作れるんですよはっきり言って。自動車のエンジンっていうものはものすごい技術が必要なんですけれども、開発とかが。電気自動車って結構そこらへんの人でも作れちゃうんですよ。
(赤江珠緒)
そういうもんですか。うん。じゃぁガソリンエンジンという物が難しいんだ。
自動運転
(町山智浩)
そう。そうなると、巨大な自動車産業その物の必要性がなくなってくるんですよ。だからそれもあって、もう滅びるのかなと思っていたんですね。ところがそれが今復活していってると。「どうして?」って言う事を聞いて回ったんですよ。それは、電気自動車の開発というものもあるけれども、もう1つは「自動運転」なんだそうです。
(赤江珠緒)
はぁ〜!
(町山智浩)
今、フォードもゼネラルモーターズも自動運転に向けて、そのシステム全体を作るという事で、ものすごく開発費をもらって、開発が盛り上がっていて。逆に自動車の工場とかは縮小してるんですけども、会社自体は調子いいんですよ。ただその時に話を聞いたのは、この間、全米トラック協会の話をしましたよね。全米トラック組合の話。
全米トラック協会の話
(赤江珠緒)
はい。牛耳っている人ね。『アイリッシュマン』だ。
(町山智浩)
はい。そうですね。150万人以上いるトラック運転手の組合を牛耳っているのがそのトラック運転組合なんですけれども。アメリカの血液とか血管と言われているんですね、トラック業界はね。それこそ材料、、鉄鋼とか一次産業から製品から、もう何から何まで流通させてますから。このトラックは、無人化するだろうと言ってましたね。
(赤江珠緒)
うえぇぇ!!
(町山智浩)
近い将来、無人化するだろうと。
(赤江珠緒)
じゃぁ、そこの雇用がまた、変わってきますね。
(町山智浩)
はい。150万人の運転手が要らなくなるだろうと。というのは、アメリカはフリーウェイという高速道路をトラックが移動してるんですけれども。その街に着いても、その街のステーションに停まればいいんで、街中に入る必要はないんですよトラックは。実際に今もそうなんですよ。それだったら完全に無人化して、そのフリーウェイの上を移動するだけだったら人間いらないんですよ。
(山里亮太)
確かに・・。
(赤江珠緒)
うわー、でもそうなってくると本当にまたね、機械に委ねる事で、人の仕事がなくなっていくっていうのも、あるなー。
人の仕事がなくなっていく
(町山智浩)
なくなるんですけど、それまでの間はその200万台と言われるようなそのトラックを全部、自動運転に切り替えていく間はものすごく儲かるんですよ。ひとつの産業自体をゼロから作る事になりますから。あと彼らが言っていたのは、「街の中でのそのタクシーやバス。これも全部自動化されるだろう」って言ってましたね。で、もう既にそれは進んでいるんですよ。Uberとかがやってますからね。だから、それも全部システムを作っている間はずっと、アメリカの自動車産業は、まぁ好調なんですよ。
(赤江珠緒)
だから今デトロイトが復活してるんだ。
(町山智浩)
復活してるんですけど。ただこの時に思ったのは、もうそのガソリンエンジンで走る車をテクニックで競うというこのカーレースというもの自体が、もうなくなるんじゃないかなと思いましたね。
(赤江珠緒)
あぁ、そうか。そこを競っても意味なくなるんですもんね。
エンジンのある自動車に乗る人が減る
(町山智浩)
はい。自家用車に乗ること自体が、もうアメリカ人がどんどんやめているんですよ。今、あのUberとかLyftっていう、呼ぶと来るタクシーよりも便利になったやつにみんな切り替えているので、車を持つのやめ始めてるんですよ、アメリカ人が。まぁ、コストもかかるしね。だからそのエンジンのある自動車に乗るという人は、本当に趣味の人しかいなくなるような気がします。
(赤江珠緒)
ふーん。
(町山智浩)
レースなんかも本当に今の、馬術とか競馬とかと同じような、つまり馬に乗っていた時代というのはあったんだけど、今はもう馬に乗ってるのはスポーツしか残ってないわけですよね。レースもそうなるでしょうね、自動車の。
(赤江珠緒)
そういう事ですね。はー。
(山里亮太)
なるほどなぁー。
レース映画は時代劇のようになっていく
(町山智浩)
はい。だからね本当に博物館に行ってそういうのを見せられるんですよ。未来とか。将来を。近い将来ですね。すると、なんかこういうレース映画ってそれこそ西部劇とか、時代劇のような物になっていくんだろうなと思いすね。
(赤江珠緒)
過去の物になっていくのか。へぇー!
(町山智浩)
だからこの2人がね、なんていうか、カーボーイとかね、侍のように見えるんですよ。もう既になくなってしまった文化を担い続ける英雄のように見えて。で、しかも最後はこのル・マン24時間レースでですね、フェラーリと一騎打ちになるんですけど!もう完全にこれはアレですよ、西部劇の決闘であったり、時代劇の侍の果し合いの世界なんですよ。ものすごい熱いです!
(赤江珠緒)
へー・・!町山さんはもうどんぴしゃハマりましたか!
背中に寒気がバッ!
(町山智浩)
これはハマった!これ最後、背中に寒気がバッ!と来ましたよ。
(赤江珠緒)
あぁ本当ですか!今の車をね、走らせるっていう事は、車に詳しい人はエンジン音とかでわかったりするんじゃないですか?
(町山智浩)
エンジン音はちゃんと当時の記録フィルムとか当時のエンジンがまだ残ってるやつを動かしたりして、エンジン音だけは当時のV8エンジンのエンジン音にしてます!それはうるさい人がいますんで。(笑)
(赤江珠緒)
そうですよねぇ!結構そういう人いますもんね!
(町山智浩)
はい。そういう感じでね、色んな意味でその熱く燃えるんだけど、もう滅びゆく文化なのかなと思うと非常に切なかったりね、して。もう本当に泣ける映画が『フォードvsフェラーリ』ですね。はい。
(赤江珠緒)
じゃあ60年代の戦いとちょっと今はまた違う見え方がするというね、そういうレースなんだなぁ、なるほど。『フォードvsフェラーリ』は2020年の1月10日公開でございます。とにかく町山さんが、今年一、今の所ベストだという。
(町山智浩)
最高でしたよ!
(赤江珠緒)
はい!(笑)そうか。わかりました。町山さん、ありがとうございました!
(山里亮太)
ありしたーっ!
(町山智浩)
どもでした!
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
②「大衆車」を発明し中流階級の人々を生んだ「フォード」の挑戦について、実話を元にしたストーリー。