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引用:IMDb.com

私ときどきレッサーパンダの町山智浩さんの解説レビュー

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2022年03月15日更新
これは性的であるっていう事で叩かれるような要素がね、ちょっとアメリカの各地で出てきてて、ディズニー、ピクサーもそれに巻き込まれて色々大変な事なんですけども。ただね、このアニメ自体は全然そういうの抜きでも面白いんですよ。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『私ときどきレッサーパンダ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『私ときどきレッサーパンダ』解説レビューの概要

①舞台は2002年、ガラケーの時代。
②バックストリート・ボーイズの曲のパロディ
③主人公メイメイちゃんが好きなるアイドルグループ、フォータウン
④メイメイちゃんは今までどうでもよかった男の子が気になるようになる
⑤そして突然メイメイちゃんはレッサーパンダになってしまう
⑥監督のドミー・シーさんが影響を受けたのは日本の漫画、『らんま1/2』や『セーラームーン』
⑦女の子が生理になり第二次性徴をする話
⑧有名ホラー映画『○○○○○』や『○○○○』も実は同じような第二次性徴の話
⑨アメリカである法律が通りそうになっている
⑩「ドント・セイ・ゲイ法案(‘Don’t Say Gay’ Bill)」
⑪小学校3年まで学校で性について教師が生徒に話してはいけないという法律が通りそうになっている
⑫同性愛という人がいる事も、その存在自体を生徒と話してはいけない
⑬ピクサーの内部告発で、同性愛的な描写を一切するなという上からのお達しがあった事が判明
⑭ディズニーは同性愛を抑圧するような表現に加担してるんじゃないかと問題になっている。

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『私ときどきレッサーパンダ』町山さんの評価とは

(町山智浩)赤江さんって最初に好きになったアイドルとかっています?誰ですか?

(赤江珠緒)えーっとねぇ・・。そうそう。ルイルイ。

(山里亮太)るいるい!?

(町山智浩)えっ!太川陽介さん?

(赤江珠緒)太川陽介さん。1番最初だから本当に自分が物心ついた幼稚園ぐらいの時に、うわぁ〜!なんてテレビの中でキラキラ輝いてる人だろうと思ったのは太川陽介さん。

(町山智浩)太川陽介さん、今はあの、蛭子能収さんとバス乗ったりしてる?

(山里亮太)そうそう、そのイメージですよね今は。

(町山智浩)山里さんは誰ですか?

(山里亮太)僕はだから光GENJIとか・・見て。みんなで。

(町山智浩)えっなんで光GENJIなの。(笑)そうなの?

(山里亮太)あの光GENJIに入りたくてローラースケート履いたりしてましたけどね、小学校の時。

(町山智浩)光GENJI入りたかった・・あっ、あの、異性では誰ですか?

(山里亮太)異性では、あの頃はおニャン子クラブですね。

(町山智浩)あぁおニャン子クラブの誰だったんですか?

(山里亮太)新田恵利さん。

(町山智浩)ああ、すごい渋いとこ狙ってますね。そうなんだ!それは面白いな。僕はちなみにね、小川ローザさんでしたけども。

(赤江珠緒)小川ローザさん。

(山里亮太)ちょっとセクシーな。

(町山智浩)今日はそういう話なんですよ。

(山里亮太)えっ!

引用:IMDb.com

ディズニープラスで配信中の『私ときどきレッサーパンダ』

(町山智浩)あのね、この間3月11日からディズニープラスっていう所で配信が始まった、ピクサーの新作アニメなんですが、『私ときどきレッサーパンダ』という映画についてお話します。

(山里亮太)不思議な、はい。

(町山智浩)はい。この曲主題歌・・というかこの『私ときどきレッサーパンダ』の中で主人公のメイメイちゃんが、好きになるアイドルが歌ってる歌なんですけど、これ、なんていうか1980年代終わりから90年代にかけてですね、育って洋楽を聞いてた人だとね、あれ? これなんかに似てる?っていう曲なんですよ。これ、バックストリート・ボーイズの曲の何と言うかパロディなんですよ。

(山里亮太)へぇ〜!

(町山智浩)バックストリート・ボーイズっていうのは90年代終わりに非常に人気があって、その後にまぁイン・シンクとかですね、K-POPみたいな物が出てくる前に、ボーイズグループっていうのがアメリカで流行ったんですね。男の子がみんなで人種の違う男の子がグループを組んで歌ったり踊ったりするっていうのが。これはその頃のカナダを舞台にしたアニメなんですね。

(赤江珠緒)ほう。

(町山智浩)これはですね監督が1987年生まれで、自分の子供の頃の事を元にしてると言ってるんですけれども。舞台はカナダのトロントで、そこに住む中国系の女の子のメイメイちゃんが13歳になった所なんですけどもね。で舞台は2002年なんで、まだスマホがなくて、折りたたみ式の携帯で写真を撮ったりしてた時代なんですよ。

(山里亮太)はいはい。

(赤江珠緒)ガラケーか。

舞台は2002年、ガラケーの時代。

(町山智浩)そうそうガラケーの時代ですね。で、監督は1987年生まれの中国系の監督でドミー・シーさんっていう人なんですけども。

で、このメイメイちゃんが5人組のそのボーイズグループ、アイドルグループのフォータウンっていうのを好きになるんですね。で、まぁバックストリート・ボーイズみたいなグループなんですけれども、ところがそのお母さんがすごい教育ママで、中国系のタイガーマムと言われるようなお母さんで、とにかく勉強しろ勉強しろと。オールAじゃないとダメだと。楽器もやれ!ってクラシックのね、フルートとかを勉強させて、アイドルとか聞いちゃダメっていうお母さんなんで、そのお母さんの下でいい子ちゃんの優等生だったんですね、そのメイメイちゃんは。

映画「私ときどきレッサーパンダ」の画像引用:IMDB.com

(町山智浩)ところが、アイドルが好きな事は言えないんですよ、お母さんに。そこにそのフォータウンっていう好きなアイドルグループが来る事がわかるんですね、トロントにね。それと、なんかね、メイメイちゃんがどうでも今までとよかった男の子の事がすごく気になり出すんですよ。近所にいる子とかクラスの子とかが妙に気になってしまって、それを絵に書いたりしちゃうんですね落書きで。その男の子の顔とかを。で、そうするとお母さんに見つかって怒られたりするんですが、そしたらですね。ある日突然、このメイメイちゃんが巨大なレッサーパンダになっちゃうんですよ。

(山里亮太)急に?

(町山智浩)急に。っていう話なんですね。

(山里亮太)えっ。

引用:IMDb.com

ある日突然レッサーパンダに

(町山智浩)これ一体何の話なんだ?って事なんですけども、これその現在32歳のこの監督ね。ドミー・シーさんが、自分に起こった事だと言ってて、まず、変身したりする、パンダに変身したりするっていうのは、『らんま1/2』ね。高橋留美子さんの。あれに影響を受けてるんだと。

(山里亮太)へーー!!

(町山智浩)あれ男の子になったり女の子になったりしますよね。

(山里亮太)はいはいはいはい!お父さんがパンダになっちゃうんですよ。

(町山智浩)パンダになっちゃうでしょ?ね。それが元なんだと言っているんですけど、あとまぁトトロとかの影響もあると思うんですけどね。あと『セーラームーン』っぽい所もあったりするんですが後半の方で。ただ、このテーマ自体は、実は、ちょっと違う話なんですよ。この『私ときどきレッサーパンダ』って言うのは。これね、レッサーパンダになった時に、なっちゃって、トイレの中で隠れてるんですね、このメイメイちゃんは。

映画「私ときどきレッサーパンダ」の画像引用:IMDB.com

(町山智浩)するとお母さんが、メイメイ〜どうしたのって言うんですけど、ちょっと私なんかおかしくなっちゃったのって言うと、お母さんは「あっ、メイメイ。恥ずかしがる事はないのよね。とうとう来たのね。おめでとう。」って言って、生理用ナプキンをくれるんですよ。で、親戚のおばさん達も集まってお祝いしたりするんですね。日本でお赤飯炊くみたいな感じで。

(赤江珠緒)ふ〜ん!

(町山智浩)これ、そういう話なんですよ。

(赤江珠緒)ほーお!

(山里亮太)えっ・・?

女の子が生理になり第二次性徴をする話

(町山智浩)だから男の子達の事が急に気になる、意識しちゃうっていう事すね。でアイドルとかも急に好きになったりする訳です。それまで別に男でも女でも関係なくもう、みんなワチャワチャと遊んでたじゃないですか、ちっちゃい頃って。それが急に男の子だっていう事でね、なんか意識しちゃったりしてね。カチコチになっちゃったり、逆にその男の子のうっすら生えてきたヒゲみたいなのを見ちゃったりとかね。そういう、いわゆる第二次性徴期の話なんですよ。

(赤江珠緒)なるほど〜。

(町山智浩)実はこれは。そういう事をはっきり言ってないですけど、見ればわかるようになってるんですね。だから実はこういう物語っていっぱい作られてて、前にここでもご紹介したフランス映画で、『RAW~少女のめざめ~』っていうフランス映画のホラー映画があったんですけど。これはそのくらいの女の子が歳のね。中学生ぐらいの子が、突然その男の子に噛みつきたくなるっていう話だったんですよ。で、ホラーとしてその人肉を食べる恐怖映画のように描かれてるんですが、実際はその性の目覚めの事についての映画だったんですね、それは。少女のめざめってタイトルで言っちゃってるんでね、邦題がわかりやす過ぎるんですけど。(笑)。見て初めて気付いた方が面白いんですけど。

あと、『エクソシスト』っていうホラー映画もあるじゃないですか。あれも実はそういう話なんですよ。

(山里亮太)えっ!あれ呪いとかのねぇ・・?

映画「私ときどきレッサーパンダ」のポスター

(町山智浩)女の子がある日突然、セックスについてしゃべるようになるんですよ。

(赤江珠緒)はぁはぁはぁ。

(町山智浩)それで「悪魔が憑いた」っていう話になってるんですけど、実際は女の子が突然性に目覚めてしまって、親がびっくりして困ってしまうって話なんですよ。

(赤江珠緒)あ〜〜〜そうかぁ!

(山里亮太)えっそういう・・。

(町山智浩)『エクソシスト』は。だからそういう物語っていっぱいあって、まぁアニメでもね少しあるんですけど。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』はちょっとそういう話なんですよね。

(赤江珠緒)んっ?

引用:IMDb.com

千と千尋の神隠しも第二次性徴期の話

(町山智浩)あれはだってほら、13歳ぐらいでしょう?

(山里亮太)千尋。

(町山智浩)それでお風呂屋さんで働かされるじゃないですか。で、そこにはなんか変なお客さんが来て、壁に”回春”っていう文字が書いてあるのでわかるんですけど、あれはまぁいわゆるなんですか、”ソープランド”ですよね。そこで働いている時に突然、「血だ!」とか言ったりするシーンがあるんですけど。

(山里亮太)あー!あった!

(赤江珠緒)そうですね。

(山里亮太)坊がめっちゃビビるやつだ。

(町山智浩)そうそう。まぁそういう話ですよね。だから結構あるんですけど。あと日本ではね、僕が子供の頃にあったので手塚治虫先生が作ったアニメで『ふしぎなメルモ』っていうのがあって。

(赤江珠緒)はいはいはい。めちゃくちゃ見てました。

(町山智浩)見てました?本当に?

(赤江珠緒)いや見てました、好きでしたもん。最終回まであれは見ています。

(町山智浩)えっ!見てました?あれ、毎回毎回博士が出てきてさ、どうやって子供ができるのかとか、生理って何なのかって解説するんです。

『ふしぎなメルモ』も

(赤江珠緒)そうそう。あれは完全にそうですよね。赤いキャンディ、青いキャンディでね。

(町山智浩)赤いキャンディ〜青いキャンディで大人になったりね、赤ちゃんになったりするんですけども。あれは毎回毎回、性教育についてのコーナーみたいなのがあってね、博士が出てきて子供はどうやってできるのかとかっていうのを説明するんですけど。あれ、TBSでやってたんですよね。日曜の夕方6時半からやってたんですよ。

(赤江珠緒)そうそう。だから普通に見てましたね、うん。

(町山智浩)『サザエさん』の裏だったんですよ。

(赤江珠緒)は〜!

(町山智浩)で、『ふしぎなメルモ』は親と見てると非常に困る内容だったですけどね。僕、子供だったからね。でも『サザエさん』もそういうのを取り入れたら面白かったのにと思ったんですけどね、ちょっとね。「カツオ夢精する」とかね。(笑)そういうのあったら面白いなと思ったんですけどね。「カツオ、エロ本見つかる」とかね。(笑)そういうのがあったらよかったんですけども。

(山里亮太)中島が誘いに来てね、磯野!エロ本拾いにいこうぜ!って。(笑)

(町山智浩)そうそう。(笑)中島ー!磯野ー!って言いながら河原にエロ本を拾いに行くとか、そういう話があったらよかったなと思うんですけど。あとね、『キャンディ・キャンディ』描いてたね、いがらしゆみこさんっていう漫画家の先生がいて、彼女もね、その当時よくね『なかよし』で性教育漫画を描いてましたね。今どうなってるのかわかんないんですけど、まぁそういう話なんです。『私ときどきレッサーパンダ』って言うのは。だってパンダになると毛むくじゃらになるんですよ?毛が生えてくるんですよ。

(赤江珠緒)あぁそういうモチーフか。

(町山智浩)そうそうそうそう。それこそね、ちっちゃい子でも楽しめるアニメですけど、楽しいから。ただ中学生ぐらいの女の子が見るともっとリアルな感じだと思うんですよ。っていうのは、その性に目覚めちゃったメイメイちゃんをお母さんがなんとかね、抑圧しようとするんですよ。

(赤江珠緒)抑圧?

(町山智浩)それを抑えつけようとするんですよ。私もパンダになったんだけれども、それは絶対にもう封じ込めなきゃいけないの!って言って、このメイメイちゃんを抑えつけようとするんですね。つまり要するに男の子とか好きとかそんな事言ってないで勉強しろって事ですけどね。

(赤江珠緒)あぁそういう事ね。

(町山智浩)そう。そういう話なんで、中学生ぐらい以上の女の子が見ると結構リアルなね、話でね、身につまされりするような内容なんで、これは非常に親子で見るといいなと思うんですよね。娘さんがいるお家はね。で、ただそういう事を子供と話してはいけないっていう法律が、アメリカのある州で通りそうになってて、今。

(山里亮太)法律?

引用:IMDb.com

アメリカである法律が通りそうになっている

(町山智浩)法律なんですよ。それが、ピクサーの親会社であるディズニーがその法律をめぐる戦いに巻き込まれてるんですよ今。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)これね、この間ねフロリダ州という所で、小学校3年まで学校で性について教師が生徒に話してはいけないっていう法律が議会を通っちゃったんですよ。これすごく、大問題になってるのは、この法案に反対している人達この法律のことを「ドント・セイ・ゲイ法案(‘Don’t Say Gay’ Bill)」と呼んでるんですよ。つまり”ゲイと言ってはいけない法案”と呼んでるんですね。で、これはどういうことかって言うと、性について一切話しちゃいけないから、同性愛という人がいる事も、その存在自体を一切生徒と話しちゃいけないことになってるんですよ、教師は。

(赤江珠緒)ほぉ〜。

同性愛という人がいる事も、その存在自体を生徒と話してはいけない

(町山智浩)で、ただそれだったら別にそれでいいんだけど、2つ問題があって。1つは既に同性のカップルが子供を持ってる場合が非常にアメリカでは多いんですね。うちの近所にもあるし、うちの娘が通っていた幼稚園では、その友達の両親が両方とも女性だったんですよ。で、その時になんて、うちの娘が言ったと思います?・・・「ママが2人でいいな」って言ったんですよ。(笑)

(赤江珠緒)あはははは。(笑)

(山里亮太)かなし!(笑)

(町山智浩)パパの立場がねえだろと思いましたけど。(笑)失礼な!と思いましたけど。(笑)そういう子達が学校に行った時に、彼らは存在を否定されちゃうんですよ。

(山里亮太)なるほど。

(赤江珠緒)そうねぇ。

(町山智浩)同性愛について語ってはいけないから。で、もう1つは、もっとこれが大問題になってるのは、生徒が先生に、「僕どうも、女の子の服が着たいんです。」とかね、「私は女の子だけど女の子の事がすごく気になるんだけど病気かもしれない。」っていう風に生徒に相談された時に、教師はそれに対して一切、何の指導もしてはいけないんですね。

(赤江珠緒)えーー。ちょっとなに、不思議な法案。

(町山智浩)この法律では。それだけじゃなくて、それは全部親に任せるという事で、子供は、自分は同性愛かもしれないみたいな相談をしてきたら先生はすぐに親にそれを告知しろっていう風になってるんですよその法律では。これ、親に知られたら困るから先生に相談してる場合が多いのに、それをチクれっていう法律なんですよ。

(赤江珠緒)なんでまたそんな法案が?

引用:IMDb.com

どうしてこんな法案が通ってしまったのか

(町山智浩)これどうしてかって言うと、まず共和党がですね、そのフロリダの州議会をまぁ仕切ってるんですが。120議席中80議席も支配しちゃってるんですよ。で、そのフロリダの共和党の人達はキリスト教原理主義的な人達で、それでまぁ同性婚とかそういったものに反対してるんですね。だから彼らは普通だったらまぁそうじゃない人達の事を気にするんですけど、多数決こそが全てだと思ってるから一気に通しちゃったんですよ、その法律を。それで、そういう保守的な人から票を稼げるから議員はいいんですけれど、それに対して同性愛の傾向があるような子だったり、なくてもそういう事を考える時ってあるじゃないですか。それを全部親に知らせる事で、下手したら自殺者が出るぞと。だって親がもしすごく保守的な人だったら子供の事めちゃくちゃ責めるでしょ。お前は病気だとか、悪魔だっていう事で。だからこれ大変な事になるんで、こんな法律を通してはいけないっていう事でフロリダの人達が怒ってですね。あのディズニーに文句を言えっていう風に迫ったんですよ。

(赤江珠緒)ディズニーに?うん。

人々がディズニーに文句を言えと迫った

(町山智浩)というのは、フロリダにはディズニーワールドっていうものすごい巨大なディズニーの土地があるんですよね。それは元々ひとつの街にしようとしてたんですよウォルト・ディズニーが。で、フロリダではディズニーはもう高額納税者で、ものすごい額をフロリダ州とか政府とかに色んな寄付をしてるんですね。ものすごい力を持ってるんですディズニーはフロリダで。で、ディズニーはそれだけ力を持ってるんだから、州知事とかを説得して、この法案にサインしないように、この法案に署名しないように働きかけろっていう運動が起こってるんですね。で、それに対してディズニーのCEOのチャペックさんという人は、そういう事は私はしたくない、できない。という風に言ったんで、そんな責任を取らないでいいのかと。子供達がもしかしたら自殺するかもしれないんだぞと。言ってみんなが怒ってたら、ピクサーから内部告発が出ちゃったんですよ。

(赤江珠緒)んっ?

(町山智浩)ピクサーからこの『私ときどきレッサーパンダ』というアニメを作るにあたって、これは要するに性の目覚めの話なんですよね。そこで、女の子が女の子に目覚めたり、男の子が男に目覚めたりするような同性愛的な描写を一切するなっていう上からのお達しがあったっていう事を、まぁ内部からですね、スタッフがバラしちゃったんですよ。で、これは検閲行為だという事で、それでまた、そのディズニーのCEOがドント・セイ・ゲイ法案に反対しないって事で責められてる時にこれが出てきたんで、やっぱりディズニーはそういった保守的な、非常に同性愛を抑圧するような表現に加担してるんじゃないかって事で今、問題になってるんですよ。

これもまた難しいんですけども、まぁちっちゃい子が見るものなので、どうしたらいいかという事で今非常に論争が起こっていて、まぁ難しいとこなんですよね。

(赤江珠緒)はえ〜〜。

(町山智浩)ただ、うちの子なんか見てると、もう全然平気ですけどね。だってもう高校ぐらいからトランスジェンダーというんですけど、性を変えちゃう子が出てくるんですよね。で、別に平気なんですよ。だって僕が知ってる近所の子とかが男の子から女の子になったり、うちの娘の合気道の先輩の女の子が、男の子になったんですけど。ちっちゃい頃から見てるから別になんとも思わないんですよね。

(山里亮太)高校生とかも学校でしっかりそういうのを教えてもらえるって言ってたから。

(赤江珠緒)ねぇ。しかもなんかアメリカとかでも、アメコミのねヒーローとかでも、もうこういうのはお話の中にちゃんと盛り込まれていたりとか、そっちに進んでいるような気がしてたんですけど、違うんですね。

(町山智浩)州によっては違うんですね。

(山里亮太)そうなんだ・・!

(赤江珠緒)あぁ〜。

引用:IMDb.com

フロリダにはトランプ前大統領が住んでいる

(町山智浩)特にフロリダでは今、トランプ前大統領が住んでて、で、フロリダがその保守的な人達のなんというか、第2の首都になってるんですよ。で、ものすごい保守的な人たちが集まって、州全体の政治を握っちゃってるんですけど、まかトランプさん自身はね、女の人のお股を触っても俺ならOKとか言ってた人なんで、なんで保守的な人と仲がいいのかよくわかんないんですが。(笑)だからすごくこのね、『私ときどきレッサーパンダ』みたいな物がね、これは性的であるっていう事で叩かれるような要素がね、ちょっとアメリカの各地で出てきてて、ディズニー、ピクサーもそれに巻き込まれて色々大変な事なんですけども。

ただね、このアニメ自体は全然そういうの抜きでも面白いんですよ。あの・・後半ちょっとネタバレっぽいんですけど、大怪獣映画として展開していくので。(笑)えっ!って言う。えっ怪獣映画じゃんこれっていう事になっていったりして。すごく面白いんで。これあの、赤江さんも是非ね。娘さんおいくつでしたっけ?

(赤江珠緒)4歳ですね。

(町山智浩)4歳か!4歳でも全然楽しめますよ。

(赤江珠緒)あーそうですか、うん。

(町山智浩)やっぱり人間の中には獣としての要素。動物としての要素があるんだって事をいっぱい言ってる話なんでね。だから性的なものっていうのはね。だから全然楽しく見てね、ただ娘さんにね、いつかはあなたもレッサーパンダになるからって。「えー!なれるの!?」ってね、大喜びすると思いますよ。

(赤江珠緒)そうでしょうね、4歳だったらね、うちの子だったらね。

(町山智浩)そう。そういう親子の会話にも繋がっていくんでね、非常に素晴らしいアニメですね。

(赤江珠緒)そうですか。今日は『私ときどきレッサーパンダ』、ディズニープラスでもう配信中という事でございますね。そうか。なんかアメリカもね、そんな法案が通っちゃったりしてるんだねぇ。

(町山智浩)どうかしているんですよ。

(赤江珠緒)はい、町山さん。ありがとうございました。

(山里亮太)ありしたーっ!

(町山智浩)どうもでした。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑧有名ホラー映画『エクソシスト』や『千と千尋の神隠し』も実は同じような第二次性徴の話

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