イエスタデイの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、『イエスタデイ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『イエスタデイ』解説レビューの概要
①ビートルズがなかった世界の話。作曲能力の売れないミュージシャンである主人公が、「ビートルズの事を誰も知らないんだったら、俺は大物になれる」と思い・・。
②しかし、主人公は「『Strawberry Fields Forever』ってどういう意味ですか?」等、曲の意味を聞かれても答えられない・・。
③この映画はね、○○○○っていう事を完全にミスっている映画なんですよ。
④ただ、1点だけビートルズファンだったらもう号泣必至のシーンがあるんですよ、この映画の中には。もうその1点で全部許した!
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
(町山智浩)
『イエスタデイ』というタイトルの映画です。
〜音楽♫〜
町山さんはビートルズからカルチャーにハマった
(町山智浩)
これはもう、ご存知ですよね?これは。ビートルズの『She Loves You』という曲なんですけども。僕はね、自分の話をしますけど。ビートルズっていうのは、すべての・・1番最初にこういうカルチャーにハマった最初なんですよ実を言うと。
(赤江珠緒)
へぇー!!町山さんビートルズから?
(町山智浩)
僕ビートルズからなんですよ。でね、1971年だから、まぁ9歳ぐらいの時テレビでね、日テレなんですが。(笑)TVジョッキーっていう番組がありまして、昼に。日曜日の。そこでね、ジーンズのコマーシャルで、きれいなお姉さんがですね、今考えるとアレなんですけど、パンツ一丁でジーンズを履くっていうコマーシャルなんですよ。で、それのバックで流れていたのがこの『She Loves You』なんですよ。
(赤江珠緒)
へぇー!
(町山智浩)
綺麗なお姉さんがパンツ一丁で、上はシャツを着ていて、下が微妙に見えない感じの、お泊りの後の感じなんですけど。
(赤江珠緒)
あー!じゃあまず視覚から入って、音?(笑)
視覚から入って音
(町山智浩)
そう。それでこの歌をバックにジーンズを履いて、お尻をこっちにグッと向けるっていうコマーシャルがあって。それが衝撃だったんですよ。
(山里亮太)
それは曲・・そうですね、曲との出会いというよりも、性との出会いっていうか。(笑)
(町山智浩)
もうごっちゃになってて。どっちがどっちかよくわからないんですけども。でもそこからずっとビートルズ好きで。僕この歳になってから、ビートルズが生まれた街のリバプールも行ったんですよ。そのビートルズの歌って、彼らが育った街の事を歌っているのが多いんですね?例えば『Strawberry Fields Forever』っていう歌があるんですけども。
(赤江珠緒)
はい。
ストロベリー・フィールズ
(町山智浩)
それはね、ストロベリー・フィールズっていう、恵まれない子供達を預かってくれる児童養護施設がありまして。そこの事を歌っているんですよ。で、そこも行きました!「ああ、これが本物のストロベリー・フィールズなんだ!」って。
(赤江珠緒)
あっ、今でもちゃんとあるんですね。
(町山智浩)
あるんですよ。門だけなんですけどね。
(町山智浩)
あとは
あと、『Penny Lane』っていう歌はご存知ですか?
(赤江珠緒)
はい。
『Penny Lane』
(町山智浩)
「Penny Lane♪」っていうやつなんですけど。あれ、ペニー・レインっていう道があるんですよ。で、歌詞の中に出てくる床屋さんも本当にまだあります!
(赤江珠緒)
へぇー!!
(町山智浩)
あとね、『Penny Lane』の中に出てくる消防署っていうのも本当にあるんですよ。そういう所を全部回ったんですよ僕。でもね、1番ね感動したのは『Eleanor Rigby』っていう歌がりますけども。エリナ・リグビーってね、その教会があるんですよ、リバプールに。そこにあるお墓に刻まれている名前なんですよ。
(赤江珠緒)
墓碑銘?へぇー!
(町山智浩)
墓碑銘なんですよ。それを見て『Eleanor Rigby』っていう歌をポール・マッカトニーは作ったんですね。
(赤江珠緒)
あー!そうだったんですね!はぁ〜
ビートルズ聖地巡り
(町山智浩)
そのお墓に行った時に感動をしたのは、その教会でポール・マッカトニーとジョン・レノンは初めて会ったそうなんですよ。
(赤江珠緒)
へぇ〜!
(町山智浩)
そう。で、この天才2人が出会ったからビートルズっていうのが生まれたんで、本当に奇跡のような出会いがあったっていう風にガイドさんに言われてですね。僕は「そうなんだ!」って本当に感動したんですよ。
(赤江珠緒)
ガイドツアーになってるんですね。へー!
ビートルズがなかった世界の話
(町山智浩)
だからそういうのをやっているぐらいね、もうビートルズの事ばかり考えてきた50何年なんですけども。で、この映画、今回ご紹介する『イエスタデイ』って映画は、もう非常に見ている間、複雑になる映画なんですよ。そういう人にとっては。えーとね、これ、ビートルズがなかった世界の話なんですよ。
(山里亮太)
ほうほう・・?
(町山智浩)
主人公は、売れないミュージシャンなんですね。シンガーソングライター。でその彼が、交通事故に遭っちゃうんですよ。で、昏睡から目覚めてみたら、自分のマネージャーの女の子がいるんですね、かわいいエリーちゃんっていうマネージャーがいて。で自分の面倒を見てくれているから、怪我した自分の。で、「君は64歳になっても僕の面倒を見てくれるんだろうね?」みたいな事を言うんですよ。すると彼女は「なんで64歳っていう数字なの?」って聞くんですね?それは、ビートルズの歌で『When I’m Sixty Four』っていう歌があるんですよ。それで、「64歳になっても僕の面倒を見てくれる?」っていう歌詞があるんですよ。それの引用をしたんだけども、彼女は気がつかないんですね?
(山里亮太)
ほうほうほう。
ビートルズの『Yesterday』
(町山智浩)
で、主人公はジャックっていうんですけども、「なんかおかしいな?」って思うんですよ。で、その後、全快のお祝いで、エリーちゃんが新しいギターをくれるんですね?新しい。で、そのギターを早速弾きながら、ちょっと鼻歌でビートルズの『Yesterday』を歌うんですよ。ちょっとお聞きください。
〜音楽♫〜
(町山智浩)
はい。この『Yesterday』っていうのはね、大体僕の世代だったら初めてギターを持った時に必ずこれから練習するんですよ、簡単なんでね。だから彼もギターをもらった途端にチャチャチャッとこれを弾くんですよ。そうしたらそこにいた友達がみんなね、「なんて素敵な曲なの!」って言うんですよ。で、「えっ、なに言ってんの?これ、ビートルズの『Yesterday』じゃん、何言ってんのお前ら。」言うんですよ、ジャックが。そしたら、「えっ、カブトムシ?」って言われるんですよ。
(山里亮太)
あぁ、そのままの意味でって事ですよね、”ビートルズ”の。
(町山智浩)
で、「これはなんかおかしい」って思って、ジャックが家に帰ってインターネットで「Beatles」で引くと、カブトムシしか出てこないんですよ。
(山里亮太)
ビートルズがいなくなっちゃてるんだ!?
ビートルズがいない世界に気づく
(町山智浩)
いない世界なんですよ。彼が気絶をしている間に、違う時間軸に入っちゃったんですよ。
(山里亮太)
パラレルワールドみたいな!
(町山智浩)
そうそうそうそうそう。で、自分が持っていたはずのビートルズのCDを探すと、出てこないんですよ。ビートルズがない世界なんです。
(赤江珠緒)
ほーーーう。
(町山智浩)
で、彼はどうしても作曲能力がなくて、凡庸な曲しか書けなくて売れないミュージシャンだったんですけども。ビートルズの事を誰も知らないんだったら、俺は大物になれるって思いますよね?
(赤江珠緒)
そりゃそうなりますよね〜。
(山里亮太)
そうだ!自分の頭の中にはビートルズの曲があるんだもんね。
ビートルズの事を誰も知らないんだったら、俺は大物になれる
(町山智浩)
そう。という話がこの『イエスタデイ』という映画なんですよ。でもね、色々と複雑だったんですけど、まずね、これ監督はね、ダニー・ボイルという人で、この人は『スラムドッグ・ミリオネア』というインドを舞台にした映画で、アカデミー賞を取った人です。イギリス人ですけどね。で、今回のジャックを演じているのはヒメーシュ・パテルっていう、これも写真があると思うんですけども、インド系の人ですね。
(赤江珠緒)
はい。本当だ。
(町山智浩)
インド系のイギリス人ですね。でまぁ、ビートルズ自身がインド音楽をはじめてロックに取り入れた先駆者なんで。その辺はまあつながりがある感じなんですけども。ただ、この主人公のジャックって1990年生まれなんですよ。その人がもう30ぐらいになっちゃうなんて、ほんと俺も老けたなって感じがするんですけども(笑)。
(赤江珠緒)
まあ、それはしょうがない。(笑)
(山里亮太)
しょうがない、こればっかりは。(笑)
(町山智浩)
ねぇ。彼は、ビートルズ世代じゃないんですよ。
(赤江珠緒)
そうですね、90年だとねぇ。
ビートルズがない世界にはオアシスも存在しない
(町山智浩)
彼は中学の時に、オアシス(Oasis)っていうバンドがヒットしてたんですね。「オエイシス」って英語だと言うんですけど。で、オアシスがビートルズの真似ばっかりしているから、「ビートルズってなんだろう?」っていう事でビートルズを聞き始めたっていう世代なんですよ。ね。で、インターネットで「Oasis」って引いてみるんですよ彼は。ググってみるんですよ。オアシスも出てこないんですよ。
(赤江珠緒)
あ、出ない?ビートルズありきだから?
(町山智浩)
そう。彼らはビートルズの影響があまりにも大きいから、ビートルズがない世界にはオアシスも存在しないんですよ。
(赤江珠緒)
えーーっ!!
(町山智浩)
これも笑っちゃったんですけど。(笑)
(山里亮太)
複雑だね、オアシスが。(笑)
音楽界が変わる
(町山智浩)
砂漠のオアシスしか出てこないんですけども。この世界にはね、たぶんMr.Childrenもいないですよ。たぶんね井上陽水もいないしね、奥田民生さんもいないと思います。人としてはいるけども、ああいう曲はやっていない。
(赤江珠緒)
あぁ、影響を受けた人はね、すごい、いらっしゃるでしょうからね。そうか音楽界が変わっちゃうか、ビートルズいないと。
(町山智浩)
そう。その辺はすごく笑うんですけど。はい。例えばオアシスね、今ね、『Don’t Look Back In Anger』のちょっとイントロを聞いてもらえます?
〜音楽♫〜
(町山智浩)
はい。で、ビートルズのジョン・レノンの『Imagine』ってののイントロを聞いてもらえますか?
〜音楽♫〜
(赤江珠緒)
ははは、たしかに似ているな。(笑)
(町山智浩)
はい。ねぇ、これ日本だったらJASRACが飛んできますからね!(笑)
(赤江珠緒)
はははははは(笑)
イントロが激似
(町山智浩)
オノ・ヨーコさんがいかに優しいかっていう事ですけど。オノ・ヨーコさんは全部許してるんですよ。ジョン・レノンの影響を受けた人達を。集めてコンサートをやってるぐらいですから。でもね、この世界でジャック君が、今までは売れなかったんだけども、ビートルズの曲を色々とやってですね、どんどんと注目をされていくっていう話なんですよ。
(山里亮太)
わーお、面白そう。
(町山智浩)
でね、エド・シーラン、あの売れっ子のエド・シーランが彼に目をつけて、自分のサポーティングアクトに抜擢してですね、世界的なスターになっていくわけですけどもジャック君は。ただね、どんどんと辛くなっていくんですよ。売れるほどに。
(赤江珠緒)
そりゃ・・そうかぁ。
(山里亮太)
なんでだろう?
どんどん辛くなっていく
(赤江珠緒)
だって才能が湧き出る泉じゃないですもんね?
(町山智浩)
才能が湧き出る泉っていうか。(笑)パクリやん?っていう。ねぇ。
(赤江珠緒)
そうでしょう?記憶に頼って出しているわけだから。
(町山智浩)
だってこれで聞かれるんですよ。「『Strawberry Fields Forever』ってどういう意味ですか?」って聞かれるんですよ。わかんないんですよ、彼は。
(赤江珠緒)
ああーっ!
(山里亮太)
知らないからね・・。
意味を答えられない
(町山智浩)
だってこれは個人的な歌だから。ジョン・レノンの子供の頃の思い出の歌だから。答えられないでしょう?ねぇ。で、さっき『Penny Lane』の話をしましたけど、『Penny Lane』っていうのはポール・マッカトニーの子供の頃の、育った商店街の地名が細かく出てくる歌なんですよ。リバプールの。
(赤江珠緒)
そうか、それを「自分が作った」って言って。でも「なんですか、これは?」って言われるとね。
(町山智浩)
おかしいじゃない?行った事ない街ですよ?おかしいじゃん。だから慌てて、ヤバいと思って、ジャックはアリバイ作りでリバプールに行ったりするんですよ。(笑)インチキじゃん?ねぇ。そういうね、どんどんどんどん逆に彼が追い詰められていくっていう話になっているんですよ。これは面白いなと思いましたよ。あのね、例えば『Julia』っていう曲があるんですね、ビートルズの歌で。
(赤江珠緒)
はい。
追い詰められていく
(町山智浩)
で、この歌をやろうとして彼がセットの中に入れるんですけど、『Julia』っていう曲はこれ、ジョン・レノンのお母さんの事を歌ってるんですよ。お母さんがジュリアっていうんですね。で、ジョン・レノンはお母さんからまぁ捨てられる形でおばさんに育てられて、でもその後に高校ぐらいの時にお母さんとまた再会して。そしたらお母さんは交通事故でなくなって、交通事故ではねられて死んだお母さん、自分の自宅の前ではねられたんですけども。それを彼は目撃しているんですよね。その現場にも僕行きましたよ。ジョン・レノンの家に行って、ガイドさんが「ここの所でお母さんが亡くなっていて、学校から帰ってきたジョンが見たんですよ。」っていう話もされたんですけども。
(赤江珠緒)
それ、「なんで?」って言われたら・・。「なんでジュリア?」ってなるんですね。
(町山智浩)
そう!ものすごく個人的な歌なんですよ。
(赤江珠緒)
そうですね。『Hey Jude』とかもねっ!
息子への歌『Hey Jude』
(町山智浩)
そう。『Hey Jude』っていうのは、ジュリアっていうお母さんの名前を息子につけたんですね、ジョン・レノンは。ジュリアンっていう風に。ところが、ジョン・レノンはその頃オノ・ヨーコさんとまぁ、くっついちゃって。ジュリアンのお母さんを捨てちゃったんですよ。で、ジュリアンがあまりにも寂しそうにしているんで、ポール・マッカトニーが励ますために作った歌が『Hey Jude』なんですね。
(赤江珠緒)
うん、息子さんへの歌ですもんね。
(町山智浩)
これだから、元々の歌詞は「Hey Jules」だったんですよ。ジュリアンの事を言ってたんですよ。でも、語呂が合わないので「Jude」にしたんですね。だからジャックは「なんで『Hey Jude』なの?」って聞かれるんだけどもジャックは。(笑)こういう個人的な関係性を全然知らないから、わからないんですよ。
(赤江珠緒)
へぇ〜、もうジャックはシドロモドロに答えるんですか?
(町山智浩)
シドロモドロになっちゃうんですよ。(笑)
(山里亮太)
その辻褄合わせが面白そうな。。
不思議な映画
(町山智浩)
そう。だから結局彼は”天才だ、天才だ!”って言われるけども、自分が天才な訳じゃないから、別に言われても嬉しくないし。という事でどんどんどんどんこう逆に追い詰められていくというね、ちょっと不思議な映画でしたよ。はい。ただね、元々のシナリオはもっとすごく暗い話だったらしいんですけども、シナリオを書き換えて、ちょっとかわいいラブストーリーになっているんですよ。
(赤江珠緒)
ふーん!
(町山智浩)
で、このエリーちゃんっていう子を演じるのはね、『ベイビー・ドライバー』っていう映画でウェイトレスの女の子を演じていた女の子なんですけども。リリー・ジェームズって子なんですけども。彼女がね、どこまでも甲斐甲斐しくジャックを支えていくっていう、その関係性みたいな事が主題になってて。この映画はね、”ビートルズとはなにか?”っていう事を完全にミスっている映画なんですよ。
(山里亮太)
ミス・・?
”ビートルズとはなにか?”っていう事を完全にミスっている映画
(町山智浩)
ってのは、この映画ではビートルズっていうのはメロディメーカーとして優れているっていう事だけなんですね?
(赤江珠緒)
うんうん。
(町山智浩)
でもそうじゃないんだもんビートルズって。まずアイドルだったんですよ。で、ファッションリーダーだったんですよ。長髪っていうものを流行らせた人達で。で未だにあの黒のタイトなスーツを着て、結構みんな真似をしてますよ。あれニュー・ウェイヴの時にもう1回流行るんですけどね。80年代に。あとコーラスが素晴らしかった。素晴らしいコーラスだったんですよ、ハーモニーが。これ1人でこのジャックが歌ったとこで、ビートルズのあのハーモニーとコーラスはやっぱり再現できないんですよ。
(赤江珠緒)
たしかに・・!
(町山智浩)
あとね、実験音楽家でもあったんですよ。ビートルズってそのクラシックとかインド音楽とか逆回転とか、もう色んな実験をやっていたんですよ。で常に新しいものをやり続けると。いう所で、それもだから後付けでやっているから、彼はオアシスから入ってビートルズを知ったから、わかってないからやれないんですよ、それが。というかもう既に実験は終わっていますからね?
(赤江珠緒)
は〜。。
ビートルズがいたからあった物
(町山智浩)
そう。だって今の世の中っていうのはビートルズがあった世の中なんで。たぶんビートルズがなかったら、「ビートルズがない」っていうだけじゃなくて、世の中全体はたぶん相当変わっていると思うんですよ。というのは、60年代の前も話したんですけども、カウンターカルチャーという運動がありましたよね、反戦運動であるとか、人種平等の運動であるとか、そういった事っていうのは、ビートルズが起こしたショックから始まってるんですよ。
(赤江珠緒)
ふ〜ん。。
(町山智浩)
60年代のカウンターカルチャーの起爆力になったんですよビートルズが。だから、何よりも意識変革者だったんですよね。
(赤江珠緒)
ヒッピーとかにも繋がっていく訳ですよね?
「僕は神様を信じない」
(町山智浩)
そうそうそう。そういったものは全部ビートルズから生まれてるから、特にやっぱりジョン・レノンという人は、すごかったのは、その当時絶対に、要するに世界一売れているタレントですよ?ミュージシャンですよ?それが、「僕は神様を信じない」って言ったんですよ。そんな事、今言えないですよ。で、「国なんてものはないんだ。そんなものはいらないんだ」って言ったんですよ。言えますか今?最高に売れているタレントが。言えないでしょう?「宗教もいらないんだ。」って言ったんですよ。「兵隊なんかにはなりたくないんだ」って。そんな事、初めて言ったんですよ。で、たぶんその後にもあまり言った人はいないんです。世界最高のアイドルが言ったんですよ。
(赤江珠緒)
わーー・・。
文化に影響を与えたビートルズが、映画では単に”良い曲を作った人達”だけになっている
(町山智浩)
だからそれぐらいすごい物だったという事は、とりあえず突っ込んでないんですよ、この『イエスタデイ』という映画は。単に”いい歌を作った人達”ってだけになっているんですよ、ビートルズは。
(赤江珠緒)
あ〜、そこがやっぱり、すごいファンの町山さんとかからすると。。
(町山智浩)
世の中を変えた人なんですよ、考え方を。「こういう事、言ってもいいんだよ」って。「国とか神とか、信じなくてもいいんだよ」って言っちゃった人なんですよ。
(赤江珠緒)
ラブ&ピースの、根源ですよね。
(町山智浩)
そう。だからその辺はね、突っ込んでないんですけど。この『イエスタデイ』という映画は。ただ、1点だけビートルズファンだったらもう号泣必至のシーンがあるんですよ、この映画の中には。もうその1点で全部許した!
(赤江珠緒)
ふふふ(笑)
(山里亮太)
あ〜モヤモヤあったが、その1点だけでいいぞと。(笑)
ビートルズファンだったらもう号泣必至のシーンがある
(町山智浩)
もうブワーッて涙が出て止まらなくなりましたよ。映画館で。
(赤江珠緒)
へぇー!
(町山智浩)
そういう・・まあどうとかは言えないですけども。
(山里亮太)
どうなっていくんだろう?これ結末がね、どうなるんだろう?
(赤江珠緒)
ねぇねぇ。そうねバッドエンドになっちゃうもんねぇ、このまま行ったら。
(町山智浩)
まあ、だからどうなるでしょうか?
(赤江珠緒)
そうですか。日本ではですね、この『イエスタデイ』、10月11日公開でございます。そうか改めてでも、ビートルズのその功績っていうのを町山さんからお聞きすると「なるほどな!」ですね、うん。
(町山智浩)
やっぱりね、「歌がうまかった」っていう所もすごくあるんで。それはね聞き比べて。これでビートルズを知ったつもりにならないで初めて見る人は、本当のレコードを聞いてほしいと思います。
(赤江珠緒)
あー、わかりました。ありがとうございました町山さん!
(町山智浩)
どもでした!
(山里亮太)
ありした!
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
③この映画はね、”ビートルズとはなにか?”っていう事を完全にミスっている映画なんですよ。