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引用:IMDb.com

アテナの町山智浩さんの解説レビュー

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2022年09月30日更新
ちょっとすごいんでね。Netflixの『アテナ』の最初の10分だけ!見るだけでもものすごい価値があると思います。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『アテナ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『アテナ』解説レビューの概要

①最初の11分。11分全くカットなしで、ものすごいアクションが続く
②団地の子供が、恐らくは中東系の子供が警察官に殺されたという事件
③撮影手法もさる事ながら、カメラはIMAXを使用しすごくキレイな映像に
④カメラの重さはなんと○○キロ
⑤Netflixで冒頭の10分みるだけでも価値がある
⑥殺された子供の兄弟の思想がバラバラなのは、○○

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

フランスのデモを描く『アテナ』町山さんの評論とは

(町山智浩)今日はですね、今色々各地で日本でデモが行われていると思うんですね今日はね。色々と。で、デモについての映画をちょっと紹介するんですけど。Netflix。で配信が一昨日くらいに始まったやつで『アテナ』っていう映画がありまして。これ僕ね、全くねチェック入れてなくて。見て、ビックリしました!すさまじいんで。

(山里亮太)凄まじい・・!

(町山智浩)最初の11分。11分全くカットなしで、ものすごいアクションが続くんですよ。ノンストップで。で、ちょっとびっくりしたんでその『アテナ』っていう映画についてちょっと紹介したいんですが。これ『アテナ』ってなんかギリシャの地名みたいに思うんですけど、舞台はパリの郊外の団地の名前でした。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、パリの郊外の団地の話って前僕、たまむすびで1回してるんですよ。『レ・ミゼラブル』っていう映画の紹介をしてまして。

(赤江珠緒)はいはいはい。

映画「」のポスター

(町山智浩)要するにまぁパリの郊外はですね、中東の人ね、マリとかアフリカの人達、そういった人達の難民や移民の人達がたくさん住んでいて、もうアフリカみたいになっていると。いう所で、そこで地元の子供達が、警察官に殺されてしまうという事件が起こって、そこからですね大暴動に発展したという、実際2015年にそういう事件がありました。それを元にした映画が『レ・ミゼラブル』っていう映画で、まぁ警察官の側から描いてるんですねそれを。警察官はなんとか止めようとするんですけど、ちょっと子供に対して虐待をしてしまって、それをビデオに撮られてしまったので、ただそれが止めきれなくて大暴動に発展するっていう映画が『レ・ミゼラブル』っていう映画だったんですが。で、これはその暴動をした側の話なんですね『アテナ』っていうのは。で、発端は同じで、団地の子供が、恐らくは中東系の子供が警察官に殺されたという事件から、これね、映画の始めでもう既に住民が本当に怒って、警察署にみんな集まってるっていう状況から始まります。いきなり。

(赤江珠緒)まぁそれ、みんな、怒り狂いますよね。

引用:IMDb.com

驚愕の冒頭アクションシーン

(町山智浩)はい。でもう、お母さんとかね、おじいさんとかまでみんなもう、バーッと警察署に入ってるっていう状態から始まるんですけど。そこで1人の男がですね、火炎瓶を爆発させて、警察署をパニックに陥れて、そこから警察署が保管しているですね武器・弾薬を奪い取って警察のパトカーを盗んで、その団地にまで走ってくっていうシーンが始まるんですよ。それがものすごい、ワンカットで手持ちカメラで撮ってるんですが。手持ちカメラでずっとその警察署内で戦闘状態になるんですけども、乱戦状態になってそのまま武器を持った、団地の暴動を起こしてる側のリーダーが、そのバンに乗り込むんですが一緒にそのカメラも乗り込むんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、そのままバンがずっと走って行って高速道路に入ってくるんですけども、その途中でそのカメラがですね、そのバンの窓から少しずつ出ていくんですよ。

(赤江珠緒)うん?ん?

(町山智浩)少しずつ出てって、とうとうその窓からそのバンの外側に出て・・疾走してるんですよ?ものすごいスピードで。そのままそのバンの周りを回りだすんですよカメラが。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)ぐるぐると。要するに、見てるこっち側の視点がね。で、あぁなんだすげえ事になったなって思ったら、またバンに乗り込むんですよカメラが。

(赤江珠緒)えっ、どうやって撮ってるんだ?

(町山智浩)これね、すごいんですけど、これたぶんですけど、まぁたぶんというか監督のインタビューでちょっと語ってるんですけど、カメラをパスしてるんですね。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)で、カメラマンは俳優に見えるような扮装をしてるんですよ。

(赤江珠緒)ふんふんふんふん。

(町山智浩)だから映ってるんです。カメラマン自身が。

(赤江珠緒)あーーそういう事か!はい。

(町山智浩)最初、その暴動を起こす側の人の服装してカメラマンが撮影をしていて、それでバンに乗って撮影をした後に、その横にバイクに乗ったその暴動を起こす側の人達がバイクに乗って走ってるんですね。そのバンの周りを。そのバイクに乗ってる人にカメラをパスしてるんですよ恐らく。窓を通して。

(赤江珠緒)ええっ!?カメラマンがそんなアクションスターみたいな。えぇっ?

(町山智浩)アクションスターとして演じてるんですね。それで撮影をしてバンの周りを走りながらバイクで。でまた、そのカメラをバンに乗ってる、もう1人の俳優の扮装をしているカメラマンにパスしてるんだと思うんですね。

(赤江珠緒)う〜わ!

(町山智浩)すごい撮影をしててですね。もうとにかく11分間ですね全く切れ目なくカメラが動き続けて上に上がったり下に下がったりすごいんですけど、はい。これね、すごいのはね映像がものすごくきれいなんですよ。これね、車が走ってる時にその近くの団地もみんな、その暴動に参加してて、窓の中で手を振ってる人もいればビルの屋上の方でちっちゃい人影とかが動いてるのまで見えるんですけど。すごく画質がきれいで、ものすごく細かい所まで見えるんですよ。で、近くの方にいるバンに乗ってる人達の肌の質感まで同時に見えるの。

(赤江珠緒)えぇ〜!

(町山智浩)これね、IMAXで撮ってるんですよ。

(山里亮太)IMAX?

IMAXで撮影

(町山智浩)IMAXというのは今1番画質がきれいに撮れる、ものすごい画素数が多いカメラなんですけども。だから『トップガン マーヴェリック』とかもこのIMAXで撮ってますね。

(赤江珠緒)ねぇ。話題になりましたもんねぇ。

(町山智浩)あとまぁ、『NOPE/ノープ』とかですね、そういった大作で撮られるんですけど。これALEXA65ミリっていう特殊なカメラなんです。これね1日のレンタル料がフルセットで100万円なんですよ。

(赤江珠緒)えっ!1日で?

(町山智浩)1日です。これだから今円安だからたぶん140万円ぐらいです。1日で。フルセットで。

(山里亮太)レンタルで・・!

(赤江珠緒)カメラ使用料だけで。ええっ?

(町山智浩)だからこれ、日本の映画界は使えないカメラなんですよ。高すぎて。

(赤江珠緒)ですよねぇ。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)でも、これで撮った映画は全く決定的に違う映画になるんですよ。

(山里亮太)へぇ〜!

(町山智浩)すごい映像になるんです。めちゃくちゃ高いですよ。で、高いだけじゃなくて、重さが18キロもあるんですよ。

(赤江珠緒)あ、がっつりしてますね!

(町山智浩)そう。だから色々ゴチャゴチャ付けると、20キロで、お米の2袋分ですね、でっかい袋のね。

(赤江珠緒)それを、疾走してる車の中で手渡し?

(町山智浩)そう。これ手持ちで撮ってるんですよ。これね、ものすごい体力がないと撮れないんですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。

(町山智浩)体鍛えないと。で、撮影前に徹底的にトレーニングして、何度もリハーサルして。殆どスポーツのような訓練をした後に本番を撮ったみたいですね。これ、20キロのカメラ持って、しかもさっき言ったようにカット時間はものすごく長いから。さっき言ったけど10分なんですけど、最初のシーンは。この後もね、10分ぐらいのシーンがずっと連続するんですよ。だから、これ持って5分とか走り回るんですよカメラマンは。最低でも。で、一応デジタルでコンピュータで繋いでったりはするんですけど複数のショットをね。ただ基本的には3分、4分、ぶっ続けで撮ってるんで。これちょっと普通の人は撮れないですよ。

(赤江珠緒)そうですね。これちょっと特殊な撮影方法ですね。え〜。

(町山智浩)これものすごく体幹を鍛え上げて筋肉モリモリにならないと撮れないと思うんですけど。まぁそういうですね、技術もすごいし体力もすごいというね、でしかもその最初の11分間のシーンは100人ぐらい出てきます人が。ものすごいですよ。

(赤江珠緒)えぇ〜!

(町山智浩)団地全部がひとつの城、要塞と化してるっていう状態まで行くんで。その100人ぐらいのエキストラを全部演出してるんですよ。同時にみんな動いてるんで、そこのコントロールだけですごくて殆ど戦争ですね、撮影が。

(赤江珠緒)そうですか。へ〜!

(町山智浩)これはちょっとすごいんでね。Netflixの『アテナ』の最初の10分だけ!見るだけでもものすごい価値があると思います。これは。

引用:IMDb.com

Netflixで冒頭の10分みるだけでも価値がある

(赤江珠緒)これでも本当は大画面で見たら、もう相当?

(山里亮太)きれいな?

(町山智浩)そうこれ本当は大スクリーンで見たい映画なんですけどもったいない。。

(赤江珠緒)ね!今の話聞いてるとね!

(山里亮太)確かに。

(町山智浩)ものすごいスケールなんで。これフランス映画ですけども、まぁすごいですね。で、これ今すごく大問題になってる事なんですね、フランスの方では。1990年代ぐらいからどんどん移民の人が増えていって、それでまぁ貧困化して、犯罪が非常に増えてったんですね。郊外がね。低所得者の人達が住む公営住宅なので。で、色んな民族や色んな国から来た人達、移民難民がいてですね、もう2世、3世ぐらいまで出てきちゃってるんですね。ずいぶん前から住んでるから。で彼らはもう完全にフランス人としてのアイデンティティーを持ってるんですけれども、ものすごい格差で、こういった形でしょっちゅう暴動が起こってるんですよ。はい。で、これ物語自体は4人の兄弟が主人公になっていて。その末っ子が警察に殺されてしまうんですよ。13歳の男の子が。

(赤江珠緒)13歳・・。

殺害された13歳の男の子の兄弟

(町山智浩)で、それに怒ったのが3男のですね、お兄ちゃんで。絶対に許せない!という事で、この団地の暴動を組織して指揮する。まぁなんていうか軍師みたいな男なんですね。カリムっていう人なんですけども。ものすごく機能的に武器を配置してですね、機動隊に対しても徹底的に頭を使って、非常に高い所から金属のロッカーを落としたりね。ものすごく戦略的な戦いをする男が3男のカリムなんですね。で、それに対して、アブドゥルというその上のお兄さん、次男が出てくるんですが、この次男は非常に愛国心が強くて、軍人になってですね戦争にも行ってるまぁなんというかフランスの英雄なんです。この問題に関しても、末の弟が殺されてしまったという事で怒ってはいるんですけども何とかこの暴動を止めたいと思ってるんですね。

(赤江珠緒)あっ、そっち側。うん。

(町山智浩)はい。で、そのカリムと対決していくというですね。この暴動をなんとか止めようと思ってるのがアブドゥルさんなんですね。で、もう1人いまして1番その上の兄貴がいてモクテルっていうんですよ。この兄貴は団地でコカインを売ってる男なんですね。

(赤江珠緒)えっ?うん。

(町山智浩)で、売人なんですけど金儲けの事しか考えてないんですよ。で弟が死のうが何しようが、みんなが貧乏だろうが関係ないからっていう事でその貧乏の人達を搾取してですね、金儲けだけしてる麻薬ビジネスマンがモクテルなんですね。

(赤江珠緒)兄弟だけどバラバラな兄弟ですね。

(町山智浩)バラバラなんですよ。これは、フランスの今の状況を象徴してるんですね。

(赤江珠緒)は〜!

引用:IMDb.com

フランスの今の状況を象徴

(町山智浩)だからもう末っ子は貧しくて、そういった警察とかの被害に遭ってしまう被害者なんですけど、そのカリムはそれに対して怒って社会的な革命を求めてる人達ですね。で、それに対して何とかそういったものを鎮めてですね、何とかみんなで協力していこうと考えてるのはアブドゥルで、そんなの関係ねぇ、どうでもいい、世の中どうなっても関係ねえから金儲けだけやろうと思ってる人がそのモクテル。で、フランスのその3つ4つに分かれている色んな人達を兄弟に象徴させて描いてるんですよ。

(赤江珠緒)あぁそういう事かはいはい。

(町山智浩)だからすごく象徴的な物語で。だんだん、画像はものすごくリアルなんですけど、話自体は非常に神話的ななものとして描いていますね。で、これ監督はですね、ロマン・ガブラスという人なんですけど。この人はギリシャ出身の映画監督のコスタ=ガブラスという巨匠がいるんですよ。それの息子さんなんですね。で、コスタ=ガブラスっていう人は1969年にですね、ギリシャの・・ギリシャその頃軍政でですね、軍事独裁政権だったんですが。それに対してデモを起こしていた民主運動家が殺されるという事件があって、それを暴いていくという映画『Z』で世界的に有名になった人がそのお父さんのコスタ=ガブラスっていう人なんですけど。で、このロマン・ガブラスというこの『アテナ』の監督はですね、やっぱりギリシャ人なんで、だから『アテナ』っていうタイトルをつけてるんですよ。アテナっていうのはギリシャの女神の名前ですよね。で彼がインタビューで言ってるのは、これはトロイア戦争なんだって言ってるんですよ。

(赤江珠緒)ほう。あの木馬の?

(町山智浩)木馬の。あれね、トロイア戦争ってトロイの木馬を使ってね、戦争が終わったとかギリシャ軍が勝って終わったという風に思ってる人が多いんですけど、実はその後もすごく続くんですよ。

(赤江珠緒)長い長い戦争の一部のシーンだって言いますもんね、あそこはね。

トロイア戦争

(町山智浩)そうなんですよ。すごい長い戦争なんですトロイア戦争っていうのは。歴史的事実なんですけども。それで1つですね、こういう悲劇が書かれていまして、実際にあった話を元にしてるんですが。『オレステイア』というタイトルの悲劇があるんですよ。アイスキュロスという古代ギリシャの劇作家が書いたんですけれども、それはそのトロイア戦争の後にアガメムノーンという英雄がいるんですが、その人が殺されてしまってその息子のオレステースという息子がですね、その父の復讐の為に、復讐の鬼と化して、まぁどうかしちゃってですね、自分の家族、母親とかそういった血族にまで復讐の刃を向けていくという悲劇なんですね。で、それを元にしてるんだって言ってるんで、この3人の兄弟はまぁ大変な事になっていくんですよ、この『アテナ』では。

(赤江珠緒)はーっ。立場がだってもう三者三様ですもんね。

(町山智浩)三者三様で3人で三つ巴の戦いをするしかなくなってくるんですよ。で、その『アテナ』っていうのは、さっき言ったオレステースが散々、復讐で人をたくさん殺した後に裁判にかけられて、その裁きの神としてアテナが出てくるんですよこの悲劇には。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だからこの『アテナ』ってタイトルは、この悲劇を裁くという意味でついてるんですね。で、これを見ると、すごくそのデモをしてる側が非常になんというか怒りで我を失ってるようにも見えるかもしれないんですけれども、実際、本当にフランスはこの後もですね、2018年に、やはりすごいデモが起こってるんですよ。これ、”イエローベスト運動”って言われてるもので。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)すごく物価が上がっちゃって、石油価格とか。燃料価格とかが上がっちゃって、それに対してですね、デモが始まったんですね。イエローベストっていうの着た人達がデモをしたんですよ。あの黄色い、車の事故が起こった時とかに、外で車を直したりする時に車にはねられないようにする為に黄色いベストを着る事がフランスでは義務付けられているんで、車を持っている人は全部黄色いベストを持ってるんでそれを着たんですね。

(赤江珠緒)あーそういう事か。はい。

(町山智浩)で、デモに参加したら、その当時、マクロン大統領なんでリベラルだから。安心してたらものすごい警察権力がそれを潰しにかかったんですよ、そのデモを。で、大変な暴力沙汰というかですね。まぁ死傷者が出るような事態になっちゃったんですよ。要するに警察が最初に潰しにかかったから、それに対してデモ側も警察に対して暴力を振るったんで暴力がエスカレートしていったんですね。だからこの監督が『アテナ』で言ってるように、暴力はエスカレートしていくんだよって言う。キッカケからどんどん離れていくんだって言う。そういう事を言ってるんですけど実際、今ちょうど日本の劇場で公開されている映画で『暴力をめぐる対話』っていう映画が公開されてるんですねドキュメンタリーで。

映画「」のポスター

(町山智浩)それがね、そのフランスのイエローベスト運動がどんどん警察によって弾圧されてた状況を、こういう暴力は一体どうして起こってしまうのかっていう事で、分析してるドキュメンタリーで、それもちょっと一緒に見て頂くと良くて。この『アテナ』だけだとなんでこんなに彼らがね、怒ってるのかがわからないと思うんで。それは『レ・ミゼラブル』という映画がもう既にありますのでそれを見てもらうと、あぁ何でこんなに彼らが怒っているのかがわかりますんで。そちらは警察側の視点から描いてるんですけどね。だからちょっと何本か見ないとわからないっていう映画ではあるんですけど。とにかくね、今現在、世界はすごい事になってますから。

(赤江珠緒)ほんとですねぇ。うん。

(町山智浩)今、イランですごいでしょう?ヒジャブの付け方が悪いっていうので女の人が殺されて。22歳の女の子がね。それに対して女性達が今立ち上がって、もう既に30人以上、その警察って言うかまぁ、国家防衛隊みたいなのがあるんですよイランって。イスラム独裁政権を防衛するね、右翼の人達がいて。それも出てきてですね、もう30人以上が今死傷していて、でもデモが続いてるんですね。イランの方ではね。

(赤江珠緒)あー・・そうか、はい。

(町山智浩)それで今、ロシアもすごいですよね?

(赤江珠緒)ロシアもねぇ、本当にね。

(町山智浩)ロシアでは、プーチンがウクライナ戦争に負けそうだからっていう事で軍隊経験のあるヤツを全部徴兵するぞって言った途端に。

(赤江珠緒)国外脱出が・・。

(町山智浩)国外脱出だけじゃなくて、徴兵事務所を襲ってますよ今。

(赤江珠緒)あーねぇ、本当ですね。

(町山智浩)徴兵事務所に火をつけて、徴兵係官を撃ってますから今。すごいですよロシア全土。そうかと思うとイタリアで移民を追い出せって言ってる右翼政権が成立しちゃって、スウェーデンでもね。もう大変な事になっていますよ。

(赤江珠緒)世界中が本当ね。

(町山智浩)大変な事態になってます今。本当に。もうこれからの世の中は世界的に大変な事になってくと思うんですよ。すごく景気も悪いしね。

(赤江珠緒)そうなんですよ。なんかね、10年前に民主主義だった国は世界で大体6割ぐらいだったのに、今、独裁国家の方が7割ぐらいになってるって言われると、ちょっと愕然とするところがあるんですよね。

(町山智浩)そうなんですよ。いわゆる独裁って言うんじゃなくて、選挙によってその独裁的な人を選ぶという権威主義というものになりつつあって、選挙が行われてるから独裁政権じゃないとかね、選挙で選んだとか。いやそんな事はないと。デモっていうのは選挙ではなかなか実現しない、少数者の人達がその主張をする為、彼らの声を聞かせる為のものがデモなので。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)選挙では拾えない声を拾うものなんですよ。

(赤江珠緒)日本もだってあれ、日本の世論が反映してますかって事が起きてますからね。

(町山智浩)そうなんです。声が拾われなくなるとデモが起こるし、それを潰そうとするとどんどん悪化していくって事なんで。とにかくこのNetflixの『アテナ』は、もうどんな考えを持ってる人でも最初の10分だけで圧倒されますので。是非、ご覧ください。

(赤江珠緒)はい。『アテナ』はNetflixで配信中。そして『暴力をめぐる対話』はユーロスペース他で現在公開中です。町山さん、ありがとうございました!

(町山智浩)どもでした!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

④カメラの重さはなんと20キロ
⑥殺された子供の兄弟の思想がバラバラなのは、フランスの今の状況を象徴しているため

 

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