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の町山智浩さんの解説レビュー

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2022年10月31日更新
初めてマイノリティーになって、初めて外人になったんですよ。自分自身が。それで、そういったものは要するに立場によって変わるんだと。いう事を体験した事から作られたのがこの『ONI』という話なんですね。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『ONI ~ 神々山のおなり』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『ONI ~ 神々山のおなり』解説レビューの概要

①町山さんの近所にお住まいの方の映画を紹介
②『ONI ~ 神々山のおなり』Netflixで配信
③堤大介監督はピクサー出身後に独立、アカデミー賞の短編アニメ賞にノミネート
④長編アニメをついに発表したが、作成に○年もかかった
⑤ONI=そのまま、日本の鬼を意味する
⑥主人公は10歳のおなりちゃん、父親は雷様
⑦おなりちゃんの通う学校では妖術を訓練している
⑧日本の河童や妖怪を海外の人に説明する時は○○○○だよと伝える

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『ONI ~ 神々山のおなり』町山さんの評価

(町山智浩)それで今日ご紹介する映画は2本、紹介します。これ2本とも作ってる人がですね、うちの近所にお住まいの方なんですよ。

(赤江珠緒)へぇ〜!

(町山智浩)で、1本は『ONI ~ 神々山のおなり』というタイトルの、これNetflixで既に配信が始まってます。

(赤江珠緒)ふんふん。

町山さんのご近所に住む監督のネットフリックス作品を紹介

(町山智浩これ、監督はですね、日本人のですね堤大介さんという方なんですね。彼、うちから歩いて5分ぐらいのとこに住んでるんですよ。

(赤江珠緒)本当にご近所さん。うん。

(町山智浩)すごい近所で。なぜかね、スーパーとかで会わないんで不思議なんですけど、まぁ会ってもおかしくないんですが。彼はですね、高校を出てすぐにアメリカの方に留学して、その後ピクサーでね働いて。

(山里亮太)へぇ〜すご。

(町山智浩)ピクサーの『モンスターズ・ユニバーシティ』とか、彼が参加してるんですね。

映画「」のポスター

で、そこから独立して自分のプロダクションを作って、トンコハウスという所でですね、それで7年前にアカデミー賞の短編アニメ賞で、ノミネートされてます彼は。『ダム・キーパー』という作品でね。

映画「」のポスター

で、それから7年かかって、とうとう長編をですね今回発表したんですよ。で、7年もかかるんですよ。映画は大変なんですね。

(赤江珠緒)そっかぁ。。

(町山智浩)で、これ『ONI』っていうタイトルはまぁ鬼ですね。日本の、ツノが生えている奴ですけど、これ主人公の女の子はおなりちゃんという10歳の女の子で、お父さんは雷様なんですね。

(赤江珠緒)ふん。

ONIは鬼

(町山智浩)はい。雷神様。だから鬼ですよね。で、なりどんっていう名前の雷様で、この2人の鬼の親子は神々山という山に住んでるんですが、そこにはまぁ色んな日本の神々がいるんですね。たとえばカッパとかですね、なまはげとかですね、化けるタヌキとかですね、あとはからかさとかですね。日本の神様って、なんでも神様じゃないですか。石も神様だし。からかさなんて傘を大事に使ってるかなんかすると傘がお化けになるんですよね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)だからそういう日本独特のなんでも神様っていう感じで、色んな神様が住んでるんですけど。でもね、そのおなりちゃんっていう女の子はちょっと学校でみんなにバカにされてるんですよ。何故かというとこのお父さんの雷様は雷様の仕事をしないで毎日ぐうたらぐうたらしてるんですね。

(赤江珠緒)あら。うん。

(町山智浩)ダラダラ遊んでばっかりいて。で、なんだお前の親父は、ぐうたらじゃねえかみたいな感じでバカにされてるんですけど。で、この学校があって、神様達の・・神様というかお化けというかですね。

(赤江珠緒)妖怪とかもいてね。うん。

(町山智浩)妖怪というか。まぁ同じなんですよね日本ではね。その辺に差がないんですけど。で、学校に行って子供たちに何をしてるかっていうと、まぁ自分達のその妖術みたいなものをね、訓練してるんですよ。例えばその天狗が先生なんすけど、天狗の娘は烏天狗で、空を飛ぶ術とかね。

(赤江珠緒)あーー。

学校に行ってする事は妖術の訓練

(町山智浩)で、おなりちゃんは雷なんで雷を出さなきゃならない訳ですけれども、その学校は何故そういう事を訓練しているかというと、1つ目的があって、そこにその神々山を襲ってくる恐ろしい敵がいて、それから守らなければならないからと。いう話なんですね。で、これね。すごくちっちゃいお子さんでも見れるようなアニメになってまして。これ写真をご覧になるとわかるんですけど。

(赤江珠緒)はい。かわいいですねぇ!

(町山智浩)かわいいでしょう?すごくかわいくて。これ質感がすごく、フェルトで作ってるような、温かい質感のキャラクターなんですよ。

(赤江珠緒)ほんとだ。

(町山智浩)すごくね、これね、監督の堤さんがインタビューで言ってるんですけども、本当は人形アニメにしたかったと。実際にこういうかわいい人形を作ってそれを動かしたかったんだと。言ってるんですけど、そういうストップモーションアニメはすっごい時間がかかるんですよ。

人形アニメにしたかったが断念

(赤江珠緒)そうですよね・・!

(町山智浩)1コマずつ撮るからね。

(赤江珠緒)少しずつ動かすんで、全部少しずつ撮らなければいけないんですもんね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、こういうのを作る方法には2つあって。1つはその色んなポーズの人形を作って、それを1コマずつ置き換えてくってやり方があるんですよ。これ大変なんですよ。だから10コマの映像を撮ろうとしたら、10体の少しずつポーズの違う人形を作るんですよ。それをカメラの前で置き換えて、1個置いてシャッター切って、またもう1個置き換えてまたシャッター切ってって撮っていくんですよ。これ、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』というアニメはそうやって撮ってます。

(山里亮太)はいはいはい。

映画「」のポスター

(町山智浩)ヘンリー・セリック監督のね。これ大変な時間かかるんですよ。パペトゥーンとか言われている方式ですけど。で、それをどうしても本当はやりたかったんだけれども、まぁお金と予算がないって事でコンピュータグラフィックスでやってるんですが、ただすごくその温かい、人形のようなね。手に取りたくなるような感覚はねぇすごく残ってて。で、『ONI』っていうタイトルですけど、かわいいくてね、怖くないんですけどね。

(赤江珠緒)そうですね。ただこれなんかこう、日本人っていう我々にはすごくなじみのある世界観だけど、海外の人が理解できるんですか、この河童とか。

(町山智浩)河童とかね、妖怪っていう概念がね、すごく難しいみたいなんですよ、こっちの人に話す時。だからいつも説明する時にはムーミンだよって言ってるんですよ。

(赤江珠緒)あー!

日本の河童や妖怪を海外の人に説明する時はムーミンだよと伝える

(町山智浩)ムーミンってまぁ妖怪ですよね。妖精だけど。同じようなもんじゃないですか。神様でもないし、幽霊でもない。それで、いいか悪いかっていうのは決まりがないんですよね妖怪はね。人間にとってね。

(赤江珠緒)そっかそっか。

(町山智浩)そういう存在なんだって、ムーミンだって説明する事が多いんですけど。で、彼ら・・この『ONI』の話に中に出てくる神々山の神々たちは何を恐れてるかっていうと「ONI」を恐れてるんですよ。

(赤江珠緒)えっ、おに?うん。

(町山智浩)ONIが襲ってくるって言うんですよ。

(赤江珠緒)ふん。ん?

(町山智浩)でもこれを見てると、この子達がONIじゃんって思うんですけど。ONIとは一体何なのかって話になってくるんですね、この物語は。彼らが言ってるONIとは一体何なのかと。でね、これはね、よく言われてるんですけど、桃太郎ってあるじゃないですか。話が。桃太郎って、鬼ヶ島に行って宝物を取ってくるんですけど。あれ何で行くのかって説明・・なんで行くんだと思います?

(赤江珠緒)なんか都でこう宝物を奪ったり、ちょっと狼藉を働いた鬼たちを退治みたいな。

桃太郎はなぜ鬼ヶ島に行くのか

(町山智浩)そういう風に思われてるけど、それは後から付けられた、最近・・要するに明治、大正、昭和期に作られた理由付けで、それ以前の民話には全く鬼を退治しに行く理由って書かれてないんですよ。

(山里亮太)へぇ〜。なんでだろう。

(町山智浩)単に村に財宝をもたらすために鬼っていう人達が住んでる所に行って宝物を奪ってこようっていう話なんですよ。これ明らかに侵略ですよね?

(赤江珠緒)そうですね。どっちかって言うとそうなると桃太郎の方がね。

(町山智浩)そう。非常に危険な話で。じゃぁその鬼っていうのは、その民話の元になったような事は何なのかっていうと、恐らくは少し違う文化を持った人達の集落を襲ったんだと言われているんですよ。

(赤江珠緒)うーーん!うんうん。

(町山智浩)外国から来た人達だったり、日本の中でも違う文化を持っている人達がいっぱいいた訳ですけど昔は。あの『もののけ姫』とかに描かれてますけどね。そういう所に行って、略奪をしてきたんだと。そういう自分達と違う文化や習俗や、言語を持った人達を”鬼”と呼んで。排除したり差別するってのは昔からあった事なんですよ。世界中で。

(赤江珠緒)そういうことか、うん。

(町山智浩)で、今すごくよく言われてることはですね、ウクライナでロシアの人達を”オーク”って呼ぶんですよ。オークって鬼の事なんですよ。ウクライナではロシア人の事を鬼と呼んでるんですよ。

(山里亮太)へぇ!

(町山智浩)必ずそういった形で異文化だったり政治的に敵対する場合に、相手を鬼と呼ぶというのはもう全世界で、ずーっと!あらゆる所で起こってる事なんですね。

(赤江珠緒)そうですね。うん。

異文化や政治的に敵対する場合に相手の事を鬼と呼ぶ

(町山智浩)だってよく言うじゃないですか。あんた鬼や!とか言うじゃないですか。

(山里亮太)よく言う機会はないですけど!(笑)

(町山智浩)あんたは鬼か!とか言うじゃないですか。ねえ。そういう風にして人は相手を鬼と決めつけるんだと。いう話で。これはね、堤監督がやっぱりずっと日本で同じような民族の中で、同じような人達の中で暮らしてきて。ただ、大学に行く時にアメリカに来て、初めて少数民族になったんですよね。初めてマイノリティーになって、初めて外人になったんですよ。自分自身が。それで、そういったものは要するに立場によって変わるんだと。いう事を体験した事から作られたのがこの『ONI』という話なんですね。

(赤江珠緒)ほぁ〜〜。

(町山智浩)これはね、日本から出て暮らしたっていう体験がないとなかなか出てこない視点なので、これは本当に堤監督自身のね。もう彼じゃないと作れない作品だと思います。はい。で、すごくかわいくてね、楽しい、本当に温かくなるアニメなんで、是非お子さんと一緒にね、Netflixご覧なるといいと思うんですが。

もう1本の方はですね、全くそれと逆でですね。

→町山さん『マッドゴッド』解説へ

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

④長編アニメをついに発表したが、作成に7年もかかった
⑧日本の河童や妖怪を海外の人に説明する時はムーミンだよと伝える

 

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