ザ・メニューの町山智浩さんの解説レビュー
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『ザ・メニュー』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『ザ・メニュー』解説レビューの概要
①日本の文化、”omakase”がアメリカで流行っている
②円安の影響もありラーメン一杯4000円
③離れ小島に船で行くレストラン、なんと○○○○ドル
④シェフが独裁者のように振舞っているレストラン
⑤このレストラン、ヒロインだけおかしいと気付く
⑥フルコースなのにタコスが出され、そのタコスには。。
⑦途中から『イカゲーム』のような展開に
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
(町山智浩)ちょうど今日食べ物の話しようと思ったんで、いい振りだった。今ね、アメリカでは”おまかせ”が流行ってるんですよ。
(山里亮太)おまかせ?
(町山智浩)オマカセ〜って言うんですけど。
(山里亮太)あぁ、そのままの言葉なんですか?
(町山智浩)そのままです。はい。寿司屋さんとか日本食屋に行くとおまかせしかない店とか結構多いんですよ。
(赤江珠緒)あれって、日本の文化ですか?おまかせって。
日本の文化、”omakase”がアメリカで流行っている
(町山智浩)日本の文化ですね。だから、おまかせしかないお寿司屋さんの、すきやばし次郎のドキュメンタリーがアメリカですごく流行ったんで。そこからね、おまかせブームが起こってるんですね。
(赤江珠緒)へぇ〜!
(町山智浩)で、フルコースと違うのはコースって全部メニューが付いてくるじゃないですか。何が出るか書いてあるじゃないですか。おまかせ何が出るかわかんないんですよ。
(赤江珠緒)あぁそういう事か。
(町山智浩)だからひとつ、一品出るごとにサプライズがあるんで、楽しいじゃないですか。だからすごく人気で、もうサンフランシスコなんて6軒ぐらい、おまかせのみの店があるかな、そんくらい流行ってるんですけど、ただ流行ってるから、ナンチャッテも多いんですよ結構。
(山里亮太)あ〜なるほど。
(町山智浩)ナンチャッテ寿司ね。
(山里亮太)とんでもないメニューがあるような。
おまかせブームに乗ったナンチャッテ寿司屋の存在も
(町山智浩)そう。全然日本のお寿司を知らない人が作ってるなみたいな。時も結構あって、それはまぁ当たり外れがあるんですけど、アメリカはね、景気が今なんて言うか落ちてますけど、とにかくグルメブームずっと続いてるから、すごいんですよね。ラーメン4000円にきましたからね。
(赤江珠緒)そうですよね!一杯ね。
(山里亮太)えっ!?
(赤江珠緒)一杯4000円。
(山里亮太)4000円!?
(町山智浩)ラーメン4000円ですよこっち。はい。何も変わらない普通のラーメンですよ?
(山里亮太)すごい食材を使っているとかじゃなく?
(町山智浩)全然!
(山里亮太)えーーすごい!
円安の影響もありラーメン一杯4000円
(町山智浩)すごい使ってるのもありますけどね。だから円安のせいもあるけど、ラーメン今高級料理になっちゃったからこっち。大変なんですけど。でね、とにかくグルメブームが延々と続いてるんでね。まぁそういう映画ができたんでちょっと紹介します。で1本目はですね、『ザ・メニュー』っていう映画で、これもう日本で公開中ですね先週。まぁね、離れ小島に船で行くレストランがあって、そこに泊まりがけでご飯を食べに行くんですけど、1回ですね、2500ドルとかなんですよ、その『ザ・メニュー』に出てくるレストランって。
(山里亮太)たっか!!
2500ドルの離れ小島のレストラン
(町山智浩)そう、だから30万円以上するのかな?でもすごく食通の間ではそこに行くのがですねステータスになってる所で。特別料理が出る。しかもその、招待客しか行けないっていうディナーパーティーみたいなのがあって。そこに行く人たちの話ですね『ザ・メニュー』は。で、ヒロインがですね、アニャ・テイラー=ジョイちゃんですね。
(赤江珠緒)あー!『クイーンズ・ギャンビット』の。
(町山智浩)『クイーンズ・ギャンビット』の。あのすごく独特の、一度見たら忘れられない・・。
(赤江珠緒)そうそうそう!なんか、個性的でかわいい女の子ですよね。
(町山智浩)そうそうそう。顔してる子がね、連れてかれるんですね、二枚目のタイラーっていう男にね。で、そのレストランに行くと他の招待客は大金持ちばっかりでね。あとハリウッドのスターとかね。なんか若い投資家、ビジネスマンとかね。そういうのばっかりで。で、シェフはですね、レイフ・ファインズですね。『ハリー・ポッター』のヴォルデモートをやってた人ですけど。
(赤江珠緒)お〜〜〜!
(町山智浩)ものすごい貫禄のある。ジェームズ・ボンドの上司ですね、最近の『007』の。で、彼が独裁者のように振舞ってるレストランなんですよ。なんて言うかキッチン内もね、彼が何か言うと、イエスシェフ!イエスシェフ!みたいな感じで。もう軍隊みたいな感じなんですけど。
(赤江珠緒)はぁ〜。
(町山智浩)それで、何が出てくるかわからない、”おまかせ”なんですよ、完全な。
(赤江珠緒)でも、超高級ですもんね。
(町山智浩)超高級。だって1人30万円以上ですからね。
(赤江珠緒)1人30万円ですもんね、食事にね。
(町山智浩)そう。食事に。で、どんなものが出てくるどんなレストランなんだって思ったら、なんとね。ノーパンなんですよ。
(赤江珠緒)ノーパン?
(町山智浩)ノーパン!
なんとノーパン!?
(山里亮太)えっ!そういうお店?ノーパンレストラン?
(町山智浩)そう。レイフ・ファインズがノーパンなんですよ。あのね、彼が言うんですよこう。世界は今ね、世界の農業は穀物中心なんだと。それが他の野菜とか果物の生産を圧迫していて、糖質が多すぎたりね色んな環境破壊とかになっているんだと。だからうちはパンは出さない!
(山里亮太)あっ、そっちのパンね。
(町山智浩)ノーパンだ!って言うんですよ。
(赤江珠緒)ノーブレッドでしょ。(笑)
(町山智浩)なんだと思いました?(笑)あの40年ぐらい前の風俗だと思いました?(笑)
(山里亮太)そう、なんか高い所に置く物があってね。(笑)あぁ〜そうじゃない。(笑)
(町山智浩)パンを出さないんですよ。
(山里亮太)でも普通コース料理だったらね、パンがまず・・付き物だから。。
(町山智浩)出るんですけどね。パンにつけるのだけがちょこちょこっと来てパン自体は出てこないんですよ。
(赤江珠緒)え、バターだけがあるっていう事?
(町山智浩)そう。ジャムとかだけ出てくる。で、そういう事を言うとね、このアニャ・テイラー=ジョイちゃんを連れて行った彼はね、うわっ!感動した!とか言って涙流したりしてるんですよ。そのシェフの話を聞いて。
(赤江珠緒)ええっ?
ヒロインだけおかしいと気付く
(町山智浩)ねぇ。これはなんかおかしいんじゃないかと。このヒロインは。これはおかしいだろって、彼女だけがおかしいと言うんですけど、他のお客さんたちは、いやなんかすごいな!これコンセプトがすごいよとか言って感動してるんですけど。
(山里亮太)そっか勝手に肯定していくんだどんどん。面白いなー!
(町山智浩)そういう店が結構あるんですよサンフランシスコ。コンセプトばっかりで、見た目はすごいんだけど、食べる所はちょこっとしかないのとかあるんですよ。
(山里亮太)あーー!苦手!
(町山智浩)で、フルコースを全部食べた後もお腹がすいてるみたいな。じゃぁあとでラーメン食べに行くかみたいな気持ちになる。(笑)
(赤江珠緒)ひどい。(笑)
(町山智浩)行った事ないですか?そういう店。
(山里亮太)ないです!あぁロケとかで行った事あるぐらいかな?
(町山智浩)ロケとかでね。はいはいはい。えっ!?って言うね。それでまぁその次にタコスが出てくるんですよ。
(山里亮太)フルコースで?
(赤江珠緒)急にタコス?うん。
フルコースなのにタコスが出され、そのタコスには。。
(町山智浩)フルコースでタコスは出ないですよ。タコスってだって屋台料理ですからね。さらにそのタコスにね、なんかね、模様が書かれてるんですよ。でレーザー光線で焼き付けられてる模様がですよ、お客さんごとに違う絵になってるんですよ。で、金持ちのおっさんが見ると、そのタコスには彼がですね、浮気してる時の写真がですね、印刷されてるんですよ。
(赤江珠緒)えっ!?
(町山智浩)で、投資とかやってるビジネスマンの所のタコスには、彼らが不正をしてる会計データが印刷されてるんです。
(赤江珠緒)あっはっはっは!うわっ。(笑)
(町山智浩)で、お客さん1人1人の為に、特別に作った物ですって言うんですけど。なんかおかしいんですよ、このレストラン。で、どうもこのレイフ・ファインズ扮するシェフは、貧乏な所でね一生懸命頑張ってシェフになって、世界的なシェフになったんですけれども、来る客来る客みんな金持ちで、しかも別に料理の事ちゃんとわかってないしちゃんと味わってないし、格好だけで来てて、それこそタラを出そうがオヒョウを出そうが覚えてないような、料理をちゃんとわかってない客が来て、だんだんだんだんフラストレーションが溜まって来て。で、もう”ぶっちゃけー!”みたいな感じになってるんですよ気分が。
(赤江珠緒)あ、面白い。へ〜!
(町山智浩)客を憎んでるんです彼は。
(赤江珠緒)うんうんうん。
シェフは客を憎んでいた
(町山智浩)で、ヤバイ!と気付いた時にはもう逃げられない、その島から出る船はないっていう話なんですね、この『ザ・メニュー』は。
(赤江珠緒)えっ!これホラー?町山さん。
(町山智浩)ホラーコメディ?かな?
(赤江珠緒)コメディ!?
(町山智浩)笑います結構。
(山里亮太)いや面白い!
(町山智浩)でも怖いんですよ。もう逃げられないんですよそこから。
(赤江珠緒)あらららら。
(町山智浩)だから『イカゲーム』みたいになってきます途中から。
(山里亮太)ええっ!?(笑)
途中から『イカゲーム』のような展開に
(町山智浩)という展開です。そういうね、映画が『ザ・メニュー』なんですけど。これは結構アメリカのだから今のおまかせとかね、グルメブームが実際にそうなんで、まぁなんていうかリアルなんですよ。こっちのグルメ事情を見るとね。やっぱりラーメン3000円で食ってたりしますからね。
(赤江珠緒)そうか。そういうのをちょっと皮肉ってるような感じの映画なんですね。
(町山智浩)そう。おまかせ寿司でね、ちょっとカチンと来るのはね、フォアグラとかキャビアとか使ったりするんですよ。ちょこっとなんか乗っけてたりするんですよ。でね、1コースで2万円からとかなんですよ。
(赤江珠緒)お〜しますね!
(町山智浩)トリュフとか乗ってくるんですけど、そういうの欲しくないからみたいな世界があって。(笑)
(赤江珠緒)確かに。(笑)そういうのちょっとお寿司にはそんなに求めてないな。
(町山智浩)そうそうそう。でもそういうので喜ぶような人達が一杯いるんですよサンフランシスコは。だってIT関係の人達は初任給で1000万超えてますからね、1200万とかになっちゃうんで。
(山里亮太)ええーっ!
(町山智浩)だってここ、あれですよ?レストランで働いてる人とかいますけども、最低時給ね。最低時給ですよ?最低時給は16.99ドルなんでサンフランシスコって。2400円なんですよ。2400円ってすごい時給だと思うじゃないですか。
(赤江珠緒)そうですよね。
(町山智浩)日本って1000円行ってない訳だから、でも、サンフランシスコって1人暮らしのアパートの平均の家賃が、月42万円なんですよ。
(赤江珠緒)たっか!1人暮らしで?
(町山智浩)1人暮らしで。ワンベッドルームで。だから時給2400円でも暮らせないんですよ。
(赤江珠緒)本当ですね。
(町山智浩)とにかく金持ちが金持ちになりすぎちゃって、格差がひどいからこういう映画が出てくるんですけど。でも結構世界的にどこもそうなんですよね。ITとか金融関係の人達の給料がとにかくデカすぎるんで。で、もう1本紹介する映画もね、非常に似た話なんですけど。『悲しみのトライアングル(Triangle of Sadness)』っていうタイトルの映画なんですね。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
③離れ小島に船で行くレストラン、なんと2500ドル