逆転のトライアングルの町山智浩さんの解説レビュー
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『悲しみのトライアングル(Triangle of Sadness)』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『逆転のトライアングル(Triangle of Sadness)』解説レビューの概要
①逆転のトライアングルは美容用語で、○○○○
②主人公はモデルの男の子。彼女はインフルエンサー
③ネチネチと気まずくなる事ばっかりでコメディを作る監督
④夢の船長になったのに金持ちの接待をする事になり嫌気がさした船長
⑤嵐に巻き込まれ船が揺れゲロ温泉状態に
⑥船が沈没しもっと大変な事になっていく
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『逆転のトライアングル(Triangle of Sadness)』
(町山智浩)で、もう1本紹介する映画もね非常に似た話なんですけど、『逆転のトライアングル(Triangle of Sadness)』っていうタイトルの映画なんですね。これはねスウェーデンの監督の映画ですけどまぁ国籍はそんなに・・地中海が舞台で、ある豪華客船、クルーズの船長がアメリカ人のウッディ・ハレルソンが演じてる映画なんですけども。これも富裕層の話なんですけど。これね、『悲しみのトライアングル』っていうのは美容用語で、眉間のあたりの事を言うらしいんですよ。で、そこにシワが刻み込まれる人は、人生で苦労しているっていう意味があるらしいんですよ。
(赤江珠緒)あ〜なるほどね、おでこに。
主人公はモデルの男の子。彼女はインフルエンサー。
(町山智浩)はい。でも、そういう苦労してない人達の話なんですね、この映画は。で主人公はモデルの男の子なんですけど、あんまり才能がなくてオーディションに落ちたりしてるんですけどね。でその彼女もモデルで、まぁ美男美女なんですよ。で、彼女の方はインフルエンサーをやっててインスタとかで。それでまぁすごく人気なんですよ。で、これね、最初にこの2人が結構高級そうなレストランで食事に行って、レシートが置かれると、テーブルの上にね。アメリカとかヨーロッパはレシートがテーブルに置かれるんですが。あれもなんか日本と違うから嫌な感じですけどね。そうするとね、なんでいつも男がこれを取んなきゃいけないのって言うんですよ彼が。君はいつも男女平等って言ってるのにどうしてお勘定の時は僕に払わせるの?とか言い始めるんですよ。
(赤江珠緒)うん。(笑)
(町山智浩)それでネチネチ喧嘩になって、あんまりネチネチするから彼女の方が、金が欲しいならくれてやるわ!って札束丸めて顔にぶつけるんですけど彼の。(笑)そういう嫌〜なシーンから始まるんですけど。これね監督はね、リューベン・オストルンドというスウェーデンの人なんですが、この人は『フレンチアルプスで起きたこと』という映画で・・、
(赤江珠緒)はい!ご紹介頂きましたね!
(山里亮太)見ました見ました!
(町山智浩)金持ちの人がスキー場に家族で行ったら、事故防止の為に人工雪崩を起こすんですね、スキー場って時々ね。で、その雪崩を本物と勘違いして、奥さんと子供を置いて夫が逃げ出しちゃうんですよ。で、その後なんにもなかったんで、奥さんと子供から軽蔑されてものすごく気まずくなるっていう話を撮った人です。
(山里亮太)あ〜・・じゃあネチネチ上手なんだ。
(町山智浩)そう。ネチネチと気まずくなる事ばっかりでコメディを作る監督なんですよ、このオストルンドっていう人は。
(山里亮太)面白かった。へぇ〜。
監督はネチネチ上手
(町山智浩)で、インタビューとかをすると、要するに、レシート払う払わないで喧嘩したって言うのは俺がやった事だって。自分がやった事なんですね。(笑)
(山里亮太)あぁなるほど!
(町山智浩)そういう結構セコい人なんですけど。で、このカップルがですね、彼女の方がインフルエンサーなんで、豪華客船のクルーズに招待されるんですよ。宣伝になるからってね。そういう人達、多いんですよ。最近ね、映画の試写とか行くじゃないですか。試写っていうか、ジャンケットって言うんですけど、記者会見みたいなものにね。そうすると昔と違って映画評論家の人だけじゃなくて、インフルエンサーの人達が一杯いますよ。
(山里亮太)あ〜〜、そうなんだ。
(町山智浩)そういった人達を呼ぶんですよ。で、食事ホテル全部つくんですよ。
(赤江珠緒)えーー!
(町山智浩)だからインフルエンサーっていうのはもう今すごいんですけど、呼ばれてね。で、この女の子はモデルとしてはあんまりうまくいってないんですけどインフルエンサーで成功してお金が入ってるっていう設定になってるんですね。で、その豪華客船に乗ると、大金持ちがいーっぱいいっぱい乗ってる訳ですよ。ところが、この豪華客船の船長ウッディ・ハレルソンは、船長になりたくて、船が好きで船乗りになったのに、なぜか金持ちの為の接待をやらされてる事に嫌気がさしちゃっているんですよ。さっきの『ザ・メニュー』のシェフと同じなんですよ。
(赤江珠緒)似てますね。うん。
夢の船長になったのに金持ちの接待をする事になり嫌気がさした船長
(町山智浩)で、金持ちの為にこんな船に乗って、これは俺の求めていた物と違うよと。言う事で、酒に溺れてですね、船室に籠もりっきりに・・引きこもっちゃってるんですよ。で、すごく危ない状態になってるんですけど、こういう豪華クルーズって船長と一緒のディナーパーティーっていうのが必ず設定されるらしいんですね。
(赤江珠緒)は〜そうなんですね、うん。
(町山智浩)まぁそれは絶対にやらなければいけない事なんだから、出て来て下さいって言われて引きずり出されて、お客さんと船長のディナーパーティーになるんですけども、この船長やる気が全然ないもんだから、船は嵐に向かってたんですよ。まぁ殆ど自殺願望にもうとらわれちゃってるんですね、この船長は。で、そのまま船が嵐の中に突っ込んでいく中で、ディナーパーティーが行われるんですよ。
(赤江珠緒)わっ・・。
(町山智浩)で、豪華なフルコースが次々と出てくるんですけど、すっごい船が揺れるから。あの、地中海なのになぜか下呂温泉みたいになっちゃうんですね。
(赤江珠緒)はははは。
船が揺れゲロ温泉に
(町山智浩)柔らかい言い方で言ってみましたが。お食事されてる方もいると思いますんで。これ地獄絵図ですよこれ。
(山里亮太)いやすごいな確かに。
(町山智浩)『ポセイドン・アドベンチャー』とか『タイタニック』よりすごい事になってますよこれ。
(赤江珠緒)そんなに船が揺れちゃう?
(町山智浩)すごいですよ。これ、最初ね、上の方からだけ出てくるんですけど皆。途中から船の揺れがひどくなって、トイレとかが逆流して、下の方もグチャグチャになりますから。
(赤江珠緒)わ〜〜。ありゃりゃりゃ。
(町山智浩)すごいですよ。大金持ち達がですね、・・まみれになりますよ色々と。まぁなんて言うか・・最近若い人ってさ、関係ないけどゲロっていう言葉をさ、いい意味で使うでしょ?
(赤江珠緒)いい意味?
(町山智浩)ゲロかっこいいとかさ。
(山里亮太)あぁ、めちゃくちゃみたいな意味で言うんだ。
(町山智浩)ゲロかわいいとかさ。
(山里亮太)あぁゲロかわいい確かに言うかもしれない。
(町山智浩)あとゲロうまって言う人いるんだよね。
(赤江珠緒)わっ最悪ですね。(笑)
(町山智浩)なんなんだろうって思うけど最近の若い人はね。(笑)そういう状況になりますよ、この船の中。でね、まだそこはね、まだ半分なんですよこの映画の。この『悲しみのトライアングル』の。その後、大変な事になってくるんですけど、1つの話が三つに分かれてて、だから”トライアングル”っていうタイトルになっていて。これ船が沈没してから、もっと大変な事になっていきます。
(赤江珠緒)あっ、沈没しちゃうんだ。
船が沈没しもっと大変な事になっていく
(町山智浩)沈没します。で、サバイバルしなきゃなんなくなってるんですけど。でね、これどっちの映画も非常によく似てて、やっぱりもう富裕層とそうじゃない人達の間でのその格差があまりにもひどいから、そこで働いてるそのシェフだったり船長がもう絶望してしまって。何もかもぶち壊そうとするっていう話なんですよね。
(赤江珠緒)うーん。
(町山智浩)で、ものすごくお金かかってて、この『悲しみのトライアングル』なんて船の船室が揺れるシーンて本当に実物大のセットを揺らして撮ってるんですよ。だから金かけてるんですけどすごく。その『ザ・メニュー』の方もね、離れ小島のレストランのセットとかすごいんですけど。でもこれ見てて思ったのは、これ日本では全く同じストーリー、設定でコントでさんざんやられてる話ですねこれね。特に、なんだろうな、ウッチャンとかね、内村さんとかね。やってると思いますよ既に。あとサンドウィッチマンとかもね。だから、自殺願望のある船長の船に乗ってしまったっていうコントですよね。
(赤江珠緒)は〜。
(町山智浩)で、客をすっげえバカにしてるシェフの高級レストランとかね。
(赤江珠緒)あ〜〜そういう事か、うん。
(町山智浩)これコントでたぶん既にやってるもんでしょう?おそらく。たぶんね、もうそれこそ舞台の上で、椅子だけでやってるようなコントですよ。ところがこれをハリウッドとかはものすごい何十億円もかけて超大作にしちゃってるんですね。
(山里亮太)すげー・・。
(赤江珠緒)そうですね。
(町山智浩)だから、発想的には日本でも山ほどある物なのに、やっぱり金かけるかどうかだなと思いましたね。そういうね、もったいないなと思いましたけどね。
(赤江珠緒)そういう設定がどうなっていくのかねぇ。
(町山智浩)まぁ大変な事にどっちもなっていきますけど。ただね、どっちの映画もね、意外な食べ物が、むっちゃくちゃおいしそうに見える映画なんですよ。意外な物が。だからどっちもね、色んな意味で見に行く時はお腹を空かせて行くといいと思います。
(赤江珠緒)本当ですか?
(山里亮太)えーー色んな意味で?
(町山智浩)色んな意味で。だから下呂温泉になったりもするんでね。
(山里亮太)出ちゃう方ね。
(赤江珠緒)『ザ・メニュー』は現在公開中で、『悲しみのトライアングル』は日本公開はまだ未定と。
(町山智浩)あ!これ決まりました。2月に日本公開予定です。『逆転のトライアングル』。
(赤江珠緒)あっ2月に。そうですか。じゃぁ日本でも見られるという事で。
(町山智浩)という事で、お腹を空かせてからどうぞ。(笑)
(赤江珠緒)はい。町山さん、ありがとうございました!
(山里亮太)ありしたーっ!
(町山智浩)どもでした!
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
①逆転のトライアングルは美容用語で、眉間の事を指し、そこにシワが刻み込まれる人は人生で苦労しているという意味。