バーバリアンの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『バーバリアン(BARBARIAN)』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『バーバリアン』解説レビューの概要
①制作費4億円、劇場収入だけでその10倍を稼いだメガヒット映画
②アメリカで今年1番ヒットしたホラー映画
③舞台はデトロイト。アメリカで1番○○が悪い
④民泊がダブルブッキングしてしまい家には知らない男の先客が
⑤『暴力を知らせる直感の力』という本を読んで思いついたシナリオ
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『バーバリアン』町山さんの解説書き起こし
(町山智浩)こっちはね、ちょうど今日がハロウィンだったですね。
(赤江珠緒)そうか。今日(日本時間11月1日)が10月31日。
(町山智浩)はいはい。もうさっきまで来てました子供たちが次々と。
(山里亮太)へー!いいなぁ!
(赤江珠緒)へ〜アメリカではどんな感じなんです?
アメリカのハロウィンについて
(町山智浩)アメリカではね、トリック・オア・トリートって言って、日本ではやってない・・?
(赤江珠緒)お昼間とかはね、結構幼稚園とかね、やってたりしますね。
(町山智浩)あ、やってる。子供たちがね夜来て、コンコンって叩いて、トリック・オア・トリート、あのお菓子をくれないとイタズラするぞって言って、そうするとこっちがお菓子たくさん用意しててみんなね。この日は。で、お菓子をあげるっていうのをやってますけどね。
(赤江珠緒)あぁやっぱりそういう伝統の。感じの。日本とかその韓国とかちょっと事故ありましたけど、あんな感じで大人が仮装っていうのはあんまりないんですか?
(町山智浩)大人が仮装する人もまぁ、いますけど。そっちはメインじゃないですね。子供のものですよ基本的に。大人がそういう格好する人達はパーティー行って、まぁちょっ・・変わったエッチしたりそういう人はまぁいるでしょうけど。
(山里亮太)イタズラしちゃってるんだ。(笑)
(町山智浩)でもやっぱりね、親が付いて行く時に着るもんですね。
(山里亮太)あ〜〜なるほどなるほど!
(町山智浩)子供にね。一緒にやっぱり扮装してくるんで。で、僕の方もするんですよね、受け入れる側も。お菓子くれないとって言って行くのはね、ちゃんと飾り付けしてある家だけなんですよ。
(赤江珠緒)そうですよね、そうしないと怖いもん。
(山里亮太)なんかあったもんね、そういう事故。
(町山智浩)怖いもん。何が起こるか。まぁ飾り付けしてると、子供来て大丈夫ですよって事だから。そういう場合は自分も扮装しますよ。こっち側も。蜂の格好したりしましたけど。
(赤江珠緒)蜂?(笑)
(町山智浩)だからたくさんあるんですよ。何年分ものハロウィンの衣装が。屋根裏に、うちはね。そう。だからね、子供メインでやってればね、そんなに大変な事にならないのでね。大人があんまり・・子供の為にやるのに大人が横取りしちゃだめだと思いますけどね。あっ、大人はね、ハロウィンはね映画に行くんですよアメリカでは。
(赤江珠緒)へー!
アメリカではハロウィンに大人はホラー映画を見る
(町山智浩)映画に行ったり映画を見るんですよ、ホラー映画を見る時です。アメリカは。日本ってホラーのシーズンは決まってないのか。
(山里亮太)夏にちょっと多いかな。。
(赤江珠緒)夏に怪談ぽいイメージで。。
(町山智浩)あ〜、アメリカはもう完全にハロウィンに集中して公開します。もうホラー映画は映画館は今もやってますよ深夜。
(赤江珠緒)あぁ、それは面白いかも。
(町山智浩)あと自分の家でホラー映画を見たりっていうね。そういう伝統あるんですが。それでね、今回紹介する映画はね、やっぱりホラー映画で。アメリカでハロウィンなんでシーズンで公開されたんで。大ヒットしてるやつがあるんでその話をします。2本紹介します。1本は『バーバリアン』っていう映画で、もう1本はですね、『MEN 同じ顔の男たち』というタイトルの映画なんですけども。
(赤江珠緒)うん。
Disney+で配信のバーバリアン
(町山智浩)『バーバリアン』はね、ちょうど日本でもハロウィンをめがけたんだと思うんですけど。Disney+で配信が始まってます。26日からかな?配信が始まってんですが。これね、アメリカで今年1番ヒットしたホラー映画ですね。制作費がね、4億円ぐらいなんですよ。ところがアメリカの劇場収入だけでその10倍以上を稼いだと言うね。
(赤江珠緒)えっ!すごいですね!
(町山智浩)これ大ヒットですよ。大体3倍でヒットなんですよ、制作費の。だから10倍ってのはもう大大大ヒット、メガヒットですね。で、これ『バーバリアン』っていうのはね、”野蛮人”という意味のタイトルなんですが。これデトロイトという街が舞台なんですよ。前も何回かお話した事あるんですけども、デトロイトって今ほとんどゴーストタウンになっちゃってるんですよ。
(赤江珠緒)仰ってましたね。車の街っていうイメージがありましたけどね。
(町山智浩)はい。自動車産業はすごくピークだった頃は180万人住んでた所がですね、現在60万人ぐらいになっちゃって。3分の1に減ったんで、180万人も住んでいた大都市だったのにスカスカになっちゃったんですよ。スカスカになっちゃったから、まずお金がない訳ですね、税金がね。だから市のお金がないから警察官とか消防士がものすごく少なくなっちゃってて。で、警察を呼んでも1時間以上かからないと来ないと。いう状態で、もう1つはお金がないから街灯がついてないんです。真っ暗闇です。
(赤江珠緒)わ〜〜、治安悪くなりますよねそうなるとね。
(町山智浩)アメリカで1番治安悪いです。
(赤江珠緒)わ〜〜そうなんだ。
アメリカで1番治安が悪いデトロイトが舞台
(町山智浩)で、家がですね、昔建った家がたくさん残ってるんですけど、廃墟になってますね、ほとんど。だから3分の2が廃墟になってる訳ですよ、実際は。3分の1に人口が減ってるんで。で、かなりもう焼けちゃってるのもあって。火事になっても誰も住んでないから、誰も通報しないから、消防車が来ないんで、完全に全焼するまで放置です。
(赤江珠緒)わ〜。空き家問題ですね。本当に。
(町山智浩)そう。大変な問題で空き家問題になってるんですけど。で、そこにデトロイトの現状を知らない女の子、テスという女の子が・・女の子じゃないねごめんなさい、大学出たあたりの女性がですね、就職の面接に来るんですよ。で、デトロイトは中心部だけはね今すごく産業が復活してるんですね。ただそういう状況を知らないと、そこに一番安い宿泊をしようとして、Airbnbって言うんですが、日本ではなんて言うんですかね、民泊の斡旋サイトがあるんですよ、アメリカには。で、普通の人が家を貸してる所を借りると安いんでね。日本だとブッキングドットコムとかあると思うんですけど。で、そこ行ってみたら、街から離れた廃墟ばっかりのとこだったんですね。まぁ知らないし安いからそこ取っちゃったんですけども、行ってみたらその家以外はみんなもうボロボロなんですよ。で真っ暗で。で、夜遅く着いちゃって飛行機が遅れて。どうしようって思って、でも中に入っちゃえば安全だろうって事で、中に入ろうとするとですね、鍵ボックスの鍵がないんですよ。で、どういう事って業者の方に聞くと、「いやあるはずですけど、おかしいですよ。」って言ってると、その家に明かりが付いてて、奥の方に。誰かがいるんですよ。で、あれ?どういう事だろう?と思うんですけど、そうすると、向こうの方がドアを開けて「何してるの?」って聞くんですよ、男の人が出てきて。
(赤江珠緒)うん。
民泊がダブルブッキング
(町山智浩)で、「えっ、私今日ここに泊まる事になってたんだけど民泊で。」って言ったら、「えっ僕もそうなんだ。」と。「ほら、見てごらん」って言うと、別の斡旋サイトの方で予約してて、要するにダブルブッキングしてるんですよ。
(赤江珠緒)あららら。
(町山智浩)で、どうしようと思うんですけど、男の人と2人でここで一夜を過ごすのはちょっと怖いっていう事で、私は他の所に行きます。ホテルか何かを取りますって事でホテル探すんですけど、その時ちょっと街の方でコンベンションをやっててホテルいっぱいになってて入れないんですよ。で、なんかどうもホテルもないみたいだし外は雨だし寒いし。まぁちょっと今日は泊まっていかないかねって彼が言うんですね。そしたらその彼がですね、非常に優しいんですよ。「外寒いから今お茶かコーヒーを淹れるけどどっちがいい?」とかね。「ベッドルームは1つしかないんだけれども、君はベッドに寝ていいから。」とかね。でも、私あなたが・・申し訳ないんですけど断ろうとするんですよテスっていう彼女はね。
(赤江珠緒)まぁね。見ず知らずだから怖いもんね。
(町山智浩)そうそう怖いから。で、「シーツ、あなたが一晩寝てるんでしょう?」みたいな事を言うわけ。そしたら「わかった!じゃあこのシーツ今すぐ洗って乾燥させるから。」とか言って彼が。お茶を出してもね、飲まないんですよ彼女。
(赤江珠緒)かなり警戒してる、うん。
(町山智浩)そう。怖いからね。そうするとじゃぁ、今最初から飲み物を淹れてみせるから君の目の前で。って、すごく警戒を解こうと彼一生懸命になるんですよ。で、話してるうちになんかいい感じになってくのかなとか思うんですけれども、逆にどんどん、だからこそ怖いんじゃないかこの人はって思えてくるんですよ。でね、この映画ね、『バーバリアン』っていう映画は”バーバリアン”、つまり野蛮人は一体誰なのかっていう映画で、次々と野蛮人候補が出てくるんですよ。
(赤江珠緒)えー!
次々とバーバリアン候補が登場する
(町山智浩)で、このねシナリオを書いた監督はですね、これ映画1本目です。初めて。で、いきなり10倍大ヒットやっちゃったんですけど。
(赤江珠緒)すごいですね。
(町山智浩)すごいんですよ。この人ね、なんでこの映画を思いついたかっていう話をインタビューでしていて面白いんですけども。本があって、その本を読んでたんだ、そこから思いついたんだって言ってるんですね。これね日本でも翻訳が出てる本なんですけども、『暴力を知らせる直感の力』という本があるんですよ。副題がですね『悲劇を回避する15の知恵』という本で、アメリカ人の書いたギャヴィン・ディー・ベッカーという危機管理の専門家が書いた本で、「こういう男は危険」という項目があるんですよ。
(赤江珠緒)ほう。面白そう。
(町山智浩)そこに出てくる危険な項目っていうものを全部この彼が満たしていくんですよ。
(赤江珠緒)へ〜!
『暴力を知らせる直感の力』という本を読んで思いついたシナリオ
(町山智浩)こういう話なんですよ。最初の方は。で、とにかく親切すぎるのは危険なんだと。いうのと、あと、個人的な趣味とかの話を勝手にする奴は危険だって。
(赤江珠緒)えー!それも危険?
(町山智浩)いきなりね、まだ仲良くなってないのに。監督はザック・クレッガーっていう人なんですけれども、つまりそういう事は無理やり親密にしようとして無理やり付き合ってるような心理状態に持っていこうとしてるんだと。あとね、NO、要するに嫌です、ダメですって断ってるのに、それを無視して勝手にどんどん進めちゃう、例えば荷物を勝手に持ってっちゃうとかね。それも非常に危険なんだという風に言ってて、とにかくいくつかの項目があって、それをどんどん彼が満たしていくから。親切にすればするほど、そのテスは恐怖に思えてくるっていう話なんですよ。
(赤江珠緒)いやなんかすごい日常のリアリティあるホラーですね、これね。
(町山智浩)そうなんです。で、そういう話なのかな?って思ってると、どんどん違う方向に行くんですよ、この映画。これね、ジェットコースター的な展開をしていって途中から。何がなんだかもう起こってる事に追いつけないという展開になってきますこの映画。すごいですよ。
(赤江珠緒)タイトルが”野蛮人”だもんね。
(町山智浩)そう。デトロイトで始まるんですけどとんでもない所に行くし、現代のデトロイトで話が進んでるのかと思うと、とんでもない所に時代が飛ぶし、あっと驚く非常にすごい映画になってますこれ。これね、監督してシナリオを書いたのザック・クレッガー自身が、自分自身をビックリさせるために書いたって言ってるぐらいです。そういう映画なんでね大ヒットしてますんで。これねディズニーが配信した初めてのホラー映画ですね。
(赤江珠緒)ね、Disney+で配信が日本でもスタートしてると。
(町山智浩)そうなんですよ。ディズニーの初ホラーでね、もう大ヒットという映画で。とにかくビックリする展開なんで是非ご覧くださいとしか・・もうネタバレになっちゃうから、言えないんですよ。
(山里亮太)そうですね。それはね。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
③舞台はデトロイト。アメリカで1番治安が悪い