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ドクター・スリープの町山智浩さんの解説レビュー

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2023年02月22日更新
殆ど本当の話で、スティーヴン・キングの小説って言うのは、彼がこんな事になったら怖いな嫌だなっていう事をわざと書いて、小説に書いたらそれは実際には起こらないっていうおまじないだったらしいんですよ。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『ドクター・スリープ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『ドクター・スリープ』解説レビューの概要

①『シャイニング』公開から40年後に作られたのがこの『ドクター・スリープ』
②シャイニングは、作家になりたい父親がホテルの番人の求人を受け、奥さんと子供の3人で住むが最終的におかしくなり奥さんと子供を殺そうとする話
③『ドクター・スリープ』は『シャイニング』の時の子役、ダニー君が主人公
④ダニーは父親に殺されそうになったトラウマでダメ人間に
⑤ダニーは超能力を使って終末期の患者を安らかに眠らせていくので『ドクター・スリープ』と呼ばれる
⑥子供のシャイニングを吸って生きている吸血鬼軍団との戦いに
⑦『ドクター・スリープ』が作られたのは実はすごい事
⑧『シャイニング』原作者のスティーヴン・キングは、映画『シャイニング』が○○○!!
⑨その理由は、○○○
⑩スティーヴン・キングはアル中だった
⑪現実に起きませんように、というおまじないでホラー小説を書いている
⑫ドクター・スリープのダニーはスティーヴン・キング自分自身

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『シャイニング』の40年ぶりの続編『ドクター・スリープ』町山さんの評価とは

(町山智浩)今回もホラー映画を紹介するんですが、まぁ作り物なんでね。ちょっとアレなんですが、これもね、実はいい話を僕用意してますんで、紹介します。今回はですね、ホラー小説の世界の帝王ですね、世界一のベストセラー作家、スティーヴン・キング原作の映画『ドクター・スリープ』を紹介します。

(町山智浩)これはね、断頭台。ギロチンに向かって死刑囚が歩いて行くような音楽として作られてるんですけど。

(赤江珠緒)あ〜そういう事か、何かが起きるっていう曲ですもんね。

(町山智浩)そうなんです。これが、今回紹介する『ドクター・スリープ』のですね、元の映画『シャイニング』の音楽なんですよ。

映画「」のポスター

(町山智浩)『シャイニング』は1980年に公開されたスティーヴン・キング原作の小説の映画化なんですが、それから約40年後に作られたのが今回ご紹介する『ドクター・スリープ』なんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)『シャイニング』はご覧になってますか?

(山里亮太)いや怖い映画の代表だから僕見れなくて。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)怖いよね。(笑)

(山里亮太)怖い。(笑)

引用:IMDb.com

映画『シャイニング』について

映画「」のポスター

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)彼はね、売れない作家というか作家になりたいんだけどなかなかなれない物書きなんですけど。このままだと書けないって、一気に書こうと。それでお金もないし、家も。コロラドのロッキー山脈の中にある高級ホテルがですね、冬の間雪で入れなくなるので、その間ホテルの番人を求めてると。いう事で、ジャックがそこで番人をすればお金も貰えるし、そこで小説を書き上げられるだろうと。

(赤江珠緒)あ、ちょうどいいね、うん。

(町山智浩)という事で、その番人になって、家族、その奥さんとダニ―とジャックだけの3人だけでその屋敷に冬の間住むんですね。ところが、その屋敷というか、ホテルなんですけどすみません。そのホテルには、昔虐殺事件があって、幽霊がいるんですよ。で、その幽霊のせいでジャックがだんだんおかしくなってくんですよ。で、最終的にはその自分の奥さんと子供を殺そうとして斧を持って追っかけるという話なんですね。

(赤江珠緒)うわ〜・・。

(町山智浩)で、これね。今回の『ドクター・スリープ』はそのダニーが40過ぎて出てくるんですよ。

(赤江珠緒)『シャイニング』の時のダニーくんはかわいいですもんね。

『シャイニング』の男の子、ダニーが40歳過ぎて登場

(町山智浩)かわいいんですよ。でも今はおっさんになってるんですよ、ユアン・マクレガーが演じてますけど。で、その父親ジャックに殺されそうになったトラウマで、アルコール中毒で。それで行きずりのセックスとドラッグとですね喧嘩に明け暮れてる、まぁ人間のクズになってるんです。

(赤江珠緒)あらら。

(町山智浩)で、まぁ父親から殺されそうになるっていうのは、完全な自己否定みたいなものですから。自分に対するその価値観みたいなものがどん底にいっているんで、もうひどい事になってるんです。しかもこの父親はこの幽霊に取り憑かれる前からアル中で、ダニーに虐待をしてたんですよ実は。ジャックは。だからもうものすごいトラウマで、もうまともに生活ができなくなってるんですね。

(赤江珠緒)うん。

引用:IMDb.com

ダニーは父親に殺されそうになったトラウマでダメ人間に

(町山智浩)ただ、それを偶然助けてくれた人がいて。彼はアルコール中毒を治療してですね、だんだん治ってくると、その前のシャイニングの力が戻ってくるんですよ。

(赤江珠緒)ほぉ。

(町山智浩)で、段々戻ってきて、そのホスピスっていうガンとかでこれから亡くなる人達を収容する病院がありますよね?

(赤江珠緒)終末期ケアとかのね。うん。

(町山智浩)終末期ケアの。そこで働く事になって、彼がそのシャイニングの力を使って、これから亡くなる、今まさに亡くなろうとしてる人達を優しく看取る人として、自分のシャイニングの力を有効に使っていくんですね。

(赤江珠緒)あぁ、それはすごくいい使い方で。うん。

(町山智浩)はい。それで人々を安らかに眠らせていくので、”ドクター・スリープ”と呼ばれているんです。

(赤江珠緒)あぁ!ふーん!

人々を安らかに眠らせていくので、”ドクター・スリープ”

(町山智浩)で、それで話が終わっちゃうんじゃなくて。彼はですね、段々シャイニングが戻ってくると、別のシャイニングを持ってる中学生の女の子、アブラのシャイニングをキャッチするんですよ。で、2人は会わないままですね、色んな情報を交換して友達になっていくんですけど、そのアブラという中学生の女の子を狙ってるもう1人のシャイニングが持つやつが出てくるんですね。

(赤江珠緒)うん、うん。

(町山智浩)それはですねローズという女性で、アメリカ中を自分のグループと一緒に旅をしながら、シャイニングの強い子供を誘拐して。彼らを拷問する事で、強いシャイニングを出させて、それを吸い込んで生きているというですね。なんというか吸血鬼が血を吸うようにして、子供のシャイニングを吸って生きている吸血鬼軍団なんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、子供を次々と殺してる連続殺人者達なんですけども。で、彼らがものすごいシャイニングを持っているアブラに目を付けるんですね。あの子を食いたいと。言う事になって、このアブラを守らなければならないという事でですね。このダニーとアブラとローズのシャイニング戦争になっていくっていう話なんですよ。

(赤江珠緒)ふ〜ん!

引用:IMDb.com

子供のシャイニングを吸って生きている吸血鬼軍団

(町山智浩)ただこのシャイニングっていうのは、なんというか電波みたいなものなんですね。で、人の心に入ってって、情報取ったりするんですけど、記憶とか。ただ、X-MENみたいに、ものすごい力で火を起こしたりとか空を飛んだりとか、物を動かしたりはできないんですよ。ただ人の心に入ったり出たりする事はできるだけなんですね。でもそれを利用して、例えば相手の心の中に入って別の記憶を植え付けたり、間違った記憶とか嘘の記憶を。それとか、自分の心に相手を引き込んでおいて、嘘のデータを掴ませたりとか、そういう戦いをするんですよ。

(山里亮太)頭脳戦だ、うん。

(町山智浩)そう。だからね、コンピューターのハッカー同士がハッキング戦争してるみたいな戦い方なんですよ。

(山里亮太)ふんふん。

(町山智浩)だから何が本当か嘘かわからないみたいな。すごくその戦い方が面白いんですけど。ただね、この『ドクター・スリープ』って言う映画というかこの物語が作られたっていうのは実はすごい事なんですよ。

(赤江珠緒)なんでですか?

『ドクター・スリープ』が作られたのは実はすごい事

(町山智浩)というのは、この『シャイニング』という元の映画の続編で40年後に作られてる訳ですけど、その『シャイニング』という映画は、原作者のスティーヴン・キングがものすごく嫌いで。

(山里亮太)えっ?

(赤江珠緒)自分が?

(町山智浩)ものすごく憎んでいた作品なんですよ。

(赤江珠緒)自分で作ったのに?

(町山智浩)ええとね、『シャイニング』は原作はスティーヴン・キングが書いたんですけども、映画化したのはスタンリー・キューブリックという、まぁ映画史上最高の巨匠なんですね。で彼が作ったんですけども、スティーヴン・キングがそれを見てですね、まるでエンジンが入っていないキャデラックだって言ったんですよ。

(赤江珠緒)えぇ。

引用:IMDb.com

まるでエンジンが入っていないキャデラック

(町山智浩)つまり心がない映画って言ったんですよ。そのぐらい嫌ってて、彼自身が自分で自費で、自分の原作通りの『シャイニング』をテレビ用に作るぐらい嫌ってたんですよ。

(赤江珠緒)えー!そうなんですか。

(町山智浩)もう本当に嫌いで嫌いで仕方なかったんですよ、この『シャイニング』が。で、どうしてそんなに嫌いかって言うと、1つ大きな理由があるんですね。というのは、『シャイニング』って殆ど実話なんですよ。

(山里亮太)えっ!?・・・えっ!?

(赤江珠緒)え。あのだって、斧でバーン!ってこう壁破って顔が出てくるあの感じですよね。

(町山智浩)そう。そこは知ってますよね。

(山里亮太)そこは。うん。

(町山智浩)『シャイニング』を書いた時に、父親がアル中で息子を殺そうとした話なんですけども、スティーヴン・キングはアル中だったんですよ。

(赤江珠緒)へ〜!

(町山智浩)彼自身がアル中で、しかも『シャイニング』を書くちょっと前まで全く売れなくて、ジャックと同じで。売れない中でアル中で、家族をめちゃめちゃにしそうになったという体験をそのまま書いてるんですよ。

(赤江珠緒)えーー!!スティーヴン・キングそうだったんだ。

スティーヴン・キングはアル中だった

(町山智浩)だから殆ど自分の話なんですよ。だからものすごく思い入れがあって。しかもそのスティーヴン・キングという人はものすごい父親にトラウマがある人なんですね。彼が2歳の時に、スティーヴン・キングのお父さんは家を出て、そのまま行方不明になっちゃったんですよ。

(赤江珠緒)あら。。うんうん。

(町山智浩)で、お母さんと兄弟だけで取り残されて、ものすごい貧乏の中で暮らしたんですね。

(赤江珠緒)うん、うん。

(町山智浩)で、彼自身は、自分が父親に捨てられたんだっていう事がトラウマになって自分はダメな人間なんだ、親に愛されない人間なんだって言事で、ものすごい不安と自己肯定のできない人として育ったんですよ。

(赤江珠緒)ふ〜ん!

(町山智浩)だから、守ってくれる人がいないんだ、自分は捨てられたんだって言う事だから、恐怖をすごく他の人よりも強く感じて暮らしたんですね、子供の頃。ところがもう1つ、父親が置いてったたった1つの物があって。それは屋根裏に父親が大量に残していったホラー小説があったんですよ。

(赤江珠緒)へ〜!うん。

(町山智浩)で彼は、父から何も記憶を。なんと言うか、父との記憶がまるでないのに、その父が残したホラー小説だけを読み漁って、自分の中にある恐怖を表現するにはホラー小説しかないという風に人生が決まっていった人なんですよ。

(赤江珠緒)え〜!その体験がスティーヴン・キングという作家を生んだ。へ〜!

(町山智浩)そうなんですよ。だから父に捨てられた事で、彼は父が残したホラー小説のおかげでホラー作家になったんだけれども、自分自身は父のせいでものすごい心の中に空洞を抱えてるという人なんですよ。

(山里亮太)はぇ〜〜。

引用:IMDb.com

父親の影響でホラー作家になったが、自分自身は父親のせいで心に空洞が

(町山智浩)で、その空洞を埋めるために小説を書き続けたんですね。だから彼のデビュー作の『キャリー』っていうのは、原作では肥満体の女の子がイジメられるっていう話なんですけど、彼自身も肥満でイジメられてたんですよ。

(山里亮太)へぇ〜・・。

(町山智浩)で、その『シャイニング』は彼がなかなか小説家として売れなくて苦しんで、家族をめちゃくちゃにしちゃうんじゃないかっていう恐怖をそのまま、本当にめちゃくちゃにしちゃう作家の話として書いたんですよ。

(赤江珠緒)は〜!

(町山智浩)ただアル中はずっと治んなかったらしく、20年ぐらいアル中だったらしいですけど。だから、殆ど本当の話で、スティーヴン・キングの小説って言うのは、彼がこんな事になったら怖いな嫌だなっていう事をわざと書いて、小説に書いたらそれは実際には起こらないっていうおまじないだったらしいんですよ。

(赤江珠緒)えー!正夢にならないようにみたいな?言ってしまえと。

現実に起きませんように、というおまじないでホラー小説を書いている

(町山智浩)そうそう。実際に書いたんだから、それがなったら変だろうっていう感覚なんですよ彼は。

(山里亮太)へぇ〜!

(町山智浩)だから『ペット・セメタリー』っていう小説があるんですけど、それは彼の幼い子供、男の子が、トコトコ歩いてって、自動車に跳ねらちゃう、死んじゃうっていう話なんですよ。

(赤江珠緒)ふん。

(町山智浩)だからお子さんのいる赤江さんとかはわかると思うんですけど、親にとっての恐怖って、子供がちょっとした事で死んじゃうんじゃないかっていう事じゃないですか。

(赤江珠緒)それそうですね、うん。

(町山智浩)ウッカリ死なせちゃうんじゃないかって。それをそのまま小説にしちゃうんですよ、スティーヴン・キングは。

(赤江珠緒)そうか・・。

(町山智浩)怖いから。怖くてしょうがないから。ものすごい怖がりなんですよ。

(赤江珠緒)だからこうなったら嫌だなっていう事が、これでもかっていうぐらいそういう日常の嫌な事が出てくるでしょう。

(山里亮太)は〜そういう事なのか。

(町山智浩)そうなんです。だから『クージョ』っていう小説があるんですけど、それはやっぱり幼い子を抱えた親が狂犬病を持った巨大なセントバーナードに襲われるっていう話なんですよ。子供がいる時に道を歩いてて、デカい犬が来るとものすごく怖いでしょう? この犬がバッと噛み付いたら、うちの子は死んじゃうんじゃないかと思う時ありません?

(赤江珠緒)あぁそういうちょっとした不安とかが全部。ほぉ〜。

(町山智浩)そう。で、わぁ怖い怖い怖い!って思うとそれを書くんですよ。スティーヴン・キングは。書けば本当に起こらないって言うね、おまじないだから。だから売れるんですよ。みんな抱えてる恐怖だから。ただ彼自身は、その父親というトラウマ自体はは克服できないんですよ。行方不明のまま出てこないで、全く会ってないから、もう謎なんですよ。自分を本当に愛してたかどうかわからないんですよ。

(赤江珠緒)そうですねぇ。

(町山智浩)どうして捨てたのかもわからないままなんですよ。

(赤江珠緒)それ以降、会う事もなく?

(町山智浩)会う事もなく。だからずっと解決しないままずっとそれを抱えていったんですね。だから彼はもうそれこそ60を過ぎても、その部分は解決できないんですよ、なかなか。だから、これを書いたんですよまた。『ドクター・スリープ』を。だからこの中で父親に殺されそうになったトラウマを解決できない主人公ドクター・スリープ、ダニーは彼自身なんですよ。

(山里亮太)はえ〜!

引用:IMDb.com

主人公ドクター・スリープ、ダニーはスティーヴン・キング

(町山智浩)まぁこれはすごくよくわかります、僕も父親が子供の頃に家を出てっちゃったんで。すごくよくわかりますよそれは。本当は父親は自分の事を全然どうでもよかったんじゃないかと思うとものすごく不安に襲われて、自分に対する評価がすごく低くなるんですよね、自己評価が。で、スティーヴン・キングの今ちょうど公開されてる映画の『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』っていう映画の・・これはご覧になりました?

映画「」のポスター

(赤江珠緒)見てないですけど、こないだ放送されてましたね地上波で。

(山里亮太)テレビでやってましたね!

(町山智浩)あれも子供の頃に親に虐待されたトラウマを持った子供達が、そのまま40歳になってもやっぱり、トラウマをちゃんと解決してないから、ちゃんとした大人になれないんで、もう1回そのトラウマと対決するって言う話なんですよ。

(山里亮太)全部繋がってくるんだじゃぁ・・。

(町山智浩)だから同じ事を色んな書き方で書いてるんですよ、スティーヴン・キングって人は。

(赤江珠緒)常にテーマはそこだったりするんですね。

(町山智浩)テーマはそこなんで、常にそこに帰ってくるんですよ、彼自身の問題に。だからその『IT』っていうのは、ITって言うのは”それ”なんですけど、”それ”は、子供達が何人かいて、みんなイジメられっ子なんですね。で、そのイジメられっ子達がイジメられている原因になってる事が、全て”それ”なんですよ。だから名前がないんですよ。ある女の子にとっては自分を性的に虐待した父親が”それ”だし、ある男の子にとってはウッカリ死なせてしまった弟が”それ”だし。

(山里亮太)はぁ〜〜!

全員の”それ”が違う

(町山智浩)全員の”それ”が違うんですよ。で、ゲイの子であったり、ユダヤ人で差別されている子とか黒人で差別されて、まぁ黒人の男の子は家族を虐殺されたりしてるんですけど、そういったトラウマが”それ”として、ずっと子供の心の中にあって大人になってもそれを解決しないと、なかなか大人になれないから対決するっていう話なんですね、『IT』は。

(赤江珠緒)ふ〜ん!

(町山智浩)スティーヴン・キングってだからすごく身を削って書いてる人なんですよ。

(赤江珠緒)そうですね・・!

(町山智浩)小説を。それなのに、その『シャイニング』っていう話では最後にその父親が息子を殺そうとして追っかけてくるんですけど、我に返って、その主人公であるダニーに、息子に、「お父さんは、お前の事を愛してるよ!」って叫ぶんですよ。「殺そうとしてるけど、これはちょっとおかしくなってるだけで、本当はお前の事を愛してるんだ!」って叫ぶんですよ。原作では。

(赤江珠緒)あぁ小説では!

(町山智浩)小説では。ところが、スタンリー・キューブリック監督は、映画版でそれ切っちゃったんですよ。

(赤江珠緒)わ!そこがないのか!

(町山智浩)そう。そこが1番大事なのに。それはスティーヴン・キングが言ってほしかった言葉なんですよ。父親から聞きたかった言葉なんですよ。

(赤江珠緒)そっか、そこに向けて書いてきた物語だったのに。

(町山智浩)そう。だから俺はこの映画大嫌いだ!って言ってたんですよ。

(赤江珠緒)あぁそうなんですか!そう聞くと切なくなるね、このホラー映画がね。

(町山智浩)そう。切ないんですよ。でもね、今回のその『ドクター・スリープ』は、キューブリックの映画版の続編なんですけれども、ちゃんとスティーヴン・キングが欲しかったものを入れて終わらせてるんですよ。

(赤江珠緒)あぁそうですか!

(町山智浩)だからスティーヴン・キングとキューブリックはまるでその喧嘩して離婚した夫婦みたいなもんなんですけど、その息子にあたるこの『ドクター・スリープ』っていう映画は、その夫婦を仲直りさせてるんですよ、映画の中で。

(赤江珠緒)すごい!40年経って?

(町山智浩)そう。全く対立している映画と原作を合体させたんです。

(赤江珠緒)へぇ〜!

(町山智浩)だからね、もう元からずっと読んでて見てて、スティーヴン・キングの物を。僕は彼のエッセイの解説も書いてますけど、『死の舞踏』っていう。

(町山智浩)そういうのを全部知ってると、めちゃくちゃ泣ける映画だったんです。今回の『ドクター・スリープ』は。

(赤江珠緒)はぁ〜〜そういう、へぇ〜!背景があっての映画なんですね。

(町山智浩)そうなんですよ。僕なんかだからラッキーな方で、僕は父親が亡くなる、82かなんかで亡くなる1ヶ月前に会って、全部聞いたんで解決したんですけど僕自身の問題は。死ぬ直前に僕の名前と妹と名前を呼んで死んでったんで、親父はね。でもキングはそれがなかったから、本当に大変だったんですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。それあるのとないのとではね。でも、その生い立ちがまたスティーヴン・キングっていうこのすごい作家を生んでるっていうところもね。

(山里亮太)作品を作り続けてね。

(赤江珠緒)なんかもう、なんとも言えなくなりますね。

(町山智浩)だからそれを知って『ドクター・スリープ』を見ると、まぁ非常に泣けるんですよね。はい。という事でもうすぐ公開ですね。

(赤江珠緒)はい。日本ではこの『ドクター・スリープ』は、2019年11月29日の公開になります。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑧『シャイニング』原作者のスティーヴン・キングは、映画『シャイニング』が大嫌い!!
⑨その理由は、1番大事なセリフが映画でカットされてしまったから

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