カメラを止めるな!の町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、上田慎一郎監督の映画、『カメラを止めるな!』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『カメラを止めるな!』解説レビューの概要
①カットがない、ひと繋がりのホラー映画になっている。
②「これはもうダメかなこれ・・」って思ったら!!!とんでもなかった!!!!
③三谷幸喜さんの映画よりも面白い三谷幸喜的映画です。(笑)
④○○○○映画。娘とパパの話でもある。
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
新人、上田慎一郎監督『カメラを止めるな!』
(町山智浩)
で、もう1本もホラー映画、今日。『カメラを止めるな!』っていうホラー映画で、ホラー映画というかですね、これは本当にもう新人の人で、上田慎一郎さんという監督。の映画なんですが。これ『カメラを止めるな!』っていうタイトル通りですね、1シーン1カットっていうか、ようするにまぁカットがない、ずーっと一繋がりのホラー映画になっているんですよ。まあ、ゾンビ映画なんですね?で、なんか廃工場で主人公達4人ぐらいがゾンビに襲われるというですね、形で始まるんですけども。まぁ見始めたら「これはダメだな」って思ったんですよ。もうタイミングが悪いしねぇ、ゾンビの演技もひどいしねぇ。で、ワンカットでずっと撮っているから、時々間が空いちゃっているんですよ。
(赤江珠緒)
あら!じゃあ駄作かしら?って思っちゃった?
(町山智浩)
「これはもうダメかなこれ・・」って思ったら!!!とんでもなかった!!!!
(赤江珠緒)
えっ?
(町山智浩)
もう!それが全部トリックだったんですよ!!
(赤江珠緒)
はーーー!
(町山智浩)
その「ダメだこりゃ」って思う所に全部意味があるんですよ。
(山里亮太)
なぜ、そのダメなシーンが出来上がったか?
(山里亮太)
そう!それがその後、解き明かされていくんですよ。
(赤江珠緒)
あ面白そう!!
「ダメだこりゃ」って思う所に全部意味がある
(町山智浩)
これは面白かったですね!でゾンビ映画って事でね、ホラー映画だっていう事で、結構見に行かない人もいるかもしれませんが、そうじゃなくてこれは三谷幸喜さんの映画に近いんですよ。
(赤江珠緒)
あー!
(町山智浩)
で、三谷幸喜さんよりも映画として面白い。
(山里亮太)
えー!
(町山智浩)
三谷幸喜さんの映画よりも面白い三谷幸喜的映画ですよ。(笑)
(山里亮太)
まぁ伏線を回収していくっていうのが三谷幸喜さんの作品でね、ありますけども。その伏線回収系のやつで?
三谷幸喜さんの映画よりも面白い三谷幸喜的映画
(町山智浩)
三谷幸喜を真似したら三谷幸喜よりも面白くなってしまったという!事故のような。(笑)すっごい面白かったですよ。それで、それだけじゃなくて、映画を作る人達、これは安物ホラー映画を作るんですね、テレビ向けにね。色々と条件が非常に悪かったり、1番問題なのは、事務所にね、俳優さんの事務所に駄目を出されるっていうのが1番よくあるんですよ。
(赤江珠緒)
ふーん・・!
俳優さんの事務所に駄目を出される
(町山智浩)
例えば、「ここの所でヌードにちょっとなってほしい。必然性があるから!」って言っても、「いや、うちは、そんな事させません!」って言うんですよ。まあ、それは守る為っていうよりかは高く売るためなんですよ、ヌードを。「そんな所で安くヌードは出さないよ」っていう。もっと吊り上げて話題性があった方がいいっていう事で。で、もうそのシチュエーションが1つ駄目になったりするんですよ。あと、まぁ残酷なシーンとか、血だらけになったりするシーンがあると「えっ、ちょっとそれは」みたいな感じで、どんどん駄目が出ていって、映画ってどんどん思った物とは違う物になっていくんですよ。
(赤江珠緒)
うんうん。
(町山智浩)
シナリオでその通りに行く事なんて殆どないですよ映画は。だから原作でもって主人公達は同性愛だっていう時に、同性愛のまま行ける映画っていうのが、まぁ少なくて、どんどん変わってきちゃうんですね。で、ラブシーンでもって、女の人が下着を付けたままセックスしたり・・「おかしいだろ、お前!ブラしたままセックスしねぇだろ!?」っていう。そんなの、相当急いでいる時だけだよ!
(赤江珠緒)
はははははは!!!そんな注釈はいらないです。(笑)
(町山智浩)
あ、そうか。(笑)
(山里亮太)
じゃぁ「相当急いでいるって設定にしましょう」って変えてくるかもしれない。(笑)
シナリオ通りに映画が行くことは殆どない
(町山智浩)
どう考えてもおかしいって。あとメイクしてたりね、寝ている時にね。「寝ている時にメイクはしないから、せめて少しすっぴんにしてほしい」とか言うと、「うちの女優はすっぴんでは出しません」みたいな事があって、どんどん話が崩れていくんですよ。ね。だからそういう事とかが盛り込んであるんですよ、この映画、『カメラを止めるな!』には。
(山里亮太)
それ面白いなー!
(町山智浩)
面白いんですよ。しかもこれも父泣き映画なんですよ。
(山里亮太)
えぇっ!!
(赤江珠緒)
これが!?
パパ泣き映画
(町山智浩)
パパ泣き映画なんですよ。娘とパパの話なんですよ。
(山里亮太)
なんかその、ホラーとかからパパ泣き映画につながるの、多いですね、なんかね。
(町山智浩)
たぶん俺を狙ってるんだと思います。狙い撃ちされているような気がします。
(山里亮太)
世界が町山さんを泣かそうとしている!(笑)
(赤江珠緒)
はははははは!ピンポイントで「町山さんに届け!」(笑)
(町山智浩)
俺がそれに弱いと思って、そこを突いてきているんだと思います。
(山里亮太)
ダメ親父がね、ひょんな事から頑張るっていう、そこにゾンビ系がいるっていう。
世界が町山さんを泣かそうとしてくる
(町山智浩)
そう。だからエミリー・ブラント(『ア・クワイエット・プレイス』)とかもハリウッドで「ここでちょっとパパ泣きなシチュエーションにしておくと、日本のバカな映画評論家が喜ぶから入れておきましょう」とか・・そんな訳はねえよ!(笑)
(赤江珠緒)
ははははは!!!
(山里亮太)
もしそうだったら幸せじゃないですか。(笑)
(町山智浩)
まぁね、そういう映画がですね、この上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』。これは、もうすぐ公開かな?
(赤江珠緒)
そうですね。6月23日公開。
(町山智浩)
これね、海外でもものすごく評価されているんですよ。最初、本当にどうなるかと思いましたよ!「ひどい映画だな。この間、何?」みたいな。
(赤江珠緒)
いやでも確かに、イタリアでも上映後、5分間に渡るスタンディングオベーションですって。
(町山智浩)
そうなんです。最後は映画を作る人々への賛歌であり、その父と娘の愛情に対するですね、賛歌でありっという。「えっ、ここで感動?泣かせるの?」っていう映画になっていますね。
(山里亮太)
映画愛を語りたい感じの時って、なぜかゾンビを取り上げる時が多くないですか?
(町山智浩)
そうなんです。だからゾンビ好きっていうのはだから映画バカが多いっていう事なんですよ。人から理解されない。という所だと思います、はい。
(赤江珠緒)
あーー・・そうかー。(笑)
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
④パパ泣き映画。娘とパパの話でもある。