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マイスモールランドの町山智浩さんの解説レビュー

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2023年05月31日更新
この彼女を見てほしいと。このさっちゃん、どこが犯罪者なのと。どこが不法移民なのと。という事をちゃんとわからせてくれる映画なんですね。で、すごくね、彼女の恋とかがね、俺が言うのもアレですが!みずみずしく描かれてますね、キラキラと輝くように。でもそういったものを奪うという事が果たして許されるのかと。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『マイスモールランド』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『マイスモールランド』解説レビューの概要

①17歳の女子高生の青春映画
②さっちゃんは川口に住む17歳の成績優秀な女子高生
③さっちゃんはクルド難民
④クルドという国は○○
⑤クルド人で日本で難民認定を受けているのは1人だけ、難民認定されるのは0.5%ほど
⑥難民認定されず不法移民になり労働もできなくなる
⑦捕まると入国管理局の収容所に○○○○収容される
⑧こういった人達を守る法律について

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

町山さん『マイスモールランド』の評価とは

(石山蓮華)今日ご紹介していただく映画はどんな作品でしょうか?

(町山智浩)はい。今日もね、自分に全然似つかわしくない映画ですね、はい。17歳の女子高生の青春映画ですよ。

(でか美ちゃん)はぇ、そうなんですか?はい。

(町山智浩)はい。もううちの娘が既に24ですからね。もう孫レベルになってきましたね。(笑)

(でか美ちゃん)まぁ孫ほどいかないけど、娘より下の子が主人公の、うん。

(町山智浩)ねぇ。全然似つかわしくないんですが、タイトルはですね『マイスモールランド』というタイトルの映画で、これね公開は去年の5月で日本映画です。で現在ですね、YouTubeとかAmazonプライムビデオとかU-NEXTとかで有料配信中で、400円ぐらいでね、すぐ見れるんで。スマホとかでパパッと見れるんで、是非見て頂きたい映画なんですけど。これは舞台はですね埼玉県の川口市。

(石山蓮華)私の地元が西浦和っていう所だったんで結構近いですね。

(でか美ちゃん)あ、本当だ。

引用:IMDb.com

17歳の女子高生の青春映画

(町山智浩)川口はね、昔はキューポラのある街と言われた所なんですけれども。そこに住んでいる女子高生の”さっちゃん””って言われてる女の子が主人公で。彼女は勉強ができてですね。もうなんていうか優等生なんですよね。

(でか美ちゃん)優秀な生徒だ。

(町山智浩)友達にも人気があって、スポーツもできて。バドミントン部かな?ただ、お金があんまりないので、コンビニで働いて、大学に行く学費を稼いでるんですけど。そこでコンビニの一緒に働いてる男の子とも仲良くなってですね、ラブラブになっていって。まぁその辺はいい感じなんですけども。

(でか美ちゃん)青春ですね。

(町山智浩)ただこのさっちゃんはですね、クルド難民なんですよ。

(石山蓮華)クルドっていうのは、どこにある国なんですか?

(町山智浩)これこの映画の中でも何度も聞かれるんですね。クルドってどこの国?とかね。あとワールドカップに出てる?とか聞かれるんですけど、答えられないんですよ。このさっちゃんは。クルドっていう国はないからです。

(でか美ちゃん)そうなんですよね。

クルドという国はない

(町山智浩)はい。元々はあったんですけどクルドっていう国は歴史上、何回もあったんですけれども、現在は他の国に引き裂かれてしまって。シリアとイラクとトルコとイランに引き裂かれて、バラバラになってるんですね。

(でか美ちゃん)なるほど、”国を持たない最大の民族”と呼ばれてるらしいですね。クルド人自体が。

(町山智浩)もう何百万人もいるんですけども。かつてユダヤがね、イスラエルという国ができるまでは、紀元1世紀にユダヤという国が滅ぼされちゃってローマ帝国に。で世界中に散らばったんですけど、まぁそれと同じ状態になってるんですねこの人達は。ただクルドって言っても、なんていうか言いにくいので。彼女は周りには、私はドイツ系って言ってるんですよ。

(でか美ちゃん)ああ。まぁパッと言って伝わるだろうっていうのを、なんだろうな、泣く泣く選択してるんですかね。

(町山智浩)はっきり言うと日本人の差別意識があるからですよ。

(でか美ちゃん)まぁそうですよね。

(町山智浩)いわゆるヨーロッパ系の人に対する気持ちと、中東とかアジア系の人達に対する気持ちですごく差があるからですね、日本人の中でね。ちなみにイランとかあのへんの地域ですね、クルドとか。あのへんの人達はいわゆるコーカソイド。白人なんですよ。実際は。でもそう思ってない人多いですよね。

(でか美ちゃん)確かに。なんかこう、そういうイメージを何故か持ちがちですよね、日本人は。

(町山智浩)アラブ系とか思ってる人多いですよね。実は全然違うんですけど。イランとかあのへんっていうのはいわゆる白人なんですよ。ただそういう偏見もあるので、彼女はドイツ人だって言ってるんですけども。で、お父さんがいるんですが、お母さんは1番下の弟、今小学生なんですけど、弟を産んだ後に亡くなってしまって、お父さんが彼女さっちゃんとその中学生の妹と小学生の弟、3人連れて日本に来たんですね。それは彼がトルコのクルド人で、トルコのクルド人はすごく弾圧されてるんですよ。

(石山蓮華)そうなんですね。

(町山智浩)まぁ爆撃を受けたりもしてますし。

(石山蓮華)うわぁ。

引用:IMDb.com

トルコのクルド人はすごく弾圧されている

(町山智浩)で、国によって結構違って、イラクの方はアメリカが主導して・・イラクってアメリカが主導してる国なんで、クルド人の自治区があるんですけども、トルコの方はないんですね。で彼は反政府運動をしたと。要するにクルド人の独立運動したっていう事で、政府からは反体制として弾圧されてるんで、日本に難民として来たんですけれども。で、仕事をしないとならないから、解体業をして働いてるんですね、お父さんはね。で、ところがですね。突然なんと言うか、難民申請をハネられちゃうんですよ。

(石山蓮華)ええっ!ある日突然ですか。

(町山智浩)そうなんです。というのは、難民の申請をしてるんですけども、クルド人の難民っていうのは受け入れられてないんですよ日本では。

(でか美ちゃん)ええっ。なんで。

(町山智浩)この映画が公開された後にやっと1人だけ。難民認定されたんですが、難民認定はこの映画の作られた段階でゼロなんですよ日本では。

(石山蓮華)えええ。だってクルド人の方って、推定人口3000万人いらして、難民として逃れてる方がたくさんいるのに。

(町山智浩)日本でも何千人かいるんですね。

(石山蓮華)何千分の、1?

日本で難民認定はほぼされない

(町山智浩)なんですよ。でも、これはクルド人だけに限らず、難民全て日本ではそういう状態なんです。日本で難民申請して認定される率っていうのは。アメリカだとね、20%ちょっとなんですよ、難民申請して認定される率はね。でカナダとかだと60%ぐらい認定をされます。日本は何%でしょうか!

(石山蓮華)これ、実は私、知ってるんですよ。

(でか美ちゃん)あら。どれぐらいだろう?

(石山蓮華)驚きますよ。本当に。

(でか美ちゃん)でもだいぶ少ないっていうニュースとか、色々ね発信されてる方の見た事あるんで。本当数%とかですか?

(町山智浩)いやもっと少ないです。

(でか美ちゃん)ええっ!

(石山蓮華)1%を切ってるんですよ。

(町山智浩)1%を切ってるんですよ。0.5前後なんですよ。

(石山蓮華)0.3%っていうデータとかもあったりしますよね〜。

(町山智浩)だからどの国から来た難民だとしても、難民申請して認定される率はほとんどゼロに近いんですよ日本は。

(でか美ちゃん)本当にその『マイスモールランド』は結構リアルな状況って事ですよね?

(町山智浩)はい。これは原作もあるんですけど、実際にクルド系の難民の人達の色んな例を取材して集めて作られた話ですね。実際にあった話が全部、それぞれのエピソードの元になっているそうです。

(でか美ちゃん)そうか。しっかり取材されて。

引用:IMDb.com

実際にあった話が全部、それぞれのエピソードの元になっている

(町山智浩)難民申請が通らないとどうなるかっていうと、在留許可が消えちゃうんですよ。在留資格がなくなってビザが消えるんです。

(でか美ちゃん)じゃぁ生活していけないですよね。

(町山智浩)生活もしていけないですね。不法移民という形になるんで、まず労働ができないんですよ。で、不法移民だったらどうするのかっていうと、本当は日本政府は全部、元いた国籍の国に送り返したいんですね。

(石山蓮華)でも、送り返されちゃったら、ねえ。

(でか美ちゃん)確実にまた、迫害を受ける・・。

(町山智浩)向こうで逮捕されます。

(でか美ちゃん)そうですよね。

(町山智浩)弾圧されるから出てきたんであって。ただ、日本も全部自動的に送り返すって事はできないので、強制的に強制送還をするのは、犯罪を犯してない訳ですから彼らは。何も刑法犯罪を犯してないので。で、仮に放免されるっていう形、仮放免という形になるんですよ。つまり、不法で・・不法っていうのもおかしいんですけども、在留資格はないんだけれども、とりあえず見逃してやるよみたいな立場になるんですよ。

(でか美ちゃん)ああ。そのなんか狭間みたいなところに置かれちゃうって事ですか?

(町山智浩)そうなんです。法的に非常に中途半端な形になって。ただ働く事ができないし、もちろん健康保険とかもないんですよ。

(でか美ちゃん)えーー!

社会保障も労働先もない

(石山蓮華)社会保障なくて働けなくてどうやって生きていけばいいんですかね。

(町山智浩)そう。だからやっぱり働かざるを得ないんで、お父さんが働くと、捕まっちゃうんですよ。不法に働いたっていう事で。

(でか美ちゃん)えっ。それってじゃあ、狭間に置いてあげるよって言うテイは取ってるけど、もう帰るしか・・送還されるしかないっていう感じになっちゃいますよね?

(町山智浩)そうですね。

(でか美ちゃん)そうですよね。順序立てて考えていくと。

(町山智浩)そう。で、捕まっちゃうでしょう?捕まると今度は入管っていう、入国管理局の収容所に入れられるんですね。これもすごく不思議で。これって、どういう組織なのって事ですよ法的に。

(でか美ちゃん)確かに。

(町山智浩)刑務所みたいなんですよ。

(でか美ちゃん)何もしてないのに。

(町山智浩)そう。何もしてないんですよ。刑法犯罪を犯してないんですよ。でも刑務所みたいな所に入れられちゃうんですよ。

(石山蓮華)でね、その中でも色々なウィシュマさんの事件とかね、本当に痛ましい事が起こったりしてるっていう事を考えると、ちょっと立ち止まって色々考えたい話だなってすごく思いますね。

引用:IMDb.com

入館の収容所の中で起きる事

(町山智浩)そうなんですよ、入管のその収容所の中で何人もの方が亡くなってるんですね。それも例えば病死だったり、治療を受けなかったりというだけじゃなくて自殺も多いんですよ。まぁひどい所なんで。で、1番の問題は、なぜそういう事になってるか、自殺をするような事になってるかっていうと、期限が決められてないんです。収容期限が設定されてないんですよ。だから永遠に出られないかもしれないんですよ。

(でか美ちゃん)それはだって、本当に一縷の望みをかけて、迫害されて違う国に来たのに、こっちでもこうかってなるとそれはちょっと絶望してしまうというか。

(町山智浩)そうなんですよ。

(石山蓮華)逃げ場がない。

(町山智浩)そう。だから結局そういう絶望的な状況に置くことで、国籍国に帰るっていう決断をさせるための場所なんですよ。それが目的で。

(でか美ちゃん)でもそれってすごい、都合がいいですよね。都合よくないですか。

(町山智浩)一種の拷問なんですよね。これってね。

(でか美ちゃん)なんか、手を下さずしてじゃないですけど。

(石山蓮華)なんかこう罪なく自分の国で色々な事情があって生きている人も、日本で暮らしている人と同じように生きている人だっていう事は前提として、なんでかなって思っちゃうところ私は結構ありますね。

(町山智浩)ですよね。1番問題なのは、これ主人公の17歳の女子高生のさっちゃんの目から見たドラマなんですよ。その収容所に入るお父さんではなくて。

(でか美ちゃん)そうかそうか。ある日突然、お父さんがっていう事ですよね?

物語はさっちゃん目線で語られる

(町山智浩)そうなんですよ。で17歳の高校生の女の子と、中学生の妹と、小学生の弟3人だけで生活していかなきゃなんなくなるんですよ。収入ないんですよ。

(でか美ちゃん)だってバイトしかしてない訳ですよね。自分の学費のためにやっていた。

(町山智浩)バイトもできなくなるんですよ。

(でか美ちゃん)あっ、そうか、そうかそうか。

(石山蓮華)そのお父さんが難民申請が不認定になると?

(町山智浩)いや彼女も在留資格を失っちゃうんですよ。子供の頃に来てるんで。で、このさっちゃんっていう子は日本語が完全にしゃべれて、日本的価値観の中でしか生きてきてなくて。この弟も妹もですね。アイドルみたいに踊ったりしてるんですけど、日本しか知らないんですよ。

(でか美ちゃん)そうか日本で育ってるんですもんね。

(町山智浩)それを、全く彼女達にとって未知の国であるトルコに送り返そうとしてる訳ですよ。日本政府は。

(でか美ちゃん)うわあ。それはだって・・。

(石山蓮華)あまりにもな。。お話なんですね。

(町山智浩)あまりな事なんですけど。ところが彼女達、こういった人達を守る法律っていうものがないから今すごく問題になっていて。今、入管法って言って入国管理法を改定するという事で、その法案が先週日本の衆議院議会を通ったんですね。で、それは自民党が提出して、自民党と維新と国民民主党が賛成をしてですね、通っちゃったんですけれども、それは改定って言いながら内容が殆ど変わってなくて。1番問題になっているのはまず裁判を経ないで人を拘禁するって事自体が、憲法違反なんですよね実際は。で、これに関して裁判を受けられる権利を加えてくれって言ってるのが立憲民主と共産党なんですけども。それが今回の改定には含まれてないんですよ。

(石山蓮華)そうですね。普通は人の身体を拘束するんだったら、警察官とか検察官とか裁判官とか刑務官とかたくさんこう役割がいて決められる事を、入管っていう行政職員の人のこの権限に全部そこに集められるって事なんですね。

(町山智浩)入管が全部決めちゃうんですよ。で、その期限なしの勾留っていうこと自体がやっぱりこれも憲法違反なんですけど。

(でか美ちゃん)そうですよね。基準も何もわからないのにっていう事ですよね?

(町山智浩)そうそう。何もわからない、いつ出られるのかもわかんないし、罪状も存在しないんですよ。

引用:IMDb.com

入管法の改定

(でか美ちゃん)だし、なんでそうなってるかもわからないような状態で、その行政職員がそう判断したら、そうするしかないっていう状況があるって事ですよね。

(町山智浩)なっちゃうんですよ。だからこの改定に反対してる人達は、とにかく裁判だけでも受けさせてくれと。いう風に言ってるんですよね。あと期限なしっていうのもあり得ないだろと。で、日本の法律ってすごく難しくて、日本国憲法の31条に、”何人も、法律の定める手続によらずに、その自由を奪われたり刑罰を科せられてはならない”って書かれてるんですね。これすごく難しくて、法律の定める手続きっていう事が書いてあるので、これが入管法によって認められちゃうんですよ。

(石山蓮華)あ〜それは大きいですね。

(町山智浩)そう。だからこれはなんというか、憲法の隙間を縫うような法律になってるんですね入管法というのが。これがね凶悪だなという。あとはね、日本国憲法32条は、”何人も、裁判を受ける権利を奪われない”ってなってて、これは”日本国民”ではなくて”何人も”なんですよ。

(でか美ちゃん)そうですね。”国民は”じゃないですもんね。

(町山智浩)そうなんですよ。だからこれ、実は憲法32条違反なんですよね。だからこれをね、通しちゃってるって言うのは非常に大きな問題で。でまぁ国連とかは、これは日本の入管法は完全に人権侵害であるという風に言って抗議してるんですけれども。

(でか美ちゃん)そうか、国連からも言われているんですね。

国連からも人権侵害であると言われている

(町山智浩)言われてますこれは。ただね、このね『マイスモールランド』っていう映画はそういった問題をね、この主人公のさっちゃんの目から見てるから、声高に何が問題なんだっていう事は言わないんですよ。

(でか美ちゃん)なるほど。あくまでさっちゃん視点の話で。

(石山蓮華)そのさっちゃんの日常に、こういう日本の入管法によって、どういう事が1人の高校生の身に起きるかっていう話なんですね。

(町山智浩)まさにその通りですね。だから、こういう問題があってこうなって大変なんだ、みたいなね。日本国政府は、みたいな事は決して言わない映画で。ただ、この現在の入管法の状況。まぁ改定されても同じであると。で、その日本で育って、日本しか知らない1人の女の子の人生が破壊されてしまうんだと。これを許していいのかっていう事は自分が考えるんですね、見た人が。

(でか美ちゃん)なるほど。そのキッカケになるものというか。

(石山蓮華)うんうんうん。

(町山智浩)で、やっぱり働けないでしょう?正式にね。で、自分の弟、妹を食わせなきゃなんない訳じゃないですか。

(でか美ちゃん)そっか!兄弟だけ残っちゃってるんですもんね。

(石山蓮華)高校生が中学2年生の妹と小学2年生の弟を食べさせて・・だって家賃だってかかったりするし。

(でか美ちゃん)無理無理。できないよ。

(町山智浩)家賃も、追い出されちゃうんですね、家賃払えないから。ただ、このさっちゃんはものすごい美少女なんですよ。すると、怖い人達がいますよね。悪い大人達がいますよね。

(でか美ちゃん)そっか、お金が必要なんだろと。

(町山智浩)でお金に困っている訳ですよ。

(でか美ちゃん)うわちょっとこれは。

(町山智浩)それで、どんどん追い詰められていくって話なんですけどもね。

(でか美ちゃん)なんか目をそらしては絶対にいけないんですけど、なかなかこう見るのに、見るぞとちゃんと決めてから見た方がいい、ヘビーな作品かもしれないですね。見ますけど!もちろん見ますけども!

(町山智浩)ただ、この映画の非常に優れた所っていうのは、これ監督はですね。川和田恵真さんという人で、この人はイギリスと日本のミックスの女性なんですけども。もう本当にこの彼女の視点からだけで描くと。彼女からカメラが離れないんです、基本的に。だから、本当になんというかですね、頭で考えるんじゃなくて、1人1人の人なんだと。ここで”入管法”っていう風に言うと、なんかよくわかんないけど悪い外国人追い出してくれるんじゃねえのとか言ってる人とかいっぱいいて・・。

(でか美ちゃん)なんかこう不法移民のイメージを持ってる方がなぜか多いですもんね。

(町山智浩)そうそうそうそう。

(でか美ちゃん)難民と言うと。

(町山智浩)で、犯罪者なんじゃねえのとか言ってるけど、この彼女を見てほしいと。このさっちゃん、どこが犯罪者なのと。どこが不法移民なのと。という事をちゃんとわからせてくれる映画なんですね。で、すごくね、彼女の恋とかがね、俺が言うのもアレですが!みずみずしく描かれてますね、キラキラと輝くように。でもそういったものを奪うという事が果たして許されるのかと。

(でか美ちゃん)そうですよね。普通に学校に行って普通に恋してバイトして、兄弟がいて普通に暮らしてたはずの1人の子がって事ですもんね。

(石山蓮華)ね。曲のその、あ。お話の世界観。恋、バイト、学校とかっていうそこだけ見るとハロプロのね、曲の世界観みたいな、すごくこう身近な話だけど。

(でか美ちゃん)それが一気に壊されるというか、奪い取られるっていうのはやっぱ・・なんだろ、他人だから別にって思えないですね、私は。うーん。

(町山智浩)そうですね。でも普通他人だと思っちゃうんですよみんなね。でも、映画ってその人に入る事ができるんですよ。

(でか美ちゃん)確かに。作品を通して。

(町山智浩)ねえ。こんなオヤジでも、17歳の女子高生の気持ちになれる訳ですよ。それが映画の力なんで、是非見ていただきたいのと、これからですね、この入管法の改定は衆院の本会議を経てですね、来週あたりでたぶん参議院でですね可決される可能性が非常に高いんですね。で、それに対してできる事はネット調べると出てくるんですけど、基本的にはそれに賛成しようとしている与党とか維新の政治家の人達の事務所に直接連絡するのが1番いいと思うんですよ。おかしいだろうと。

(石山蓮華)そうですね。本当にちょっと入管法改正案とか、入管法について調べてみると、日本国内にもあの細々と。細々とって言っていいのかわからないけど、その活動をしてる人がいて、例えばそのねぇ、7日とかもそのデモがあったりとかする方もね。

(でか美ちゃん)わかりやすくまとめてくださってる方もいますしね。

(町山智浩)選挙権を持たない人達をスケープゴートにするという非常によくない事をしていますからね。要するに彼らは投票権を持ってないんだから、いくらいじめたって関係ねえだろうっていう人達がいっぱいいるので。そういう事じゃないんだと。そういう事を許すような国は、平気で国籍を持ってる人もですね、今後要するに税金払ってないだろうとか、色んな事でいじめるような国になっちゃうんで、ここで押さえておいた方がいいと思いますよ、はい。

(石山蓮華)そうですね。本当に色々な意見があるかもしれませんが、まずはちょっとこの『マイスモールランド』を見て、自分事として1度考えてみて。も、いいかも。

(でか美ちゃん)で、1歩踏み込んで調べてみたりとか、それを経て自分が何を思って、どう発信するのかとか、大事ですね。

(石山蓮華)そうですね。ありがとうございました。以上、映画評論家町山智浩さんのアメリカ流れ者でした。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

④クルドという国はない
⑦捕まると入国管理局の収容所に期限なく収容される

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