ツーリスト・ガイド・トゥ・ラブ 恋のツアーガイドの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『ツーリスト・ガイド・トゥ・ラブ 恋のツアーガイド』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『ツーリスト・ガイド・トゥ・ラブ 恋のツアーガイド』解説レビューの概要
①主人公は40歳女性でロサンゼルスの大手の旅行会社の管理職
②独身で彼氏はいるが彼氏は彼女を放置してオハイオへ
③主人公は仕事でベトナムのツアー会社を買収するためベトナムへ
④ツアーガイドのイケメン、シンさんが現れる
⑤原付きの交通量が多い道は○○○○渡るべし
⑥計画通りに行動したい主人公と、思いつきのシン
⑦キレイなベトナムだけを撮っている
⑧50年前にはアメリカ軍が爆撃していた場所でも、そこには触れないストーリー
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『ツーリスト・ガイド・トゥ・ラブ 恋のツアーガイド』町山さんの評価とは
(石山蓮華)今日ご紹介いただくのはどんな作品でしょうか、町山さん。
(町山智浩)俺がこんなタイトルの映画を紹介するって事自体が異常と思うような。(笑)『恋のツアーガイド』ですよ。
(でか美ちゃん)あら〜!なにぃ、キュンキュンッ!思わず指ハートしちゃった。(笑)
(町山智浩)ラブコメですよ。
(でか美ちゃん)『恋のツアーガイド』?
(町山智浩)もうベタなね、タイトルですけど。これはロサンゼルスで、すごく大手の旅行会社の管理職をしている、40ぐらいの女性アマンダさんが主人公で。レイチェル・リー・クックっていう昔俺がアメリカに着いた頃、要するに25年ぐらい前に、高校生の役をやってた人ですけど。まぁもうそういうお年ですね。
(石山蓮華)ベテランだ。
(町山智浩)で、彼女はすごく仕事では成功してるんですけど、まぁ独身でですね、結婚をしようと思ってた会計士のね、結構エリートの彼がいるんですけど、オハイオで仕事だっていう事で彼女をほっぽらかしてオハイオに行っちゃうんですね。
(石山蓮華)あら。
彼は主人公をほっぽらかしてオハイオへ
(町山智浩)オハイオっていうのはまぁ、ダサい所ですよ。(笑)アメリカの中では。
(でか美ちゃん)あら。そうなんだ。あんまりわからないその感覚が。
(石山蓮華)なんかこう広大な土地があって、なんか農業とかが盛ん?なイメージ。
(町山智浩)オハイオは工業地帯なんですけどね。
(石山蓮華)あっ、工業地帯。
(でか美ちゃん)へ〜、土地がある分そうなってんのか。
(町山智浩)五大湖の。で、あんまりいい所じゃないっていうか、オシャレじゃない所なんですよね。で、まぁそこに行っちゃったんで、彼女はほっぽらかされたんで、ベトナムに行く事にするんですよ。
(でか美ちゃん)ほう、ベトナムへ。
(町山智浩)というのは、ベトナムのツアー会社を彼女の大手旅行会社がですね、買収しようという計画を立ててて。というのはベトナムはかなりアメリカの人達にとって観光の人気のある所なんで。そこで、でもどの会社を買ったらいいかって事で、買おうと思ってる会社の調査に行くんですね、彼女が。
(でか美ちゃん)じゃあ仕事感覚で行ってるって事ですね?
主人公は仕事でベトナムへ
(町山智浩)仕事感覚で行ってるんですよ。で、色々チェックしてね、減点したりするために行くんですけども。で、行ったらですね、ツアーガイドのシンさんというね、イケメンが現れて。
(石山蓮華)あら〜!
(でか美ちゃん)ちょっとなんか、もう始まってる感するな、その時点で。(笑)
(石山蓮華)トゥクトゥーンって始まっちゃいますね。
(町山智浩)もう本当にね、もうラブコメの王道そのまんまですよ。全然外さない。で、例えばすごい美しい観光地に行く訳ですよ、ね。1人で行く訳ですよ彼女は。で40ぐらいの女性が1人で行ってるっていうとまぁ、何かあるなって思うじゃないですか。どうして来たのかなみたいなね。で、ダナンっていう非常に美しい海水浴場があって、そこに行くと、もうこのガイドのね、シンくんがまぁ・・脱ぐ訳ですよ。
(でか美ちゃん)おお!そうか水辺だからね!その、必然性を一応持って脱ぐ訳ですね?
(町山智浩)そうそう。すると、彼がもうすごい体なんですよ、もうキラキラと。
ツアーガイドのイケメン、シン
(石山蓮華)あの手元に写真ありますけども。あ、シックスパックだ。
(でか美ちゃん)あ〜らいい体、引き締まってますね。
(町山智浩)ガチガチでね。彼ね、本当はアクション俳優で。いくつかのアクション映画に出てる人なんですけど。まぁベトナム系アメリカ人なんですね。で、見ているうちに彼女が彼の事を好きになって、しかも彼は非常に良い事を言うんですよ色々と。例えばその・・ベトナムって行かれた事あります?
(石山蓮華)私は1回あって。仕事で行ったんですけど。なんかその時、小学6年の女の子。小学生の女の子の手を引いて、道を渡ったり電車を乗り換えたりしなきゃいけない事があって、すんごい大変でした。道にブンブンブンブン、バイクが通ってて。
(でか美ちゃん)あぁそうか、交通量がすごくての所か。
(石山蓮華)あれ、渡るのすごく怖いんですよね。
(町山智浩)原付がね、ものすごい量で流れてるんですけど。あれ渡るコツとか言われました?
交通量の多い道を渡るコツ
(石山蓮華)あれを渡るには、とにかくこうゆっくりゆっくりって言われました。
(でか美ちゃん)ゆっくり渡るしかない?へ〜!信号とかが機能してないっていう事?
(町山智浩)信号も全くね、まぁあるんですけどそんなに多くなくて。で、ゆっくり行くんだけれども、途中で止まっちゃいけないって言われませんでした?
(石山蓮華)そうそう、言われました言われました!
(でか美ちゃん)止まっちゃいけないんだ。へ〜!
(町山智浩)止まったらあの、流れを乱しちゃうんでぶつかっちゃうみたいなんですよ。原チャリにね。
(でか美ちゃん)こわ!!めっちゃ怖いっすね!
(町山智浩)で、そこを渡らなきゃなんないんですよ彼女が。でも渡れないんだよ。
(石山蓮華)これ1人じゃ絶対無理ですよ。
(でか美ちゃん)って事は!ですよ!
(町山智浩)でもね、彼女はずっとエリートで来て、その決まった通りに生きてきた人なんですよ。
(でか美ちゃん)ほうなるほど。ストイックな人なんだ。
計画通りの人生
(町山智浩)ストイックな人だし、まぁよくいるタイプで、旅行会社とかにいるけど必ずプランを作って計画通りにしか行動しない人なんですよ。で思いつきとか全然やらないんですね。で、まぁ堅苦しい生き方をしてきたんで、彼女は渡る事ができないんですよ。
(でか美ちゃん)あ〜そうか。そんなルールのない所だと。
(町山智浩)そうそう。ルールがないから。なんで信号がないのよ!って怒っちゃうんですよ。そこでガイドのイケメンのシンさんがね。ただゆっくり渡ればいいんだと。ただ、絶対に止まってはいけないんだと。戻ってもいけないんだと。人生と同じだって。前に進むんだって言うんですよ。
(石山蓮華)あら!!いい事言う〜。
(でか美ちゃん)シン・・!
(町山智浩)シン、いい事を言うんですよいっぱい。
(石山蓮華)人生のツアーガイドじゃないですか。
(町山智浩)そう。その通りなんですよ。で、こううっとりしてくるんですけど、でも彼女には彼氏はまだいるんですよ。別れていないんですよ。
(でか美ちゃん)あぁそうか。別れずにオハイオに行っちゃってるのか。
(石山蓮華)うわ〜引き裂かれるー!
(町山智浩)そうなんですよ。で、どうしたらいいのかしらっていうね、イケメン2人で・・みたいなね。そういうラブコメの王道そのまま行ってますよ。本当に。
(でか美ちゃん)ド王道ですよ。だってベトナムってね・・。
(町山智浩)で、彼の方は要するに最初はツアーでこういう計画だったけども、それじゃ面白くないんだよ。これから僕の故郷に行こう!って。いきなり実家行っちゃうんですけど。(笑)
(石山蓮華)ちょっと!(笑)
(でか美ちゃん)シン、やりすぎだよ!(笑)シン展開が早いよシン!
(町山智浩)そう、早すぎるんですけど。まぁねとにかくね、ベトナムきれいなんですよね。
(でか美ちゃん)そう。景色がベトナムって、すごいきれいなイメージあるんで。ラブコメを撮るのにぴったりな情景がたくさんありそう。
(町山智浩)そう。もう本当にもう風景がラブコメのためにあるようなキラキラ輝くようなね、だけ!を撮っていますね。
(でか美ちゃん)「だけ」というと?
キレイなベトナムだけを撮っている
(町山智浩)これね、本当にね、もう重い事とか、触れないで本当にラブリーな気持ちにだけさせる、完璧なエンターテイメントで。僕が見て思ったのは、やっぱり農村地帯とかに行くじゃないですか。50年前にはそこアメリカ軍がナパーム弾をぶち込んでたところですよボコボコと。
(でか美ちゃん)うん、戦争があった訳ですからね。
(町山智浩)アメリカの爆撃機がものすごいベトナムの農家の人達を殺してた所なんですけど、そういう所は一切触れないですこの映画は。
(でか美ちゃん)そうか、そういう歴史的背景は置いとくのが作品としてどうかはあれですけど、まぁきれいな所をっていう事なんですかね。
(町山智浩)一言も戦争の事に触れないし、まぁ50年前ですからね。
(石山蓮華)えっベトナム側も・・
(町山智浩)ベトナムにも暗い所もあるじゃないですか。やっぱり繁華街とかすごいしね。売春とかもすごいし。そういう所なんですが、そこは見せないっていうね。本当に美しい所しか見せないんで、それもなんだかなと思う人はね、Netflixにもう1つねベトナム映画でね、『タン・ソイ: 美しき殺し屋』っていう映画があるんですよ。
(でか美ちゃん)はい。タン・ソイ。
(町山智浩)これ、女の人の名前なんですけど。これはね、殺し屋の少女3人組の話です。ベイビーわるきゅーれ+1なんですけど。(笑)
(でか美ちゃん)確かに。(笑)やっぱり殺し屋の話好きですねぇ。(笑)
(町山智浩)これがね、ベトナムの最新殺し屋映画ですよ。あぁまた殺しの話しちゃった。俺今日殺しの話はしないと決めたのに。(笑)
(でか美ちゃん)でもその、ベトナムのポジティブな部分だけを映して、でも色んな事が、歴史があっての負の遺産もあっての国な訳じゃないですか。なんかこうベトナム側から言われたりしないんですか、この作品が。都合よくない?みたいな。
(町山智浩)これベトナム観光局全面協力ですからね。(笑)
(でか美ちゃん)あー、そうか逆になんだろ、ポジティブキャンペーンじゃないけど。
(町山智浩)ポジティブキャンペーンですよ。
(でか美ちゃん)そういう事ですよね。
(石山蓮華)じゃぁ観光客としてはこれを見てベトナムにぜひ足を運んでくださいっていう事なんですかね〜?
(町山智浩)そうですね。もう完全に観光ガイドみたいな映画になってて、もう完璧だと思いましたけど。でもダークサイドを見たいっていう人は是非ね、『タン・ソイ』もご覧になるといいかなと。
(石山蓮華)2本立てがいいかもしれないですね。
(町山智浩)そう。美少女3人組の殺し屋が、ベトナムの暗黒の組織に挑むっていう話でもう殺しまくりますんでこっちは。(笑)そっちもそっちですごいんですけどね。これシリーズになっててね、その前に『ハイ・フォン: ママは元ギャング』というのがあるんですよ。で、そっちがすごいのはね、ベトナムらしい殺し方をしますよ。
(でか美ちゃん)ベトナムらしい?
(町山智浩)ドリアンで相手の顔面を砕くっていう。(笑)
(でか美ちゃん)うわ〜あんなボコボコの。
(町山智浩)ガコーン!つって。(笑)トゲトゲでめちゃくちゃ硬いから。(笑)
(でか美ちゃん)しかも臭いし。1番嫌かも、それで攻撃されるの。
(町山智浩)これすごいなって。ベトナムならではの殺し方というね、ていうのを見せてくれるのがその『ハイ・フォン:』っていうシリーズですけど。そちらも面白いですから是非。
(でか美ちゃん)美しさも見つつ、歴史的な部分は勉強もしつつですね。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
⑤原付きの交通量が多い道はゆっくり渡るべし