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私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?の町山智浩さんの解説レビュー

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2023年10月18日更新
内部告発してくれた人に証言してもらおうと思って会おうとするとその人も死んじゃってるんですよ。めちゃくちゃ怖くね?っていうね。これで戦えるのっていう映画なんですけど。でもいい旦那さんが支えてくれるんですよ。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』解説レビューの概要

①フランスでついこないだ起こった事件を映画化したもの
②主人公のモーリーン・カーニーという人は、労働組合のリーダーの女性で実名
③フランスの国営企業、電力公社アレバの内部告発
④電力原発で儲けようとしたアレバだったが、2011年の東日本大震災の影響で無理になってしまった
⑤フランスの電力公社とアレバが密かに原発事業そのものを○○に売ろうと画策
⑥モーリーンが政府に告発すると、脅迫が始まり、レイプされる
⑦さらに、レイプが自作自演だと警察に脅迫される

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』町山さんの評価とは

(町山智浩)もう1本はちょっとヘビーな映画なんですけど、実話で。フランスでついこないだ起こった事件を映画化したもので『私はモーリーン・カーニー』という映画ですね。これね、すっごくややこしいんでね、聞いててもねなんだかわかんなくなるかもしれないんですがまず言いますと、主人公のモーリーン・カーニーという人は、労働組合のリーダーです。で、フランスとかアメリカとかヨーロッパの労働組合っていうのは横で広がってて。例えば出版社だったら編集者の組合っていうのが存在するんですよ。で俳優組合っていうのがあって、各職種ごとに組合があるんですね。だから中小企業も大企業も全部その組合に入るんですよ、そのある”種”の。その種に入ってる人は。で、彼女が代表してるのは原発労働者の組合なんですよ。原子力発電所のね。日本は縦割りだから、各会社ごとに組合があるんで分断されちゃって全く共闘ができないんですよ日本は。だから組合がものすごく弱いんです。でも他の国はそういう形で組合が強くて、さらにこのモーリーン・カーニーさんは、組合代表として世界最大の原子力企業であった、アレバというフランスの国営企業ですね。半官半民なんですけど、その経営にも参画しています。ここがちょっと理解しにくいと思うんですが、これをね、サンディカリスムというんですが、組合とか労働者の代表者が経営に参加するという形があるんです。

(石山蓮華)ふーん!

(町山智浩)で、日本とかは殆どがその社主が経営してて、ないしは株主が経営者を決めてっていう形になってるんですけども。ただ日本にもいくつかの会社で、労働者が主導権を握ってる会社っていうのはあります。経営者とかオーナーじゃなくて。

(でか美ちゃん)ちょっと珍しいですね。

(町山智浩)小学館とか文芸春秋は比較的そういう会社です。アメリカでもゼネラル・モーターズなんかは労働組合が経営に参画してるんですよね。で、まぁそういう体制の会社で彼女は原発労働者の代表として経営に入ってるんですけれども。そこでですね、ある内部告発を受けるんですね。それはそのフランスの、国営企業のフランス電力公社の内部の人からですね、実はアレバというのは会社としてかなりやばいんだと。

(でか美ちゃん)ほう。

フランスの国営企業、アレバの内部告発

(町山智浩)どうしてやばいかっていうと、国が国策をかけてその電力原発で儲けようとした訳ですよフランスという国がね。ところが2011年に日本で福島の原発が大変な事になっちゃいましたよね。あれで、世界中で原発見直しって事になっちゃったんですよ。で、このフランスの原発会社っていうのは、フランスで原発を作るんじゃなくて、フランスからヨーロッパとか世界中の各地に原発を作って運営するっていう事で儲けようとしてたんですね。日本で調子悪くなっちゃったというか、上場廃止した東芝もそれをやろうとしてたんです。あれも国策でした。日本政府の。

(石山蓮華)はい。はい。

(町山智浩)とにかく福島の原発事故でそれがもう無理になったと。で、経営が非常に・・そのアレバっていう会社がまずくなったんですね。それで、フランスの電力公社とアレバが密かに原発事業そのものを中国に売っ払っちゃおうとしてるっていう事がわかってくるんですよ。

(でか美ちゃん)ほう!

原発事業そのものを中国に売ろうとする

(町山智浩)それは、原発て非常に安全保障と繋がるようなものですよね。その技術自体をフランスがというか、中国に渡すっていうのは非常に危険だと。その中国という国の体質から考えて。という事と、もう1つは彼女が守ってる原発の労働者の仕事がなくなっちゃうんですね。

(石山蓮華)あ〜そうですね。

(町山智浩)だから彼女はそれを守る為にそれを告発するんですよ。密かにそういう事をやろうとしていると。とんでもないぞと。で、マスコミよりももっと直接、フランスの政府にそれを告発するんですが。そうすると、そんな事をすると命がないよっていう脅迫が始まるんですよ。

(でか美ちゃん)えぇぇ〜・・そっかぁ・・。

(町山智浩)でもこれは大変な事なんだ、私は労働者を守らなければいけないんだと。国を守らなきゃいけないんだっていう事で、彼女は告発を続けようとすると、自宅に何者かが押し入って、彼女をレイプしちゃうんですよね。モーリーンさんをね。はい。で、警察に通報して、取り調べを受けるんですが。そうすると、警察が全然信じないんですよ。

(石山蓮華)えぇ・・。

レイプされた上に警察に信用されない

(町山智浩)まず君の家にミステリーの推理小説がいっぱいあるよね。推理小説のファンなんでしょう?って言うんですよ。

(石山蓮華)えぇぇ!実話なんですよね。。

(町山智浩)これでっちあげじゃないの?君を脅したっていうナイフや君の手を縛ったガムテープも、全部君の家にあったものだよ。・・自作自演じゃない?って言うんですよ。で、部屋から一切DNAが発見されないんだと。犯人のDNAがね。これはどういう事なんだと。今度は彼女を虚偽の訴えをした犯人として扱い始めるんですよ、警察は。

(石山蓮華)最悪ですね。

(町山智浩)最悪なんですよ。

(石山蓮華)セカンドレイプも。

(でか美ちゃん)どころじゃないという。

(町山智浩)どころじゃないですよ。犯罪者扱いするんですよ。でね、これね。フランスって実は、すごく女性の権利とか守られてる国ではあるんですが。警察は結構そうではないんですよ。

(石山蓮華)えーそうなんだ。

(町山智浩)よくフランス警察がデモ隊にものすごい攻撃をしてるニュースが流れますよね?フランス警察ってナチの体質を引きずってるんですよ。

(石山蓮華)あぁそうなんですね。

(町山智浩)あのね、フランスはナチスに占領されて、フランスの警察もナチの下に入ったんですね。第二次大戦期。その時に、ユダヤ人狩りを行っていたのがその時のフランス警察で。ナチから解放された後もそのフランス警察の人事は変わらなかったんです。

(石山蓮華)あー。

(町山智浩)ナチの下でユダヤ人狩りをやっていた人達がそのまま戦後のフランス警察を率いてたんです。で、この映画でモーリーン・カーニーを演じてる人はイザベル・ユペールという女優さんなんですが。この人が昔出てた『主婦マリーがしたこと』という映画は、そのナチの政権下で、フランスでは中絶が禁止になるんですが、中絶をした人は死刑っていう事になっちゃうんですよ。で、このマリーっていう人は、身近な人の為に中絶をした為にギロチンで首を切られたんですけども。そういう役をやってた人で、常にイザベル・ユペールは『エル ELLE』という映画でもレイプした男をもう徹底的に復讐する映画でしたけど、女性の立場の為に戦い続ける俳優さんなんですね。

映画「」のポスター

(石山蓮華)はい。

(町山智浩)で、これではただね、見ててね、あれ?って思うんですよ。

(石山蓮華)えぇ。

(町山智浩)警察がそれはでっち上げじゃないのって言うんですけど、この映画の中で彼女が実際にレイプされる場面が出てこないんですね。だから観客は見てないので、えっ本当にあったのっていう気持ちになっちゃうんですよ。

(石山蓮華)うわーーー!!!

(でか美ちゃん)そうかちょっとそっち側に傾いちゃう瞬間が。

(石山蓮華)観客側に起こるんですね。

(町山智浩)起こるんですよ。しかも警察があまりにも殆ど拷問まがいの方法で彼女に、自作自演だと自白しろと強要されてとうとう負けて私がやりましたって言っちゃうんですね彼女は。

(石山蓮華)うわあ。

(町山智浩)で、彼女は刑事告訴されちゃうんですよ。警察から。で、これは大変で。しかも証拠もないし、どこへも行き場がないですよね。で、どうしよう!っていう事になるんですが、途中でね。たった1つ彼女がそれに対して対抗できる物が出てくるんですよ。それは、全く同じような事件が過去にあったからなんです。

(石山蓮華)怖いですね。

過去にあった似ている事件

(町山智浩)それはフランスにね、”ヴェオリア”という会社があるんですね。これは水ビジネスの世界最大手なんですけれども、水ビジネスというのは、その上下水の運営を、普通は地方自治体がやってるんですねどの国でもね。それを民間として引き受ける会社なんですよ。で、これは世界的に今問題になっていて、世界中田舎の方が過疎になってるんですね。どこに行っても。そうすると、田舎の方はお金がないから上下水道が赤字になって運営できなくなっちゃうんですよ。どうしようってなると、その少ないお金でなんとか運営しますよって民間が肩代わりをするんですね。で、そのヴェオリアっていう会社は、日本を含む、世界中の上下水道の民営化に食い込んでる会社なんです。ところがその内部で非常に良くない事が行われてい、社員がそれを告発したらですね。その社員の奥さんがレイプされたんですよ。

(石山蓮華)うわ〜最悪だな。

(町山智浩)でも。そしたら、要するに同じ犯人らしい、手口が全く同じだから。

(でか美ちゃん)そうですよね、やり口が。

(石山蓮華)ね。インフラが絡んでるってところもね。

(町山智浩)そう。電力とか上下水道とかインフラが絡む告発をつぶしてる、つぶし屋みたいなのが存在する事になるんですね、プロが。で、これでなんとか突破できると思うと、そのヴェオリアのレイプ事件の資料が、警察から一切消えてるんですよ。

(石山蓮華)えーー!

(でか美ちゃん)こわ!消えてるって、おかしいですよね。

(町山智浩)どうするのこれっていう。

(石山蓮華)え。え。え。

(町山智浩)すごい怖い話なんですけどね。

(石山蓮華)これ実話をもとにした?

(町山智浩)実話なんですよこれ。

(石山蓮華)うえぇぇぇ〜〜。

(町山智浩)これはすごいですね。ついこの間あった、2010年代にあった事件なんですけども。

(石山蓮華)最近。だって2011年以降の話ですもんね。

(町山智浩)で、これはね。旦那さんがね、このモーリーン・カーニーの旦那さんがどんな事があっても奥さんを信じて。もう奥さん自身がめげても、奥さんを支え続けるんですよ。それと彼女の娘がね。これ面白いのは、イザベル・ユペールっていう女優さんも、この人70歳なんですよ今年。

(石山蓮華)えっ!?本当におきれいですけども。

(町山智浩)きれいなんですけど、この人見た目が全然変わらない人なんですけど。この人芸能生活50年とかとんでもない人なんです。この人も旦那さんと娘に支えられてずっと仕事してる人でね。だからそこもね、だぶってるんですよ。だからねすごく面白いですね。映画として。まぁね、最後どうなるかというのはね、もちろん言いませんが。

(でか美ちゃん)それは見ての。という感じで。

(町山智浩)これすごいのはね、その最初に言ったアレバっていう会社の社長も突然、謎の死を遂げるんですよ。

(でか美ちゃん)怖いなー。

(町山智浩)で内部告発してくれた人に証言してもらおうと思って会おうとするとその人も死んじゃってるんですよ。めちゃくちゃ怖くね?っていうね。これで戦えるのっていう映画なんですけど。でもいい旦那さんが支えてくれるんですよ。

(石山蓮華)なんかこう戦う女性をどう支えるかっていう視点って、なかなかまだ私知らないなって自分自身思う事が多いので、ちょっと是非見ようと思います。

(でか美ちゃん)ね。見てみましょう。

(町山智浩)という映画でこれがね、モーリーン・カーニーというね、実際の人の名前がタイトルになってますけども。10月20日公開ですね。で、『バレリーナ』の方はもちろんとんでもない、なんていうか想像力膨らましのねアクション映画ですけど。本当に美しいんでね、是非ご覧ください。

(石山蓮華)はい。今日町山さんには改めてNetflixで配信中の韓国アクション映画『バレリーナ』と、今週20日からBunkamuraル・シネマ渋谷宮下などで公開される『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』の2作品をご紹介いただきました。町山さんありがとうございましたでした。

(町山智浩)どもでした!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑤フランスの電力公社とアレバが密かに原発事業そのものを中国に売ろうと画策

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