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市子の町山智浩さんの解説レビュー

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2024年01月22日更新
最後の最後に事態の真相は明らかになるんですが、それが明らかになる6分間というのはですね、まぁものすごい6分間なんですよ。見ている人の息が詰まってしまう、呼吸ができなくなるような6分間なんです。これがすごくて、これを演出した監督もすごいし、カメラもすごいですね、カメラワークも。で、それを演じきった杉崎さんも本当にすごくて、戦慄すべき6分間なんですよ。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『市子』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『市子』解説レビューの概要

①市子を演じるのは杉咲花さん
②市子は若葉竜也くん演じる恋人と同姓している
③プロポーズされる市子
④プロポーズされた翌日に市子はいなくなってしまう
⑤突然刑事が訪れ、市子の写真を出し、「この人知っていますか?」と言う
⑥市子は○○○○○と言われ・・

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

映画『市子』町山さんの評価とは

(町山智浩)でまぁ、色々見たんですが、その中でね。今年の日本映画で1番強烈だった映画をちょっと紹介したいんですが。これ今週8日、金曜日(2023年12月8日)にですね、日本で公開される『市子』という映画なんですね。で、これはあの、市子というですね名前の女性の物語なんですけど、演じるのは杉咲花さんですね。『おちょやん』とかやってたした人ですね。それが市子さんで。それでまぁ若葉竜也くん演じる恋人と一緒に同棲して暮らしてるんですね。で、ちっちゃい幸せを持ってて、彼氏がとうとうプロポーズするとっから始まるんですよこの映画は。で、彼女は泣いて喜んで。ところがその翌日に、その家に帰って来てみたら、その竜也くんが家に帰ってきてみたら市子さんがいなくなってるんですね。

(でか美ちゃん)あら。

プロポーズされた翌日に市子はいなくなってしまう

(町山智浩)で、一体どうしたんだろうと思うと、刑事が突然そこに来て、この人知ってますかって言って写真を出すんですね。それが市子さんなんですよ。で、これ市子じゃないんですか?って言うと、いやどうも違うんですよって言うんよ。というかこの人、なんか存在しないみたいなんですけどって言われるんですよ。

(石山蓮華)どういう事ですか?

(でか美ちゃん)なんだ?

(町山智浩)で、どういう事なんだっていう事で、この主人公の若葉竜也くんが、この刑事と一緒にこの市子と関わる人達にインタビューをしていくという、取材していくという話なんですよ。

(石山蓮華)へー!ミステリアスな話ですね。

(でか美ちゃん)ねぇ!うん。

(町山智浩)そうなんですよ。で、これね、すごくネタを全くしゃべれないので、映画会社も非常に苦労してると思います。はい。批評家の人もね、絶賛してるんですけど何も話せないというね。この映画の正体を明かす事ができないという。

(でか美ちゃん)確かに、導入を聞いただけでも情報ない方が面白そうですもんね。

杉咲花さんがすごい

(町山智浩)そうなんですけどね。はい。で、このまぁ杉咲花さんがやっぱりすごいんですよね。このプロポーズされた時点の26歳っていう彼女と同じ年齢と、それからもう何十年も遡っていく訳ですけども。彼女の人生をね。1人で演じてて全然違和感ないんですよ。

(でか美ちゃん)あ〜そうか。

(石山蓮華)じゃぁどんどん若返ってくんですね、お芝居で。

(町山智浩)そう。セーラー服着たりしてるんですけど全然普通な感じで。彼女のその独特のなんというか年齢不詳感みたいなものが最大に生かされてる映画なんですね。でね。この映画の正体を明かす事ができないので、似たような映画を見てる人がわかるような話をします。はい。

(でか美ちゃん)あーなるほど、ありがた〜い。

(石山蓮華)すごい!気になるけれど。なかなか聞けない。

(町山智浩)言えないんですよ直接。まずね、『嘘を愛する女』っていう2018年の映画があったんですよね。

映画「」のポスター

(町山智浩)あれは長澤まさみさんと高橋一生さんがまぁ夫婦で。夫婦でって言うか籍は入れてないんですけどずっと一緒に暮らしてて。で突然、高橋一生さんが亡くなるんですね。くも膜下出血かなんかでね。で、どうしようって、亡くなったから調べてみたら、彼のなんて言うか身分証明書とかが全部偽造だった事がわかるんですよ。で、医者だって言ってたんだけど、その研究所にも籍がないんですよ。

(石山蓮華)えー、あら。

(町山智浩)で、彼が言ってた事が全部嘘だった事がわかって。で彼が実際に彼が存在したのかもわからなくなってくるんです。

(石山蓮華)うわぁ、ぞぞぞ。

(町山智浩)で、なんと。これ実話ですよ?

(石山蓮華)えーーっ!そうなんですか?

(町山智浩)これ実話なんですよ。

(石山蓮華)えー、じゃぁざっくり言っちゃうと詐欺師だったって事ですか?

(町山智浩)いやそれすらもわからないんですけど、言えないんですが。まぁそういう事がね、結構あって。日常の中にね、突然落とし穴があるっていう感じなんですよね。でね、あとね、『さがす』っていう映画はご覧なりました?

(でか美ちゃん)気になったけど見れなかったんですよ。公開時期に。

(石山蓮華)見てないんです。

(町山智浩)あっ本当に、『さがす』すごいですよこれ。

(でか美ちゃん)めっちゃ面白そうだった、予告とかも。

映画「」のポスター

(町山智浩)これはね、佐藤二朗さん扮するダメ親父がいてですね。中学生の娘さんと一緒に暮らしてるんですけども。この佐藤二朗さんが行方不明になっちゃうんですよ。で、その中学生の娘が1人で取り残されてしまって、で、しょうがないからこのダメ親父を探しに行くっていう映画なんですね、『さがす』っていうのは。で、最初はちょっとコメディっぽいんですよ。佐藤さんだから。それがどんどんどんどん怖い事になっていくんですね。で、現在の実際にある色んな問題。例えばこの間あった自殺幇助サイトってありましたね。ネットで自殺したいっていう人を集めて実際に殺してるっていう人がいましたけど、人じゃないな、クズ野郎がいましたが。それとか、難病の問題とかね。日本の中で陰に隠れている闇みたいな物がだんだん見えてくるっていう怖い映画が『さがす』だったんですよ。

(でか美ちゃん)へぇ〜。

(町山智浩)で、ちょっと似てるところもあるんですが。この『市子』っていう映画は。たしかに、真相の部分では、日本の持っているその法律制度と関わってくる部分があるんですね。これも言えないんですけども。日本独特の法律制度がありまして、その法律制度は海外にはないんですが日本人はみんな当たり前だと思ってる法律制度なんですよ。で、それの法律の隙間みたいなところに落っこってしまったのがこの行方不明になった市子さんである事がわかってくるんですね。あともう1つはやっぱり貧困の問題で、ものすごい貧困の中で彼女は育ってきて。で、何も自由がないし、で途中でねわかるんですけど。市子っていう名前自体がちょっと違うんじゃないかっていう話になってくるんですよ。

(石山蓮華)市子は市子ではない?

(町山智浩)小学生の頃に友達だった女の子が、あの子月子って言ってたよねって言うんですよ。どういう事だろう。

(石山蓮華)え〜どういう事だろうか。なんかもうすごいどんどん気になっちゃう。

(町山智浩)怖い話なんですよ。で、どうも彼女は自分の本当の名前も言う事ができない人生を生きてきたらしいんですね。

(でか美ちゃん)単純に嘘をついて、彼氏を騙してとかじゃないっていう事ですもんね。

(町山智浩)そうじゃないんですよ。

(石山蓮華)相当に深い訳がありそうですね。

(町山智浩)人から愛されたりする事もできないし、世の中の表に出てくる事もできない人だった事がわかってくるんですよ。市子は。

(でか美ちゃん)そうかぁ。

(石山蓮華)え〜〜!もうなんか頭の中でどんどんどんどん色々考えちゃいますね。

(でか美ちゃん)色々考えてるのに、考えた結果、すんごいでかいハテナってなってます。(笑)早く見たい!

(町山智浩)そうなんですよね。ただ、そういったその実際の日本っていう国が抱えている社会問題。ね。法律の問題だったり貧困の問題とか、それをクローズアップする映画でもないんですよこの映画は。そこに行かないんですよ。

(でか美ちゃん)描いてはいるけど、そこが中心じゃないという。。

日本が抱えている社会問題をクローズアップする訳ではない

(町山智浩)そうなんですよ。だからさっきの『レッスン in ケミストリー』もそうでしたけど、あれもその当時にあった男女差、女性差別みたいな事は大事なポイントとしてはあるんですけど、あくまであの女性の生き方についての物語ですよね。で、女性の家族の物語だったんですけど。その人間ドラマの方にこの『市子』はどんどんどんどんフォーカスしてくんですね。で、本当にこの市子っていう人が実在するんだとしか思えないぐらい観客に迫ってくるんですよ。で、最後の最後に事態の真相は明らかになるんですが、それが明らかになる6分間というのはですね、まぁものすごい6分間なんですよ。見ている人の息が詰まってしまう、呼吸ができなくなるような6分間なんです。これがすごくて、これを演出した監督もすごいし、カメラもすごいですね、カメラワークも。で、それを演じきった杉咲さんも本当にすごくて、戦慄すべき6分間なんですよ。

(でか美ちゃん)でも杉咲花さんって本当にすごい俳優さんというか、なんかパッと世に出てきた時からしか私は知らないですけど、なんか明らかに大女優になってくんだろなってみんなを思わせる何かオーラみたいなのがある方ですよね、作品見てても。

(町山智浩)そうなんですよ。『おちょやん』なんかも、朝ドラの流れからすると信じられないくらい悲惨な目に遭うんですよね。でも、ちゃんとそれをなんていうか、ひとつの幸せとして結末に導いたというのは彼女のやっぱり演技力だったと思うんですよ。朝ドラって実際はね悲惨な話とかもインチキして、歴史を捻じ曲げていい話にしちゃってるんですよ。NHKの朝ドラって。いっぱいありますよ本当に。だから整合性なくなったりするんです。笠置シヅ子さんの描き方とか同じ朝ドラの中で全然違ってるんですよ。

(でか美ちゃん)なんか一応、史実を基にしつつの、なんかフィクションだけどみたいな、なんか朝ドラってちょっと不思議なテーマがありますよね。

(町山智浩)そうなんですよ。でも彼女はね、あれだけ悲劇的な話をね、ちゃんと朝ドラの枠の中に収めるだけのね、すごい人間的な深い演技ができる人なんですけど、このね戦慄すべき6分間の最後はね、ありがとうという言葉で終わるんですよ。

(でか美ちゃん)へぇ〜全然予想つかないなマジで。

(石山蓮華)本当に色んな今、これか?あれか?こういう説か?ってもう考えちゃう。

(町山智浩)でまぁ、この戸田彬弘監督の演出力もすごいんですが、この「ありがとう」はね、映画史上最も残酷で、映画史上最も悲しい「ありがとう」なんですよ。もう本当に胸を引き裂かれるような「ありがとう」なんですよね。

(でか美ちゃん)これは見ないとですね。

(町山智浩)で今ね、後ろで『にじ』っていう童謡がかかってるんですが、これは非常に『にじ』なんで幸せを歌ってるんですけど、夢とかね。これもね、この映画を見た後ではもうそういったものとして聞く事も歌う事もできなくなるような映画なんですよ。

(石山蓮華)こんな今、聞いた感じ、ねぇ、朗らかな。

(でか美ちゃん)ねぇ、ほんと幼稚園や保育園で歌ってそうなね。

(石山蓮華)みんなおてて繋いで揺れながら歌いそうな感じだけど。

(町山智浩)そうなんですよ。だからこういった夢とか幸せから落っこちてしまった人もいるんだと。そこに引っかかれない人達もいるんだと。いう話でね。この『市子』はまぁ強烈な映画で。ただ本当に宣伝に苦労してるんで何も言えないという。(笑)これはもう見てもらうしかないですね。

(でか美ちゃん)とにかく劇場に見に行った人達1人1人が見ておのおの感じると思いますけど。口コミしてくしかないですね。(笑)

(町山智浩)口コミ以外にできないんで。本当に監督からみんな困ってると思いますよ。

(石山蓮華)でもそれだけこう、語りたくなる魅力にあふれてるんですね。

(町山智浩)はい。本当に強烈な映画なんで。まぁぜひ、今週公開なんで。ご覧いただければと思いました。

(石山蓮華)今日は今週8日、金曜日に公開になる映画『市子』をご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)ありがとうございました。

(石山蓮華)『市子』見まーす!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑥市子は存在しないと言われ・・

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