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被害者が容疑者となるときの町山智浩さんの解説レビュー

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2024年01月23日更新
アメリカのドキュメンタリーなんですけども。これアメリカの話なんですけど、なぜ性的被害の人が警察に行けないのか、行っても意味がないのかって事がよくわかるんですが。要するに性的な被害を受けた人の場合、警察に行っても警察はその訴えを取り下げさせちゃうんですよ。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『被害者が容疑者となるとき』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『被害者が容疑者となるとき』解説レビューの概要

①ダウンタウンの松本人志さんの性加害疑惑について、SNSで論争が起きている
②女性に対するすさまじい誹謗中傷
③アメリカのドキュメンタリー映画
④なぜ性被害の人が警察にいけないのか、行っても意味がないのかって事がよくわかる
⑤性被害を警察に訴えても、多くの場合○○○

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

映画『被害者が容疑者となるとき』町山さんの評価とは

(町山智浩)それでねもう1つがね、やっぱりね人が怖いっていうかSNSが怖いと思うんですけど。まぁ週刊文春がですね。ダウンタウンの松本人志さんの性的な強要について報道したんですが。その事実関係とは別にですね。一斉に起こったのが告発した女性に対するすさまじいSNSでの、なんというか誹謗中傷ですね。殆どがですね、合意だったんだろうと。とか金目当てだろうと。もうすさまじいばかりのですね攻撃があった訳ですけども。1番大きかったのはもう、それこそかなり名の知れたですね人達が言ってた事で、もう警察に行かなかったのはなんでなんだ。警察に行けばよかったじゃないかって。ね。いう風に言ってるんですが。次に紹介する映画はですね、『被害者が容疑者となるとき』というアメリカのドキュメンタリーなんですけども。これアメリカの話なんですけど、なぜ性的被害の人が警察に行けないのか、行っても意味がないのかって事がよくわかるんですが。要するに性的な被害を受けた人の場合、警察に行っても警察はその訴えを取り下げさせちゃうんですよ。多くの場合。で、どういった形で起こってるのかというのをアメリカのですね、調査ジャーナリズムの人達が調べて、恐ろしい事に、性的な被害を受けた人達が、虚偽告訴罪で訴えられると。逆に。

(石山蓮華)逆に?

性被害を警察に訴えても・・

(町山智浩)下手すると有罪になると。

(でか美ちゃん)それで『被害者が容疑者となるとき』って事なのか。

(町山智浩)そうなんですよ。それをたくさん調べて50件以上調べて。3年間に50件あってアメリカで。それを全部徹底的に調べて。で、警察での取り調べ中のそのテープ、ビデオテープをですね手に入れて。それは公式に手に入れるんですね、開示要求をしまして。すべて記録してるんですよアメリカでは取り調べ中のビデオをね。で、要求すると見る事ができるんですが、それを見るとですね。まず被害者をこう、刑事さんに、取り調べを受ける時に、その時にどのぐらい抵抗したんだとね。で、悲鳴は上げなかったのかとか。なぜ逃げなかったんだ。もうこれおかしいんですよ。あんたが悪いんだろうって言ってるんですよ。

(石山蓮華)えー!

(町山智浩)どうしてそうなっちゃうのか。

(石山蓮華)それはおかしい。

(でか美ちゃん)だってもう誘導してますもんね。

被害者が悪いように誘導されてしまう

(町山智浩)ねぇ。で、どんどんそういう風にあんたが悪いんだっていう方向にしてくんですね。悲鳴をあげなかったお前が悪い、そこに行ったのが悪い、逃げなかったのが悪い、散々そう言って、抵抗が弱かったとかね。ずーっと言ってるうちに被害者がすいませんって謝るんですよ。なんで謝るの?

(石山蓮華)責められると思わないんですもんね、その被害を訴えて助けを求めてるんだから。

(町山智浩)そうなんですよ。これは恐ろしい映画で、全部これ本当のテープなんですね。取調室での。で、ずっと調べていくうちに本当に有罪になって禁固刑を受けたりしてる人までいるんですよ。女性で。

(石山蓮華)えー。

(町山智浩)ただね。これね、アメリカだから取り調べのビデオというのが存在するんですけど、日本はないんですよ。だから日本はもっとひどい事が起こっていると。わからないんですよ。もう、これはわからない。だからこんな状況だから。でも、よく考えると、警察に来たら、要するに合意があったかなかったかが争点になるんで、それはどのぐらい抵抗したんだってやりますよね。これやられるから。で、実際は女性は抵抗できない訳ですよね。状況的にも、体力的にもね。で、抵抗しなければ合意なんだってされちゃうから。これは警察に行ってもムダだし、だから警察に行かないですよ。

(でか美ちゃん)そこと向き合うしんどさみたいなのもありますしね。自分の口で全てを説明しなきゃいけないとか、もやっぱりあると思うから。

(町山智浩)そうなんですよ。で、それを実際にどうしてそれが起こるか、そういうものがどういう風に行われてるのかっていう事を具体的な映像で見せてくれているのが、この『被害者が容疑者となるとき』というドキュメンタリーなんですね。で、これって結構常識なのかなって思ってたんですよ僕。こういうひどい状況っていうのがアメリカでも日本でもね。性的被害者がなかなか警察に行けない状況。行っても殆ど訴えを取り下げさせられる状況っていうものが。ただ全然そうでもないらしくて。かなりちゃんとした人までが、なんで今回の被害者は警察に行かなかったんだ?書いてるんですよね、SNSとかちゃんとしたメディアとかでも。びっくりしましたよ!

(石山蓮華)なんか性被害を受けた人が、どういう気持ちの動きになって、なぜ、ちゃんと抵抗できないなのか。そして2次被害に遭うのか。そういう流れって、ちゃんと1冊本を読めば、もうたくさん書いてある事なのにそれがまだまだ知られてないなというのは私も感じます。

性被害を受けた人の気持ち

(でか美ちゃん)何がが真実かなんてわからないから、今色んな事が、その活動休止しますであったり、色んな記事、出し合ってたりする訳じゃないですか週刊誌同士で。なんか、そもそも、擁護も批判もわかるまで、しなきゃいいって私は思うんですけど。そのなんか、加害してたんだろうって断定するのも違うなって思うし今の段階では。だからと言って、被害を受けましたって言ってる方に、なんかお前金目当てで、8年前でとかセカンドレイプみたいな事を言うのも絶対に違うなって思うから。なんかその、あまりにも、なんだろうな。みんながワーッとやりすぎて、問題がずれてきてるのが嫌ですよね。これって、なんかね、アメリカのドキュメンタリーですけど、こういうのもあるんだっていうのを知りさえしてたら、自分の心の中で、どっちが本当なんだろうとかって思っちゃう人間の心はあるけど、でもなんか口には出ないと思うんだよなっていうのはすごい思いましたね。

(町山智浩)はい。で、このドキュメンタリーで1番大事なのは、とにかくアメリカの警察っていうのはひどいところもあるんですけど、取り調べをちゃんとビデオで記録をしてるにも関わらず、被害者を追い詰めて問い詰めて、で、虚偽告訴罪だぞ、あんたは虚偽告訴をしたんだぞって追及して、「はい」とまで言わせちゃうんですよ。

(でか美ちゃん)なんか追い詰めていくと心折れちゃうというのは想像できるじゃないですか。普通の感覚で考えたら。でもやっぱり「はい」って言ったじゃないかって言われたらおしまいというかね。

(町山智浩)そうなっちゃうんですよ。もうそれだって怖いから言っちゃうんですよ。ごめんなさいって言っちゃうんですね、途中で。で、ごめんなさいっつっただろと。自分の過ちを認めたんだ、みたいな事になっちゃうんですけど。ただ、これ、証拠のビデオが撮られているにもかかわらずアメリカの警察がここまでやってるんで。証拠のビデオが撮られてない日本では何が起こってるかわからないですよもう。完全な密室だから。なんにもわからないんだもん。

(石山蓮華)この被害者側の扱われ方のひどさっていうのはすごくつらいものがあるんですけど、その容疑者側の扱いっていうのはどんな感じ・・。

(町山智浩)これも映ってるんですよ。その容疑者の人が呼び出されるじゃないか。すると警察はね、全く態度が違って。いやー忙しいとこすいませんねって。

(でか美ちゃん)えーなんで?

(町山智浩)おたくも大変ですねとか言うんですよ。

(でか美ちゃん)それはなんか作戦的にそういうのがあるからなのか、その方がポロッとしゃべっちゃうからとかなのか。もうそもそもちょっとそっち側に立ってあげちゃってるのか。

(町山智浩)でしょうね。おそらくね。

(でか美ちゃん)そうですよね。本当にこうガツンと追求されるべきは、まぁね。第1段階では容疑者側な訳じゃないですか。

(町山智浩)そうなんですよ。でも、そうはいかない訳なんですよね。ちょっと怖いドキュメンタリーなんで、是非見ていただきたいんですが。

後日談

(でか美ちゃん)『被害者が容疑者となるとき』は、ねぇ。たぶん私も蓮華ちゃんも同じような重たい気持ちになったかなっていう感じなんですけど。

(石山蓮華)そうなんですよね。なんか被害者の証言っていう事が、ただそのまま受け取られず、女性が嘘をつくという思い込みがまずあって。そこからこう・・どうやって捜査が進められていくかというか、もう。その加害者に対して本当にこんなに杜撰な。。ほぼ捜査がされないっていう事は本当に衝撃的でした。

(でか美ちゃん)で、実際のその取り調べの映像がね入ってるんですよっていう話で町山さんからも伺ってたんで、覚悟して見たんですけど。ちょっと想像以上にイライラしましたね怒りが。本当に、被害者にはそれ本当?嘘ついてんじゃないの?ぐらいの。だって監視カメラと言ってる事違うよみたいな感じで詰めてくのに。別に監視カメラも実はなかったみたいな事が明らかになったり。

(町山智浩)そう。撮ってないんですよね。

(石山蓮華)嘘の証拠で。。相手を偽証したと言ってくって。本当に怖いですし、その性被害に遭った人をこう嘘つきだって言ってしまう事。そういう行為の恐ろしさもすごく感じる映画でした。

(でか美ちゃん)そうなんですよね。

(町山智浩)これアメリカなんですけどね。

(でか美ちゃん)だから冤罪だとか言う前に、そういう冤罪みたいな被害に遭う事に対する寄り添い方ももちろん大事なんだけど。その前に性被害に遭ったとされているという状態の人に対して、どういう態度を周りは取っていくべきか、まぁ警察はもちろんね、ちゃんと法に則ってやっていけばいいけど、周りのそのニュースを見た人達が、どういう態度を取っていくべきかなんて、ちょっと考えたらわかるだろうと思いました。

(町山智浩)だから実際にどうなのかっていう以前に、性被害を訴えた女性の方をガーッと叩くっていう状況というか、そういう世間だと、もうその後、女性は訴えられないですよね。

(石山蓮華)そうなんですよ。

(町山智浩)こんな世の中だったら私は黙っていようってなっちゃうんで。ますます加害者にとって都合のいい世の中になってくんで。事件の実際はわからなくても、訴えた女性を叩くのだけは、その後の世の中が悪くなるから、やめるべきですね。

(石山蓮華)そうですね。本当にそう思いました。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑤性被害を警察に訴えても、多くの場合その訴えを取り下げられてしまう

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