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非常に残念なオトコの町山智浩さんの解説レビュー

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2024年02月14日更新
ありそうな話なんですよ本当に。だからまぁそういう意味でね、アメリカにいるアジア人の気持ちがね、なんとなくわかるのと、俺の家の近所が映ってるぞっていう事で紹介しました。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『非常に残念なオトコ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『非常に残念なオトコ』解説レビューの概要

①日系三世の男の子のベンくんが主人公
②彼女が成功しそうになり○○するロマンチックコメディ
③撮影場所が町山さんの近所であるバークレー
④アメリカで流行っている東アジア系映画
⑤東アジア系は○○○なイメージを持たれている

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『非常に残念なオトコ』町山さんのご近所で撮影された映画の評価とは

(町山智浩)今日はね、すごい地味な映画なんですけど、あの『非常に残念なオトコ』っていうタイトルの映画なんですね。

(でか美ちゃん)ほう。

(町山智浩)これね、アメリカ映画なんですけれども。監督がランドール・パークという人で、この人はねすごいのが韓国系のアメリカ人なんですけども、DCコミックスの映画化『アクアマン』にも、マーベルコミックスの方の映画化にも両方出てるというマーベルとDCにまたがるスーパースターになってしまった、ただお笑いの人なんですが!コメディアンなんですけども。この人が監督した映画でね。なぜこれを紹介するかっていうとこれね、明日7日からAmazonプライムとかApple TVでデジタル配信されるんですよ日本では。『非常に残念なオトコ』という映画がね。で、これは日系人の、たぶん日系三世の男の子のベンくんが、映画監督になりたいなと思いながらズルズルとですね地元のアート系の名画座の支配人としてダラダラ暮らしてるうちに一緒に住んでた日系人の女の子のミコちゃんっていう子が、なんかニューヨークに行って成功しそうになると。で、彼は非常に嫉妬してですね。ジタバタするというまぁロマンチックコメディのようなそうでないような映画なんですが。なぜ紹介するかというとこれうちの近所で撮影してるからです。

(でか美ちゃん)えー、そうなんですね。

撮影場所が町山さんの近所であるバークレー

(石山蓮華)町山さんがお住まいのカリフォルニア州バークレーですか?

(町山智浩)そうです。カリフォルニア州バークレーで前半だけ撮影して後半はその彼女を追っかけてベンくんがニューヨークに行くんですけれども。これね、原作者がね、エイドリアン・トミネという日系人の人なんですよ。漫画家で。その人がバークレーに住んでた頃の事を元にして書いてるんで。撮影してるカフェとかですね、色んな所が出てくるんですけどレストランとか。全部僕が行ってる所ですよ。

(石山蓮華)あら。

(でか美ちゃん)へ〜聖地巡礼できちゃう。

(町山智浩)聖地でもないですけど。(笑)ただの喫茶店ですけど。(笑)

(石山蓮華)じゃぁ町山さんは普段こんな所で原稿書いてるのかな〜というのも・・。へ〜ちょっと楽しみですね。

(町山智浩)そんなに楽しくないですが。(笑)

(でか美ちゃん)なんとなく想像ができるというかね。

(町山智浩)そうですね。町山が住んでるバークレーってどんな街なの?っていう風に思う人はこれ見ると、ここですよという所で。1番びっくりしたのはね。その映画のメインタイトルの、これ原題が『Shortcomings』っていうんですけども。”Shortcomings”っていうのは欠点っていう意味なんですけどね。『Shortcomings』ってメインタイトルが出る画面があるじゃないですか。その画面はうちから歩いて30秒の所で撮影してました。びっくりした!(笑)

(石山蓮華)えっでも町山さんそんな詳細にお家の場所がばれちゃって大丈夫なんですか?

(町山智浩)いやまぁでも30秒って言ってもわかんないからね。いやびっくりしましたよ。ええっここなの?って。(笑)

(石山蓮華)じゃぁ歩く度に思い出しますね。

アメリカで流行っている東アジア系映画

(町山智浩)そうなんですよ。まぁそういう、どんなとこで暮らしてるんだっていうのがわかる映画なんですけど。でね、ただこれね、今アメリカですごくたくさん作られてる東アジア系。つまり中国人、日本人、韓国人ですね。の、アメリカでの生活についての映画が今たっくさん作られてて、一種ブームになってるんですけど。1番最初のきっかけはね、『クレイジー・リッチ!』っていう全部アメリカのアジア系の人だけでスタッフもキャストも固めて作ったミュージカルコメディが当たったんで、そこからアジア人映画ブームがずっと続いてるんですよアメリカはずっと。

映画「」のポスター

で、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もそうでしたね。香港系アメリカ人達の生活でしたけども。

映画「」のポスター

あとアニメだと『私ときどきレッサーパンダ』とかね。

映画「」のポスター

(石山蓮華)あ〜はい。

(町山智浩)あれはトロントに住んでる中国系の人の話で。あと、ピクサーのアニメで『マイ・エレメント』。

映画「」のポスター

(石山蓮華)はい。昨年8月に紹介いただきましたね。

(町山智浩)あれはニューヨークのブルックリンで、コンビニエンスストアを経営している韓国人の話を、韓国人が全部炎として表現されるアニメでね。でもやってる事はただの韓国人の仕草とか生活習慣通りなんですけども。で、オークワフィナっていう名前のコメディアンの人がいるんですよ。見た事あるかな?

(石山蓮華)あります。あれ、音楽もやってなかった・・?

(町山智浩)ラッパーだった人です。

(石山蓮華)ラッパーだった人ですよね。あの俳優として結構活躍されている。

(町山智浩)すごいいっぱい出てる人ですね。あの人が実際にブルックリンのコンビニエンスストアを経営してた韓国移民の娘なんですよ。

(石山蓮華)あぁ、そうなんですか。へぇ。

酒屋やコンビニを買う事で移住できる

(町山智浩)はい。韓国系の人はね、80年代にみんなね、お金をたくさん貯めて、アメリカで酒屋、コンビニエンスストアを買ったんですよ。買う事で移民ができたんですよ。投資家ビザみたいなのをもらえたんで。でみんな来て、子供達を大学に一生懸命入れて、今みんなおじいさんになってるんですけど。そういうリアルな話がその『マイ・エレメント』とかに出てくるんですけどもね。なんでこう、あとだから『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に出てきたみたいに、コインランドリーを買った人達もいっぱいいるんですよ。韓国人や香港人がね。香港はほら中国に吸収されるっていう事で、一斉にみんな貯金はたいてアメリカやカナダに引っ越したんでね。で、そういう人達の息子達が今映画を撮る時代になったんですよ。息子や娘が。そういう映画が。そういう映画の特徴というのがね、中国人・韓国人・日本人は結構大変っていう話なんですよ。どうしてかって言うと、アメリカ人はそういう人達はみんな勉強がめちゃくちゃできて、ピアノとかバイオリンとかうまくて、医学部に行くか、弁護士になるか、コンピューターの技術者になると思ってるんですよ。

(石山蓮華)え。

(でか美ちゃん)なんかそういうアジア人、東アジア系の人に対するイメージが完全にあるんですね。

(町山智浩)そうなんですよ。優等生だと思い込んでるんですよ。

東アジア系の真面目なイメージ

(でか美ちゃん)だから私もちょっと、やっぱりアメリカとかの方々に、陽気なんだろうなと思って接しちゃう時があって。そんな訳ないじゃないですか全員が全員。みたいな感じで、必要以上に真面目と思われてるのか。

(町山智浩)そうそうそうそう。そうなんですよ。だから『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に出てくる娘はほら学校を落ちこぼれちゃって。無職でっていうね。要するに、アジア人のステレオタイプ、期待されるアジア人像から落ちこぼれちゃったから。居場所がないっていう話なんですよ。で親もそれを求めてるからね。だからよく言われるのは、アジア人の親は面倒くさくて成績が全部Aじゃないと怒るんだけど、血液型がBでも怒るって言われるんですよ。

(でか美ちゃん)ジョークな。ちょっとブラックジョークな。(笑)

(町山智浩)ジョークなんですけども。だからそういう中で、実はそんな事ないじゃないですか。だからみんなね苦労をしてるんですよ。でも、このさっき言った『非常に残念なオトコ』ってどういう風に残念かっていうと、まず、自分がアジア人だからモテないって思い込んでるんですよ。

(でか美ちゃん)そうか。属性でモテないって思ってるのか。

(町山智浩)そう。コンプレックスがすごく強くて。でまた、アジア人の映画ブームが起こってる事にも、自分がそれに乗り遅れちゃったから、イライラしてるんですよ。

(でか美ちゃん)わぁなんかすごいメタ的な。

(町山智浩)そう。これ作ってる人達がそうだからまたすごいメタ的ですけどね。でも、アジア人の男って確かにアメリカに色んな人種がいる中で1番モテない属性なんですよ。

(石山蓮華)そうなんですか。あら。

(町山智浩)そう。だから黒人っていうとセクシーとか、ラテン系っていうとセクシーってあるじゃん?1番セクシーじゃないの。アジア系って。イメージとして。

(でか美ちゃん)そうか。真面目っていうのが先行してると色気みたいなとこからは遠くなっちゃうのか。

真面目系はモテない

(町山智浩)そうなんですよ。モテない感がすごく強くて。それは前から言われるっていうよりは自分達がモテないんじゃないかって思ってる部分も多くて、このベンくんはそうなんですよね。で逆に、アジア系の女性は1番モテるんですよ。これはもうそういう、なんというか悪い言い方してアジアンフェチっていうのがいるんですよ。アジアンラバーとか。アジア人大好き男がいっぱいいるんですよアメリカには。世界中にいるんじゃない?

(でか美ちゃん)ちょっと癖っぽい感じですよね?

(町山智浩)そうそうそうそう。まぁそういうエロいジジイとかいっぱいいるんで。だからその中で、彼はすごくコンプレックスを持っちゃってて、ベンくんは。でなんか、自分の恋人にもすごくいやらしい、いやらしい事ばっかり言うわけですよ。で、どんどん嫌われてくというね、本当に情けない話で。『非常に残念なオトコ』の話なんですよ。

(でか美ちゃん)まさにタイトル通りなんですね。

(石山蓮華)そうですね。

(町山智浩)そうなんですよ。でも、その根本にあるのは彼は日系人なんですけど三世ぐらいだから全く日本語がわからないんですよ。

(石山蓮華)なるほど!

(町山智浩)日系人の人達は第二次大戦の時に収容所に入れられて差別されたんで、日本文化を捨てたんですよ。だから三世なると日本語しゃべれない人が殆どなんです。それはもう完全に文化的な虐殺だったんですね、アメリカによる。ただ、この彼女の方のミコちゃんは日本語できるんですけど。だから日本文化から完全に切り離されてる人が多いんですよ日系人って。かわいそうなんですけど。だからそれなのにね、変な家父長制だけは引きずってるんですよ。だから、すごく男だからっていうプライドばっかり強くて、それがまたね嫌われる原因になってるというね。

(でか美ちゃん)不思議な感じしますけどね。なんでそこ引き継いでいるんだろうっていう。環境も違うのにね。

家父長制を引きずっている

(町山智浩)中国・韓国・日本、全部それ。男は家父長制を引きずっている。英語しかしゃべれなくても。

(石山蓮華)複雑なコンプレックスですね。

(でか美ちゃん)なんか自分で自分に男性としての呪いみたいなのをかけちゃいますよね?それでコンプレックスもあるんだったら。

(町山智浩)そうなんですよ。そういう話なんですよこれ。で、自分のコンプレックスを克服するために異常になんか白人の女性とセックスしたがってるんですよ。

(でか美ちゃん)うわーそれ嫌だなー。

(町山智浩)色んな意味で残念でしょう?(笑)

(石山蓮華)残念っていうか、大迷惑ですね。全方向に。

(でか美ちゃん)だし。属性で差別されたのが嫌だったはずなのに、属性で人を選ぶっていうのがちょっとね、いただけないですよね。

(石山蓮華)でもなんかありそうな話ですね。

(町山智浩)ありそうな話なんですよ本当に。だからまぁそういう意味でね、アメリカにいるアジア人の気持ちがね、なんとなくわかるのと、俺の家の近所が映ってるぞっていう事で紹介しました。(笑)

(でか美ちゃん)そこがやっぱりポイントですね。(笑)

(町山智浩)『非常に残念なオトコ』でした。

■後日談

(石山蓮華)先週は日系アメリカ人男性の生きづらさを描いた『非常に残念なオトコ』と、障害者福祉施設の日常を切り取ったドキュメンタリー、『フジヤマコットントン』の2本立てでご紹介いただきました。でか美ちゃんは。

(でか美ちゃん)えぇ、『非常に残念なオトコ』を見たんですけど。なんか本当にタイトルの通りだなっていう映画でもあって。なんか、言い方がむずいんですけど、軽〜く見るのに、めちゃくちゃいい映画だなと思ったというか。

(町山智浩)そうですね。(笑)はい。

(でか美ちゃん)でもなんかね、私が複雑!と思ったのは『非常に残念なオトコ』なんだけど、この人日本で暮らす日本男性として生きてたらモテちゃうタイプだろうなと思ったんですよ。

(町山智浩)あ〜そうですね!

(でか美ちゃん)だから日本とアメリカって、やっぱモテるタイプの男性ってやっぱね、お国柄とかもあって違うと思うけど、なんかアメリカだったら、何この男、とか、ちょっと差別的な発言はノー!とかね、普通にある中で、日本だとなんか優しさの方にほだされがちだから、私自身もなんですけど。(笑)この男日本だったらモテちゃいそうという複雑さで見ました。

(町山智浩)うんうんうんうん、そう、結構、顔とか悪くないんですよね。

(でか美ちゃん)ね。おキレイな顔で。まぁ俳優さんだしねっていうのはありつつ。

(町山智浩)ねぇ。で最初、女性へのアプローチは優しいんですよね。

(でか美ちゃん)そう。そうなんですよ。あと町山さんの近所なんだ〜と思いながら見るのが私はめっちゃ楽しかったです。

(町山智浩)あんな感じなんですよ。

(でか美ちゃん)ね、なんかいい街だなと思って。雰囲気のある。

(町山智浩)すごく成功してる人がいない。で、ものすごく貧乏な人もいない。みんな同じぐらいで。

(でか美ちゃん)なんか住みやすそうっていう。

(町山智浩)そうそうそう。人種もちょうどね、アジア人がちょっと・・まぁ40%ぐらいかな?多いし。で、すごいお金持ちもいないからそれこそベンツとかに乗ってる人もいないし、だから、いい感じなんですよ、ちょうど。学校とか行っても、公立学校行ってもみんな同じぐらいの親のレベルなんですごく楽なんですけど、成功者も誰もいなくて、でもみんな成功したいと思ってるという非常に微妙な。

(でか美ちゃん)そうか、ちょっと夢を追いかけ人。みたいな感じの人が多い街なんですかね。

(町山智浩)そうなんですよ。だから主人公も成功したアジア人をすごく妬ましく思っててね。

(でか美ちゃん)自分にもね。私は女性なんですけど、男じゃないけど、『非常に残念なオトコ』が抱えるコンプレックスとかの部分は、すごくわかるなと思ったんで。

(町山智浩)あぁ、わかりますか?あぁほんと。

(でか美ちゃん)わかりますよ。なんか白人の男性と付き合いたいとか、そんなあいつみたいな事はないんですが。(笑)なんかその成功したいってくすぶっちゃう気持ちとかね、ひがみだけで行きそうになっちゃう気持ちとかはね、わかるなって。

(町山智浩)俺が結構そうだったんですよ。

(でか美ちゃん)えぇ!

(石山蓮華)そうだったんですか。

(町山智浩)だって周りさ、全部シリコンバレーのいわゆるテック企業がいっぱい集まってるし、うちから歩いてすぐの所にピクサーとかある訳ですよ。で、学校でって言ったじゃないですか。親御さんとかと話していくうちに、あっこの人は実はピクサーで働いてるなとか。Appleで働いてるなって人達がいる訳ですよ。さっき中産階級の人達でって言ったんですけども、それがどんどん最近変わってきて。最初僕が住んでた頃はヒッピーみたいな奴ばっかりだったんですけど。この辺ものすごく地価が上がってアメリカで2番目に高いんですよ。ニューヨークに次いで。

(石山蓮華)え〜大変ですね。

(町山智浩)そしたらどんどんエリートが増えてきちゃったんですよ。

(石山蓮華)ちょっと変わりつつある。。

(町山智浩)それまではみんなね、中古のスバルとかに乗っていたのに。テスラとかに乗ってる人が増えてきて。

(石山蓮華)電気自動車。

(町山智浩)見た感じは同じ感じかな?って思って話してると、Oh!みたいな年収の人とかで。あの感じはよくわかるんですよ。残念なオトコくんの方に近いので。

(でか美ちゃん)うんうんうん。だから是非ね、日本人が見るといろいろと思うところがある作品かなと思います。

(町山智浩)思いますよ。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

②彼女が成功しそうになり嫉妬するロマンチックコメディ
⑤東アジア系は真面目なイメージを持たれている

 

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