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窓ぎわのトットちゃんの町山智浩さんの解説レビュー

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2024年02月16日更新
『窓ぎわのトットちゃん』は完全にそのトットちゃんと同じ小学校1年生から低学年の子供達が楽しめるように作ってあるんですよ。その子達のために作ってあるんですよ。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『窓ぎわのトットちゃん』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『窓ぎわのトットちゃん』解説レビューの概要

①『窓ぎわのトットちゃん』は黒柳徹子さん原作の自伝
②全世界で史上最も売れた自伝で、○○○○部のギネス記録
③トットちゃんは思いついた事をすぐ全部しゃべる性格の影響で、授業の妨害で転校する事に
④自由が丘のトモエ学園が引き取ってくれる事に
⑤今のアニメファンからあまり注目されない理由
⑥大人向けではなく、トットちゃんと同じ小学校1年生から低学年の子供達が楽しめるように作ってある
⑦戦争で街から男性や犬が消えていくが説明はない

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

町山さん『窓ぎわのトットちゃん』評価とは

(町山智浩)今日はね、公開してからもう結構経っちゃったんですけど僕この間初めて見たんで。『窓ぎわのトットちゃん』というアニメ映画をねご紹介したいんですけどね。『窓ぎわのトットちゃん』っていう原作はご存知ですか?

(石山蓮華)はい。知ってます。黒柳徹子さんの。

(でか美ちゃん)ただ私読んだ事ないけど、実家には母がたぶん好きで置いてはありましたね。読んどけばよかったって思うけど。

(石山蓮華)私も学級文庫にあったのに読んでなかったです。

(町山智浩)あったでしょう? 

(石山蓮華)ありました。

(町山智浩)誰の家にもあったと思いますよ。っていうのは、この『窓ぎわのトットちゃん』って全世界で史上最も売れた自伝なんですよ。

(石山蓮華)へ〜そうだったんですね!

(町山智浩)2500万部?全世界で。

(石山蓮華)2511万8362部。ギネス記録。

(町山智浩)62部の2部ってどっから出たんだって。(笑)

(でか美ちゃん)ちゃんと数えた。(笑)でも2500万部までいくと11万部切り捨てて言うんだっていう衝撃もありますよ。11万部でも相当すごいのに。

(町山智浩)だから今だってもうほんと1万部ですらね、すごい時代になっちゃったから。当時はね本当にどこにでもあるという感じでしたね。僕がちょうど大学ぐらいの頃に出たのかな?

(石山蓮華)あ、81年ですね。

(町山智浩)もう大大ベストセラーですね。生まれてないですよね?

(でか美ちゃん)生まれてないですね。生まれる10年前ですね、私はちょうど。

(石山蓮華)11年前です私は。

1981年の大ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』

(町山智浩)1981年かそこらに出て、大ベストセラーになったのがね。『窓ぎわのトットちゃん』なんですけど。そっか、僕の頃はね読んでない人はいないという国民的なベストセラーだったんですけど。NHKの女優からタレントになって、その頃はちょうど『ザ・ベストテン』の司会をやってたんですねTBSで。黒柳さんが、久米さんと一緒にね。で、その頃に出た本なんですけど。黒柳徹子さんが小学校1年から5年ぐらいまでの頃が書いてある本なんですけど。トットちゃんっていうのはね、”徹子”っていう名前が子供だったんで言いにくくて。で、トット、トットって言ってたんで、トットちゃんという風に呼ばれるようになって、それで自分でも言ってたというね。黒柳徹子さん自身の事なんですけど。この黒柳さんはね、今もそうですが、当時から思いついた事は頭に浮かんだ事は全部しゃべりまくる人だったんですね。

(でか美ちゃん)あ〜。それがね、徹子さんトークっていう感じでみんな大好きですけどね。

(町山智浩)そうそう。この人何しゃべってるんだろうっていうね。そういう時あるんですけど。で、それをやってたんで、小学校入ったら学校を退学になっちゃうんですよ。

(でか美ちゃん)小学校で退学・・!

(町山智浩)はい。とにかく落ち着きがなくて、先生が授業してる最中にしゃべっちゃうし思った事を。で、”窓ぎわ”っていうのは、窓際でチンドン屋さんって、もうないか。チンドン屋さんってわかりますよねでもね。

(石山蓮華)あの、お店の宣伝とかに、の時にまぁ楽器を演奏したりとか。

(町山智浩)そう。宣伝をして。

(でか美ちゃん)チンドン屋さん風のパチンコ店の宣伝とか見ますけどね。たま〜に今でも。チンドン屋さんを模したような。

(町山智浩)はいはい。3人ぐらいで男と人と女の人が太鼓やね、鐘を叩いて。チンチン叩いて。クラリネット吹いたりして宣伝してるんですけど、それを呼んじゃうんですよ教室に。トットちゃんが窓から。

(でか美ちゃん)すごいですね。(笑)

(石山蓮華)えー!こっちだよ〜?って。

授業妨害で転校に

(町山智浩)完全な授業妨害です。(笑)ね。で、とにかく落ち着かないんで、先生がもう頼むからうちの学校から出てってくれって言われて出てくんですが。これはね、僕は読んだ時に最初。俺じゃんと思いました。

(でか美ちゃん)え〜!共感するものが。

(町山智浩)そういう子供だったんですよ。で、授業中に思いついた事、すぐ口に出して先生に怒られるだけじゃなくて、とにかく落ち着きがないから体がずっと動いてるし。で、まぁ関係ない事しちゃったりね。あと窓から外見てたりしちゃうんですね。で、僕はね殴られましたね、先生に。ものすごい殴られました。

(石山蓮華)そうですか。

(でか美ちゃん)今じゃ考えられないですけどね。

(町山智浩)僕はね、とにかく授業妨害だって事で、居残りとかをよくやられましたね。ただね。今考えると、それはいわゆるその発達障害とか、多動症とか。注意欠陥症候群と言われるものなんですね。で、僕の頃はそういう言葉がなかったんで。

(でか美ちゃん)本当に最近ですよね。

(町山智浩)最近ですよ。

(でか美ちゃん)ADHDとかの言葉が一般的にね、知られるようになったのも。

(石山蓮華)そうですね。

(町山智浩)そうそう。すごく色んな脳の事がわかってきて。それは単に問題児じゃなくて、非常に成長の過程である種類の子はそういう風になるんだけれども、最終的には克服できるし、その子には問題ないっていう事になったんですけど。僕の子供の頃は、もうとにかくぶん殴られましたし。特にこの昭和のね初めの頃の1940年頃なんていうのはもう許されない事だったんですね。だってその頃、教育勅語とかやってたんですから。

(でか美ちゃん)そっかぁ。

自由が丘のトモエ学園が引き取ってくれる事に

(町山智浩)そう。直立不動でね、天皇のために命を捧げますて言わされてるような時にさ、授業を妨害するのは許されないですよね。だからね、彼女学校の居場所がなくなっちゃうんですね、黒柳徹子さん。ところがね、東京のね自由が丘にあったトモエ学園という学校が引き取ってくれるんですよ。でね、自由が丘っていうのは元々自由学園っていう自由な学校があってそこからついたんですけど名前が。そのトモエ学園はね、他の学校ではいられなくなっちゃった子達を受け入れてる学校だったんですね。それで、そこはトットちゃんだけじゃなくて、体に障害がある子とか、そういう子達も学校ではいられないので。そこが受け入れてて、みんなで仲良く勉強してた学校なんで。で『窓ぎわのトットちゃん』ってその頃の小学校がものすごく楽しかったと。毎日学校に行きたくてしょうがなくて休みの日まで学校に行ってたっていうぐらいなんですね。

(石山蓮華)いいですね〜!

(でか美ちゃん)うん、いい環境だったんだ。

(町山智浩)先生が大好きで。そこはね、小林先生っていう人が海外で勉強して、子供の自由な育て方というのを実践する所だったんですけどね。みんな一斉に何かをさせるなんて事はもう全然なくて。例えば授業の一環としてお弁当があるんですね。で、お弁当では必ず海のものと山のものをおかずに入れてもらってくださいって言うんですね。そうすると、黒柳徹子さん、トットちゃんはお母さんがでんぶを入れてくるんですよ。ピンクのやつね。このでんぶってなんだろうっていう話になるんですよ。

(石山蓮華)あ〜確かに見た目だけ見ると、あれどっちかなと思いますよね。

子供の自由な育て方というのを実践

(町山智浩)ねぇ。それで”でんぶ”というのは一体どういうものなのか、これは海のものなんだよ、なんで?とか子供達が言って、そこで授業になるんですよ。

(石山蓮華)えーっ、素敵!いいなー!

(でか美ちゃん)楽しいそんな!ねぇ。

(町山智浩)ねぇ。ちくわとか、ちくわって何?みたいな話になるんですよ。で、野菜なんかを見てもこれは一体どういう風に取ってるのみたいな話になって。それでもう授業になるんですよ。

(石山蓮華)いいなー。いい学校ですね。

(でか美ちゃん)素敵だな。

(町山智浩)実はすごく実践的で、本当に知らなければならない事を教えてくれるんですね。ただね、この『窓ぎわのトットちゃん』っていうアニメが、実はすごくアニメ化されるまで紆余曲折して長い時間がかかってるんですけど。これね素晴らしいのとね、今のアニメファンからあまり注目されない理由の1つはね、絵がね、なんていうか、きいちのぬりえのような絵なんですよ。

(でか美ちゃん)ああ〜なんかこう懐かしさのあるというか。

今のアニメファンからあまり注目されない理由

(町山智浩)きいちのぬりえって、たぶんね知らないと思いますけど。

(石山蓮華)なんか表紙は見た事あるんですけど、本当にお人形みたいな人のこう絵で、ほっぺに丸く紅が差してあるような。

(町山智浩)はい。きいちのぬりえは戦後すぐの絵なんですけど、これ元々、戦前の日本の児童書とかの絵の流れなんですね。

(石山蓮華)へ〜。

(町山智浩)で、そのトットちゃんが子供だった頃の絵本の絵に近い絵にしてあるんで、懐かしくもね、すごくかわいくてレトロなんですけど、今の日本のアニメってもうみんななんていうか、ね。いわゆるアニメ絵になってるじゃないすか。

(石山蓮華)そうですね。

(町山智浩)それではね、アニメファンの気はあんまり引かないところがね、あって。いまいち難しいのと、あとやっぱりこのアニメ『窓ぎわのトットちゃん』は完全にそのトットちゃんと同じ小学校1年生から低学年の子供達が楽しめるように作ってあるんですよ。その子達のために作ってあるんですよ。今のアニメってほら、アニメオタクとか向けに作ってあるでしょ?

(でか美ちゃん)まぁなんか、話自体も割と大人向けだなぁとかね。

子供達が楽しめるように作ってある

(石山蓮華)大人が何度も足を運ぶような作品って多いですね。

(でか美ちゃん)だから本当まんまと見に行ってますけどね私は。(笑)

(町山智浩)ただね、大人の視線を一切、殆ど排除していて、子供の目から世の中を見ているんですよ殆ど。で、子供にわからないものはわからない。その代わりトットちゃんの頭の中で起こる事は全部映像化するんですよ。だからこの学校、トモエ学園ではね、電車の使わなくなった車両を教室にしてるんですね。

(石山蓮華)へー楽しいですね。

(町山智浩)楽しそうでしょう。そうすると子供達は教室に座ってるだけで窓から外を見ながら、窓の外が動いていく想像をするんですよ。つまりその汽車が走り出すんですね。そうすると本当にそれがアニメで走り出すんですけれども。これはね絶対にちっちゃいお子さんが見たら本当に楽しくなるんですよ。あのね、『となりのトトロ』っていつ見ました?

(でか美ちゃん)私ちっちゃい時本当に、物心つきだした時点で、あんたもう10回見てるよって言われて。そこからずっと、いまだに定期的に見ます。大好きで。

(石山蓮華)私も。全部セリフを言いながら見るっていう感じでした。

(でか美ちゃん)1番でか美・蓮華世代の真ん中の作品の感じだと思います。

(石山蓮華)ど真ん中ですね。子供の時すごい見ましたね。

(町山智浩)僕のね、うちの娘が初めてトトロを見せた時に、夜にサツキとメイがねトトロにお腹につかまって空を飛ぶシーンがあるんですよ。そこで子供は、うちの娘は走り回りました手を広げて。飛んだ気持ちになって、飛んだ真似したんですね。だからそういう、その子供が本当に映画を見ながら、一緒に飛ぶんだりするような映像として作られてんですよ『窓ぎわのトットちゃん』って。

(石山蓮華)わ〜いいですね!

(町山智浩)アニメオタクのおっさん向けじゃないので。(笑)

(でか美ちゃん)でもその上で結構大人からの評価も高い声は聞こえてます。

小児麻痺の男の子

(町山智浩)あ、それはね、やっぱりしっかり作ってるからなんですよ。でね、原作通りなんですけども。その学校にはトモエ学園には体の弱い子がいるんですね。で、泰明ちゃんという小児麻痺の男の子がいるんですよ。この小児麻痺ってのポリオっていうのも僕が子供の頃にやっとワクチンが始まったんで。だから今の人達は殆ど知らないですよね。

(でか美ちゃん)そうですね。

(石山蓮華)教科書で見る。

(でか美ちゃん)話に聞くやつっていうようなイメージですね。

(町山智浩)僕の頃はね、僕と同じ世代からいなくなるんですけど、僕よりも1つか2つ上の人達は、同じ学校にいて上の学年だったんですけど。やっぱ片方の足だけがものすごくちっちゃかったり、片方の手だけがものすごくちっちゃい人とかいたんですよね普通に。で泰明ちゃんもそういう子なんですけども。この子をね、要するに居場所がないんですよ。はっきり言ってもう日中戦争が始まってますから。兵隊になれない人には価値がないっていう世界なんですよ。

(でか美ちゃん)ん〜そうか。

(町山智浩)で、実際に兵器検査っていうのをして人間の体に点数付けてたんですよその頃。で低い点数の人は、兵役に行けない人は価値がないとされてたんですよ当時は。で、その中で全然そういう風にしないんですね、このトモエ学園は。で、この映画はね、黒柳徹子さん、トットちゃんの想像が次々とすごいファンタジックなアニメになって、本当に子供の頃って、夢と、想像と現実の区別がつかないから。地続きに映像化されてるんですけど。

(石山蓮華)わぁいいなー!

(町山智浩)ねぇ。ただこの映画全編を通しての最大のクライマックスっていうのは、その小児麻痺の泰明ちゃんに木登りをさせてあげるシーンなんですよ。

(石山蓮華)え〜。

(でか美ちゃん)でも、どうやったらっていう感じしますよね。

(町山智浩)そうなんです。トットちゃん、どうやったら泰明ちゃんに木登りができるようにできるだろうっていう事で、色々工夫するんですよ、考えて。でうまくいかなくて。それを延々と、ものすごく丁寧に見せてくんですよね。で、何も起こらないんですよ、木登りさせるだけですよ。でもこれがね、最大のスペクタクルになってるんですよ。

(石山蓮華)はぁ〜子供の世界の1番の、スペクタクルですね。

(町山智浩)だからねたぶんこれはちっちゃい子は見ながら、本当に手に汗を握ってね、頑張れ頑張れって言いながら見るんだと思うんですよ。ここがね、まぁすごいなぁと。志の高いアニメなんだなっていう気がしますね。はい。ただね、完全にちっちゃい子のね、目線でしか作ってないので、わざと。トットちゃんの。だから戦争がどんどんひどくなってくんですよ。でも、一体何が起こってるかは全然説明がないんですよ。トットちゃんわかんないから。

(でか美ちゃん)そうですよね。

(町山智浩)チビちゃんだからね。で、いつもねその自由が丘の駅の改札にいたね切符切りのおじさん。切符切りのおじさんてもうわかんないね。(笑)

(石山蓮華)あの、カチャカチャカチャッ!ていうのを持って・・。

(町山智浩)そうそう。で、いつもトットちゃんに挨拶してくれるおじさんが、ある日いなくなっちゃうんですよ。

(石山蓮華)うわぁ。。

(町山智浩)で女性に変わってるんですね。で、戦場に行ったんですね。あとね、トットちゃんがいつもかわいがってた飼い犬のロッキーという犬が突然いなくなるんですよ。

(石山蓮華)わ〜。

(町山智浩)何の説明もないんです。

(石山蓮華)うわぁつらい。

戦争で街から男性や犬が消えていくが説明はない

(でか美ちゃん)大人が見たらその意味とかもやっぱり読み取れちゃいますけど、今こう聞いただけでも。でもお子さんで見る方は、なんでいなくなったんだろうっていうトットちゃんの体験をこうなぞる感じですよね。

(町山智浩)そうなんですよ。お父さんもお母さんも説明しなかったんですよ。あまりにもひどい事だから。まぁ日本は犬も戦場に連れてったんですよね。みんな戦場で死んだ訳ですけど。あと道端でね、割烹着を着たお母さん達がみんなで集まって、日の丸の旗を振ってバンザイバンザイ!って言ってるんですけど。これも特に説明はないんですが。若い10代の少年達を戦場に送るのに親達が笑顔で送り出してるんですね。バンザイって言いながら。万歳ってね、長く生きるっていう意味ですけどみんな死んじゃうんですよ。でもこれも何の説明もないんです。だからね、本当に子供はね、前半ものすごく楽しんでもうトットちゃんと一緒に走り回る感じで見ると思うんですけど、歌ったり踊ったりね。でも、後半でそういう事がどんどん起こってきて、トットちゃんが本当につらくなってくんですけど、説明がないからたぶん、どうしたの?これは何が起こってるの?ってちっちゃい子は聞くと思うんですね。お父さんやお母さんにね。でもね今のお父さんお母さんもね、90年代生まれ以降でしょう?

(石山蓮華)そうですね。増えて・・。

(でか美ちゃん)そうですね、30前後の。

(町山智浩)ちっちゃい子のお父さんお母さんはね。たぶん聞かれても答えられないんじゃないのかな。

(でか美ちゃん)だってもう自分も知らない世代の話ってなってくると、やっぱ又聞きみたいな言い方しかできなくなってきますしね。どれだけ勉強しててもね。

(町山智浩)そうなんですよね。だから、じゃぁちょっと一緒に調べてみようねと。お子さんに聞かれたらね、お父さんお母さんは一緒に勉強するのがいいと思うんですよね。

(石山蓮華)そうですね。

(町山智浩)でね、僕が1番つらかったのはね、見ていてつらかったのはね、食べ物がどんどんなくなってね、トットちゃんがね、お腹すいた!って泣くところなんですよ。子供がね、ちっちゃい子がねお腹すいたって泣くほどね、つらい事ってないですよ。だから、そんな国には日本は2度とならないと思ったら今なってますけどね。子供食堂とかで民間でご飯をあげないと食べられない子達が増えてて。これが現実になっちゃうのというのは恐怖としか言いようがないですけどね。でね、ちょっと今日はクリスマスだったんで、カトリックの総本山のローマでね、バチカンでね、ローマ教皇のフランシスさんの挨拶があったんですよ。今クリスマスですけども、まさにそのクリスマスのね、ジーザス・クライスト、イエス・キリストが生まれた場所で、今毎日ものすごい数の子供が殺されてるんですと。おかしいでしょう?

(石山蓮華)うん、ひどいですよね。

(町山智浩)キリストが生まれた事をお祀りする日に、子供が殺されてんですよ、その場所で。で、そのフランシスさんは、今パレスチナで死んでいく子達はみんな、ちっちゃなキリストなんですよと。キリストと同じなんですよと。言ったんですけど。これが現実なんでね。今トットちゃんをなんでアニメにする必要があるのか、なんで見なきゃいけないのかって思ってる人も多いと思うんですが、全くこういう時代になっちゃったんですよ。また。

(石山蓮華)なんか今、本当にこう見るべき1本ですね。

(町山智浩)はい。で、まだ映画館でやってると思いますんで、是非追っかけて、できればちっちゃいお子さんと一緒に見ていただけるといいなと思います。

(石山蓮華)はい、ありがとうございました。今日は全国東宝系にて公開中の映画、『窓ぎわのトットちゃん』をご紹介いただきました。

■後日談

(石山蓮華)前回、あの昨年12月26日は、黒柳徹子さんのベストセラーを原作にした『窓ぎわのトットちゃん』をご紹介いただきまして、でか美さんも、え〜私石山も。見てきました。

(町山智浩)あ、どうでした?

(でか美ちゃん)よかったぁ!

(石山蓮華)よかったですね〜本当に。私自身も結構、その気が散りやすいというか、ぼーっと。

(町山智浩)トットちゃん系の人?(笑)

(石山蓮華)そうなんです。トットちゃん系の実際人間なんですけれども。そういう子供が、どういう風に世界を見るかっていうのを大人になってから忘れていた部分がすごくたくさんあったんですが、改めてそのダイナミックなアニメーションの力でそれを見せてもらって。すごくなんだかよかったなっていうのと、あとまさかたまの石川浩司さんが声優としてご出演されてるとは。

(でか美ちゃん)ね!最後のクレジットびっくりした!

(町山智浩)ねぇ、びっくりしますね。

(石山蓮華)嬉しくなりました。

(町山智浩)ランニングの人ですね。

(石山蓮華)そうなんですよ〜。切符を切る係の方で出てらっしゃいましたね。

(でか美ちゃん)で私も見て、町山さんが解説してくださった通り、戦争が始まってしまうってなった時に、子供視点で描かれてるから、具体的に何かという訳じゃないんだけど、大人が見るとその意味がわかる。という描写を見た時に、いかに生きてるっていう事がどれほど尊いかっていう、このなんかメッセージの強さをこの描き方でできるっていうのは、ちょっとすごい事だなと思ったし、それはやっぱり黒柳さんの、なんというか語り部としての原作があったからだなって思って。だから見てよかったという思いと、見終わった後に、直接伝えてくれる世代が、ここからいなくなっていく。で、今のこの社会が全然その戦争が世界で起きてるっていう事に対してもっと本当に危機感を持たないとダメだと思いましたね。

(町山智浩)全くそうですよね。

(でか美ちゃん)それはすごくこう考えましたし、自分が何ができるんだろうって思った時に、戦争に加担しているような、加担している形になってる企業のものを買わないとかしか今はできないんだけど、というような事をすごく思いましたね。

(町山智浩)本当にね、子供の視点からっていうだけでもなくて。本当に説明を省いてるから、途中でお父さんいなくなっちゃうんですよね、トットちゃんの。

(石山蓮華)そうなんです。

(でか美ちゃん)とかね、ワンちゃんとか、街の男性達がね、いなくなったりとかするんですよね。

(町山智浩)はい。それもなんでかっていうのはたぶん子供達も・・あのトットちゃんのパパどうなったのってね、映画見終わったらお母さんとかに聞くと思うんですけど、そうしたらやっぱりね、お母さん達はちょっと説明してあげてほしいんですよね、男の人達はみんな戦争に連れてかれたんだっていう事をね。ワンちゃんまで。

(石山蓮華)切ないですね。

(でか美ちゃん)あとそうだ、見て思ったのは、どこまでネタバレを言っていいのかわからないですけど、仲良かった子との思い出がババババッて流れる時に、ストーリーの中で描かれてなかった場面もたくさん出てきて。やっぱ作品見る時って、その作品が全てで見ちゃいがちなんですけど、生きてる人間ってそのトピックの部分だけじゃないじゃないですか。生きてる時間が。本当にその1秒ずつ、毎日生きてて、ていう人が戦争とか病気とかそういうので亡くなってしまうっていう事のつらさって言うのを、描いてない場面を見せる事ですごく私は感じて。うっとなりました。すごく必要なシーンだけど、とても悲しかったなっていうね、感じがありましたね。

(町山智浩)ちょうど僕が作品を紹介した日に、Twitterでね。中川翔子さん、タレントのね。の、おばあさんの従兄弟が、この中で出てくる泰明ちゃんという小児麻痺の男の子の従兄弟だったっていう情報が上がってましたね。

(でか美ちゃん)へ〜そうなんだ。

(町山智浩)で、この映画『トットちゃん』のおかげで、幼くして死んだ泰明ちゃんっていう人がまぁ実際にいたんだっていう事が歴史に刻まれてよかったみたいな事が書かれてましたね。

(石山蓮華)そうなんですね。

(町山智浩)これね、なんで亡くなったか。全然説明がないんですけど、小児麻痺の人の多くがね、呼吸困難で亡くなってるんですよ当時。あの呼吸ができなくなっちゃうんですよ。でね、その頃は鉄の肺っていうものすごい機械が発明されて、もう強制呼吸をさせる事で生き延びたんですけど。それは、運ぶだけでも大変だし、まぁ全然普及しなくて。1960年代ぐらいにやっと各地にできたっていうぐらいに遅れたんで。まぁ多くのお子さんがですね、小児麻痺でそれ亡くなっちゃったんですよね。でもそれもね、全然が説明がないので。色々調べると色んな事がわかってタメになる映画だと思います。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

②全世界で史上最も売れた自伝で、2511万8362部のギネス記録

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