ソウルの春の町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『ソウルの春』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『ソウルの春』解説レビューの概要
①韓国軍が2つに分かれ内戦寸前に突入したある一夜の事を描いた実力軍事アクション映画
②出演者全員軍人
③チョン・ドゥグァン大統領と1人の正義の軍人の対決を描く
④韓国映画は政治的な事実を次々と映画化
⑤ファン・ジョンミンとチョン・ウソンは映画『アシュラ』に続き2度目の対決
⑥チョン・ドゥグァンは少将だった
⑦独裁者パク・チョンヒ亡き後も軍事政権を続けようとした
⑧○○○状態の危機に
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『ソウルの春』町山さんの評価とは
(町山智浩)今日、ご紹介する映画の主人公も死刑判決を食らってる人ですよ。
(石山蓮華)あ、そうなんですね。
はい。今日紹介する映画はですね、来週8月23日に日本公開される、『ソウルの春』という韓国映画を紹介します。
〜音楽〜
(町山智浩)はい。もうこの音楽はね、もう本当にミリタリー。軍隊って感じの音楽なんですけど、『ソウルの春』ってタイトルだとね。ほのぼのとしたね、あの北国の春みたいなね。お花が咲いて蝶々が飛んでみたいに感じますけど。
(でか美ちゃん)感じます。
(町山智浩)そんな内容じゃないですこれは。
(石山蓮華)なんかポスター真逆の印象ですね。
(でか美ちゃん)確かに。(笑)
韓国軍が2つに分かれ内戦寸前に突入したある一夜の事を描いた実力軍事アクション映画
(町山智浩)全く逆ですよ。ソウルで、あの韓国軍が2つに分かれてですね、内戦寸前に突入したある一夜の事を描いた、実力軍事アクション映画です。はい。うん、どこがソウルの春なんだって思いますけど!(笑)これはですね、実際にあった事件で1979年のですね、パク・チョンヒ大統領という、まぁ軍事独裁政権の独裁者がいたんですけれど。彼がですね、自分の右腕だったKCIAの局長に暗殺されるという事件が起こりました。はい。それで独裁者が死んだという事で、韓国全土にはですね、初めて民主的な社会が来るんだと。いう事で民主化運動が高まっていったんですね。これをソウルの春と呼んだんです実際は。だからソウルの春ってタイトルだと詳しい人は、あ、あの民主化運動についての映画なのかなと思うんですけど、違います。はい。
この映画ね、民主化どころかですね、民間人は殆ど出てきません!
(でか美ちゃん)え?ほう。
(町山智浩)10人も出ないと思います民間人は。
(でか美ちゃん)えぇ。
出演者全員軍人
(町山智浩)はい。全員軍人です!出演者全員軍人。(笑)はい。そのね、まぁ大統領が亡くなって、民主主義的な議会政治にね、普通の民主選挙に移行するかと思われたら、それを則ってですね、軍人クーデターを起こして、再び軍事政権を自立してしまった軍人がいたんですね。
(石山蓮華)えー!はい。
(町山智浩)それはチョン・ドゥグァンという人で、チョン・ドゥグァン大統領という政権、まぁもう掴むんですけど、その時にそれを最後まで、彼と戦って、韓国が再び軍事政権に落ちるのを防ごうとしたもう1人の正義の軍人がいたんですよ。その2人の対決を描きます!
(石山蓮華)ほあ〜。
(町山智浩)これはねすごい映画で。あの韓国映画は本当に政治的な事実を次々と映画化していくんですけども、これがこう劇映画で真正面から描かれたのはこれが結構最高峰で大ヒットしてますね。これね、チョン・ドゥグァンを演じるのはファン・ジョンミンという俳優さんで、今回あの頭剃って、あのまぁハゲ頭になってますけど、この人ね、とにかく韓国では本当にもう名優の1人ですけど、松重豊さんに似てます。
(でか美ちゃん)あぁ。なんか似てるというかね、持つオーラはなんか言わんとしてる事は分かるような。
(町山智浩)顔の感じはソックリなんですが、松重さんは頭の中で色々考えても口に出さないでグルメ食べてるじゃないですか。
(でか美ちゃん)あれがまたいいというね。
(石山蓮華)そうですね。
(町山智浩)ファン・ジョンミンはベラベラベラベラ喋りまくる口から生まれてきたような男ですね!はい。演じるのはいつもものすごい、その口から出まかせで、人を配していく怖い役をよく演じてる人ですけど。で、それと対決する正義の軍人を演じるのはチョン・ウソンさんという人ですね。この人はイケメンです!この人はね、イ・テシンという役を演じてますが、これは実際の軍人で、最後まで戦った人がいまして、その人がモデルなんですが、あまりにも俳優をチョン・ウソンさんというイケメンにしてしまった為にですね、似てないんで名前を役名を変えてますね。(笑)
(でか美ちゃん)へ〜そんな事情。
(石山蓮華)そんな事が。
(町山智浩)やっぱりね、知ってる人は、「似てねぇじゃねぇかよ」って。
(でか美ちゃん)気が散る要素になっちゃうから変えてるんですか。
(町山智浩)イケメンすぎるから違う名前にした方がいいんじゃないか。(笑)
(でか美ちゃん)別にいいじゃんと思うけどね。
(石山蓮華)映画化って、そういうものかなと思っちゃった。
ファン・ジョンミンとチョン・ウソンは2度目の対決
(町山智浩)それはあると思いますよ。はい。でこの2人は実はね2度目の対決です。ファン・ジョンミンとチョン・ウソンはその前に『アシュラ』という映画で激突してるんですが、アシュラはね、韓国ノワール史に残る大傑作映画なんですよ。
韓国ノワール好きだったら絶対みんな『アシュラ』好きなんですね。これはファン・ジョンミンがやはり政治家。あの口から先に生まれてきたみたいな政治家の役を演じてまして、チョン・ウソンさんが刑事なんですけど、奥さんが病気になってしまってお金に困って、その悪徳政治家のファン・ジョンミンに操られて汚い事ばっかりをしている、まぁ汚れた刑事の役をやってます。はい。で徹底的にコントロールされて踏みにじられていくんですが、とうとう意を決してですね、この悪徳政治家ファン・ジョンミンにチョン・ウソンは立ち向かうという映画が『アシュラ』なんですね。これ大ヒットしましてですね、もう1回あの2人の対決が見たいと。いう世界中の映画ファンが言ってて、とうとう『ソウルの春』が作られたんですが。監督は同じ人なんですよどっちも。キム・ソンスさんって人が『アシュラ』に続き、『ソウルの春』を監督しています。
で裏の事情みたいな、なんでこんなね、クーデターが実際起こったかっていう事を知りたい人も多いと思うんですけども。これまずパク・チョンヒ大統領って人は元々クーデターを起こして独裁者、韓国の大統領になった人なんですよね。でその時のクーデタ仲間がKCIAの長官の、キム・ジェギュって人だったんですが、元々士官学校の頃から仲が良くて、”テグッパ”と言われるグループを作って。で、KCIAって言うのはKCIAっていう名前でなんかあのちょっと情報局のような気がしますけども、実際にやったのは政治的工作でですね、暗殺とかですね。あとまぁ軍事政権に反対する人達を拉致して拷問するとか、そういう事をしていた秘密警察だったんですよ。で汚い仕事、はっきり言って暗殺なんて汚い仕事の極みなんですけど、それを散々やらされてきたそのキム・ジェギュが、そこまで一生懸命尽くしてきたのに裏切られた!と思って、そのパク・チョンヒ大統領を射殺しちゃったんですね。でこれはね、すでに映画になってて、最近映画になってますが。『KCIA 南山の部長たち』というタイトルで映画化されて、日本でも見れます。暗殺の過程が分かります。で、そのパク・チョンヒ大統領が殺されたから、空白になる訳ですよ、席がね。
このまま議会選民主義に移行するといいなと思ってたら、これがチャンスと思ったのがチョン・ドゥグァンなんですね。チョン・ドゥグァンて人はその時少将だったんですよ。
(石山蓮華)少将・・?
(町山智浩)少将というのは、あの将軍の中でも1番下です。
(石山蓮華)うんうん。
(町山智浩)で、大将が1番上ですね。
(でか美ちゃん)あ、大将とかの少将か。はいはい。
チョン・ドゥグァンは少将だった
(町山智浩)はい。そう大将中将小将って、大中小ってある訳ですよ。あの松竹梅みたいなもんですよ。1番格下なんですよ。少将って。それなのにいきなり上全部吹っ飛ばして大腸料になっちゃったんですよ。
(石山蓮華)えぇ〜。なんかよくそんな事できましたね。
(でか美ちゃん)ね。それで国は成立するの?って。
(町山智浩)いや成立しませんでしたよ。(笑)
(でか美ちゃん)まぁそっかそっか、そういう事ですもんね。
(町山智浩)はい。でもどうしてそんな事ができましたかと言いますとですね。上の方に1番トップがいる訳ですね、陸軍のトップ。軍隊の1番トップは大将がやってる訳ですよ。大将軍ですね。その人に、パク・チョンヒ大統領暗殺の黒幕だっていう濡れ衣を着せて逮捕したんですよ。
(石山蓮華)えー!
(でか美ちゃん)うわぁ!
(町山智浩)うわぁですよ。
(でか美ちゃん)わるぅ!引いちゃった。
(町山智浩)でもそんな事って普通いきなりできないじゃないですか。
(でか美ちゃん)はい。
チョン・ドゥグァンの根回し
(町山智浩)根回しをすごくしてて、それこそ士官学校時代からの友達を、チョン・ドゥグァンは少しずつ集めてて、花会という秘密結社を軍隊内に作ってたんですよ。自分よりも下の少将とか準将とかの幹部を全部、今度俺が何かやったら全部ついてこいよ!っていうね。なんていうかね、まぁヤクザみたいなね、あの番長グループみたいなね、そこで盃をかわしたりして、どんどん仲間を増やしてったんですよ。今度俺はでかい事やるからと。で、お前ら絶対俺についてこいと。
それを俺達よりも上官が何人もいると。でもそれは全部蹴散らすからと。言ってずーっと寝回ししたんですよ。で、この大将も実はそれを知ってたんですよ。これはやばいと。あいつなんかやろうとしてると。いう事で、首都ソウルを取られたら困るという事で、チャン・テワンというやっぱり少将の人を首都警備司令官、首都警備隊の隊長にするんですね。で、そのチャン・テワンっていう人はものすごい軍人の中の軍人で歴戦の勇志でですね。もう絶対にその正義を守るというまぁ軍人の塊みたいな人だったんですよ。で、やっぱり彼、任されたんで大将から。私はねソウルを守り抜きますと。言って、着任するんですね。このチャン・テワンって人が、今回のイ少将の元になってる、あのチョン・ウソンのキャラクターの元になってる実際の人物なんですね。クーデタを起こして、その大将。軍のトップをまずこのチョン・ドゥグァンが逮捕しようとするんですが、そうすると今度大統領がいる訳ですよ実は。大統領は死んだけれど、首相が大統領の代行をやってるんですね。で今度は彼を監禁する。
(石山蓮華)えー!すごい実力行使というか。
(町山智浩)そうなんですよ。で、それは大統領の周りの補佐官とか警備隊がいた訳ですがそれも彼が手回しして自分の仲間に組み入れてたんですよ。それで、でもさっき言ったみたいに首都。首都内、ソウル内を警備するのは、彼の側に寝返ってない、そのチャン・テワンさんだったんです。まぁ映画内ではややこしいからイ・テシンさんという将軍になってますけど、だから役名で言おう俳優の。俳優名で言うとチョン・ウソンさんがソウルを仕切ってるんですが、ソウルの中心部の国防省とか大統領は、あのチョン・ドゥグァンが抑えちゃうんですよ。
(石山蓮華)あ〜。
(町山智浩)ところがそのソウル市内にいる軍隊は全部、その首都防衛隊のイ・テシンさんが抑えてるんですね、チョン・ウソンさんが。
(でか美ちゃん)はいはいはいはい。
(町山智浩)ところが、ソウルの外側にいる軍隊はファン・ジョンミン扮するチョン・ドゥグァンが抑えてる訳ですよ。
(石山蓮華)うわぁ〜!どうなっちゃうんだよ。
(町山智浩)どうなるのって話。
(でか美ちゃん)なんか一周回ってなんかボードゲームの話聞いてるみたいな。(笑)
(石山蓮華)そうですね。
(町山智浩)全くそう。
(でか美ちゃん)そんな事がだってあったんですもんね。
(町山智浩)本当にね、あの途中で囲碁をするシーンがあるんですね。
(石山蓮華)はいはいはい。
(町山智浩)囲碁ってほら囲んでいくゲームじゃないですか。
(石山蓮華)そうですね。
囲碁のシーン
(町山智浩)囲んで逆転するじゃないですか。このチョン・ドゥグァンがその囲碁をしながら、囲碁っていうのはこうやって負けてるように見えるだろうと。ところが1つここに石を置くだけで全部逆転するんだと。オセロもそうですが。(笑)それを俺は狙ってるんだと。で要するに彼は、チョン・ドゥグァンは、その少将とか準将は仲間に入れてるんだけど、その下は別に抑えてない訳ですよ。で人数的には全体で韓国軍、それこそ何10万人いるけども、おさえてるのはそれこそ数十人ですよ。彼が抑えてるのは。その数十人の、そのチョン・ドゥグァン側だけで軍隊全部乗っとろうとしてる訳ですよ。で、最初はそのチョン・ウソン扮するそのイ・テシンは、チョン・ドゥグァンの反乱だって言うんですよ。で、あいつらを反乱させないで捕まえるんだって言うんですけど、末端の軍人達は一体何が起こってるかわからない訳ですよ。
(でか美ちゃん)そうですよね。
(町山智浩)で、チョン・ドゥグァンの方からも、いや我々は、軍隊内にいる反乱軍を取り締まってこの軍を制圧しようとしているんだと。だから私に味方しろっていう訳ですよ。
(石山蓮華)えぇ〜。
(町山智浩)そうする、首都防衛隊が「あれは嘘だ」と。あいつら軍事分断起こして韓国を乗っ取ろうとしてると。両方の無線が来ちゃうんですよ。
(石山蓮華)うわぁ〜そんなぁ。
(町山智浩)どっちだよ!っていうね。
(石山蓮華)どっちだよぉ!ってなっちゃますよね。
(町山智浩)どうすりゃいいの俺たちっていうね。またすごい空挺部隊というのが韓国にはありまして。空挺部隊っていうのはだから特殊部隊ですね一種のね。だから自衛隊にもありますけど、もう超精鋭の陸戦隊で、まぁなんていうかねスーパー兵士が集まってるような部隊ですよ。世界中どこも空挺はそうなんですが、それを動かすんですよ。あれを、彼ら空挺をソウルに突入させるって言うんですよ。それで首都警備隊を蹴散らすんだって言うんですけど、すると首都警備隊が、じゃあ38度線に常備されてて、北朝鮮と向かい合ってる軍隊をソウルに呼び戻そうと。で空挺とぶつけるんだって事になるんですよ。
これ大内戦状態になりますよこれ。
(石山蓮華)そうですよね。
大内戦状態の危機に
(町山智浩)これね、1979年12月12日のたった一晩に起こった出来事なんですよ。
(でか美ちゃん)へぇ〜!
(町山智浩)だから韓国のその普通の人達はこんな事が起こってたって知らなかったんですよ。内戦に突入する寸前だったんです韓国は。すごい感じで・・ところがね、やってるうちにどんどんどんどん少しずつね情勢が変わってくる訳ですよ。最初は圧倒的に数はそのチョン・ドゥグァンの方が少ない訳ですよね。
(石山蓮華)はいはい。
(町山智浩)それがだんだん、いや、どうもあいつが政権取りそうだ、どうも軍隊を掌握しそうだと。で、あいつらがやってる事は悪い事だって分かってるけども、ここで逆らい続けたら俺達が逆速になってしまう、俺達の方が悪にされてしまうから、分かってるけど彼ら味方しようって人が増えてくるんですよ。それは軍人の中にもいるし、政治家の中にもいるし。生き延びたいから。セリフの中でも出てくるんですけど、分かってくれと。これが悪だって事は分かってると。君がやってる事は正義だって事は分かってるけど俺には子供がいるんだって言う軍人もいる訳ですよ。家族がいるんだ。ね。わかってくれとと。悪と分かっててもそっちにつかざるをえない時があるんだ、生活があるんだって。で、どんどんそのクーデター側に寝返っていくんですよ。でもこのイ・テシンさん、首都防衛隊の隊長は戦い続けるんです。最後の1人になっても戦うんだと。これすごいドラマですよこれ。
(石山蓮華)いやぁものすごいもう、色んなパワーがこうぶつかり合って、色んな人がこう色々な方向に引き裂かれていくような。話を聞いただけで、えぇ。
(町山智浩)みんな引き裂かれていくんですよ。韓国軍の中で。でね、やっぱりこのチョン・ドゥグァンて人はね、あのとんでもない博打をした訳ですよ。圧倒的に最初勝てない状態だったのに、ハッタリにつぐハッタリで、このファン・ジョンミンさんの名演技でね。本当に何度も途中で彼が逮捕されそうになるんですよ、反乱軍として。でもその度にね、ハッタリかまして口八丁手八丁でその場を切り抜けてくんですよ。
(石山蓮華)うわあ〜。
(町山智浩)これは才能だなと思いましたけど。(笑)
(石山蓮華)見たい。
チョン・ドゥグァンは数々の修羅場を切り抜けていく
(町山智浩)チョン・ドゥグァン大統領はですね、まぁその後大統領になるんですけど、何をしたかって言うと1980年に、あの光州大虐殺事件というのを起こすんですね。光州での反チョン・ドゥグァン政権に対する運動を空挺で潰してまして大虐殺をして、大変な事件になるんですけど、それは映画になっていまして『タクシー運転手』という映画になってます。これ大傑作ですから、是非ご覧ください。
1人のタクシー運転手が・・その秘密裏にその光州で虐殺をしてたんですね。メディアを全部コントロールして、メディアに報道させないでやってたんですけど、それを暴いたタクシー運転手の物語、実話です。
(でか美ちゃん)へぇ!
(町山智浩)でチョン・ドゥグァン自体は、まぁこれだけひどい事やりましたから、最終的に政権は崩壊するんですけど。その政権崩壊のキッカケになったのは1987年の民主化運動なんですね。『1987、ある闘いの真実』という映画があります。それはこの軍事独裁政権に対して韓国中でですね、最初は学生運動だけだったんですが、それに反発してたような普通の人達もみんな立ち上がって、何百万人の人がデモに参加して、ついにですね独裁政権が崩壊すると。いう事が実際に韓国でありました。革命です。本当に。これはね『1987、ある闘いの真実』ですごく詳しくですね群像劇として描かれてるので是非ご覧ください。
で、チョン・ドゥグァンはまぁこれだけ悪い事しましたから。ねぇ。最終的には死刑判決受けます!
(でか美ちゃん)あぁなるほど。
(町山智浩)はい。で、今この『ソウルの春』のメンバーで、『ソウルの春』のチームがある訳ですが、『アシュラ』に続いてこのチョン・ドゥグァン有罪裁判を映画化しようとしてるそうです。
(でか美ちゃん)おお〜。いやなんか1個作品見たら、色々見たくなりそうですねこれは。
(町山智浩)どれもね徹底的なエンターテインメント。ものすごく面白いんですどれも。こんなに面白くていいのっていうね気がします。このこれだけの内容で人もものすごく死んでるけど、もう本当に笑っちゃうほど面白いんですよ。
(町山智浩)これは才能だなと思いましたけど。(笑)
(石山蓮華)政治的なその歴史と、エンタメを両立させられる力って本当にすごいですね。
(でか美ちゃん)すごい。
(町山智浩)すごいんです。圧倒的にすごいんですよ。はい。で、まぁそれはチョン・ウソンていうこの俳優さんね、最後まで戦う軍人を演じた、彼自身がこう言ってるんですけど、とにかく国民は考えなければいけないと。政治について。考えない国民は、独裁者の財産になるんだと言ってる人なんですね。つまり考えない国民が多ければ多いほど、独裁者が特するんだと。でも考える。じゃぁどうやって考えるか。面白く考えるって事ですね韓国映画は。
(でか美ちゃん)なるほど。
考えない国民は、独裁者の財産になる
(町山智浩)圧倒的な面白さでね、見てる間ね、やっぱり実際の実話だから結末分かってるんですよ、はっきり言ってどれも。結末が分かってるものこれだけハラハラさせて、面白くするって力はものすごいです。
(石山蓮華)はい。これは必見ですね。
(でか美ちゃん)必見です。
(石山蓮華)今日は来週8月23日公開、『ソウルの春』をご紹介いただきました。町山さんありがとうございました!
(町山智浩)どもでした!
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
⑧大内戦状態の危機に