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どうすればよかったか?の町山智浩さんの解説レビュー

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2025年02月17日更新
あるドキュメンタリー映画作家がいてこの映画の監督なんですが、藤野知明さんっていう人がいるんですが、その人のお姉さんがですね。20代の大学時代に統合失調症になって、その後ですね25年間、家に監禁されていたという話なんですね。ドキュメンタリーです。これ実話です。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『どうすればよかったか?』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『どうすればよかったか?』解説レビューの概要

①監督の姉が統合失調症になり25年間家に監禁されていた
②それを撮ったドキュメンタリー実話
③両親が娘の統合失調症を認めず、家に閉じ込めてしまう
④両親の職業は○○
⑤救いのない暗すぎる映画ではないのでご安心を

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

映画『どうすればよかったか?』町山さんの評価とは

(町山智浩)今日はですね。『どうすればよかったか?』という映画を紹介します。はい。

はい。今かかってるのは、ビートルズの『Eleanor Rigby』という曲なんですが、ビートルズをかけた理由というのは後で話しますけども、これはですね、あるドキュメンタリー映画作家がいてこの映画の監督なんですが、藤野知明さんっていう人がいるんですが、その人のお姉さんがですね。20代の大学時代に統合失調症になって、その後ですね25年間、家に監禁されていたという話なんですね。ドキュメンタリーです。これ実話です。で、最初、10年以上監禁された状態で、ご両親にですね。それでこの藤野さんが途中からビデオカメラを家の中に入れて、それを記録し始めたという内容なんですよ。で、これまぁ統合失調症といういわゆる精神の病についての映画なんで僕もすごく変な事を言わないように緊張しながら話してますけど。どうしてこういう問題で緊張するかっていうとやっぱり差別があるからなんですよね。

(でか美ちゃん)そうですね。

(町山智浩)で、このご両親は、明らかに統合失調症に長女がなったという事がわかって。病院に行くんですが、引き取っちゃうんですよ家に。で、医者からは何でもないと言われたという風にこの監督に説明するんですが、どうもそれもちょっと信用できないんですね。このご両親は、娘さんが統合失調症になったという事を認めたくなくて、それをずーっと否定し続けて家に閉じ込めてしまうんですよ。

(でか美ちゃん)あぁ。。

統合失調症とは

(町山智浩)で、まず統合失調症とは何かって話をちょこっとしますけども、僕の専門じゃないので、間違った事を言わないように気をつけながら話しますが。統合を失調するという事の言葉に理由があってですね。人間色んな意識とか記憶とか色んなものがあって、それをコントロールしてる訳ですね、統合という形で。で、それはやっぱりある・・行動をしている訳ですよ脳の中で。ところがそれができなくなるという病気なんですね。そうすると、例えば自分の中で妄想したものが現実となって意識されちゃう訳ですよ。そうすると、例えばですけど、人間誰でもちょっとした想像をしたり、不安なものを想像したりしますけど、それが現実として認識されちゃったらどうなるか。いわゆる幻聴とか幻視みたいなものになる訳ですよ。幻臭とか色んなものがあるらしいですけど。こんな事になったら嫌だなと思う事が現実として意識されちゃうんですよ。

で、典型的な例は、テレビが私の悪口を言っている。近所の人達が私の悪口を言っていると。そういうまぁ妄想で非常に暴れるようになったり、色んな問題を起こしてしまう。ないしは、普通に生活ができなくなると。いう病気なんですね。で、原因は脳の機能にあるという事は分かっているんですけども、具体的に何が引き起こすかって事は分かってないんですね、まだ。ただこれはすごく昔からある一定数、いるようなものであって、珍しいものではないと。この病気は。で、人口の0.7%ぐらいはどこにでもいると。だから100人に1人ぐらいは統合失調症の人がいるものなので、まぁ誰でも知り合いにはいるんですね。知り合いの知り合いとか。知り合いの家庭にいるとか。100人に1人だと、たぶん知らなくても実は身の回りにいる事になりますね。

(石山蓮華)はい。

(町山智浩)ところが、その非常に精神病に関しては非常に差別があるので、日本に限らず世界中ですけれども。なかなか言えない。で、そういう風に診断されても、このご両親のようにそれを隠してしまう人もいると。で、このご両親はどういう人かっていうと医者です。

(石山蓮華)うーん、じゃぁ専門家。。まぁでもその、えぇ精神科の専門家ではないかもしれないけど、その・・。

(町山智浩)そうなんです。

両親の職業は医者、研究医

(でか美ちゃん)ね、病気かもしれないってなった時に適切な医療とか適切な施設に繋がる事が1番最適だって1番わかってるはずなのにっていう事ですよね。

(町山智浩)その通りなんですよ。医者と言ってもこの2人は研究医なんで。なんか細胞の研究をしてる人達なんですね。で2人ともすごいエリートで、ドイツのハイデルベルクに研究に行ったりしてるような人達なんですよ。で、その頃まぁ娘さんも行ってですね、娘さんも学校の成績が非常に良くて、両親のように医学者になる事を目指していて医学部まで行ってるんですね。ところがその医者になる勉強してる最中に発病をするんですよ。でその後ずっと家に鍵をかけて外に出ないようにしちゃうんです。で、そういう事は実は昔よく行われていて、たぶん近代精神医学っていうものが確立される前は、そういう発病をした場合に、まぁお金持ちなんかがそうだったんですけど土蔵とかに閉じ込めたり、座敷牢に閉じ込めていた事がありましたね。でもそれは近代以前の話なのに。

(でか美ちゃん)そうですよね。

(町山智浩)科学者である両親がそれをやってしまったんですよ。で、もちろん薬も与えてないんですね。病気である事を否定してしまったので。ご両親が。で、この息子さんは、8歳ぐらい歳がそのお姉さんから離れて、下でね。で、ちっちゃい頃ものすごいかわいがってもらったらしいんですよ。お姉ちゃんに。だからお姉ちゃんがそうなってしまったんでなんとか救いたいと。でも両親が話を聞かないんですよ。病気だという事も認めないし。

で、お医者さんに連れてった方がいいよと。と言う訳ですけども、まぁ否定して。だからビデオを撮ってですね。本当は彼自身はドキュメンタリー作家で、これ北海道が舞台なんですけどもね。で、アイヌの人達の色んな記録をしている人なんですが。で、この監督はですね。密かに、なんというか映画を撮ってるとは言わないで、色んな事を言いながら、「カメラの練習をしてるんだ」とか言いながら、この家を撮り続けるんですよ。自分の家族を。s

(でか美ちゃん)へぇ〜。そう、どう撮ってたんだろうとそれが1番思ったんで。

(町山智浩)そうなんです。映画とは言ってないんです。

(でか美ちゃん)でもまぁ嘘じゃないみたいなギリギリのラインですよね、そのカメラの練習とかも練習っちゃ練習だろうし。なるほどな。

(町山智浩)そうなんですよ。でね、これを見ていて思うのは、薬をじゃぁ与えたらどうなるのかっていう事なんですよ。実は、統合失調症って薬がちゃんとあるんですよ。

(石山蓮華)あ、そうなんですね。

(町山智浩)不知の病とかでも何でもないんですね。

(でか美ちゃん)合う合わないとかはね、個人差もちろんあるとは思いますけど。

統合失調症は不治の病ではない

(町山智浩)それもあるんですけど。要するに、考えがまとまらないっていうのはある物質が脳内で出てしまって、その考えを抑える事ができないという事なんですね。で、人間誰でも、そういう考えは出てくるんだけど、それをある程度抑えてる訳ですが。それが抑えられなくなるから、ある物質によって。その物質の分泌を抑えるという薬があって。それである程度コントロールできるんですね。ですごくうまくいっている場合にはある程度の社会復帰ができたりするんですよ。でもそれを25年間与えなかった。

(でか美ちゃん)ねぇ。だいぶだからそのお姉さんはね、そのやっぱりこの幻覚とか幻視とか妄想とかが症状として出る場合とか、そういう瞬間もたくさんあったと思うので、そこの世界と現実とを両方生きるのがつらいってよく聞くんですよ。現実に戻ってこない訳ではない人の方が多いというか。だからそこから救われずにずっと閉じ込められてたっていうのはちょっとね、想像を絶するものがあるなと思いますね。

(町山智浩)これね、お母さんも一緒に閉じこもってるんですよ。

(でか美ちゃん)そうか、閉じ込めるって事は世話しなきゃいけないっていう意味でもある・・ですもんね。

母は認知症が始まり、父は脳梗塞に

(町山智浩)それでお母さんも。。これご両親は80歳を過ぎているんですけれども、お母さんもその娘の妄想を共有するようになってくるんですよ。認知症が始まってしまって。で、お父さんの方は脳梗塞になってしまいます。要するにこの娘さんを守ってずっと来てたんですけど、それもできなくなってくるんですよ。これどうなるのって思いますよね。この映画ね。で見ててどうしてもね連想してしまう事が1つあって。舞台が北海道で。親が医者。で娘さんが精神を病むというと、どうしても今非常に裁判とか話題になっているすすきのの殺人事件をどうしても連想してしまうんですが。そちらの方は実際に精神病なのかどうかというその、責任能力あるかどうかという事が争われていて、統合失調症ではないんですが。

(でか美ちゃん)まだ何も名言されてはないですよね。

(町山智浩)はい。ただ、共通する部分っていうのは親が医者で、それであっちの方は、すすきのの方は精神科医なんですねお父さん。で非常に豊かな生活をしていて。このね藤野さんのお宅もすごい立派な一軒家なんですよ。お金があって。でご両親はエリートで。それでかえってこんな事になってしまうという。これはおそらくは、ある種のプライド。インテリでエリートのプライドが、自分の娘が病気であるという事を認めなかった。のではないかと。

(でか美ちゃん)子を愛するあまりに才能を信じてたりとか、元々健康だった時の状態に戻ってほしいとう気持ちが強かったらまぁ病院に行くべきなんですけど、本来は。その姿を信じちゃうとこうね。誤った判断を取っちゃったりするんですかね。そういうパターンもあるというかね。

(町山智浩)だからこの監督はこの『どうすればよかったか?』というタイトルをつけてる通りどうすればよかったかという事を問い続けていく映画なんですね。

(でか美ちゃん)私この映画、CMというか最初に発表されて、SNSで色々話題になっていた時に、前もチラッと町山さんにも話したと思うんですけど、うちのお兄ちゃんも精神疾患があって今グループホームで暮らして。でもあの障害者雇用で少しずつ社会復帰もしたり施設の人と暮らしつつ。で、結婚式にも来てくれたりしたんですけど、そのうちは、何が最適だったかなんて結局わかんないですけど、かなり早い段階から病院に行ったりとかはあったんで、なんかお兄ちゃんなりのスピードで全然ね、1番しんどそうだった時期よりは今はかなり楽しそうに暮らしてるなぁと思うんですけど、なんかこの子供を愛するあまりの、そこは正直一緒だったと思うので。うん。だから『どうすればよかったか?』っていうのが出た時に、どうすればよかったじゃなくて、弟が撮り続けたっていうのがセンセーショナルでパンと出てたから、いや、アンタが連れてけよって私はちょっと思っちゃったんですよ。境遇が似てなくはないけど、私は妹なんで。親が連れてかないなら、アンタが連れて行きなさいよってすごく思ってたんですけど、その表面だけ見てた時は。なんか経緯を見ていくと、ずっとその説得してただろうし、もう撮るしかないってところまである意味藤野監督ももしかしたらこう追い込まれるっていう言い方もアレだけど、自分なりに見つけたその最適解みたいなのがそこにあったのかもしれないなと私なんかは今、紹介聞いてて思いましたね。

(町山智浩)はい。何度も本当にね、説得するんですよ。ずっとしてるんですよ説得を。ずっとしてるんですけど、例えばお母さんにね、「お姉ちゃんを病院に連れてこう」っていうと、「そんな事したらお父さんが死んじゃう」とか。

(でか美ちゃん)わぁ。。

監督は何度も両親を説得するが

(町山智浩)で、途中でもハッキリと監督が言うんですけど、「これはお姉ちゃんの問題じゃないんだよ。あなたたち、お父さんとお母さんの問題なんですよ!」って言うんです。「あなたたちがこうしちゃったんだ!」と。ハッキリ言うんですけど、もうそうなっちゃうと、この両親は、自分達は間違ってないって思ってるから、もっと頑なになっちゃうんですよ。これはね、本当にそれが子供に対する愛なのかどうかっていう事で、どんどん間違った方向に行ってしまう例なんですね。ただ、ここであ〜ネタバレになるから言いにくいんだけど。これだけ聞くとさ、これだけ聞くと、地獄のような映画だから見ねーよっていう人がいると思うんですよ。

(でか美ちゃん)そうそう、なんか掛け合いの時も、スーさんがね、ちょっと見るか迷ってるのよねって言うのはそういう意味だと思うんですよ。見たらあまりにもつらい気持ちになるんじゃないかという事だと思うんですよ。

(町山智浩)だから敢えてネタバレをします!そんなにすごいネタバレじゃないですけど。こんな地獄みたいなもう行き止まりのない、何も救いのない映画なんか見るのヤダ!って人がいるかもしれないんですが、そんな事はありません。とだけ言っておきます。でもまぁその救いを見てしまうと、じゃあ早くやっとけよと思いますね。とっととやりゃよかったじゃんっていう事なんで。とにかく弟さんがずっと願ってるのは、家族がみんなね、笑顔で過ごせる日が来る事を願ってずっと頑張ってるんですけど。まぁちゃんとそうなりますよ。はい。だから救いはちゃんとある映画です。ただね、今BGMずっとビートルズをかけてるんですね。このお姉さんは、ずっとビートルズを聞いてるんですよ。

(石山蓮華)好きなのかな。

(町山智浩)好きなんですね。いつもiPodとかに入れて、ビートルズを聞き続けてるんですけど。1958年生まれなんで完全にビートルズ世代なんですね。でもビートルズの歌って一体何かっていうと、ビートルズがなんで世界をあんなに変えて、ものすごい影響を与え続けてるかっていうと、テーマは1つなんですけど。”自由”なんですよ。それまで親の決めたようにみんな生きてきたんですよ1950年代までの世界中の人達は。親の後を継いで。そんな事関係ないから好きなように生きようよって事を歌ったんですよ。

で、ジョン・レノンとポール・マッカートニー2人違う人ですけど、彼らの共通したところは”自由になろうよ”なんですよ。で、ジョン・レノンは世界がどうなろうと、雨が降ろうが、槍が降ろうが僕は僕の生き方をする。て言ったし、で最近発掘された彼の歌は『Free as a Bird』で、鳥のように自由に生きようよっていう。いう歌を歌い続けたんですね。それをこのお姉さんはずっと聞いてたんですよ。で、もちろん歌詞の意味は完全に分かってる訳ですよ。非常に優秀な人で、英語で論文を書いたりしてた人なんですよ。彼女がこの歌を聞き続けてきたっていうのはメッセージですよそれは。自由を求めてたんですよ。

(でか美ちゃん)医学部を目指してらっしゃったというそのお姉さんが。目指していたというか入ったのか。その頃から感じてたのかなぁとかちょっと思っちゃいますよね。自由とかね。

(町山智浩)そうなんですよ。まぁうちの娘もう家出しちゃいましたけどね。だからもう本当に自由で頑張ってますけど。大変だけど。だから親の愛って。。ほら鳥がさ、育てて巣立たせるじゃないですか。それがね、自由に、あとはもう勝手に生きなさいっていうね。それが本当に大事だったんだなと思いますよ。で、著作権の問題があるので映画の中ではビートルズの曲は全然聞こえてこないんですが。そこにね、僕は本当にこのお姉さんが求めたものはあるんじゃないかなと思いながら見てましたね。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

④両親の職業は医者、研究医

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