ノー・アザー・ランド 故郷は他にないの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』（https://www.tbsradio.jp/cnt/）で、『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』解説レビューの概要
①パレスチナの映画
②アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネート
③ウェストバンクと言われている所で、何百万人ものパレスチナ人が押し込められている
④イスラエル軍がパレスチナ人の家をガンガン壊してしまう
⑤軍事演習場をつくるために壊すというが
⑥壊した場所にイスラエル人の○○○○○を作る
⑦人が撃たれるシーンも目の前で撮影
⑧撮影者のパレスチナ人と、イスラエルのジャーナリストの間に友情が芽生える
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』町山さんの評価とは
（町山智浩）今日もですね、まぁ引き続きなんですけどアカデミー賞にノミネートされている映画を紹介します。まず1本目がですね『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』という映画です。
〜音楽〜
これねパレスチナの映画です。パレスチナとイスラエルの合作映画と言っていいと思います。今週21日から公開なんですけれども、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされてます。でね、これは舞台はね、ヨルダン川西岸地区。いわゆるウェストバンクと言われている地区なんですが、これちょっと地図見てもらうとわかるんですが、イスラエルという細長い国の中にですね2つのパレスチナ人居住区があるんですね。1つは今すごく問題になっていてものすごい空爆を受けているガザ地区というのが西側の地中海に面した海岸沿いにあるんですけど、反対側の内陸地の方にヨルダンとの国境にあるヨルダン川の西側の地区がこれヨルダン川西岸地区、ウェストバンクと言われてるとこで、そこにも何百万人もパレスチナ人がなんて言うか押し込められてるんですよ。
ウェストバンクと言われている所で、何百万人ものパレスチナ人が押し込められている
（町山智浩）ここが舞台なんですけど、元々ここはね、イスラエルではなくてヨルダンの中だったんですね。これは1967年にイスラエルが戦争でヨルダンから奪い取ったとこで、そこにそのパレスチナ人が住むとこだったんで彼らがヨルダン人だった頃は自由だったんですがイスラエルに取り込まれてからは中に押し込められて外に出る事はできないんですよ。で、他のとこに出る事ができないだけじゃなくて・・ちなみにここの地域はハマスは支配してないです。
（石山蓮華）そうなんですね。
（町山智浩）はい。ハマスはね、ガザだけなんですよ。ところがですね、この閉じ込めらてるところにイスラエルが入って来てですね、イスラエル軍が入ってきてですね、このパレスチナ人の家をどんどん壊しちゃうっていう映画なんですよ。
（石山蓮華）えぇ、とんでもないですね。
イスラエル軍がパレスチナ人の家をガンガン壊してしまう
（町山智浩）はい。で、ガンガン壊しちゃって、警察というのもパレスチナは持ってないので、パレスチナの人達は。だからやられっぱなしなんですよね。
（でか美ちゃん）理由がないですよね。でも。やるにしてもって言い方したらアレですけど。
（町山智浩）理由はね、一応ね名目はあって。ここに軍事演習場を作るって言うんですよ。だからその土地を空けろって言って家を壊すんですけど、その軍事演習場作られないんですよ見てると。
（でか美ちゃん）えぇ。
（町山智浩）だから嘘なんですよ。ひどい話で。ただ壊す事が目的なんですね。パレスチナ人が住めなくする事が目的なんですよ。で、それをそこに住んでる、パレスチナの人がですね、ずっと住んでる人ですけど、バーゼル・アドラーさんっていう人がカメラで撮り続けいるのがこの映画なんですね。で、撮り続けてるんですけど、何もできない訳ですよ。目の前でイスラエル軍がねブルドーザーとか使ってガンガン家を壊しちゃうんですけど、じゃぁその人達の家はどうなるのかとか壊れた家財道具とかどうなるかとか知ったこっちゃない訳ですよ。で、そこに住んでたパレスチナの人はねしょうがないから洞窟に暮らすんですよ。もうひどいんですよ。水もガスもなんにもないですよ電気も。で、それを撮り続けてたら今度はもう向こうが本音を出してきて。壊したとこに今度イスラエル人の新興住宅地を作っちゃうんですよ。
（石山蓮華）えぇひどい。
壊した場所にイスラエル人の新興住宅地を作る
（町山智浩）ひどいんですよ。それが目的だったんだなっていうのが露骨に分かるんですけど。そこに住んでるおじさんが、俺の家を壊すなってやってると、もう撃たれちゃうんですけど、それをね目の前で撮影しています。
（でか美ちゃん）そういう映像も使われてるんですね。
（町山智浩）はい。もう目の前で撃たれるところがちゃんと撮影されてるんで、ちょっと衝撃なんですけど。ただね、そこにイスラエルの若者が来るんですよ。若者だな、1990年代生まれの人達なんですよ、この人達。監督達。みんな、撮影してる人達。若者だわ、俺からすると。
（でか美ちゃん）20代ですね、まだ20代後半。
（町山智浩）娘と変わらんわ。で、ですね、イスラエルの人が来てひどい事が行われてるってんで頭にきたんで、取材しに来たっていうジャーナリストなんですよ。で、撮ってるうちにこのイスラエルのジャーナリストと、これを撮り続けてたパレスチナの若者達の間に友情が芽生えてくんですね。で、もう腹を割って話す訳ですよ、なんでこんな事になってるんだと。
で、イスラエルの彼もですね、名前はエイブラムスさんですね。ユバル・エイブラムスさんですけど。俺達も反対してんだけど止まらないんだと。夜ね、ずっと焚き火を囲んでね話し合うシーンとかもありますけども。お酒は飲んでなかったみたいですけど。まぁそういう映画で。
撮影者のパレスチナ人と、イスラエルのジャーナリストの間に友情が芽生える
（町山智浩）これがね、今アカデミー賞の候補になっていて。前に紹介した伊藤詩織さんの『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』と争ってるって感じですね。長編ドキュメンタリー賞。で、これがアカデミー賞を取るかどうかというのは『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』タイトルがね、故郷は他にないっていうのは、出て行きゃいいじゃねぇかって言うんですよ、イスラエル側が。
（石山蓮華）出ていけないんですよね。
（町山智浩）出て行けないのに言うのね。要するに、出れないんですよ。閉じ込められてて。それになのに出ていけばいいじゃねえかって言うんですけど、だから他にないじゃないかっていう事で『ノー・アザー・ランド』っていうタイトルがついてるんですよ。
これは今、すっごい大問題になってる事ですね。アメリカのトランプ大統領が先日、ガザの空爆でもうめちゃめちゃになって、何万人も死んだところに、アメリカが占領してアメリカのものにして、高級リゾート地にするっていうのを発表をしたんですよ。日本でも報道されてますよね？
（石山蓮華）あ、報道されてます。
（町山智浩）これ、どうかしてますよこれ。何万人もの子供達を殺したとこにリゾート地を作って誰がそこで遊ぶんだっていうね。
（でか美ちゃん）そうなんですよ、それをまず最悪というのは当然として。誰が行くねんっていうのはやっぱり思いますよ。
（町山智浩）誰が行くんだそんなところっていう。もう人でなししか来ないだろうこれ。しかもそのイスラエルが、ネタニヤフ首相がものすごい空爆をして廃墟にしたところを、なぜアメリカが占領するの。
（石山蓮華）そうなんですよ。いや、本当にわからないなって思って。
（町山智浩）全く訳がわからないし、それで少し残ってる、ガザに残ってるパレスチナの人達も全部国外に住んでもらうとトランプは言っていて。エジプトとヨルダンに定住させるって言ったんですね。そしたらエジプトもヨルダンもそんな事聞いてねえよって怒ってるんですけど。（笑）
なんでも勝手に決めちゃうんですね。なんかもう本当にこれ現実なのかって思ってますよ。
（でか美ちゃん）ね。なんか人がそこに暮らしてるのに、たらい回しみたいになるかもしれないっていう、たらい回されたらもしかしたらまだいい方で、本当にその、どこにも住めないって、なんか考えられないですけどね、人権侵害以外の何物でもないですよね。
（町山智浩）まぁとにかくね、このタイトルにそういうものに対する怒りがねにじみ出てるんですけど。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
⑥壊した場所にイスラエル人の新興住宅地を作る
